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奈良交響楽団 第47回定期演奏会

新緑の頃、躍動感溢れるドヴォルザーク戻る


奈良交響楽団 第47回定期演奏会
2005年5月29日(日) 13:45 奈良県文化会館国際ホール

モーツァルト: 歌劇《魔笛》序曲K.620
ブラームス: ハイドンの主題による変奏曲作品56a
ドヴォルザーク: 交響曲第6番ニ長調作品60

(アンコール)ドヴォルザーク: ユーモレスク

指揮:関谷弘志


躍動感あるドヴォルザークの交響曲第6番を堪能しました。
さっと譜面を戻し、第1楽章の主題の呈示を反復、新緑あふれるこの季節にはピッタリのこの曲をあますところなく楽しませてもらいました。
今回もまた2階席から聴いていましたので、耳馴染みの良いメロディが各パート間で受け渡され、弦と管が呼応するところなど、実に興味深く拝見しました。 また第3楽章のフリアント、軽快に弾む音楽を楽しく聴いていたのですけれど、ステージを見ると、ホルン第4奏者の女性の方も実に楽しそうなご様子。 自分の出番ではないところでは首をちょっと振っておられ(単に数を数えていたのかもしれませんけれど、楽しそうなご様子で)、いざ自分の出番になるとさっとホルンを構え、颯爽と吹いてらっしゃったのもとても印象に残りました。 とにかく気持ちの良いホルンの斉奏でした。 演奏者の皆さんもこの曲をとても気に入って演奏されていたのかもしれませんね。 そんな気持ちがとてもよく伝わってきた演奏でした。 心ゆくまでドヴォルザークの音楽を味わうことが出来、とても良い経験になりました。
なお今回、親子招待という企画のため、お子さん連れのお客さんが多くいらっしゃいましたので、この曲に先立って演奏されたのは、モーツァルトの魔笛序曲とブラームスのハイドンの主題による変奏曲。 しかもアンコールにはドヴォルザークのユーモレスクという超有名曲が並んでいました。
魔笛序曲は関谷さんの指揮のもと丁寧に纏めた演奏、ブラームスもまた格調高く主題を練り上げた演奏だったと思います。 思います、というのは今回、慌ててホールに駆け込んだので、魔笛序曲など完全に息があがった状態でした。 落着いて曲を楽しむ余裕がありませんでした(すみません)。 とにかく、お子さんにはドヴォルザークはちょっと長すぎたようですけど(お母さん共々寝てらっしゃる方を多く見かけましたけど)、こちらは楽しまれているようでした。 新緑の頃にとてもよく合った演奏会に満足しました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

午前中、町内会の草刈の日になってまして・・・ご近所の方々との溝掃除もそっちのけで(溝掃除には奥さんが参加)、自宅の庭の生垣やご近所にご迷惑をおかけしている樹木の剪定などを精力的にやって疲れ果てました。
しかも疲れを癒すために、シャワーを浴びた後、昼前なのに缶入りのカクテルなんぞ飲んだものだから、家を出る頃には軽い頭痛までする有様。 何もなければ、昼寝でもするところなんだけど、ついそんなことを思ってしまう状態でした。

ところで、奈良響の演奏会はたいてい13時30分開演なのですが、今回は親子招待という企画のため、ロビーコンサートも親子向けに時間を延長されたようです。 そのため今回は13時45分開演。 ちょっと救われた気分で、ゆっくりと家を出られる計算もあったのですけど、
塾の自習室に勉強に行く長女やスカウト活動に行く長男の世話をしていたら時間がありません。 慌てて家を飛び出し、結局いつもと一緒・・・しかも午前中の疲れと飲酒もあったので、電車の中でゼィゼィ言ってました。 あ〜演奏会で寝たら嫌やな、なんて思いつつ、開演5分にホールになんとか駆け込みました。 ちょうど5分前のアナウンスが流れてました。 
昨夜に続き、滑り込みセーフ。 息が完全にあがってますね(運動不足やな)。

さて、いつもどおり2階席に上がり、前から3列目の CC-38 に落ち着きます。 2階席はだいたい4割弱の入りでしょうか。 けっこう余裕がありますけど、1階は9割位入っているみたいでした。 このホール、2階席のほうが音の回り込みが良いような感じですし、全体的に座席がちょっと窮屈な感じがするので、空いている2階席、できればここの最前列が最もお勧めです。 今回も右隅には最前列の空きがありましたけど、隅っこよりもまだ中央近くのほうが良いかなと、ここに落ち着きました。 とにかく座りたかったこともあります。

パンフレットを読む間もなくオケのメンバーが登場します。 ステージを見たら弦楽器が対抗配置になってますね。 メンバーの方を数えると、弦楽器は 7-8-5-7-5 という編成みたいでした。 数え間違いがあるかもしれませんが、ちょっと面白い数になってましたね。
チューニングを終え、背筋をシャキと伸ばした関谷さんが登場して始まりました。

モーツァルトの魔笛序曲、正直まだハァハァと息があがっている状態を脱しきれず、音楽にあまり集中できず(申し訳ありません)、丁寧に纏めた演奏といった印象が精一杯でした。

弾力ある弦の響きで開始、ティムパニは男性奏者で暖かい響きをさせて打ってて雰囲気はよかったですね。 弦楽器は緻密に演奏し、木管もチャーミングに吹いて音楽を進めますが、どこか丁寧に音楽をなぞっている風にも感じました。 モーツァルトらしい洒脱さみたいなのがもっと欲しい気がするのですけど(こちらの体調がそんな感じを受け付けなかったかもしれませんが)。 快活に演奏しているのを関谷さんが左手ですっと纏めます。 このあとも弦楽アンサンブルが分奏をきちんとこなし、落ち着いたファファーレ。 ここでは金管楽器も華やかさを抑えていました。 そして徐々に勢いを増してフィナーレとなって曲を纏めました。 体調が万全でなく、音楽を追いかけて聴いたという感じでした。 すみません。

メンバーが増強されて、10-10-8-7-5 の編成になったようです。 体調が随分落ち着いてきました。

ブラームスのハイドンの主題による変奏曲、格調高く主題を練り上げた演奏でした。 
冒頭のふわっと柔らかい開始が上質な響きで素適でしたね。 それをじっくりと熟成させた音楽として変奏した第1変奏が良かったな。 このあとちょっと生硬さを感じた部分もありましたけど、最後は雄大で力強くなり、よく締まったエンディングは格調高く、全体を見事に纏めあげました。

ふわっと優しい低弦のピチカートからオーボエが奏でる聖アントニーの主題の呈示、これを裏でファゴットとホルンがそっと支えた開始。 上質な音楽が素適でした。 
第1変奏、じっくりと熟成させたような音楽、かっぷくの良いホルンと重く弾力のあるティムパニの響きが充実していました。
第2変奏、力を入れた和音のあと緻密に流す音楽、これの繰り返しが強調されていました。
第3変奏、ゆったりとした木管と弦楽器、素朴なホルンの響きもまたゆったりと歌います。
第4変奏、じんわりと落ち着いた音楽をしみじみと演奏。 弦楽器の響きの中からフルート、そしてオーボエが歌いかけてきました。
第5変奏、快活な音楽で緻密に曲を纏め、集中力高く駆け抜けました。
第6変奏、ホルンの斉奏が柔らかく素適。 他の管楽器もよく揃っていました。 ぐぃぐぃと力を増して、ここも集中力高くクライマックスを纏めます。
第7変奏、優しく漂うよう。 弦楽アンサンブルに木管が囁きかけ、しっとりとした時間が流れます。 低弦がそっと絡んでいました。
第8変奏、しんみりとした音楽ですが、集中力を高めた演奏でふわっと閉じました。
フィナーレ、ゆったりとた開始。 クラリネット、そして木管奏者が同じように前後に軽くスィングしながらの演奏で曲を進めます。 堂々とした感じもするのですけど、しなやかさを感じます。 漂うような音楽が徐々に力を増し、集中力を高めて主題を戻してクライマックスに登り詰めます。 トラインアグルが愛らしく響き、格調高く雄大な音楽として全曲を纏めました。

20分間の休憩。 いつもは席でゆっくりとパンフレットを読むのですけれど、1階ロビーをうろうろして、1階席の中も覗いてみました。 いやぁ、ほんと人で一杯みたいです。 大盛況といった感じですね。 結局、この時はどなたにもお会いできず、また2階席に戻りましたけど、やっぱりここは人が少なくて落ち着けます。 空席が4つ5つ離れた隣にいる小学生(3年生位かな)がゲーム機出して遊んでました(退屈なんやろねぇ)。 でも演奏開始時にはちゃんとゲームしまって聴いていました(ま、途中から寝てしまいましたけど)。

休憩時間終了、オケのメンバーが出て来て、今回の編成も 10-10-8-7-5 かな。 先ほどと同じみたいです。 念入りなチューニング。 チューニングの音も先ほどまでより豊かな響きに聴こえてきたのは気のせいでしょうか。 さっそうと関谷さんが登場、期待が高まります。

ドヴォルザークの交響曲第6番、躍動感あるを存分に楽しみました。 特にさっと譜面を戻して主題の呈示を反復した第1楽章、新緑あふれるこの季節にはピッタリのこの音楽をあますところなく味あわせてもらいました。 そして2階席から見るオケは、耳馴染みの良いメロディが各パート間で受け渡され、弦と管が呼応するところなど、実に興味深く拝見しました。 また第3楽章のフリアント、軽快に弾む音楽を楽しく聴いていたのですけれど、ステージを見ると、ホルン第4奏者の女性の方も実に楽しそうなご様子。 自分の出番ではないところでは首をちょっと振っておられ(単に数を数えていたのかもしれませんけれど、楽しそうなご様子で)、いざ自分の出番になるとさっとホルンを構え、颯爽と吹いてらっしゃったのもとても印象に残りました。 とにかく気持ちの良いホルンの斉奏でした。 演奏者の皆さんもこの曲をとても気に入って演奏されていたのかもしれませんね。 そんな気持ちがとてもよく伝わってきた演奏でした。 心ゆくまでドヴォルザークの音楽を味わうことが出来、とても良い経験になりました。

第1楽章、軽快で爽やかな開始から、極上の響きに満ちていました。 柔らかなホルンの響き、弦楽器にはこれまで以上の艶も感じます。 そして何より2階席からだと、耳馴染みのよいメロディがオケの各パートを受け渡され、呼応しあうように歌うのが手にとるように分かるのがとても興味深くもありました。 とにかく音楽に勢いがあります。 こうなると細かなことは考えず、オケを見ながら音楽の流れにしばし身を任せることにしました。 ヴァイオリン奏者の方の譜面がさっと前のページに戻されて、主題の繰り返し。 至福のひとときですね。 これまでよりもより大きく歌うようになったでしょうか。
展開部、低減の響きが優しく下支えする弦楽アンサンブルにのって木管が囁きます。 クラリネットとファゴット奏者の方がともに前後に揺れながら演奏をされていました。 そして勢いが増しての再現部。 これでもかっ、っていう感じですね。 弦楽器と管楽器がよく呼応しあっていますし、金管楽器の響きには底力があって全体の音色にもちゃんと溶け合っています。 いつもながら前川さんのティムパニも的確で巧いですね。 全体がよく纏まって勢いを保ったままこの楽章を閉じました。

第2楽章、奥さんにアメが欲しいと言われたので、目はステージを見ながら、手をリュックの中に手を突っ込んでアメの袋を探っているうちに始まってしまいました。 ん? 冒頭の木管アンサンブル、どうかなったのでしょうかね。 よく分からないままホルンのソロがゆったりと歌い、キレの良い弦楽器がじっくりとした音楽を形成して進んでゆきました。 なんとなくぎこちなく感じた音楽もしだいにこなれてきたのかな、ヴィオラが歌い、フルートの柔らかい響きが雰囲気良かったですね。 後半は熱気もまた出てきたようです。 前川さんのティムパニ、ここでもしっかりと落ち着いた打音でよかったし、あとやっぱりフルートですね。 素適な音色でした。

第3楽章、パワーを感じさせるフリアントでした。 ホルンはまろやかで、トランペットは煌くよう、木管が愛らしく響き、弦楽器には力があります。 これらが入り乱れて盛り上ってゆく、そんな感じ。 音楽を耳にしてうきうきしてくるのですけど、ステージを見たら、ホルンの第4奏者の女性も首を僅かに縦に振って楽しそう(蛇足ですが、遠目ながら親会社の教育担当のOさんに雰囲気似ていて親近感ありました)。 出番が来ると、さっとホルンを構えて颯爽と吹いてらっしゃって、見ていても実に気持ちの良い瞬間でした。
中間部、木管楽器のメンバーがここでも身体を揺すりながらゆったりと大きく演奏。 低弦の響きも心地よく渡ってきます。 ふっと周りをみたら、けっこう寝ている人が多かったみたい。 気持ちいいですもんね。
そしてまたフリアントに戻って軽快に弾む音楽を繰返し、最後は関谷さんが右手を前に差し出して音楽を止めると、ホールに残響が残りました。

第4楽章、しっとりとした弦楽アンサンブルによる開始。 同じ音色で木管が絡みます。 ホルンが入り、音量を上げつつゆったりと歌います。 そしておどけたような快活なメロディが流れだしますと、力を増した音楽がとても気持ちいいですね。 音切れよく、雄大な感じの音楽。 ホルンの斉奏に力を感じました。 音楽はまろやかになりますが、響きには力が込められており、大きく歌うようでもあります。 さて主題が戻り、弦楽アンサンブルに木管、金管が絡んできて、しっかりとした音楽でステップを踏みます。 各パートが緻密に組み合わさっているけど、どこか雄大な音楽といった雰囲気。 前川さんのティムパニのロール、最後の一打を強く打って音楽がバシっと締まって気持ちいいですね。 そしてフィナーレでは雄大さに華やかさも備えた音楽、祝典的な気分にも似て華麗に全曲を閉じました。

聴いているこちら側まで楽しくなってきた素晴らしい演奏でした。 たぶん演奏者の皆さんもこの曲をとても気に入って演奏されていたのかもしれませんね。 そんな気持ちがとてもよく伝わってきた演奏でした。 心ゆくまでドヴォルザークの音楽を味わうことが出来、とても良い経験になりました。 皆さん有難うございました。