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大阪センチュリー交響楽団 第76回定期演奏会

打点が明確なきっちりした演奏戻る


大阪センチュリー交響楽団 第76回定期演奏会
2002年4月7日(日) 15:00 ザ・シンフォニーホール

コダーイ: ガランタ舞曲
チャイコフスキー: ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調 作品23
フランク: 交響曲 ニ短調

ピアノ: 横山幸雄

指揮: 北原幸男

北原さんは京都大学交響楽団を指揮されていたのを聴いたことがあるので2度目となる。 結果から言って、非常に緻密に音楽を構成して鳴らす、という印象はそのままだった。 それによって、コダーイはオケの集中力も高さもあり、密度の高い音楽として、とても面白く聴けたが、フランクでは響きに厚みが感じられず、音楽の骨格を聴いているような気分になった。 チャイコフスキーのピアノ協奏曲も所謂名曲らしく手堅く纏めた感じだろうか。 しかしオケは常に高いレベルのアンサンブルを聴かせており、これはもう好き嫌いの世界だと思う。 とにかく、一番拍手の少なかったコダーイが僕には一番面白かった。

オケは対抗配置、ただ第1ヴァイオリンが11名いるのに、第2ヴァイオリンは8名とちょっと変則的な人数。 もっとも席がLBで、ステージを左上から見下ろすような位置なので、これから書く感想についても音響的な面では違った感想を持たれた人もいると思うが許して欲しい。 さて、コダーイは澄んだチェロと力強いホルン(ドルソンさん)による開始から、集中力の高さで一気に聴かせた。 弦楽器の透明感も高く、管楽器もくっきりと浮かび上り、純度の高い音楽だった。 3曲目の舞曲でのずんとくるようなティムパニの音と堅く引き締まったトライアングルの音に代表されるように、じつによくコントロールされた音楽となっていたと思う。 舞曲としては少々堅さも感じた面もあったが、北原さんの打点の明快な音楽が一番よく似合っていた曲だったと思う。 チャイコフスキーのピアノ協奏曲は、良くも悪くも名曲の演奏といった感じだった。 悪くはないが、これといって耳を奪われるような感じには思えなかった。 横山さんのピアノは技巧的には全く問題ないがちょっと小さく纏めていた感じで勢いには流されず淡々と弾いているような印象。 これに対する北原さんの指揮するオケもよく引き締まった響きがじつに明快な演奏であった。 そしてピアノとオケはきっちりと合っているのだが、しかし寄り添うような関係には見えず、穏当に互いに淡々とこなしている、そんな感じに思えた。 特に終楽章では、オケは硬い音でたたみ掛けるような演奏だが、ピアノは終始淡々と音をかな出ている。 ともに感情移入とは別の世界で名曲演奏会といった感じ。 技巧的には何の問題のない演奏だったからこそ逆にそう思えたのかもしれない。 休憩を挟んでフランクの交響曲ニ短調。 これまでの演奏会から予想していたとおり、きっちりした演奏で、オルガン奏者が一曲入魂で作曲した響きの骨格を聴くような感じだった。 第1楽章はスッキリした分離の良い音で始まり、ぐっと盛りあがる場面も打点が非常に明快。 パッションの強い演奏だと思ったが、金管コラール風の場面もスマートで粘らない。 つねにインテンポで音をつぎつぎに繰り出してくるような印象。 オケが巧いだけに余計に曖昧さがなくすっーと流れていくように思えた。 第2楽章も明快なピチカートだし、ハープの音がよく目だっていた(終演後にコールアングレ奏者の次ぎに指名されていた)。 コールアングレは優美な響きで会場を魅了していた。 淡々と音楽が流れてゆき、主題がコールアングレに戻りホルンに移り、高音弦の速いパッセージがさわさわして綺麗。 木管と弦楽器が色々な音型をきっちりと決めていくあたり巧いのだが、これが何故か感動に繋がらない。 なんとなくデジタル録音を聴いているような気分でもあった。 終楽章、弦楽器の響きに厚みが増したようだが、金管がストレートでじつにスマート(聞いている場所のせいか)。 再現部でも盛りあがりも淡々と持りあがっていったよう。 きわめつけはクライマックで、北原さんが余裕の笑みを浮かべながら、大きく手を振って指揮している。 まるで汗をかく指揮は落第であるかのようなにこやかさ。 ここでも暴走せず、きっちりと盛り上げて、すぅっと終わった。
盛大な拍手にブラボーの声も聞こえたし、また先のチャイコフスキーでもブラボーはあった。 たしかにともに巧い演奏だったとは思うけれど、これらは個人的には感動に結びつかなかった。 逆に、拍手の少なかったコダーイのほうが、北原さんの特質であるインテンポによる曲の運びや、打点の明快さ、オケ・コントロールの巧みさなどがよく出ていて、とても聴き応えのある演奏になっていたと感じた。