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枚方フィルハーモニー管弦楽団 第55回定期演奏会

恣意的なところのない好感の持てる演奏戻る


枚方フィルハーモニー管弦楽団 第55回定期演奏会
2002年5月12日(日) 14:00 枚方市民会館大ホール

シベリウス: 交響詩「フィンランディア」(*)
ハイドン: 交響曲第101番 ニ長調「時計」(*)
チャイコフスキー: 交響曲第1番 ハ短調「冬の日の幻想」作品13

指揮:寺坂隆夫(*)、生島 靖

週末に何か演奏会はないかとインターネットで探していたら、枚方フィルがハイドンの「時計」とチャイコフスキーの「冬の日の幻想」を演るのを見つけた。 これは面白そうだと思ってさっそく行ってみることにした。 そして事前にこのオケのホームページを見てみたところ、団員減による解散の危機を幾度となく乗りきって活動を続けられているオケでもあるようだ。 そんなことにも興味を持って出かけたが、会場は8割の入りで大盛況。 そしてお客さんには家族連れや友人連れが多く、とても和気あいあいとした雰囲気に包まれていた。 音楽を楽しみに来られているのがひしひしと伝わってくるようなとても感じの良い演奏会だった。

演奏のほうだが、20年以上もこのオケで指導をされている団内指揮者のもと(ともに高校と中学の音楽の先生とのこと)、恣意的なところがまったくなくオケの自主性を優先させた演奏に好感が持てるものだった。 もうちょっと決めどころをクサく纏めてみても面白いかなぁ… とも思えたほど、ここぞというところが意外にすぅ〜と流れていったとき、もうちょっと楽しませてよぉ、と思えたほどの誠実な演奏だった。 そしてアンコールとなったカレリア組曲からの行進曲では、さわやかな響きの弦楽器と終始まろやかな響きを出していた金管軍団によって、ちょうどいまの若葉の季節にとてもよくマッチした演奏になっていたが、この演奏終了後にちょっと興奮気味に立ちあがったトランペット奏者の方の疲労困ぱいした様子の中にも自信と満足を入り混じらせた表情をかいま見ることができ、このオケの誠実さがびんびんと伝わってきた。 とにかくお疲れさまでした。 清々しい演奏会を楽しませていただきました。 あと以下簡単に演奏内容について感じたところを述べてみたい。

冒頭のフィンランデイアは、チューバの芯のある金管の響きと粘りのあるティムパニに支えられて締まった響きによる開始。 ぐっとひきつけられる。 全般的に力感のある演奏だったと思うが、暴走せずにきちんと持ち場を護っているような感じがした。 しかし弦楽器は逆にしっとりとした感じで金管楽器に応えていて、特にフィナーレ前はよく練れた感じの合奏になっていた。 とても充実した演奏だったと思う。
ハイドンは、真面目さがちょっとあだになった部分も散見された演奏だったように思えた。 もうちょっと快活に…とはちょっと欲張りなのかもしれないけれど。 第1楽章の序奏はやや明るめだったろうか、プレストの主題ともうちょっと対比があってもよかったかなと思えた。 前半はちょっと手探りのような感じもしたけど、展開部の後半あたりからこなれてきたみたい。 フィナーレは陽気に終わってよかった。 第2楽章は有名な時計のメロディが爽やかなヴァイオリンとファゴットが優美で愛らしくて素晴らしかった。 適度にメリハリもあって曲が進んでいったが、ただ後半ちょっと息切れしたのか、集中力に欠けた部分があったようにも感じた。 第3楽章は中低弦が頑張って堂々としたメヌエットとなり聴き応えのある音楽だった。 フルートも美しく、後半は音楽がより伸びやかになっていた。 第4楽章は丁寧に確かめるように始まり、弦の分奏もよくきまっていた。 ただ生真面目な演奏になってしまったようで、もうちょっと快活さが欲しい気がした演奏だった。
チャイコフスキーは恣意的なところがなくオケの自主性を優先させたような演奏だった。 とても誠実な演奏だったので、日頃は好きではないチャイコフスキーらしいクサさも逆に欲しくなるほどだった。 第1楽章の冒頭の弦楽器によるさざ波(トレモロ)を背景にしたフルートのソロがきれい。 低弦もよく締まった演奏で徐々に盛りあがってきたが、せめぎあうような場面やエネルギッシュに盛りあがる部分が朴訥とした感じ。 ふわりと盛りあがってすぅーと退いていくような感じだろうか。 どこかのほほんとした感じにも聞こえた。 第2楽章は、しっとりとした弦楽アンサンブルから柔らかいフルート、オーボエ、ファゴットしみじみと第1主題を奏でるあたりが最高だった。 また第2主題のヴィオラも爽やかで、このあとの展開部をしばし聞き入った。 そしてコーダのホルンはゆたかに横に広がったような響きで朗々としていたけど、ここでも強い自己主張をしない感じに聞こえた。 第3楽章は力の入った開始から綺麗な弦の響きによって主題が展開されていった。 ゆったりとのびやかなワルツとなって、よく歌っていたようだ。 コーダのティムパニの響きとリズムの締まり具合も適度で、響きを十分にもたせたエンディングに結びつけられた。 終楽章はファゴットの哀愁をたたえた響きから深さとしっとり感を持ち、じわりと盛りあがっていった感じ。 アレグロになって高揚した場面では、ちょっとホルンの音が割れ気味に響いていたが、逆にこれが力を感じさせてくれたし、大太鼓もよく締まった音で高揚感を充分に高めていた。 あとこの楽章ではヴィオラも奮闘していたのが印象的だった。 コーダの前にはちょっとアンサンブルがバラけて聞こえた部分もあったけれど、ここでも自然にじわじわっと盛りあがってきて、あとは一丸となってフィナーレを形成して曲を閉じた。 個人的には先にも書いたようにもうちょっと泥臭かったり、逆にスタイリッシュになったりするほうが面白かったように思ったけれど、このように誠実で朴訥とした感じもなかなかのものだったと思った。
アンコールはカレリア組曲からの行進曲。 さわやかな弦楽器の響きと終始まろやかな金管楽器の響きによりちょうどいま頃の若葉の季節にとてもよくマッチした演奏だった。 この演奏終了後にちょっと興奮気味に立ちあがったトランペット奏者の方が、疲労困ぱいした様子の中にも自信と満足を入り混じらせた表情をかいま見せておられたのがとても印象に残った。 このオケの誠実さがびんびんと伝わってきた清々しい演奏会だった。