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シュテファン・ザンデルリンク/ロイヤルフィルの「スコットランド」「イタリア」

感動的なメンデルスゾーン(戻る


ワゴンセールで売られているロイヤルフィル・コレクションのCDです。 指揮は巨匠クルト・ザンデルリンクの末子シュテファン・ザンデリンク。 どんなんかなぁ〜と思って買ってみたが、これがとても実に感動的な演奏なので驚きました。

何より若々しい演奏だというのは当然としても、その若さに溺れることなく、オケをきちんとコントロールし、表面的で終わりがちなメンデルスゾーンの交響曲にきちんと陰影をつけて演じきっています。 しかも不用意に暗くなりすぎもしない。 ロイヤルフィル独特の粘っこい響きにも少しは助けられているとは思いますが、低弦をきちんと纏めあげ、音楽をすいすいと進めていく手腕は見事としか言いようがありません。 これはこのシリーズの掘り出し物だと思います。

スコットランド、イタリアともに素晴らしい演奏だと思いますが、個人的にはスコットランドがより素晴らしいと思います。

この曲、暗くなって引きずってしまえば面白くはないし、逆に明るくイタリア交響曲のような陽気さはなく、なかなかぐっとくる演奏には出会えないのですが、シュテファンは若さの中に微熱にも似たけだるさを感じさせて素晴らしい演奏に仕上げています。 そして全奏となっても手綱を緩めることなく、逆にグイィと引き締めた響きで曲を盛り上げる手腕はなかなかのものです。

第1楽章のアンダンテとアレグロの部分の対比、とくにアレグロになってタイトに鳴り響くホルンなど見事ですし、第3楽章アダージョでは良い面としての若さがよく出ているように思います。 清冽でしっとりと始めたあと、クライマックスでの盛り上げにもグッきますし、そのあとの転換、明るさと暗さのせめぎあいの対比など感動的。 スコットランドがこんなにも素晴らしい音楽だったのかと改めて認識させられました。 そして終楽章、録音の良さもあってオーケストラ・コントロールの見事さも堪能できて、若々しい力強さと清冽さで大きく歌いあげたフィナーレ。 素晴らしいですね。

イタリアは力強さを持った開始からやや早めの展開。 低弦がきちんとしているので闇雲に突っ走っているという感じではありません。 全般的に若さが滲み出ているのですが堂々と演奏。 ここでも終楽章でぐっと盛りあがって、煽られたオケが追いすがっているようにも聞える部分もあったりして、こちらもなかなかの熱演です。 途中でチェロの旋律が浮きあがってきたのにもはっとさせられました。

いずれも若さで走っているだけでなく、よく考えられた素晴らしい演奏だと思います。

ロイヤル・フィルハーモニックコレクション No.46 売価 \780円程度