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京都大学交響楽団 第168回定期演奏会

若き情熱溢れる熱演戻る


京都大学交響楽団 第168回定期演奏会
2001年1月9日(火) 17:00 ザ・シンフォニーホール

ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92
J.シュトラウス2世:喜歌劇「こうもり」序曲
R.シュトラウス:「バラの騎士」組曲

指揮:阪哲朗

冷たい霧雨が降り始める生憎の天候ではあったが、非常に熱気にあふれた演奏会であった。 弦楽器は対向配置(管楽器は通常配置)で、コントラバスが舞台後ろに一直線に並ぶムジークフェライン風。 コントラバスが舞台後方で離れているせいもあるが、弦楽器の各パートが実によく訓練されているため、各パートがよく分離して聞こえた。 また阪哲朗さんの明晰な指揮に、よく訓練されたオーケストラが一糸乱れず、音楽をこれでもかこれでもかと繰り出してきて、実にすがすがしい演奏内容であった。

ベートーヴェンの交響曲第7番は若さ漲るいきなりの熱演で驚いた。 各パートの分離が良いため響きが混濁しないのが素晴らしい。 また管楽器を弦楽器が挟む位置関係にあるせいか、オーボエとフルートは明るい音色で会場を魅了していたが、弦の響きの中に管の響きがよくブレンドされていたように思う。 第1楽章はかなり力が入っていたのではないか、燃え立つような感じを受けた。 とくにフィナーレは圧巻だった。 第2楽章も弦楽パートの分離が見事で、特にクライマックス前のピチカートに躍動感があった。 全般的に機能的であり、よく訓練されているという感じ。 第3楽章の推進力も素晴らしかったが、ティムパニがマレットを持ち替え、響きを描き分けていたのも印象に残った。 アタッカで入った第4楽章も弦楽器群が管楽器を挟み込んでの大団円。 コントラバスが舞台奥からゴーゴーと唸っているのが凄まじい。 とにかく若さが充満しているようなベー7だった。 ちょっと若さにあてられた感もある。
「こうもり」序曲は、凝縮されたような音楽だった。 ここでも各弦楽パートがよく纏まっていたように思う。 ただ全体としては、遊びが足りないように感じた。 早いパッセージを力にまかせてたたみ掛けるように演奏していたが、これがなんとなくヤケクソ気味にも聞こえてしまった。 指揮にはぴったりついていたので、これは指揮者のせいだろうか。 ウィットにとませてお洒落にやって欲しかった... というのはクライバーのを聴きすぎなのだろう。
「バラの騎士」は、ホルンの好演が印象的であった。 オケは変幻自在、切り返しも見事に決めて、絢爛たるR.シュトラウスの世界であった。 冒頭のホルンの強奏から目(耳?)を見張った。 R.シュトラウスの世界といってもこれらが決して上っ面な響きにならないのは、コントラバスを舞台後方に並べているからだろうか。 随所に芯のある響き届いてくるため安定感・安心感がある。 またパーカッション軍団も突出することなく要所をこざっぱりと決めているため鳴り物による派手さ安物くささがないのが何より素敵。 ワルツでは阪さんが身体全体を使っての奮闘ぶりで、オケもそれに実によく応えていた。 そしてフィナーレの全奏の高揚感も実に見事で、あっという間に終った、という印象である。

全体的に若さを全面に押し出したような演奏は、やはりメインのR.シュトラウスによく合っていたように思う。 オーケストラが一糸乱れず、音楽をこれでもかこれでもかと繰り出してきて、実にすがすがしい演奏であった。 また、これだけの演奏内容からアンコールを行わなかったのもすがすがしさを増す要因であったように思う。