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スィトナーのドヴォルザーク交響曲第6番

明快で覇気の感じられる演奏(戻る


以前拙ページの掲示板で第7番がなかなか名曲であるとの話がありましたね。 自宅のCD棚を漁りながらこのことが急に思い出されました。 CDを眺めながら、一般に有名な順では第9番「新世界」→第8番→第7番となるのだけど、この前にある第6番っていったいどんな曲だったのかなぁ〜 と気になって取り出してみました。 それがこのスィトナー/シュターツカレペ・ベルリンのCDです。 耳に馴染み易いメロディが次々と出てきて、メロディー・メーカー・ドヴォルザークの面目躍如みたいな楽しい曲ですね。 でも交響曲ってどこか難しいところが無いと有り難みもないってことなのでしょうか。 陰りがないから人気が無いのでしょうかね? とにかく今回聴き直してみてお気に入りの曲になったから言うのですが(笑)、この第6番の交響曲ももっと聴かれても良い曲ではないか、と思います。

まずCDですが、徳間のドイツシャルプラッテン20周年記念3のものです。 1994年5月25日発売の1,000円盤でした。 この頃の1,000円CDってのは珍しくて有り難かったですよね。 いつまで続く20周年なんて思いながらも、このシリーズは沢山買いました。 特にこの年のシリーズでは、第1期(4/5発売)にブロムシュテッド/シュターツカペレ・ドレスデンのシューベルトの交響曲全集、第2期(4/25発売)にはヘルビッヒ/ドレスデン・フィルによるハイドンの交響曲第93番〜第104番の全集、そして第3期がこのドヴォルザークの交響曲全集を中心にしたラインナップですから気合が入っていました。 もちろん僕はこれらの全集はすべて買って揃えましたので(正確に言うと、新星堂の1,000円盤でドヴォルザークの交響曲第7〜9番は捕獲済みでしたので、このシリーズでは第1〜6番を買って全集にしました)、とにかく僕のほうもかなり気合が入っていたことは事実です。

ところでこの曲、ドヴォルザーク生前の交響曲番号でいうと第1番になっています。 1882年にジムロック社より出版された最初の交響曲。 確かにボヘミアの民族感情がほとばしり出るようだし、終始明るく陽気で、大衆に受け入れられ易い曲のように思います。  しかしこの曲がドヴォルザークが最初に発表した交響曲かというとそうではないようですね。 今ではドヴォルザークは交響曲を9曲作曲したことになっていますが、生前本人が交響曲として認知(?)していたのは今で言うところの第5番から第9番までの5曲で、これは有名ですね。 でもその5曲の交響曲の最初になるのは、旧番号の第1番であるこの曲ではなく、今の第5番だそうで、旧番号では第3番になっています。  そして旧番号の第2番が今の第7番。 ま、今の第5番から第9番までを順番に聞けばドヴォルザークの作曲家としての成長を追えるようになっているんですけどね、ちょっと混戦模様だったようです。

さて、このスィトナーの演奏なんですが、構成感をしっかりと打ち出したいわばドイツ風ですね。 しかし音の立ちあがり(キレ)が良く、機能的な感じがして、ドイツ・ローカルというよりもインターナショナルな感じ。 これが聴き易さに繋がっていると思われます。 ボヘミア風でローカル色あふれた演奏を好まれる方にはどうか、と思いますけれど、この曲を始めて聴く方にはお薦めではないでしょうか。 
第1楽章の冒頭から、各パートをくっきりと浮かび上がらせた掛け合いが面白いですし、第3楽章のフリアント舞曲などスラヴ舞曲にも似てとっても楽しい曲で、とくに右側から聞こえるホルンの旋律など一緒に口ずさんでしまいそうです。 しかし感情に流されずよく纏った聴き応えのある演奏になっています。 終楽章の冒頭はブラームスっぽい感じなのが面白く、これはスィトナーさんの指揮だから余計そう感じるのかもしれませんね。 しかし木管楽器や弦楽器の掛け合う旋律などはまったくドヴォルザークそのもので満たされています。 非常に魅力的な旋律に満ちていて本当に楽しい気分になれました。
全体的にちょっと強引な感じもしましたけれど、明快で覇気の感じられる演奏が素晴らしいと思いました。 もしこれが同じシュターツカペレでもドレスデンのほうだともっと穏やかで艶ぽくなるのでしょうが、ドヴォルザークの交響曲にはベルリンのほうの響きが合っているのではないでしょうか。 とにかく満足感を大いに感じた演奏でした。

タワーではまだ売れ残っているようですね(2003.8.23)→ココ