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大阪フィルハーモニー交響楽団 第345回定期演奏会

若々しく挑戦的なブルックナー戻る


大阪フィルハーモニー交響楽団 第345回定期演奏会
2001年2月9日(金) 19:00 フェスティヴァルホール

ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 ハース版

指揮:朝比奈隆

92歳の朝比奈隆指揮のよるブルックナーの第8番は実に若々しい音楽であった。 男性的な力強さ、素朴さに、何よりも決して老成せず、どこか挑戦的な感じがする音楽の素晴らしさを感じた演奏会であった。 なおブルックナーの交響曲の良い聞き手ではないため多くは語れないが、オケでは金管楽器群の健闘も素晴らしかったけれど、ティムパニが全体をキリリッと締め上げていたのが非常に印象的に残った。 ティムパニがリードしていたようにも思えたほどであった。
第1楽章の冒頭からかなり遅めの出だし。 これはしんどいものになるかな... と思ったのも束の間、速度が徐々にあがってゆき結果的にはちょっと早めだったのではないか。 どこを切っても熱いに血がほとばしるような熱のこもった演奏であった。 ヴィオラ、チェロといった弦楽器の内声部が充実していたし、コントラバスが押し出しの強い音でたたみかけてくる。 音に張りがあってまったく老成した感じを与えない楽章であった。 またこれをよく演出していたのがティムパニ。 小ぶりな叩き方だが実に堅く締まった音でキレが良く、しかも深い響きを伴っていたに吃驚した。 いつも聴いている大阪シンフォニカーの花石さんの熱演してますよ的なものとは全く違うタイプ。 派手さはないが巧さが際立っており、的確さでもって安定感があり、まさしくオケの要。 全体をリードしている感すらあった。 第2楽章もちょっと遅くヴィオラ、チェロが鋭角的に主題を弾くような出だしだったが、金管楽器が全開となって早めの展開になった。 ややトランペットが突出気味かなとも感じたが質実な響きの金管ファンファーレであった。 弦楽器もピチカートが自信に漲っており息づいたもので好感がもてた。 ただ中間部のハープが出てくる前ころだろうか、各楽器の繋がりがよくなかったのかやや散漫に響くようにも感じた場面もあった。 第3楽章の冒頭もやや散漫に始まったような印象を持ったが、全体的には朴訥としたアダージョではなかったろうか。 ちょっとささくれだったようで洗練されていないところが朝比奈流だろうか。 しだいに熱を帯びクライマックスでの迫力は素晴らしかった。 その迫力のまま、ほんの少し休んで第4楽章に入った。 力強く明るい金管ファンファーレ、重みのある弦楽器、そしてティムパニが要所をばっちり決めて大フィルの底力を見せ付けたかのようだった。 おっちゃんの指揮は確かにわかりずらいものであったし、第4楽章あたりまでくると、んんん? 演奏に合わせて指揮棒が動いたのでは... と思えるような場面もあったように思ったが(勘違いかもしれないが)、オケが一丸となったフィナーレであり、常に自信に満ちていたフィナーレであった。 全体を通じて、音楽がまったく老成せず、朴訥とした音の中に張りがあって老いてなお盛ん、どこか挑戦的な感じもしたブルックナーであり、定型に収まらないおっちゃん朝比奈隆の至芸を堪能した演奏会であった。
さすがに演奏終了後はおっちゃんに疲れが見えた。 何度も呼び出すのは忍びないような感じだった。 それでもお馴染みになった一般参賀を1回行ったが、それですっぱりと終えたのは客席の良識だろうか、そんな風にも思えた。 長く演奏活動を続けていってもらいたい。