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トヨタ・コミュニティ・コンサート in 大阪

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トヨタ・コミュニティ・コンサート in 大阪
大阪市民管弦楽団“法村友井バレエ団との共演”
2001年2月18日(日) 14:00 グランキューブ大阪 メインホール

チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」全幕

西田祐子(クララ)、法村圭緒(王子・くるみ割り人形)、法村友井バレエ団
管弦楽:大阪市民管弦楽団、合唱:大阪すみよし少年少女合唱団
音楽監督:三枝成彰

指揮:堤 俊作

トヨタがメセナとして実施しているアマチュア音楽活動支援の一環。 今回は大阪市民管弦楽団が法村友井バレエ団と共演しての「くるみ割り人形」の公演である。 会場になったのはグランキューブ大阪という新しいホール。 国際会議場なのだが、音響はよくまとまっていたと思うが、いかんせん駅から遠いのと、運営が慣れていないこともあって少々疲れた。 開場間際に行ったのだが既に予定よりも45分早く開場していたらしく最上階のF席での鑑賞となった、ぼくはオケ主体の鑑賞なのでそれでも良いのだが、一緒に行った家族にはもっとちょっと間近でバレエを見せてあげたかった。
バレエはこれで2度目の鑑賞となるが、その2度とも「くるみ割り人形」である。 前回は本家マリインスキー劇場の公演をフェスティヴァルホールのやっぱり最上階からの鑑賞だったが、今回のバレエ公演もまったく遜色なく、日本人でもここまでやるのか... と少々驚いた。 そして音楽については、逆にお仕事演奏だったマリインスキー劇場オケよりも大阪市民管弦楽団の方がきっちりとした誠実な演奏を繰り広げたことを何より評価したい。 ぼくが聞いた範囲ではミスもなく、とても好感の持てる演奏であった。
さて公演に先立って三枝成彰さんのお話があった。 が、はっきり言ってこれは余計だった。 何か喋るにせよもうちょっと練習してから喋って欲しい。 だらだらと喋っており、おまけにまた言い間違いもあっては話を聞く気力が失せてしまった。
長い話に続いての演奏だったが、出だしこそやや堅さを感じたがすぐにそれも取れたようだ。 バレエ公演の伴奏なので、CDやLPなどの録音で聴くのと違って、演奏で見栄をはったりせず、誠実に音楽をこなしていくのがとても印象に残った。 第1幕では第2場の「雪の情景」では音楽が力強くなって、そこに見事な合唱も加わり、奥行きのあるとても素晴らしい演奏であった。 休憩を挟んでの第2幕ではお馴染みのメロディが沢山出てくるのだが、ここでも実に誠実な演奏ぶりであったが、ずいぶんとこなれてきたようにも思えた。 耳慣れた曲ではあるがオーケストラのコンサートとは違ってソロ楽器の見せ場を抑えて非常に地味に聞こえるのだが、舞台上のスピンやターンに合わせて振る指揮者の要求に見事に応えていた。 これが非常に印象に残った。 特にロココの踊りでは、見ているぼくも、おうおうおう... と音楽が自在にテンポを揺らして付いていくのに目を見張った。 全曲の白眉たる花のワルツでは、ホルンが弱音で見事に決めてから堤さんが舞台に合わせてちょっと粘りを入れたような指揮となる。 オケもそれによく応え、特にティムパニはマレットを持ち替えてちょっと重い音を演出していたのではないだろうか。 グラン・パ・ド・ドゥからフィナーレにかけて弦楽器が層のように響き、とても熱っぽい音楽となって幕を引いた。
堤さんはバレエに精通しており、踊りにあわせたとても安定感のある指揮だったが、オーケストラもその指揮にぴったりと合わせた演奏で応えて見事だった。 なかなかここまでは出来ないと思う。 音楽が脇役となるいつもとは違うオーケストラ音楽だったが、舞台にあわせる音楽を充分に堪能させてもらった。