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大阪シンフォニカー交響楽団 第20回フェスティバル名曲コンサート

本年度最後を飾るのにふさわしい大熱演戻る


大阪シンフォニカー交響楽団 第20回フェスティバル名曲コンサート
2001年10月14日(日) 18:00 フェスティバルホール

モーツァルト:歌劇「劇場支配人」序曲
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」
ムソルグスキー/ラヴェル編:組曲「展覧会の絵」

Vn:森下幸路

指揮:トーマス・ザンデルリンク

先日の定期演奏会でのザンデルリンクによるマーラー「大地の歌」はまるで感銘を覚えなかっただけに心配していたけれど、「展覧会の絵」での集中力の高い演奏に納得したし感激もした演奏会だった。 あのマーラーは練習不足だったのだろうか。 まず先のマーラーの時とは違ってオケ全体の連携が緊密かつ自由度が高いことがあげられる。 オケが全開であってもパートやパート間に余裕が感じられる。 マーラーの時は各パートは頑張っているが合わせていくのがやっと、といった感じだったように思う。 そして特に今回の「展覧会の絵」では、弦楽器群にタメやコクがあったのも印象的だった。 コンマスの交代にともなうとは一概には言えないと思うし、ホールも違うのだが、響きの厚みはまるで違っているように感じた。 とにかく今年度のフェスティバル名曲コンサートを締めくくるのに相応しく、また大阪シンフォニカーらしい大熱演だった。 なおこれに先立って演奏された序曲は、しっかりと纏められた印象。 やや弾力のあるリズムで楽しませてくれたがもう少し遊びが欲しい・・・とも思ったけれどザンデルリンクに望んではいけない。 また谷本さんの急病のために代役となったコンマス森下さんによるヴァイオリン協奏曲は、スコアを見ながらの代演ということもあったが、丁寧な演奏で、透明感のあふれた可憐なソロであった。 前後の曲ではコンマスも務める多忙ぶりでは多くを望むのは無理だが、もしスコアを見ずに弾くほど集中して練習されていたのなら、強弱の変化やふっとため息をつくような部分、また力を入れる部分など更に素晴らしく聴けるように思った。 オケも先の序曲と同じく丁寧につけているといった感じで、全体としてよく纏めていた、といったところかな。 とにかく終われば「展覧会の絵」の熱演に集約されてしまった。

冒頭の「プロムナード」は、明快な音の臼田さんのソロに厳かな金管ファンファーレ、厚みの感じられる弦合奏と上々の滑りだし。 「小人」での引き締まった弦の厚みはロシアの風土をも感じさせる充実感のあるもの。 ザンデルリンクはストラヴィンスキーでもそうだったがロシアを意識させる、この曲もラベルよりもムソルグスキーの色濃く出た演奏に終始していた。 ホルンの優しくふくよかな響きによる「プロムナード」、「古城」では哀調に満ちた響きのサキソフォンが何といっても素晴らしかったが、これを囲むファゴットのほの暗さ、弦楽器の響きの弾力をもった深さが曲を充実させたものにしておりラストのサキソフォンに響きに集約された素晴らしい楽章だった。 「ムロムナード」は力強いトランペットに弦楽器も強く応えていた。 「テュイルリー」ではクラリネットとフルートなど木管楽器の合奏による口論の場面が明快で決まっていた。 巧い。 一転して「ブイドロ」での重厚さと柔軟さがよくマッチした合奏が素晴らしく、ぐわぁっと盛り上げる腰の据わった音楽であった。 チューバも熱演、やや惜しい面もあったが、かえってそれが一生懸命さを感じさせるものであった。 「卵の殻をつけた雛鳥のバレエ」でのリズム感の良さは若いシンフォニカーの得意とするところでもあるがザンデルリンクの小刻みに震えるあの棒からよくも出てくるものだと感心。 「二人のユダヤ人」の分厚いがキレの良い弦の響きと気弱で不安げなトランペットの対比に加え裏で吹くホルンも巧い。 「リモージュ市場」でもホルンを始めとしてリズム感が良く、ヴァイオリンも滑るようで安心して聴けた。 「カタコンブ」はトロンボーン、ホルン、チューバの充実した合奏にトランペットの哀調のこもったソロが加わる。 芯を感じさせる弦楽器で墓場に踏み込んだ感じがよく出ていた。 「バーバ・ヤーガの小屋」は堅い響きのティムパニに引き締まったブラスが素晴らしい。 荒っぽいところがよく締まっているのに加え柔らかで冷淡な中間部も緊張感が全く途切れない。 腰の据わった中・低弦楽器が音楽を支えている。 そしてラストの「キエフの大門」は、まず晴れやかで厳かなファンファーレ、じっくりを煮込まれた料理のようで素晴らしい。 ティムパニの花石さんの確信に満ちた打音、木管楽器による優しい中間部と続き、力強くかつ絢爛たるクライマックスに昇りつめる力強さ・響きの厚さに艶も感じれらる大熱演となって終演。 ブラボーも飛びだし、オケの中も熱演後の「おつかれさま」をかけあう姿で少々ざわつき気味。 久しぶりにオケが全開であってもパートやパート間に余裕が感じられるシンフォニカーの充実した演奏を聴いたような気がする。 また弦楽器群にタメやコクがあったのも印象的だった。 コンマスの交代にともなうとは一概には言えないと思うし、ホールも違うけれど、この響きの厚みは前回とはまるで違っていた。 今年度のフェスティバル名曲コンサートを締めくくるのに相応しく、また大阪シンフォニカーらしい大熱演であった。