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けいはんなフィルハーモニー管弦楽団 演奏会

大きな動きの井村さんを堪能戻る


けいはんなフィルハーモニー管弦楽団 演奏会
2003年11月23日(祝・日) 14:00 けいはんなプラザ・メインホール

プッチーニ: 交響的前奏曲 作品1
ビゼー: 歌劇「カルメン」より 序曲、前奏曲、アラゴネーズ、衛兵の交代、間奏曲、ジプシーの踊り
シベリウス: 交響曲第2番ニ長調 作品43

アンコール: シベリウス: アンダンテ・フェスティボ

指揮:井村 誠貴


久しぶりに大きな動きの井村さんを堪能しました(笑) ほんとよく動いていましたね。 そのせいかどうか、どの曲もとても熱の入った演奏でしたし、会場もまたよくノッていたようです。
プッチーニの交響的前奏曲は作品1番。 プッチーニが18歳のときに作曲したもので初めて聞く曲でしたが、クライマックスに入る手前あたりでぐっと惹きつける魅力を感じさせたのは井村さんのこの曲への思い入れの深さでしょう。 とても面白く聴けました。 そしてオペラ指揮者井村さん面目躍如となった演奏がビゼーのカルメン。 オーケストラ用の組曲を自由にピックアップしたものでしたが、縦ノリのリズムでずんずん進む勢いのある演奏で、会場もまた大いにノッていました。 隣りに座っていた小学1年生くらいの小さな女の子も嬉しそうに聴いていましたし、前に座っていた別のおばさんなど音は出さないけれど手拍子をしながら聴いているほどでした。 確かにとても分かりやすい演奏なんですが、けっして安易なウケを狙ったものではなく、よく考えられた構成としっかりした演奏に、さすがと唸りました。
メインのシベリウスの交響曲第2番は、重心を低くした重厚というか柔厚な感じの演奏。 個人的にはこのような感じではっきりとこの曲を展開させてゆくのは好きなんですけどね(いわゆる北欧調でじわじわっとくるのはちょいと苦手)、この演奏についてはちょっと評価が分かれるかもしれません・・・というか僕自身どういった感想にするか迷っているところがあるのが正直なところです。 しかしながらどの楽章も力の入った熱演でした。 特に第3楽章から終楽章にかけてじわじわと盛り上て熱いフィナーレを形成していました。 そして演奏終了後にはオケ・メンバーから「やったぁ」という満足そうな笑顔がこぼれたの印象的でした。


さて簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。
昼すぎに自宅を出て近所のバス停へ。 昨日車検から持ち帰った愛車フロンテ号はお留守番。 演奏会に行くのにフロンテ号の運転で神経をすり減らすのは嫌ですからね(何のための自動車か・・・そんな感じですけどね)。 とにかく陽が差せばポカポカ陽気のバス停留所でバスを待ってけいはんなプラザの1つ手前のATRにて下車。 これがちょっとしたポイントですね。
ホールに入って中央の後方から4列目に陣取りました。 数列前にはマイクを立てた録音機が置いてあるので音響的にはいいかも(ホントかな)。 さて席についてステージを見たらオケが対向配置になっていました。 ちょっと期待が膨らみます。 プログラムを読んでいるうちにだんだんと人が増えてきましたが、開演間際に僕の左隣に小学校1年生くらいの女の子が座りました・・・正直「うっ」て思ったのですが、とてもお行儀のいい子でお利口さんだったのでよかったです。 でもやっぱりシベリウスは辛かったみたいですけどね、カルメンの前半などとても楽しんでいるようでした。 演奏会はそんなノリの良さが光っていました。
いよいよ定刻になりメンバーが出てきたあとコンマスが出て来てチューニング・・・するかと思ったらなかなか始まらない。 ヴィオラ(?)の人となんか話をしたあと、その人が指揮台の上のコントラバス用のイスを弓で差し・・・あ、ゲネプロの忘れ物だったようです。 コンマス自ら片付けていました。 そんなハプニングのあと井村さんも失笑していたようです。

さて、気を取り直して始まった第1曲目はプッチーニの交響的前奏曲。 作品1番となるプッチーニが18歳のときの作品。 始めて聴く曲です。 プログラムには曲の解説があったので曲の構成はなんとなく頭に入ってましたが、井村さんの大きく滑らかな動きを見ていると、もっとこの曲がどんな感じになるかが分かるような感じでした。 クライマックスで金管楽器が入る前、チェロのピチカートなどぞくぞくっとくるものがりました。 演奏の集中力の高さもあるのでしょうが、聴いている人をぐっと惹きつける魅力を感じさせたのは井村さんのこの曲への思い入れの深さからでしょうね。 オペラの序曲ではないけれど、どこか情景を感じさせるような仕上がりで、とても面白く聴けました。

そしてオペラ指揮者井村さん面目躍如となった演奏が2曲目のビゼーのカルメンでした。 オーケストラ用の組曲を自由にピックアップした演奏でしたが、縦ノリのリズムでずんずん進む勢いのある演奏に、会場も大いにノッていました。 とても分かりやすい演奏なんですが、けっして安易なウケを狙ったような演奏ではなく、「序曲」から「衛兵の交代」までを一気に聴かせるなど、よく考えられた構成としっかりした演奏内容に、さすがと唸らせられて大満足でした。
井村さんがゆっくりと出て来たあとにこやかに礼をした直後、さっと身をかわすようにして指揮台に駆け上っていきなり「序曲」の開始。 あっけに取られた感じで耳に馴染んだメロディが飛び出しました。 会場がこれでぎゅっと引き締まりましたね。 縦ノリのリズム、フレーズの処理も簡潔にし、大きな動きからずんずんと曲を進めてゆく演奏に、前に座っていたおばさんなど音は出さないまでも手拍子をしながら聴いているほどのとても楽しい演奏でした。 続く「前奏曲」も熱のこもった演奏、「アラゴネーズ」はメリハリの効いた演奏でオーボエが艶っぽくて素晴らしかったですね。「衛兵の交代」冒頭のバンダのトランペット、オケのトランペットはともに柔らかい響き、コンマスやチェロのソロもしっとりとして見事でした。 そして何よりオケの管と弦の対話がきちっとしていました。 最後まで通しでいくのかなと思っていたら「間奏曲」の前で小休止。 気分を改めて始まったフルートのソロもとても柔らかく素敵でしたね。 ただこのあと弦の1プルト目だけが加わり、クラリネット、ファゴットと出てくるあたりはちょっとぎこちなかったようにも聞こえました。 でも音楽が大きくなるときちんと盛り返してました。 「ジプシーの踊り」もフルートとハープの響きが素適でしたね。 やさしくゆったりと抑揚をつけながら進んでいきましたが、このあたりは強弱の変化。 しだいに速度を上げて冒頭のような縦ノリのリズム、強靭なオケの響きもあって途中から寝てしまった隣りの女の子も目覚めました(笑)。 井村さんのノリの良さが、やや真面目に走りがちなこのオケにうまく乗り移り、充実した音楽を形成していたように思います。 いずれも耳に馴染んだ曲なんですが、新鮮な気持ちで楽しむことが出来ました。 大満足。

休憩をはさんでメインのシベリウスの交響曲第2番。 この曲、個人的に良さがなかなか分らなくて苦労した曲でもあります。 北欧音楽というと独特なリズム感覚で掴みどころがハッキリしないところが良い・・・なんて言われるのですけどね(ちょっと苦手)、でもシベリウスの交響曲第1〜3番は男性的(というと語弊がある?)で豪快な演奏もまた魅力的に響きます。 さて井村さんの演奏は、低弦を芯にした重心の低い演奏でした。 しかしドイツ的な重厚さとはちょっと違って、柔厚といった漢字を充てるのがいいかもしれません。 この演奏についてはちょっと評価が分かれるかもしれません。 というか僕自身どういった感想にするか迷っているところがあるのが正直なところです。 しかしながらいずれの楽章も力の入った熱演でした。 演奏終了後にはオケ・メンバーから「やったぁ」という満足そうな笑顔がこぼれたの印象的でした。 
第1楽章は、厚いオケの響きで中低弦がはっきりと聞こえてきました。 明快な感じなんですが、響きが厚くて熱っぽい感じです。 個人的なとても気に入った楽章でした。 オケも弦楽器の分奏がしっかりしているので聴いていても安心でした。 第2楽章はコントラバスのピチカート、チェロのピチカートともに弾力があって聴き応え十分。 ファゴットの陰鬱な感じもよく出ていました。 ここでも重心の低い響きでしかしテンポが遅目だったでしょう。 間合いも長めにとってとても丁寧に曲を進めているようでした。 オケの各奏者も巧みで響きにも熱気を孕んでいるのですが・・・なんだかちょっと掴みどころがなくなってきて深遠で難解な音楽になっていったみたいです(って上記にも書いたように北欧音楽はまだ苦手なんですね、すみません)。 ふっと周り見渡すと結構眠っている人も多かったみたいです。 第3楽章はよく引き締まった弦楽アンサンブルで、中低弦に迫力がありました。 ここにくるとテンポはちょっと早目だったでしょうか。 オーボエのソロに入る前、ほんのちょっと間合いをとってメロディを浮き立たせていたようです。 見事なオーボエソロのあとまたタイトで熱い弦楽器が素早く割って入ってきました。 見事な場面転換を繰り返したあと徐々にオケが盛り上がってなだれ込んだ終楽章は雄大。 煌びやかなトランペットが鳴ったあと熱く想いのこもったヴァイオリンの響きがホールを満たしていました。 明るい響きなんですが、重量感があるせいか響きが内に向かう内包的な感じでしたね。 ティムパニは終始コンパクトで控えめだったようです(この楽章では強打するのが好きだったりするんですけどね、ちょっとお下品な感じになるのでこうやっていたのでしょう、無視してください)。 ゆったりと気持ちをこめてフィナーレに向かって進んでゆきます。 ヴァイオリンに向かって祈るようなポーズをしていた場面もありました。 そして最後は力強いファンファーレから熱く音楽が迸り出、弦楽器は終始きちんと揃っているので透明感が失われず、雄大に歌い上げたエンディングでした。 演奏が終わったあと、オケのメンバーの満足感と安堵の表情が垣間見え、盛んな拍手を受けていました。 第2楽章こそ(個人的に)ちょっとついていけない感じがしましたが、これとて非常に気合の入った演奏でしたし、全体としても大熱演でした。 会場から盛んな拍手が贈られていました。 みなさんお疲れさまでした。