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大阪シンフォニカー 第15回ひまわりコンサート

自信に満ちた牧村さんの音楽戻る


大阪シンフォニカー 第15回ひまわりコンサート
2001年12月3日(月) 19:00 いずみホール

ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲

安本佳苗(MS):モーツァルト/歌劇「皇帝ティートの慈悲」から「わたしは行くが、君が平和で」
中谷恭子(S):グノー/歌劇「ロメオとジュリエット」から「わたしは夢に生きたい」
中谷恭子(S):ドニゼッティ/歌劇「ランメルモールのルチア」から「あたりは沈黙に閉ざされ」
津波洋子(A):ビゼー/歌劇「カルメン」から「セギディーリャ」
津波洋子(A):サン=サーンス/歌劇「サムソンとダリラ」から「あなたの声に心は開く」
末廣孝子(MS):ヴェルディ/歌劇「アイーダ」から「勝ちて帰れ」
加藤玲子(S):ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」から「わたしとあなたが一緒になれたら」
加藤玲子(S):ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」から「やさしい姿の若者が」

金澤佳代子(P)[特別出演]:モーツァルト/ピアノ協奏曲第26番ニ長調K.537「戴冠式」

指揮:牧村邦彦

最近、牧村さんの指揮にもちょっとご無沙汰しているが、昨年は大阪文化祭賞本賞受賞し、充実した音楽をきかせてくれた。 特に冒頭の「魔弾の射手」序曲は、シンフォニカーの特徴を見事に生かした演奏だった。 序奏のホルンの柔らかな響きも素晴らしかったが、幽霊の出てくる場面の前後のオケの統率力が何より見事。 最初からこんなに気合の入った音楽をきかせてくれて大丈夫とさえ思わせる充実した内容であった。 しかし、反面この気合の入りかたがマイナス方向に向いたのはモーツァルトの戴冠式ではないだろうか。 低弦をしっかりと響かせた、充実した響きではあったが、モーツァルトらしい洒脱な表現よりも古典派らしい重さが加わってちょっと重い感じであった。 ピアノの金澤さんもまた、技巧的には素晴らしく、響きを持たせた演奏内容で、オケとよくマッチした演奏をきかせてくれたが、ちょっと疲れてしまった。 戴冠式は、より軽やかに内容的には空疎な感じに演奏されるのが個人的な好みである。 そんな戴冠式に内容を持たせようと深さを演出したような演奏になっていたように思った。
前後するが、それぞれの歌手の方について簡単に触れておくと、トップバッターの安本さんはやや緊張しているのか歌が多少固かったようだ。 きちんと歌っているのだがやや教科書的に感じてしまう。 また終始クラリネットソロが活躍する曲だったけれど、これがまた大きな音で突出していたこともあって、対抗する歌の声量に不安を感じさせる結果にもなっていたのではないか。 これに続く中谷さんは逆にオケに対抗しうる圧倒的な声量と艶のある独特な声での大熱演となった。 力が入って少々キツく感じる面もあったが、存在感といったものは一番あったのではないか。 演奏後の拍手も一番多く熱があったと思った。 アルトの津波さんのカルメンだが、知っている歌だけに表現にいまいち奥行きが感じらず、なんか損したかな、という感じ。 続くサムソンとダリタからの歌ではちょっと甘い声質が魅力的なアルトあっただけに惜しまれた。 休憩前の末廣さんの歌は、冒頭にオケが異様に大きな音で始まっただけに、これに対抗する声量が感じられなくなってちょっと損をしたみたい。 歌の後半の表現力はよかっただけにオケが抑えるべきだったのか、そもそも選曲がちょっとよくなかったのか。 休憩を挟んだ加藤さん、かわいらしい感じの若い女性で歌うまえに会場からも仕草を見て笑みが漏れる。 しかし歌が始まると堂々としていて惹きつける。 表現力はまだまだこれからなのだが、自分によくマッチした選曲をしていたと思う。 期待させるような歌だった。 いちばんひまわりコンサートらしく、これからという人だった。
大阪シンフォニカーは好調で、管楽器全般が巧いのはおいといても弦楽器、とくにヴァイオリン・パートが充実していたように思う。 多少気合が入りすぎ…とも感じたけれど、おざなりの伴奏に止まらない演奏であった。