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大阪シンフォニカー フェスティヴァル名曲コンサート12

本名さんの緻密さが光る熱演戻る


大阪シンフォニカー フェスティヴァル名曲コンサート12
2000年4月23日(日) 18:00 フェスティヴァルホール

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」(ノヴァーク版 第2稿 1878/80年)

指揮:本名徹次 独奏:谷本華子(Vn)

今回の一連のフェスティヴァル名曲コンサートで、最も注目していた本名徹次/大阪シンフォニカーのブルックナーのロマンティック。 期待に違わぬ熱演だった。
大阪シンフォニカーのロマンティックと言えば、'93.12.16 第35回定期演奏会でのT・ザンデルリンクの指揮によるもの以来だが、今回は本名さんの緻密さが光っていた。

本名さんはいつもどおり第2Vnを右に配置する対抗配置(管楽器は通常配置)。 しかし今回は、なんとコントラバスを舞台中央奥のヒナ段に6本並べたムジークフェライン風。 これが要所要所で見事に決まっていた。
特に第4楽章の冒頭、心臓の鼓動かと思うほどはっきりとズンズン... と響いてきたのには、もうゾクゾクッときてしまった。 カーテンコールにおいてホルンの細田さんの次にコントラバス軍団が指名されていたように、実に見事にこの曲を支えていたと思う。 また視覚効果もあるのだろうが、位置的にも金管ファンファーレ軍団と一体となり、キリッと締まっておりかつ雄弁でもあった。 ホルンやフルートのソロの名演もあったが、今回はこの配置を選択した本名さんとそれに見事に応えたコントラバス軍団を称えたいと思う。

僭越ながら難点を言わせてもらうと、やはりVn12本の編成では弦楽器の厚みや艶が欲しくなる。 ザンデルリンクの時には、シンフォニーホールで通常配置だったが、3・4楽章で弦楽器が層をなすようにうねってオルガントーンを醸し出していたが、今回はこれはなし。 器の大きいフェスティヴァルホール。 そして本名さんらしく、締まりの効いた演奏だったことと、コントラバスが離れた位置にいるためだろうか、弦楽器群としての層の薄さがやや気になった。
しかしこのコンビの大阪シンフォニカーにそこまで言うのは贅沢というもの。 本名さんの緻密な計算と良い意味での大阪シンフォニカーらしい若く熱い情熱が渾然一体となったロマンティックをこころゆくまで堪能させてもらった。

なおこれに先だっての谷本さんの演奏によるメンコン。 Vn10本の編成ではやはりフェスティヴァルでは小さすぎる。 オフマイクで録音したように音像がやや遠かった。 しかし、無理にこの大ホールに合わせて強奏して耳障りになることはなく、確実なテクニックで透徹な響きを出していた熱演だった。 これはいずみホールあたりで聴きたかった。

全体的に本名徹次/大阪シンフォニカーの好調さと今後への更なる期待を強く感じた演奏会であった。