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芦屋交響楽団 第53回定期演奏会

期待に違わぬ好演戻る


芦屋交響楽団 第53回定期演奏会
2000年9月10日(日) 16:00 ザ・シンフォニー・ホール

バルトーク:バレエ組曲「中国の不思議な役人」
プロコフィエフ:交響曲第1番「古典」
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
(アンコール:シェチェドリン:カルメン組曲より「花の歌」)

指揮:松尾葉子

20世紀の最後に20世紀の音楽ばかりを集めたプログラミング。 さすが芦屋交響楽団、とも思えるのプログラムに、芦屋交響楽団らしい素晴らしい演奏で20世紀を締めくくっていた。 期待にたがわない演奏であった。

シンフォニーホールでは2階席ばかりが続いていたが、久しぶりに前から6列目、それも24番という中央正面の席であった。 曲の全体的な響きよりも、オーケストラ各人のニュアンスがよく聴き取れる席であったようだ。 真摯な響きがストレートに届いてきて少々とまどってしまった。

第1曲目のマンダリンは冒頭からビオラとチェロの分奏が素晴らしいものであった。 自信を持った響きがこれから続くこの曲全体を支配していたように思う。 もちろんクラリネットとトロンボーンのソロも素敵であった。 ことに前の席であったのでクラリネットの細かなニュアンスもよく聴き取れてよかった。 うねりもよく表現されていたように思う。 松尾さんの指揮は明快で分かりやすくオケ全体にリズム感を持たせていたようだ。 もちろん切れ味も鋭く、久しぶりに脳ミソの使っていないところを刺激するバルトークっていいなぁ、と感じた演奏だった。 そしてクライマックスでのたたみ掛ける迫力、音離れの良いタイトな響きで会場が魅了された。 これが前プロ、アマチュア... といつもながら思っていまう。

思いもかけず、ここで20分間の休憩ののち古典交響曲。 プログラムにもあるとおり、ぢつは大変な難曲であるらしい。 予習用のCDの解説にも書いてあったが、1拍多かったり少なかったり、またわざと音を間違えていても聴いていると何事もなかったように曲が進んでいくのだそうだ。
この曲を松尾さんはやや速めのテンポで引っ張っていく。 席の関係からか、チェロ(7本)・コントラバス(6本)がよく響き、ややヴァイオリンがやや薄く感じる。 第1・2楽章こそ若干木管楽器と弦楽器のズレのようなものを感じる場面もあったが、後半になるにつれてエンジンがかかってきたのか、そんなことは感じなくなった。 ことに第3楽章でのヴァイオリンは深い響きを出していたし、第4楽章ではヴァイオリンとビオラの掛け合いも見事で、このあたりにくると各パートとも、十分に歌うなどの余裕も感じた。 開放的な響きによるクライマックスに結びついていた。 これに更にリズム感をもっと出して... と要求するのは、バーンスタインの演奏に刷り込まれているからであって、酷なのだろう。 すみません。

休憩はなく、メンバーが増強されてメインの火の鳥。 冒頭から、コントラバス、チェロ、ビオラ、金管... と地の底から湧きあがるような幻想的な響きに圧倒される。 特に今回は間近で聴いていることもあって、弦楽器の各パートともラストのプルトまでしっかり弾いているのが本当によく分かる。 弦の各パートが一枚岩であるため安心感はもうバツグンである。 またオケの各パートがそれぞれの音をよく聴いているのもよく分かった。 王女たちのロンドでのオーボエ、チェロ、クラリネット、ファゴットとメロディが受け渡されていく部分も音が溶け合って違和感がまったくない。 これは本当に素晴らしいことだ。 またカスチェイの凶悪な踊りのように、オケが一丸となる部分でも迫力満点。 そしてクライマックスでは、さらにそれがパワーアップしても余裕すら感じるのだからもう見事としか言いようがない。 今更ながら芦屋交響楽団ってすごいオーケストラなのだ、ということを間近で感じた演奏会であった。 本当に皆さんお疲れさまでした。