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芦屋交響楽団 第55回定期演奏会

緻密で力強い芦響らしい演奏会戻る


芦屋交響楽団 第55回定期演奏会
2001年9月9日(日) 16:00 ザ・シンフォニーホール

ウェーベルン:夏風の中で
ベルク:管弦楽のための3章 作品6
ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」

(アンコール:ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」の終結部の再演)

指揮:本名徹次

20世紀初頭の音楽ばかり集めたいかにも芦屋交響楽団らしい今回の定期演奏会、おまけに指揮が敬愛する本名徹次さんとあっては聞き逃すことはできない。 正直これまでまったく聴いたことのない曲ばかりのプログラムではあっても日頃使わない頭と感性が刺激されるのなら・・・と興味を持ってでかけた。 現代音楽イコール実験音楽イコールわけがわからなくて面白くないというイメージもちらりとよぎったが、いずれも初期の作品ということもあったが、耳触りがよく、珍しい響きも興味をもって聴くことができた。 それもこれも的確な指示を出していた本名さんと、このような曲になると凄まじいほどの集中力をみせる芦屋交響楽団の演奏によるところが大であったと思う。 プロのオーケストラでは(商業的に)やれないこのようなプログラムを質の高い演奏で紹介してくれた芦屋交響楽団の皆さんに心からの拍手を送らせてもらった。

何ぶんはじめて聴く曲ばかりなので感想など書けるはずもないのだが、簡単にふりかえってみたい。 まず最初のウェーベルンの「夏風の中で」は、小鳥のさえずりや風の音など、夏の風景が各楽器で巧みに演奏されたとても爽やかな音楽。 ディーリアスやR.V.ウィリアムスなどの英国音楽を聴いているような気分になった。 冒頭の音楽が終結部でくりかえされて静かに終わるなど、とても親しみ易い曲であった。 続くベルクの管弦楽のための3章は、高い集中力と技量を要求する難曲であったが、さすが芦響の皆さんは巧かった。 個人の巧さもさることながら、各楽器群としてきちんと纏まって演じきっているのがすごい(としかいいようがない)。 しかし注目はなんといっても第3曲のハンマー(大きな木槌)の活躍だろう。 瞬時楽譜のどの部分をやっているかが分らなくなたのか、メンバーに確認しての熱演であった。 終演後まっさきに本名さんから指名され、会場からも盛んに拍手が送られていた。 お疲れさま。 ツェムリンスキーの人魚姫はマーラーの先を行った先のベルクの曲に比べると、マーラーを甘くさせたような感じだろうか。 これも海底の様子や嵐の風景、人魚姫の音楽など標題音楽的で聴きやすい曲であった。 各ソロ楽器がそれぞれのテーマ(?)を巧く演奏していたが、やはりヴァイオリンソロの甘くせつない響きが素晴らしく場内を魅了していた。 なんとなくマーラー版のシェエラザードってこんな風になるのかなぁ・・と思った。
次回の芦響の定期は、以前マーラーの9番で熱演を聴かせてくれた黒岩さんと未完成/運命という名曲プログラム。 この「らしくない」プログラムもまた聴きものだろう。