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大阪シンフォニカー交響楽団 第77回定期演奏会

熱演・力演でしたが疲れました戻る


大阪シンフォニカー交響楽団 第77回定期演奏会
2001年11月12日(月) 19:00 ザ・シンフォニーホール

ウェーバー:歌劇「オイリアンテ」 J.291 序曲
R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 ニ長調 AV.144
シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 op.39

Ob:古部賢一

指揮:小泉和裕

小泉和裕さんの指揮のもと、さぞかし熱い演奏になると思っていたが、その期待は裏切られなかったものの、音楽の深み・奥行きなどがあまり感じられない聴き疲れしたシベリウスであった。 オケでは、特に木管のアンサンブルは素敵ではあったが、ちょっと余裕のない高音弦とそれをかき消すような金管ファンファーレ、それにティムパニの轟音でもって、いわゆるシンフォニカーらしい熱演で寄り切った・・・というところだろうか。 ブラボーもかかり、小泉さんもとても疲れた様子でカーテンコールに応えていらしたけれど、終わってみればなんだかなぁ、という気持ちを持って会場を後にした。

冒頭のオイリアンテ序曲は力の入った演奏であった。 冒頭こそやや突っ込んだような感じで始まったが、徐々に厚みや力強さが増してきた。 チェロとコントラバスそれにビオラが芯になって曲を支えているのが好ましい。 続く叙情的な場面では、一転して歩みを遅くして歌うように対比させていた。 全体的に重い音で統一されている。 ラルゴの幽霊の場面からフーガにかけても重い音でしっかりとしてした演奏だったが、なんとなくこなれない堅さようなものが感じられた。 フィナーレは低音弦が唸りをあげての力演。 ここでももう少し粘りや艶のようなものが欲しいように感じたが、コンサートの露払いとしてはいきなりの熱い演奏でちょっと吃驚した。
さて、R.シュトラウスのオーボエ協奏曲は始めて聴く曲でもあってか、なんとなく眠くなってしまった。 メリハリに欠けるような感じだった。 古部さんのソロはまろやかな響きで爽やかな伸びが感じられたが、その分ソロとしての押しの強さを伴う場面では力みなのかリードの調子が良くないのか(後半はときどき確認しておられた)感受性のようなものを感じさせず黙々とこなしているように聞こえた。 またオケにいたっても、淡々とこなしている風であり、これといってソロと会話して聴かせる場面も少なく、第3楽章あたりでは巧いのだろうけどなんとなく飽きてしまった気分になっていた。 ようやくクライマックスに至って会話らしい雰囲気も感じさせてくれる場面もあったが、時すでに遅し・・・といった感じ。
メインのシベリウスの交響曲第1番。 個人的には豪快な演奏が好きである。 打楽器をポイントにして聴いていたりもして、今日の演奏も基本的にはこのような演奏だったのだが、どうももうひとつ楽しめなかった。 かえって木管楽器のアンサンブルの妙のようなものが印象に残った演奏であった。 楽しめなかった理由は、一言で言えば余裕の無さだろうか。 曲の奥行きや細かなニュアンスみたいなものを轟音で塗りたくってしまったようにも思えた。 豪快に鳴らせばシンフォニカーらしい・・・確かにそうなのだが、これだけではもう満足しないのである。
第1楽章の冒頭、クラリネットの深い響きはさすがに村瀬さんの真骨頂だろう、続く第2ヴァイオリンの透明感ある響きまでよかったが、第1ヴァイオリンの響きが少し小さくかつ少々金属的にも聞こえたのが残念だった。 盛りあがったのち、フルートから始まってオーボエ、クラリネット、ファゴットと続くアンサンブルがまた絶妙でここからクライマックスにむけて音量が一段と増して豪快に響きわたった。 シンフォニカーらしくリズム感もよく小泉さんに的確に反応していた。 第2楽章は非常にゆったりと始まった。しかしそれもこらえ切れないように力が漲って盛りあがっていった。 途中ファゴットが清涼剤のように響いたがまた熱くなった。 オケのアンサンブル自体はよく締まっていて一糸乱れない響きであるが、裏をかえせば深みやコクに欠けるとも言えるわけで、とくに後半は我慢しきれないように盛りあがっているようにも感じた。 ちょっと大造りな印象を持ってしまった。 第3楽章は一転して早いピチカートからティムパニの連打。 金管ファンファーレも細かく区切るように駆け足で進んでいった。 響きにタメがなく急いで先に先にと進んでいるような印象である。 トリオの部分はまたぐっとスピードを落として対比させているようだが、オケの熱気が冷めていないためか、単なる緩急の変化に止まっているかのよう。 もうちょっと細かなニュアンスの変化や陰りのようなものが欲しかった。 終楽章は怒涛のように音が出てくる。 終始タイトなティムパニを聴かせてくれた花石さんもより一層力がこもっていたようだ。 全体的に音切れがよく、ポンポンと音楽は進んでゆくのだが、ストレートに音が出ているぶんだけ音に深みが欠けているようでもある。 ことに高音弦の響きに深みが乏しく感じられた。 しかしフィナーレのアンダンテの部分ではずいぶんと力が漲って厚みも増してきたが、やはり金管ファンファーレが少々野放図に鳴って、地響きのような低弦の響きとも呼応してエンディングを力強く形成していった。 プログラムには高揚感といった言葉が書いてるが、浮き上がるような感じではない。 何度も書くようにストレートに音が前にどんどんと飛んでくるような感じで、大変な力の入った演奏、また大のつくほどの熱演が展開されて幕となった。 熱演であったので当然のごとくブラボーもかかっていたのだが、なんとなく釈然とないものを感じてしまった。 けっして手抜きでも、下手でもないのだが、大音量で盛りあがればいいわけではない、なんだか疲れた・・・ そんなことを思いながら会場を後にした。