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ムーティのシューベルト/交響曲第1番

ウィーンの響きによる颯爽としてカッコ良い交響曲(戻る


このところなんとなく元気が出ないので、フレッシュな音楽を聴こう、と思ってシューベルトの初期の交響曲を聴いてみることにしました。 シューベルトの交響曲というと、「グレート」や「未完成」が有名で、続いて第5番でしょうか。 頑張ってみると表題付きの第4番「悲劇的」とか「グレート」に対抗して「リトル」とも呼ばれる(らしい)第6番でお仕舞いなんですが、第1番から第3番もまた捨てがたい魅力があります。 しかし個人的には第1番から第3番のほうが好きなくらいです。 ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンといった影響も指摘されるようですが、第1番など16才のときに作曲されたとは思えないほどシューベルトの歌の世界がもう存分に花開いていると思います。

今回は色々と持っている録音のなかからリッカルド・ムーティ指揮ウィーン・フィルによるものをピックアップしました。 とても颯爽とした演奏なんですが、これにウィーンフィルの特徴である独特な管楽器の響きや、弦楽器のまろやかさがとてもよくマッチした演奏ですね。 オペラを聴かないこともあってムーティはちょっと疎遠な指揮者なのですけれど、ウィーン・フィルとの付き合いは長くて(1975年のベームとの来日時には一緒に来ています)、この録音でも息のあったところを聴かせてくれています。 ウィーン・フィルはもともとウィーン歌劇場のオケの選抜メンバーですからオペラ指揮者であるムーティとは相性も良いのかもしれません。 また曲自体もメロディをつないで歌わせていくあたりオペラに似ていて彼らの特質とも合っているようです。 そして何よりシューベルトは生粋のウィーンっ子ですから、曲からこぼれ出てくる微妙なニュアンスもまた他のコンビには味わえないものを感じます。

本当にウィーン・フィルの美観をぞんぶんに発揮したような音楽です。 第1楽章の序奏など堂々としたものなんですが、裏で鳴っているトランペットはウィーンフィル丸出しっていう感じですし、ヴィヴァーチェの主題もじつに歌に溢れていて楽しくなります。 ムーティの指揮は颯爽としているんですけど、けっこう強引にオケを鳴らしてもいて、とにかくカッコ良い音楽を展開しています。 このカッコ良さがこの曲の身上であるようにも思います。 コーダも存分に鳴らしたあと、急に古典派の表情をとってつけたようなフィナーレになるのも面白いところです。 第2楽章もまたよく歌っていますし、かげりのある表情もまたシューベルトらしいところでしょう。 第3楽章のメヌエットもまた堂々とした部分とチャーミングな木管楽器がモーツァルトっぽくもありますね。 そして軽やかでかつ畳み掛けるような終楽章がまた秀逸です。 オケ全体が歌っているかのように自分たちの音楽を楽しんでいるようにも感じられます。 再現部からコーダになるとノリノリっていう感じで音楽がどんどん高揚してフィニッシュに入るなどこっちも熱くなってしまいます。 ほんとうにカッコ良い音楽ですね。

あまりにカッコ良かったので、このあとこのコンビによる全集の全曲を聴きました。 個人的に順位をつけるなら第1番を筆頭に、第4番、第6番、第9番「グレート」、第3番といった感じで続くでしょうか。 この順位はカッコ良さを基準にしていますので、また聴きなおしてみると変わっているかもしれませんけれど・・・ とにかくムーティを誉める人は少ないと思うのですが、このシューベルトの交響曲全集はもっと誉めてあげても良いと思っています。

僕のはオランダ製RED LINEの輸入盤で1,000円程度で購入。
東芝EMIのRED LINEの1,200円シリーズで分売されていましたが今は在庫切れのところが多いようです。 

なお検索したところタワーではEMIの輸入盤4枚組が2,590円で出ているようです(2003/7/6現在→ココ)。