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奈良交響楽団 第38回定期演奏会

指揮者の指示によくあわせた演奏戻る


奈良交響楽団 第38回定期演奏会
2000年12月3日(日) 13:30 奈良県文化会館国際ホール

シベリウス:交響詩「春の歌」 作品16
グリーグ:抒情組曲 作品54
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 作品82

(アンコール:シベリウス:「悲しきワルツ」)

指揮:藏野雅彦

朝から断続的に小雨が降りそぼるなかの定期演奏会。 そのせいか前回の定期演奏会より若干お客さんの入りが少ないようだった。 前回は1階席の左隅で低音が響かない席で失敗したので、今回は以前から狙っていた2階席の最前列に陣取った。 結果的にこれは正解だったと思う。 今回は弦楽器が対向配置(管楽器は通常配置)であったこともあって弦楽器の分奏がとてもよく聴き取れた。 次もこのホールではここにしよう。 さて演奏は、藏野さんの配慮の行き届いたとても丁寧で分かりやすい指揮ぶりにオケがよくそれに応え、熱のこもったものになった。
交響詩「春の歌」の冒頭からチェロ・ビオラの響きが充実し、低弦の響きにもリズム感が聴き取れて対向配置の効果がよく出ていたと思う。 初期のシベリウスの力強さを感じた演奏であった。 序曲から気合充分、そんな感じであった。
グリーグの「抒情組曲」も弦楽器の分奏がよく決まっていた演奏になっていたと思う。 とくに第4曲「こびとの行進」のチェロとコントラバスのピチカートに芯が感じられ、ここにヴァイオリンが力強くかぶさってくるあたり、とてもメリハリの効いた演奏となり、抑制された音の中にも強靭さをも感じることができた。 管楽器では第2曲「ノルウェー農民の行進曲」でのクラリネットとオーボエの掛け合いが素敵であった。 またこの曲でもチェロとコントラバスが層を成して曲を支えていたのも印象的であった。
メインのシベリウスの交響曲第5番。 この曲もまたメリハリの効いており、しだいに熱のこもってきた演奏になった。 第1楽章、木管楽器が好演、弦のきざみの中からファゴットの森閑とした響きが印象的であった。 第2楽章は藏野さんの指揮によく合わせた弦楽器群が奮闘。 上から見ていることもあるがピチカートがよく揃っていて気持ちが良い。 このあたりからしだいに熱を帯びてきたようだ。 その熱をもったまま終楽章に突入、チェロ、第2ヴァイオリンが充実した響きで魅了。 このあと朴訥としたホルン、フルート、オーボエも好演であった。 藏野さんの指示が行き届いた対向配置の弦楽器群の分奏にも熱い血が通っているようで一生懸命さが伝わってくるような演奏であった。 クライマックスの間(ま)もバッチリと決まったが、少々拍手が早く出たのが本当に残念であった... これは観客の責任なのだが、もうちょっと余韻を楽しみたい、そのような演奏であった。
アンコールの「悲しきワルツ」も藏野さんによく付いてゆっくりめのテンポ設定で、弦楽器の分奏がとても素晴らしかった仕上がりで、これが一番よかったようにも思った。
全体的に北欧のうら寒い抒情性よりも少々熱っぽい演奏となったようだったが、個人的にはこのほうが分かりやすくて好きである。 藏野さんと奈良交響楽団でまた違う曲を聴いてみたい。