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大阪シンフォニカーフェスティヴァル名曲コンサート14

本名さん本領発揮の大熱演戻る


大阪シンフォニカー フェスティヴァル名曲コンサート14
2000年9月9日(土) 18:00 フェスティヴァル・ホール

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
チャイコフスキー:舞踏音楽「白鳥の湖」(抜粋)
第1幕より:情景、ワルツ
第2幕より:情景、4羽の白鳥の踊り、パ・ダクション(グラン・アダジオ)
第3幕より:ハンガリーの踊り(チャルダシュ)、スペインの踊り、ナポリの踊り、マズルカ
第4幕より:情景、フィナーレ

独奏:中川恭子(p)
指揮:本名徹次

チャイコフスキーの「白鳥の湖」がこんなにも劇的な迫力を持った曲であることを知った。 本名さんのことであるから弦楽器は対向配置で、ということ位の期待でしかなかったが、期待は良い意味で、それもまったく予想だにしない大熱演で裏切られた。 そして大阪シンフォニカーの各ソリストの好演もあいまって素晴らしい時間を頂いた演奏会となった。

約45分、CDで「白鳥の湖」を聴くと、どこか散漫な感じを受けてしまう。 カラヤンやバーンスタインなどで聴くならば、それぞれに指揮者の個性やオケの扱いの巧さ・面白さを感じはするのだが、それ以上でも以下でもなく、カラヤンの、とか、バーンスタインの、という感じで聴くことは出来てもそれ以上に聴き込むことはなかった。 今回「白鳥の湖」がプログラムされていることについては、失礼ながら、本名徹次の、という期待は対向配置による響きの新鮮さ、という程度であった。
第1曲目の情景は、対向配置により弦楽器が横に広がって聞こえ、ある種期待どおりであった。 元気があるなぁ... と思って聴き始めたのだが、弦楽器が一丸となりとても息づいている。 2曲目のワルツのピッチカートも情感に溢れ、さらに臼田さんのとても柔らかく美しいトランペットが素敵だった。 さらに3曲目の新本さんのオーボエ・ソロも柔らかい良い音で、これは大阪シンフォニカーの「白鳥の湖」になるなぁと感じた。 以降、本名さんの煽りもあって躍動感溢れる曲が繰り出されてくる。 色彩感はもちろんタイトでリズム感があるのは本名流だろう。
CDではなく、実演でお馴染みの各ソリストの技を聴けたのもとても嬉しかった。 ことにパ・ダクションのバブアゼくのソロは懐かしい音色で甘くなり過ぎず安心感があった。 これに比して野村さんは深く哀愁を帯びた響きであった。 更にナポリの踊りでの臼田さんのソロは、ナカリャコフばりのとてもまろやかな音色でありながら速いパッセージも楽々こなしてしまうのは本当に素晴らしかった。
オケも本名さんに煽られて全力を出していたのだろうが、弦楽器にコクやタメが効いており、また要所を花石さんのティムパニが締めあげて、オケ全体には余裕すら感じる。 「白鳥の湖」がこんなにも劇的な音楽であったことに初めて気付かされた。 本名さんと大阪シンフォニカーの本領発揮の演奏ではないだろうか。

これに先だっての中川さんのピアノによるラフマニノフのピアノ協奏曲もまた、本名さんと大阪シンフォニカーの好演で支えられていた。 ただ第1楽章では花石さんのティムパニが突出して少々バランスを崩して聞こえた場面もあったが、第2楽章での原田さんのクラリネットは朴訥とした響きで素晴らしかった。 全体的に甘くなりすぎず、しかもキッチュに安物っぽく粘るあたりにラフマニノフらしさもよく出ていたと思う。 ただピアノについては、冒頭から芯の透った華麗な響きで魅了してくれたが、速いパッセージになるともたついてしまうのが残念であった。 また第2楽章など、感情を入れようとする場面でもやや空回りで気味で平板になりがちでもあった。 初めての大きなホールでの協奏曲とあれば仕方ないところか。 今後に期待したい。