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オペラハウスの楽しみT

謎のオムニバスCD・大当たり(戻る


今から5年ほど前にワゴンで投げ売られていたCD(定価2,000円が500円)で、「東ドイツ直輸入盤」という文字がすでに当時から怪しさ満点でした。

しかし「ArsVivendi」レーベル、日本語の帯には製造元:東ベルリンシャルプラタン社、総発売元:三協商事株式会社と書いてあります。
DDD録音ですが違法コピーではなく正規品でしょうね。 また帯には EVERGREEN CLASSICS 10 とも書いてあってこれは「1」です(数年後には「2」も捕獲しましたが「1」のほうが聴き応えありました)。

背表紙には「ライブの魅力」と書かれているとおり、全てベルリン国立歌劇場管弦楽団をバックにした演奏で拍手が入っています。 そしてこれがまたなかなか素晴らしい演奏ばかりなんですね。
オムニバスなんですが、いずれも演奏や歌には堅苦しさや、これ見よがしに締め上げるようなソロ歌唱もありません。 タイトルどおり楽しめる内容です。 何より指揮者や歌手も下記の表のごとく一流陣を集めているから当たり前かもしれませんが。

でもオペラって、たいがいストーリーに内容が無いぶん歌手が気張ったりして辟易する・・ってことがあるのですけれど、このCDでは、本場のオペラの楽しさ、その片鱗をさり気なく感じさせてくれました。 オペラについての考え方変えないとあかんかな、なんて思えた大当たりなCDでした。

以下の曲目が収録されています。

作曲家 曲目 指揮・歌手
ウェーバー 歌劇「魔弾の射手」序曲 クルト・ザンデルリンク
同 狩人の合唱「狩人の楽しみは」
メンデルスゾーン 歌の翼に ペーター・シュライヤー(T)

クラウス・ペーター・フロール
新しい恋
あいさつ
劇音楽「真夏の夜の夢」序曲
ニコライ 歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」より
月の合唱「おお甘美な月よ」
Gerd Wolf (Br)

ロルフ・ロイター
同 「子供の頃から」
同 序曲
R.シュトラウス 歌劇「バラの騎士」より三重唱「愛こそは私の誇り」
ニ重唱「夢が本当になるものかしら」
歌手名不明
ハインツ・フリッケ

演奏はベルリン歌劇場管弦楽団と同合唱団。 その演奏全般について特筆すべきは、温かなオーケストラの音色がとても魅力的なことです。 スィトナーが指揮したこのオケとの交響曲などの録音では、堅さをちょっと感じることもあるのですけれど、ここでは伸び伸びと、本業をやっているといった感じです。 もちろん手抜きらしいものはありません。

冒頭の重鎮ザンデルリンクによる「魔弾の射手」もよく纏った演奏なのですが、ほわっと感じの響きと構成感のある音楽が見事に絡んで魅力的。 そしてここではまだまだ新鋭(?)のクラウス・ペーター・フロールは、甘い声のシュライヤーのバックをきちんと務めています。 そしてそのフロールの最初の師匠にあたるロルフ・ロイターの指揮は手馴れた演奏です。 序曲にも用いられた旋律を用いた合唱曲を先に聴かせ、そのあと序曲を聴かせるという曲順もなかなか良いと思いました。 
R.シュトラウスの曲は歌手が自然でとてもいい声をしていますが残念ながら名前がありません。 甘美さを持つ素適な演奏で、これならもっとオペラを聴きたくなります。

いずれも1曲毎に暖かな拍手が録音されています。 背表紙に書かれた「ライブの魅力」、このようなコピー文章なんて当らないことが多い宣伝文句なんですけど、この盤については本当に魅力的でした。
僕のようなオペラやオペラ的歌唱が苦手な人にもお勧めできるCDだと思います。

1枚500円程度、「1」「2」を合わせた2枚組のCDも見かけたことがあります