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ナヌート/リュブリャナのハイドン「悲しみ」

気色ばむほどのナヌートのハイドン(戻る


Stradibari レーベルのCDで、バークシャで $1.99 程度で捕獲したと記憶しています。 同じ録音が 1989年12月15日にポニー・キャニオンからPCCL00036の番号で\1,800円としても出ていました(一覧はココに掲示)。 
このCDは、バークシャのカタログを眺めて、ナヌート指揮、ということだけで捕獲した盤だったのですが、これが(ナヌート・ファンというバイアスを差し引いても)なかなか素適な演奏でした。

オーケストラの表記がリュブリャナ交響楽団になっていますが、いつものラジオ・シンフォニー・オーケストラです。 マーラーなどの大きな編成では非力さを感じさせるオケでもあるのですが、ここでは緊密で気品のある弦のアンサンブルを聴かせてくれています。 また、オーボエ、ホルンなど、柔らかくて控えめ、素適な音を響かせています。 そしてナヌートさん、この手兵オケを操ってハーモニーの魅力、音色の良さ、自然なリズム感を引き出しているようです。 特に「悲しみ」の終楽章で聴かせるドライブ感が素晴らしいですね。 ここではちょっと気色ばんだナヌートさん、ぐいぐいとオケを引っ張ってようです。 まさしく疾風怒涛期のハイドンらしい演奏を堪能させてくれます。

「悲しみ」「告別」が収録されていますが、ともに同系統の演奏。 個人的には「悲しみ」のほうが主観的で前向きな表現が随所に感じられて好きです。 「告別」も悪くはないのですが。 たぶんに曲自体の好みによるものと思います。

さてこの「悲しみ」、第1楽章の冒頭から緊密で気品のある弦のアンサンブルで惹き込まれます。 ヴィオラやチェロがぎゅっと締まっていてよく鳴っている感じです。 どこか弦楽四重奏の拡大版を聴くような感じでもあります。 各パートが主体性をもってアンサンブルを織り成していくのがとても素晴らしく思えます。 そんな弦アンサンブルとオーボエとの響きが調和し、とても自然な呼応で進められます。 ナヌートさんの統率力の素晴らしさ、などとファンは思ってしまいます(多分にバイアスかかっていると思いますけれど)。
第2楽章も中低弦による整然とした感じのメヌエット。 そこから薄く柔らかなホルンを背景にしたアレグレットになります。 第3楽章は穏やかでほの明るい響き、爽やかな悲しみを表現しているようです。 とても気品のある演奏ですし、素晴らしいアンサンブルの展開に飽きることなどありません。 リュブリャナのオケのとても良い面を引き出しているのではないでしょうか。
そして終楽章、ここではナヌートさんが一転多少気色ばんだ表現で、ぐいぐいとオケをのせ、フィナーレに一気に結びつけています。 ドライブ感のある中低弦、小さなオケなのに立体的な感じのする演奏で、アクセントなども大袈裟にはつけていなけれど、まさしく疾風怒涛、そんな感じを受けます。 駆けぬけてゆく演奏ですが、きっちりとした演奏は全く崩れることなく、素晴らしいハイドンの演奏なんですが、一般には全く評価されていない・・・ 聴く度にそう思わずにはいられないCDです。

確か1999年頃の購入ではかなったかな