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バーンスタイン/NYPOのチャイコフスキー交響曲第1番

若い情熱・自己主張のある演奏(戻る


バーンスタインはニューユーク・フィル時代が絶対に面白い。 ヤンキーがアメ車をぶんぶん乗り回しているような演奏・・・と誰かがどこかに書いていたが、まさしく伝統や因習にとらわれず、自己主張のはっきりした音楽を展開している。 だから妙に訳知り顔で、濃い演奏のグラモフォン録音には引いてしまうのだが、こちらは逆に前に乗り出して聴きたくなる。 そんな聴く楽しさが詰っている演奏が多いと思う。

ところで、チャイコフスキーの初期の交響曲は、後半の3曲に比してほとんど演奏される機会がないのは何故だろう。 あの標題が良くないのだろうか。 普通は標題付きの曲のほうが演奏される機会が多いのが常なのだけれど、どこか少女趣味っぽく聞こえるのが難点なのか。

「冬の日の幻想」と題された交響曲第1番も、あまり耳にすることがない曲なのだが、これをバーンスタイン/NYPOで聴くと実に楽しい。 重厚であり、バレエ音楽風でもあり、とにかく屈託がないのがいい。 コントラバスにいたるまで各楽器のフレーズが歌っているように聞こえるが、それが確かにアメ車でぶんぶん飛ばしているようにも思えるほどで、基本的に陽性の音楽になっている。

第1楽章は、そんな低弦のエネルギッシュな響きとともに盛りあがるたくましい音楽なら、第2楽章は陰鬱な地、霧深き地という副題がついているけれど、明るい表情を見せる木管のソロの響きが心地よい音楽だ。 そして圧巻はコーダの部分のホルンによる独奏。 ニューヨークフィルってやはり巧いオケなんだ、と再認識したしだい。 第3楽章は優美というよりも堅牢な感じのスケルツォ。 バレエ音楽のような中間部のワルツも流れの底には密かに低弦の支えが入っている。 終楽章もとにかく重量級の音楽。 しかし重くとも流れが滞らないのが若いバーンスタインの特徴だ。 前半の民謡風のメロディ、アレグロ、そしてコーダへの突入も低弦の響きに導かれている重い音楽になっているが、まさしくアメ車をぶんぶん唸らせて広大な原野を走っているかのよう。 曲を豪快に閉じて聴き応え充分。

ああ聴いたなぁ、という満足感にしたることのできる演奏である。

輸入盤 THE ROYAL EDITION No.89 (交響曲第2番併録) 中古で1,000円程度