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ならまちギターコンサート・3
−中南米の詩(うた)−

古都奈良の落ちついたギターの響き戻る


ならまちギターコンサート・3 −中南米の詩(うた)−
2001年1月28日(日) 14:00 ならまちセンター市民ホール

第1部

ヴィラ・ロボス:ブラジル民謡組曲(マズルカ・ショーロ、ショティシュ・ショーロ、ワルツ・ショーロ、ガボット・ショーロ)
バリオス:大聖堂
バリオス:森に夢見る

ギター:丸谷 純一

第2部

マトス・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
オスパルト・ファレス:キサス・キサス
ラファエル・エルナンデス:エル・クンパルシータ
即興ルンバ
(アンコール:失念)

ギター:笠 慎一郎、木村 史郎
パーカッション:大西 収

第3部

ヴィラ・ロボス:ギターと小オーケストラのための協奏曲
ピアソラ:ブェノス・アイレスの夏・冬・春

ギター:田中順子
ピアノ:篠原浩美

ならまち振興財団が主催するギターコンサート。 今回始めて行ってみて知ったがこれで3回目の演奏会のようである。 今回は第3部を除いてアマチュアによる演奏のようだが、各部ともそれぞれに充実した演奏内容であった。 古都奈良にアコースティック・ギターの響きがよく似合う、そんなことを感じた演奏会であった。

第1部は丸谷さんの演奏。 昨年の兄弟ジョイント・コンサート以来だが、今回もとても挑戦的な演奏内容だったと思う。 挑戦的、と書くと鋭角的な演奏を想像するのだが、全くの正反対。 内省的なギターの響きにあくまでもこだわった演奏ではないだろうか。 そして選曲もまた一般受けするような派手さ求めたものではなく、響きそのものを味わうようなものばかりであった。 ギターそのものが自分の意思を持ってひとりでに語り出すようなことを意識して演奏している、そんな風に感じたがどうだろうか。 このため一見した派手さはないのだが、高度な表現力が必要であったと思う。 丸谷さんはこれに果敢に挑戦し、若干フレーズの繋がりがぎこちなくなる場面も散見されるのだが、どの曲もそこはかとない輝き・落着き・安らぎを見事な音色の変化として表現していた。 他の二人とはあきらかに違うギターの扱いかたが印象的であった。
第2部はギターデュオ+パーカッションによるとても息のあった演奏であった。 どの曲もお馴染みのラテンの名曲であるが、曲の持つ勢いにまかせるのではなく、上品な仕上げを施されていた。 安定したテクニックとよく息の合った演奏で、流れに身をまかせて聴いているとデュオのソロと伴奏が入れ替ってもわからない。 即興ルンバも、即興とは題されているが、巧みに仕込みを行った演奏。 若干エンディングの部分のみ即興らしい熱が発散されたようだった。 とても安心感の持てる演奏であった。
第3部は、舞台の上にピアノが出てきてのギター協奏曲。 聴いた席の関係からか、ピアノの音にギターが覆われてしまう場面もあって少々残念だったが、とても整理されたギターの響きと安定したテクニックが見事だった。 若干会場がうるさい場面もあって可哀想だったが高い集中力がとぎれることはなかったのも見事。 ただ曲の特質なのか、後半やや単調に聞こえてしまう場面もあったが、全体的に思い切りのよいギターであった。 そして最後のピアソラも力強いギターであった。 やはりテクニックは万全なのだが、どうも音が全て前に前にと出てくるような印象を持った。このためやや強引に会場を引っ張りこむような意気込みをも感じた。 熱演と言えると思うが、響きがあまり内に篭もらないので、ちょっと単調にも感じてしまった。 たしかにこの中では一番のテクニックのある人であったので、ちょっと辛口になってしまったが他意はない。
しかしどの曲もどの演奏も古都奈良のアコースティックな雰囲気によく似合うギターの演奏会であった。 これまで3回も続けてこられている理由がよくわかった。 また今度も応募して来よう。