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MOGオペラシアター

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MOGオペラシアター
2000年8月6日(日) 13:30 三郷町コミュニティセンター・文化ホール

E.フンパーディング:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」ハイライト(日本語版)
G.C.メノッティ:歌劇「アマールと3人の王様」全曲(日本語版)

ヘンゼル:中川理恵子、グレーテル:橋本さおり、お父さん:川口 潤、お母さん:西畑賀世
魔女:安永紀子、森の精:西畑賀世(二役)、子供達:市民劇場さんごう少年少女合唱団
ピアノ:坂口真規子、辻川謙次
指揮:河田早紀

アマール:田辺亜紗美、お母さん:安永紀子
カスパール:河田早紀、メルヒョール:手島和徳、バルタザール:川口 澄、従者:川口 潤
踊り子:大東 彩、中川真沙、松岡安里紗(劇団さんごう)、村人:市民劇場さんごう混声合唱団
ピアノ:辻川謙次、オーボエ:高橋裕史、フルート:福永吉宏、コントラバス:長谷川順子
指揮:三原 剛

音楽監督:三原 剛
舞台スタッフ:劇団さんごう

子ども向けのオペラを上演するということであったが、子供だましではなく、大人も楽しめる子ども向けの内容に仕上がっていた。 言うは易く実行はとても難しいことだと思った。 オペラは苦手なのだが、今回はとても楽しめ、得した気分になった公演であった。

我が家の子どもと嫁はんのピアノと歌の先生からの頂きもののチケットである。 普通は贔屓目で見てしまうので感想を書かずにおこう、と思っていたのだが、じつに素敵な公演であったので書くことにした。
個々の歌手についてはよく分かっていないので省略するとして、この公演がこれほどまでに素敵なものになった最大の功績は音楽総監督の三原剛さんの功績が大きいと思う。 プレトークで三原さんは次のように語っておられた。

「今日の演目は欧米ではクリスマスによく上演されるものである。 欧米ではクリスマスに歌劇場を開放して子供向けのオペラを上演し、子ども達はそこから次のオペラに進んでいく出発点になる。 今日はそのような主旨で、子供になった気分で楽しんで欲しい。」

しかし、このようなコミュニティセンターでの公演であって、また三郷町民も参加しての公演である。 言葉を悪くして言えば学芸会にも成りかねないのだが(実際に、そのようなものを想像して行ったわけだが)、子供だましではなく、大人も楽しめる子ども向けの内容に仕上がっていた。 これは言うは易くても実行はとても難しいことだと思う。
これが実現できたのは、ただ金をかけて演るのではなく、無駄なもの・余計な物を一切削ぎ落とし、必要なものだけを残した演出・演奏の的確さにつきると思う。 ことにアマールと三人の王様では、ピアノ・オーボエ・フルート・コントラバスによる伴奏だったが、これらの演奏も余計な装飾を廃しており技巧的にも素晴らしいものであった。 堅実な演奏であるのだが決して消極的・退屈ではなく、これだけをとってもとても難しいことだと思う。
町民の参加もまた微笑ましくもあるのだが、全体のストーリ展開の中にきちんと収められているためオマケ的な違和感は全く感じなかった。
ヘンゼルとグレーテルとも、かなりコンパクトにまとめあげられていたが、この中にしっかりとした音楽への姿勢・伴奏の巧さ・演出の的確さなどきちんとしたものが一本通っていたと思う。 だからどこをとってみても楽しめる内容になっていたのではないだろうか。 本当に得した気分になって帰ることの出来た数少ない公演であった。 (2000.11.24 改訂)