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豊中市民管弦楽団 第24回定期演奏会

さわかやで真摯なドビッシュー戻る


豊中市民管弦楽団 第24回定期演奏会
2001年4月15日(日) 14:00 豊中市民会館大ホール

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」作品9
ドビュッシー:夜想曲から「雲」、「祭り」
フランク:交響曲ニ短調

(アンコール:ベルリオーズ:ラコッツィ行進曲)

指揮:谷野里香

始めて聴く豊中市民管弦楽団によるオール・フランス音楽プログラムである。 豊中市民会館大ホール(定員約1,600)に約4割だろうか、ちょっと淋しい会場ではあったが、爽やかで全力投球、それもフランス音楽なので肩に力をこめない難しい曲を演じきった。 谷野さんという指揮者も始めてであったが、振りは小さいが確実な指示を出し、オケをリードしていた。
まず豊中市民会館大ホールはちょっと昔の多目的ホールらしいやけに横幅の広いホールだった。 傾斜の付いた平土間だけだったのでちょうどホール中央にあたる辺りに席を占めた。 ここなら音響的には問題ないだろう。
露払いのベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」は、明快な開始から爽やかだった。 明るい音色のコールアングレに、ポンポンと響いていてくる低弦のピチカートが心地良い。 谷野さんは小さな振りながら的確な指示で曲をリードしていった。 ベルリオーズらしいハチャメチャさを抑えた演奏で、アマオケなので香り立つ... というところまでいかないのがちょっと惜しいが、楽器の響きの美しさに主眼をおいた丁寧な演奏だった。
ドビュッシーの「雲」は、ひそやかな木管アンサンブルに秘めやかなヴァイオリンによる開始で雰囲気十分。 コールアングレの朴訥とした音色に味わいがあり、全曲を通じて光っていた。 アンサンブルも最初は少々ぎこちなく感じたが、次第に熱を帯びてきて、よくこなれてきてドビュッシーはやっぱり生演奏に限るなぁ... と思うほど素敵な演奏であった。 つづく「祭り」は、谷野さんが気合を入れて開始、冒頭から熱気の入ったアンサンブルで応える。 ティムパニが要所を軽く締めていて巧い(この人はグリーン交響楽団で叩いて人ではないかな)。 途中の行進曲風になるところもトランペットや弦楽器のピチカートが息づいていてる。 谷野さんはベルリオーズの時とは違い、振りも大きく雰囲気を大切にしたような指揮ぶり。 オケもこれによく反応し、力を入れるところと抜くところをよく演じ分けていたと思う。 正直このようなドビュッシーが聴けるとは思わなかった。 嬉しい誤算であった。
さて、メインのフランクの交響曲は、聴いている僕とちょっと方向性の違いがあったようだ。 もうちょっと粘って欲しい、そんな感じだった。 冒頭の低音弦による沈痛な響きによる幕開けはコントラバスがはっきりと聞こえてきて心地良い。 しかしこのあと金管も加わって爆発する場面や、主題提示部でのヴァイオリンの切り返しが弱く感じ、低音弦との対比が描けなくて残念だった。 全般的に谷野さんは金管楽器に集中していたようで、ヴァイオリンへの注意が乏しいような気がした。 各楽器群はよくまとまっており、低弦楽器やチューバなどの音の下支えもしっかりしているにもかかわらずどこか滋味が足りないような感じがした。 フランス音楽として響きを大切にしたのだろうが、日頃からザンデルリンクなどのドイツ系のオケによる演奏を聴いているから曲に対する方向性が違ってきたのではないかな、許して欲しい。 第2楽章の冒頭のハープとピチカートも明快である。 コールアングレがまたまた巧い。 3曲とも別の奏者のようだったがそれぞれに味わいが異なっていて面白い。 谷野さんがオーボエも吹かれるせいだろうか。 さて、ここでも全体のアンサンブルとなると、個々の奏者は懸命にがんばっているのは手に取るようにわかるのだが、オケ全体としてのまとまりがなんとなく散漫に聞こえてしまうのが気になった。 第3楽章は冒頭から気合の入ったこれまでにないような大きな音で始まった。 チェロ、コントラバスともよく締まっていい音である。 ここでも真摯な合奏が展開されていった。 やはり途中第2楽章の主題が現れる場面、木管楽器に対して弦楽器が対旋律を浮かび上がらせるような感じにならず少々残念。 どこか粘りがないような感じに聞こえるのは、この曲をフランス音楽として意識しているオケと、ドイツ音楽にあこがれていたフランクの音楽として聴こうとしてしている僕とのズレからだろうか、そんなことをボケーと考えていたら、エンディングも潔くサッと終えたので少々びっくり。 もうちょっと見栄を切ってもよかったのではないかな、というのが僕の感想。
アンコールは、これまでの抑制された感じを捨て去ったラコッツィ行進曲。 やはりこれまでフランス音楽を演奏することに随分と気をつかっていたのだなぁ、そんな感じをもった。
とにかく、ドビュッシーが爽やかで全力投球、しかもフランス音楽らしく肩に力をこめずに難しい曲を演じきっていた。 次回定期のドイツ音楽のブラ4はどのように料理するのだろうか、ちょっと楽しみである。