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近畿フィルハーモニー管弦楽団 第16回定期演奏会

常に全力を出してぶつかってくる熱演戻る


近畿フィルハーモニー管弦楽団 第16回定期演奏会
2001年6月17日(日) 14:00 いずみホール

シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26
ハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」(*)
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43

(アンコール:シベリウス:組曲「カレリア」よりアラ・マルチア)

指揮:岡田良機、津川誠(*)

深くハリのある音楽がとめどなく出てくるようで、つねに全力でぶつかってくるような演奏会であった。 シベリウスの交響曲ではもう少し冷んやりとした雰囲気が欲しいような気もしたが、熱い情熱をたぎらせた熱演が展開された。 残念だったのが、会場には20分前に到着したのだが、左サイドバルコニーの2列目であり、舞台を見難いのと直接音が下から湧き上がってくる感覚にちょっと耐えらなかった。 いずみホールのバルコニーで聴くのは始めてだったのだが、後半は1階席後方に移動して聴いた。 やはりこちらのほうが落ち着いて聴ける。 今度はもっちょっと早く来て良い席で聴きたいオケであった。

フィンランディアは、冒頭から深く充実した響きに目を見張った。 弦楽器・金管楽器ともに鋼のようにハリのある響きが内包され、特に再現部の前の金管ファンファーレがすごい力の入った演奏となった。 全体としてもよく纏まっていて素晴らしかった。 冒頭からこんなに濃い音楽が飛び出してきたのに少々吃驚した。 演奏会での最初の1曲目は腕ならしで無難な演奏をする場合もあるのが、このオケは最初から元気いっぱいで積極的な演奏であった。 なお要所を的確に締めていたティムパニの田中さんは奈良フィルでも叩いていた人だろう。 さすがに覇気のある叩きっぷりでこの曲の芯を担っていた。
ハチャトゥリアンの仮面舞踏会は、団内指揮者の津川さんの指揮によるものだが、団内指揮といってもあなどれない。 常に的確にオケをコントロールしていたのが印象的だった。 しかし閉口したのはホールの響き。 バルコニー席では直接音が下から湧きあがってくるようで、ことにギャロップでは打楽器群の音が下からまるで突き上げるかのようで騒々しい。 もとから曲がそんなふうなのだが居心地が悪かった。 ということで席の関係により響きに含みが乏しく感じられたのが残念であった。 簡単にふりかえると、ワルツは熱演だったがもうちょっと妖艶さが欲しかったし、ノクターンではホルンの斉奏が決まっていたがヴァイオリン・ソロがいかにも線が細く感じられてしまったのが残念。 マズルカも強弱を巧くつけた積極的な演奏だったが少々騒々しく感じてしまった。 ロマンスではオーボエの端正なソロとトランペット・ソロの甘い音が朗々と鳴っていたのが特に印象的で、そのせいか弦楽器にもやや甘味がのって聞こえ、この楽章が一番聴き応えがあったように思う。 ギャロップは上記でも述べたように少々抑制が欲しいほどの元気さが全開で打楽器の音に突き上げられたのに少々閉口した。 ただ岡田さんの指揮ではもう少し低弦も響いてきていたため、このあたりが指揮者としての年季の差であろうか。
そんな響きに閉口し、1階席に移動して聴いたシベリウスの交響曲第2番。 この演奏もやはり全力でぶつかったような熱演・力演であった。 低音弦が太く響きティムパニ、チューバの的確に響きに支えられて全員が力強く演じきっていたのが印象的であった。 第1楽章は深い響きによる開始で、ホルンの斉奏ではフレーズの終わりのテンポをちょっと落としていたのが印象に残った。 席を替わったこともあり弦楽器にも艶が感じられる。 少々熱っぽく積極的な演奏になるな、と冒頭から思ったがそれは当たっていた。 再現部の前の金管ファンファーレも力が入っていて見事な響きを醸し出していた。 第2楽章の前、岡田さんは長い間合いをとっていた。 ちょっと熱気を孕んだ先の演奏を冷ましているかのようだった。 そして密やかにティムパニの連打、チェロ、コントラバスのピチカートと続いてファゴットも憂いを帯びた音で主題が提示される。 熱が冷めたかとな... と思ったが、金管ファンファーレの一糸乱れない熱演が展開されてまたしだいに熱気が帯びてきた。 最後は弦楽器にも熱が帯びてきてのフィナーレとなった。 そしてこの熱気は第3楽章にも持ち越し、弦楽器の熱く押しだしの強い響きのによる開始となる。 オーボエの旋律が美しい。 そしてこのオーボエのフレーズがもどってきたときにはチェロがそっと寄り添うような繊細さも印象的に残ったが、この後のチェロ、コントラバスの響きが芯になった熱いハートの音楽が展開されていった。 第4楽章は冒頭のトロンボーン(?)のソロが乱れたのがちょっと惜しかったが感動的なクライマックスとなって盛り上げられていた。 スケールの大きな第1主題から積極的に曲を進めていったのでやや粘りには欠けていたようだが、チェロ、コントラバスが芯となり、ピチカートも実によく揃っていたため駆け足に聞こえることはなく、堂々として腰が据わっている。 欲を言えばもう少々タメが欲しいような気がしたが、アマオケにそこまで要求するのがちょっと酷かもしれない。 オケ全員が一丸となって全力でぶつかるような熱演が展開されてのエンディングとなった。
アンコールはカレリア組曲から行進曲調の一番有名な部分であったが、これまでの演奏の開放感からかやや速めの演奏だったようだ。 ちょっと弦楽器が上滑り気味にも聞えたが、抑えた響きの金管ファンファーレは見事だった。 本プログラムでも、常に全力を出し切るのではなく、このようにちょっと気軽な面もあってもよかったかな... と思いながら聞いていた。 とにかく全力でぶつかってくる演奏は聴き応えがあるが少々聴き疲れがしたのも事実。 オケの技量的には全く問題ないと思うので、次回はいずみホールの響きの美しさも堪能させてくれるような演奏も期待したい。