BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
吹田市交響楽団 特別演奏会 マーラー「復活」

集中力の高い大熱演戻る


吹田市交響楽団 特別演奏会 マーラー「復活」
2001年1月14日(日) 14:00 吹田市民文化会館メイシアター大ホール

マーラー:交響曲第2番 ハ短調 「復活」

栢本淑子(S)、荒田祐子(A)
メイシアター・ザ・グレートコール合唱団
指揮:米山信

吹田市制施行60周年・メイシアター開館15周年記念として、21世紀の幕開けにふさわしいニューイヤーコンサートとして企画されたコンサートである。 メイシアターの舞台ではこれまでに見たこともないほどの椅子が並んでいるのが壮観。 ヴァイオリンの後ろのプルトなどはみ出ていたほどだったが、全員一丸となったこの日のマーラーの「復活」は非常に聴き応えのある演奏であった。 これは何より米山さんの指揮によるところが大きいと思う。 米山さんはイスに腰かけ、ご自身も言われるところの省エネな指揮ぶりではあったが、オケの交通整理が的確であるばかりでなく、少ない動きの中から要所要所のリズムの変化や曲想を的確に指示していた。 派手さはないが実に安定感のある指揮ぶりで、このためオーケストラも各自の持ち場をよく守り、集中力の高い演奏でよく指揮に応えていた。 そして、全奏になっても決して野放図に鳴り響くことはなく、終始響きを整える方向に全員が向かっていたのが素晴らしい。 特に両端楽章の大熱演、第3楽章の巧さが光っていたように思う。 全体として、その集中力の高さの中にもどこかに温かみをも感じさせるようなマーラーの復活になっていた。 ここまで素晴らしいマーラーの復活が聴けるとは(失礼ながら)予想以上であった。 関係者の皆さんご苦労さまでした。

第1楽章の冒頭から集中力の高い演奏が展開された。 ただ冒頭はメンバーも相当に気合が入っていたためか、やや金管楽器の音が多少割れて聞こえたような場面もあったが、以降は抑制された響きになった。 この楽章は、終始熱気にあふれた総力戦となっていたように思う。 特にフルートとティムパニの巧さが際立っていたようだ。 特にティムパニは二人とも思い切りが良く気持ちがいい。 オケの要としてこのポジションは重要だと思う。
第2楽章の前に合唱団が入場。 熱気あふれた楽章のあとだけにちょっとした休息となったろうか。 しかしチューニングをしてから始まったのだが、やや早めのテンポ設定であったと思うが、冒頭から各弦楽器群のアンサンブルの繋がりがよくなかったのが残念。 これは中間部のホルンと弦楽器の繋がりあたりまで尾を引いていたように思う。 しかし木管楽器は変わらず好調であり、この楽章のクライマックスから先の楽章のノリがもどった。
第3楽章の前にソリスト登場。 魚に説教する聖アントニウスの旋律の歌いまわしが見事。 オケに浮揚感があり、弦・管楽器の繋がりも良かった。 かえすがえすも先の楽章はどうしたのだろうか。
アタッカで入った第4楽章は、冒頭客席がざわついていたためちょっとハラハラとした楽章だった。 アルトの荒田さんは落ちついた響きの良い声だったように思うが、2階席の後ろでは音像がやや遠い。 この楽章の後半になってようやく声に伸びが出てきたようだ。 全般的にやや軽く感じた楽章であった。
第5楽章は集中力の高い演奏が繰り広げられた。 合唱もまた誠実な歌唱で気持ちが良かった。 ただソプラノの栢本さんは、しみじみとした雰囲気を出していたようだが、やはり2階席後ろまで声が充分に届かなかった。 オケは特にバンダのホルン、フルートを始めとする木管楽器のアンサンブル巧さが光っていたが、この楽章は総力戦であった。 総力戦と書いたが、米山さんの指揮に忠実にしたがっており、決してがなり立てるようなことがないのが素晴らしい。 この楽章までもアマチュアであるから少々のミスはあったのだが、各パートがしっかりとしているためまったく動じないし、決めどころは確実に押さえているから聴き応えも充分。 フィナーレもそんな熱演のラストスパートであった。 米山さんも立ちあがってオケを奮い立たせるが、オケは最後まで無防備になることはなく集中力の高い演奏でこれに応えていた。 全員一丸となった感動的なマーラーとなり、どこかに暖かさをも感じさせるような大熱演の幕が締めくくられた。