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神戸市民交響楽団 第55回定期演奏会

チェロ、コントラバスがとても雄弁戻る


神戸市民交響楽団 第55回定期演奏会
2004年3月14日(日) 14:00 神戸文化ホール大ホール

ワーグナー: 楽劇「神々の黄昏」より「ジークフリートの葬送行進曲」
ブルックナー: 交響曲第7番ホ長調(ノヴァーク版)

 アンコール: J.S.バッハ: G線上のアリア

指揮: 大河内 雅彦


ブルックナーの演奏会。 そんなに人は入らないかなぁ〜って思っていたのですけどね、どんどんと人が入ってきて、2階席も8〜9割近い人が入ったようです。 すごいですね。 しかもいつもどおり子供やお年寄りも多いのがちょっと吃驚です。 
そのブルックナーの交響曲第7番。 若い指揮者とこのオケらしく、ストレートでタイトながらもダイナミックな音楽で盛り上げていました。 金管楽器の迫力も充分にありましたしね、それとチェロ、コントラバスがとても雄弁だったのが印象に残りました。 第3楽章の輝きと重厚感、押しては返すような感じが素晴らしかったですね。 そして終楽章では、金管楽器、ヴァイオリン、低弦楽器、おのおのがきちんと分離して聞こえてきて素晴らしかった。 そしてストレートに盛り上り、スピード感もある堂々とした音楽は壮麗なものとなってぐっと盛り上がったあと潔い幕切れ。 カッコよかったですね。 
とにかくこの大曲を見事に最後まで演奏しきったこと、ちょっと感激しながら僕も大きな拍手を贈らせてもらいました。 またひとつ勉強させてもらったような感じがした演奏会でした。


さて、簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

いい天気になりました。 先々週、神戸に行ったときは雪がけっこう激しく降っていたのがウソのようです。 この前の教訓を生かすべく12時ちょっと前に自宅を出ました。 って言っても直前までうだうだやっていたのでほとんど同じ時間です。 ただし、前回は12時12分発の電車に乗ったのですが、今回は7分発の電車になんとか間に合いました・・・っていうか早足で間に合わせたような感じですけどね。 しかし、この5分の差が、神戸では15分の差になってました。 13時30分すぎに神戸文化ホールに到着です。

受付にはズラッと女性団員の方が。 受付は3つだったように思いますが、その係の方とは別に女性団員の方がロビーに多く出ておられたのにちょっと吃驚しました。 10数名はいらしたでしょうか。 ま、そんなことはともかくさっそく2階席へ。 
ここでも中央通路の後ろの席に座ることにしました。 なんたって足元が広いですからね。 楽なんですよ。 最近いつもこんな調子で楽して聴ける席ばかり狙ってますから、指定席の演奏会は窮屈でかなわん、そんな体質になってしまってます。 わがままですね〜

ところで今回はブルックナーの演奏会。 そんなに人は入らないかなぁ〜って思っていたのですけどね、どんどんと人が入ってきて、2階席も8〜9割近い人が入ったようです。 すごいですね。 しかもいつもどおり子供やお年寄りも多いのがちょっと吃驚です。 皆さん、このオケの演奏会を楽しみにされているんでしょうね。

さて定刻。 このオケ恒例の団員の方によるスピーチが始まりました。 この間に他のメンバーの方が席につきます。 このようなスピーチ付きの演奏会って好きなんですけどね、なかなか無いんですよね。 あるオケの方に、やってみては、と言ったことがあったのですけど、思ったほど喋るのは簡単ではないそうです。 なるほどね、このオケではいつも優しくお話をしてくださいますけど、実際にお前やってみろって言われたらやっぱり無理ですもんね。 そんなことを考えながら、この優しい語り口のスピーチを聞き、いよいよ神戸市民交響楽団の演奏が始まるんやな、と期待がなかばパブロフの犬状態で高まっていきました。

スピーチが終わってチューニング。 なんだかいつもよりも入念なチューニングをされていたのではないでしょうか。 前後しますが、スピーチでは指揮者の大河内さんに鍛えられた、と言われてましたので、それゆえかもしれませんね。 その大河内さんがゆったりと歩いて登場されました。 長身な方でした。

ワーグナーの「ジークフリートの葬送行進曲」。 強靭な感じのする演奏でした。 オケ全体がカチっと一つに纏まっていました。 個人的にはもうちょっとドロドロしてうねるような感じが欲しい気もしましたけれど、大河内さんとオケはあくまでもストレートにこの曲を演じきったようです。
冒頭、しんと静まりかえったホールに、ティムパニの音が遠く響いたあと、中低弦、ホルン+ワグナーチューバがよく締まった深い響きで応えました。 響きをぐっと凝縮させたような力強い響きです。 大編成なオケなんですが、寸分の緩みもなく、指揮に応えてゆっくりと音楽を進めてゆきました。 大河内さん、句読点を正しく描いて、曲を進めていくような感じがします。 そして曲をゆっくりと盛り上げていったあと、トランペットの明るい響きがホールにこだましました。 このあともオケは変らずカチっとした分奏で曲を纏めて進め、クライマックスへ。 クライマックスでも力強さは変らず、輝きを感じさせる金管が出てますが、ビシッと揃ってて崩れたりしません。 巧いもんです。 しかし天邪鬼な僕は、もうちょっとドロドロした情念のようなものを感じさせて欲しいなぁ〜なんて思って聞いてしまいましたけれど。

演奏が終わって暗転。 先ほどのスピーチをされた団員の方が前に出てこられて15分間の休憩を告げます。 あとで分かったことですが、団の方がホールに休憩のアナウンスを伝えるのを忘れていたそうですね。 わずか8分程の曲のあとに1時間以上の大曲ですからね、こおいうアクシデントもあるでしょう。 (関係者じゃないから)なんだかちょっと楽しいというか、ほわっとした感じのした瞬間でした。

さて滞りなく休憩時間が終わり、今度はブルックナーの音楽についてのスピーチです。 要するにブルックナーの音楽は、緊張と開放が繰返し行われる、とのこと。 なるほどね。 僕はブルックナーの良い聴き手ではないので、どこを聴いても同じようにしか聞こえなくて困ってしまうんですよね。 メロディ・ラインがあまり無いのは苦痛ではないのですけど、どうも相性が良くないって感じなんです。 第7番を実演で聴くのは今回が始めてですし、ちょっと冒険という感じがしないでもありません。 

ところで、このスピーチの最後。 うちのオケを以前から聴いてくださっている方はご存知と思いますが、音程が悪い、と言われました。 そんなこと全く意識してなかっただけに、音程が悪い、って言葉がちょっと頭にこびりついてしまったようです。 演奏を聴いていてもちょっと耳慣れない箇所になると音が上ずってるのかな・・・な〜んて思ってしまったりして。 ということで今回の感想文、ちょっと自信ないです(もっとも最初から自信あるわけが無いので一緒という話もありますが・・・とにかくブルックナー苦手なんで先に言い訳をしておきます)。 

そのブルックナーの交響曲第7番。 若い指揮者とオケらしく、ストレートでタイトながらもダイナミックな音楽でした。 金管楽器の迫力も充分にありましたしね、それとチェロ、コントラバスがとても雄弁だったのが印象に残りました。 第3楽章の輝きと重厚感、押しては返すような感じが素晴らしかったですね。 そして終楽章、金管楽器、ヴァイオリン、低弦楽器、おのおのがきちんと分離して聞こえてきて素晴らしかったです。 そしてストレートに盛り上り、スピード感もある堂々とした音楽は壮麗なものとなってぐっと盛り上がったあと潔い幕切れ。 カッコよかったですね。 とにかくこれだけの大曲を最後まで見事に演奏しきったことについてちょっと感動してしまいました。

第1楽章、さわやかな弦のトレモロに、チェロとホルンによる第1主題の提示。 見事な開始でした。 音楽は熱くなったり、すっと退いてゆきますが、いずれもチェロとコントラバスが響きの芯になっているのが心地良いですね。 クライマックスでの金管の咆哮も抑制が効いていて突出せず、響きの増減がとてもよくコントロールされているようでした。 第1主題が戻りまたチェロとホルンによる旋律、この部分、本当に巧いですね。 この楽章はここがキモだなって思って聴いていました。 そしてコーダ。 ティムパニがクレッシェンドしながら曲を支え、コントラバスやチェロが健闘しています。 ホルンが主題を吹き、曲調が明るくなるとこれまでの抑えた表現からやや開放された感じ。 輝かしいトランペットの響きも加えてスパっと切り落としました。 ホールに響きが残って素適でした。

第2楽章の前、ちょっと長いインターヴァルをとっていました。 力強く含みを持ったコラール風の響きによって音楽が開始。 ヴァイオリンもまた含みをもった響きでたたみかけるようです。 このあたり大河内さんはゆったりと音楽を構築しているように思えました。 しかし、さすがにここまできたら子供達には辛いのでしょうね。 2階席から数人、また1階の左側最前列に座っていた小学生たちも数人がロビーに逃げ出して行きました(もちろん静かに出て行きましたので影響ないです)。 第2主題は、ヴァイオリンと対になったヴィオラとチェロが雄弁でした。 そこにフルートが綺麗な音色で絡んできたのは素適でしたね。 そして第1主題、第2主題が寄せては返す繰返し。 しだいに音楽が雄大な感じになってきて、オルガンサウンドみたいです。 クライマックスを徐々に構築し、シンバル、トライアングルが入って頂点を築きましたが、このあたりもティムパニは重量感のある響きで浮いた感じは全くしませんでしたね。 ただ、このあとすっと音量を下げるところでは少々ぎこちない感じもしましたけど、ワーグナー・チューバが暗い雰囲気を醸し出し、葬送の音楽をみごとに演出。 そのあと一転綺麗な和音を響かせてあと柔らかいピチカートで締めくくりました。 このフィナーレは素晴らしかったですね。

第3楽章の前にチューニングを実施。 2階席では中学生とおぼしき3名がまた離脱していきました(って、そんなのばかり見てませんが、僕の席の前が通路なんで結構人の出入りが多いんですよね。 もちろん後から入ってくる人=おじさん=のほうが多かったです)。 弦のユニゾンが引き締まって力強く、そこに渋い響きのトランペットが呼応。 コントラバスの奏するリズムパターンにノリが感じられます。 これによって重厚感のある音楽に推進力が付いてて実にカッコいい音楽になってました。 個人的にここの繰返しが一番よかったと思っています。 とにかくチェロやコントラバスに力が漲ってやる気満々って感じだったからでしょうか。 しばし聞き惚れてました。 ただ中間部あたりでちょっとガサついたように感じた部分もありましたが、また冒頭の主題が戻ってくるとカッコ良い。 そして音楽には一段と熱がこもっていたようで聞き惚れてました。

終楽章、明るいヴァイオリンの響きから、重厚なチェロ、コントラバスの響きに引き継がれる冒頭が見事でした。 そしてこれと対比するかのような第2主題。 チェロとコントラバスのピチカートにのせたヴァイオリンがなだらかな旋律を奏でます。 第3主題になると金管楽器、ヴァイオリン、低弦楽器、おのおのがきちんと分離して聞こえてきます。 けっこうヘトヘトになっているのかな、なんて思うんですが、そんな感じはしません。 僕のほうは、もうここまできたから後はもう音楽の流れにのって身を委ねるって感じになってましたけど。 さてオケはストレートに盛り上がっていき、スピードもあげます。 トランペットの強い響きにはちゃんと甘い輝きを感じて素適です。 コーダでも、ホルンが奏する主題が柔らかく、それが繰り返されながら輝きを増していきました。 そして壮麗な音楽となってぐっと盛り上がったあと潔い幕切れでカッコよく終わりました。 ブラボーの声が飛び、大きな拍手に包まれていました。

蛇足なんですが、大きな拍手のなか、隣に座っていたおばあさんが一緒に来ていた連れあいの方に「おもしろくない曲だったわね」とボソっと言っていたのが印象に残りました。 でもちゃんと拍手してましたけどね。 確かにブルックナーは旋律を追いかけて聴く人には辛い音楽でしょうね。 僕も数年前まではとても辛かった記憶があります。 理屈っぽい音楽だと思いますが、こうやって力いっぱいの演奏を目の当たりにすると、曲の好き嫌いとは別に感激するものが湧き上がってくるようです。 とにかくこの大曲を最後まで見事に演奏しきったこと、ちょっと感激しながら僕も大きな拍手を贈っていました。 またひとつ勉強させてもらったような感じがした演奏会でした。