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待兼交響楽団 第17回定期演奏会

流れの良い躍動する音楽戻る


待兼交響楽団 第17回定期演奏会
2005年7月17日(日) 14:00  伊丹アイフォニックホール

ベートーヴェン: バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
エルガー: 変奏曲「エニグマ」
ブラームス: 交響曲第4番ホ短調

(アンコール):ブラームス: ハンガリー舞曲第1番

指揮: 守山俊吾


流れの良い躍動する音楽を楽しみました。
溌剌とした演奏なのですけど、きちっとした枠からはみ出すことなく、主役はあくまでも音楽。 そんな感じに巧く纏められていて聴き応えありました。 バレエ指揮に長けていらっしゃる守山さんによるところ大でしょうね。 そんな魅力満載の演奏会でした。
もちろん、オケも奮闘していました。
コントラバスのトップの方、リズミカルに本当に楽しそうに弾いてらっしゃったのが印象的でした。 またティムパニの女性奏者の方、タイトにバシバシ決めて、とてもカッコよく、気持ち良かった。 そしてヴィオラの響きがよく聞こえてきたのに耳を奪われました。 こういったオケの土台がしっかりしているからでしょう。 音楽が躍動的になっても安定感のある演奏として、見事に曲を表現していました。
明るい響きを基調にした躍動的な「プロメテウスの創造物」、この曲がバレエ音楽の序曲だったことを改めて感じ入った演奏でした。
「エニグマ」変奏曲はドラマティック。 どの場面をとっても聴き応えがあり、各人物の性格や各人の周囲の情景までも浮かんできたのは、やはり守山さんのリードの賜物でしょうね。 オケもその守山さんの指揮に応え、迫力も感じさせ、とても見事な演奏でした。
そしてメインのブラームスの第4番の交響曲。 一言で言うなら、大きく熱く歌った演奏でした。 枯れたブラームスの世界とは違います。 しかしこの演奏も、中低弦が充実して覇気に富んだ演奏ですが、要所がきちっと抑制されて、安定感をもって聴き応えある演奏にしていました。 特にフィナーレなど、力が入って大きく熱く歌いあげたので、最後はパァーンと開放的に終わるのかと思いきや、ふわっと収束するように纏めたあたり、気品の高さも感じました。 じつに精力的なブラームスではあったのですけど、押し付けがましさを感じない熱い演奏に感動しました。
いずれも素晴らしい演奏の数々。 元気を頂いて帰ってきました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

なんだか身体が重くて、特に膝から下が重い。 午前中は床下診断に来てもらったので、早朝から掃除もしましたし、11時過ぎに疲れが出てきたようです。 10分程うたた寝をしたら体調を持ち直したので、この勢いに乗じて家を出ました。 ついでに、家にいるとなんだかんだと騒々しい長女もオマケで連れ出しました。
梅田からJRに乗り換えて伊丹着。 先週は雨模様でしたけど、今日も晴れて暑くて夏みたい。 眠気覚ましの缶コーヒーを2缶買ってホールに向かいます。 これ、2本とも長女用なんです。 こいつ、演奏会ですぐに寝るので・・・、ほんと困った奴なんです。 せっかくの演奏会なのにね。

さてホールに入ると、1階席の中央部分と両サイドの通路側は総て埋まっていました。 どこにしようかと思案していると、2階席は? と長女が言ったので、初めて2階席への階段を登ります。 このホールの2階席、形状が円筒形のホールですから、壁から湾曲するように張り出した両サイドから出ている席なので(中央後方ではないので)敬遠していたんです。 けど、ここの最上段ってよかったですよ。 湾曲しているので前に人の頭はありませんし、ステージもよく見渡せます。 それに何より広々として楽ちんなのが最高です。 くつろいでしまいました。

パンフレットを読んで開演を待とうと思ったら、パンフレットの字が小さいのですね。 読めないことはありませんけど、老眼が進んできたこともあり、ちょっと辛い。 歳とって根気が無くなったせいもあって、読む気が失せてしまうのですけど、そこは眼鏡を忘れず持ってきたので大丈夫。 でもうちの奥さんならきっと読まないでしょうねぇ。 まだ若いアマオケなんですね。 こんなところに現れています。

定刻になって場内アナウンスがありましたが、まだ客席に人がぞろぞろと入ってきます。 1階席は前2列を除いて9割以上の席が埋まったようです。 5分ほど経過して、ようやくホール内が暗転、ステージの照明を強くしてメンバーの方が整列入場します。 弦楽器の編成は 9-8-7-7-4 の通常配置。 チューニングを行ったあと、守山さんがオケの中をかき分けるように登場し、いよいよ始まります。

「プロメテウスの創造物」序曲、バレエ指揮に長けていらっしゃる守山さんの指揮によりこの曲がバレエ音楽の序曲だったことを改めて感じ入った演奏でした。 躍動感のある演奏でした。
ところで昨日は、大きなホールで同じくベートーヴェンのコリオラン序曲と運命を聴きましたけど、沙がかかったような柔らかな響きのベートーヴェン。 今日はこの小さなホールで溌剌としたベートーヴェンを楽しみました。 最初は直接音が多いなぁ、分離はいいけど、もうちょっと響かせあって・・・なんて思えたのは昨日の反動でしょうね。

張りのある力強い響きによる開始のあと、ゆったりとして堂々とした序奏となります。 聴いている位置が最上段ということもありますが、音が沸きあがってくるような感じです。 ヴァイオリンの透明感が一際冴えて聞こえてきました。 各パートの分離がとてもよく聴こえます。
主部は躍動感のある弦の響きになりました。 木管楽器も溌剌としたアンサンブルを聞かせて、元気あります。 陽性で明るい音楽がとうとうと流れ出てきて、いかにも動き出しそうな感じ。 なるほどバレエ音楽ですものね、などと感じ入ったしだい。 ティムパニもタイトに打ち、ぐっと盛り上げ、力強く引締まった響きで全曲を閉じました。 
演奏会の始まりを告げるのにふさわしい景気の良さを感じさせた演奏でした。

管打楽器メンバーを増強し、弦楽器もコントラバスが1名増えて 9-8-7-7-5 の編成になりました。

エニグマ変奏曲はドラマティックな演奏でした。 どの場面をとっても聴き応えがあり、各人物の性格や各人の周囲の情景までも浮かんできたのは、やはり守山さんのリードの賜物でしょうね。 オケもその守山さんの指揮に応え、迫力も感じさせ、とても見事な演奏でした。

主題、しっとりと濡れたような響きで深みもある充実した開始。 守山さんは大きくふって、ゆったりと進めます。 続けて第1変奏、フルートの響きで明るくなります。 低弦が音楽に寄り添うように曲を進めます。 木管が密やかに吹き、チェロのピチカートも素適に響いていました。 最後は大きく丸ぁるく盛り上げたあと、ゆったりと終了。
第2変奏、ヴァイオリンが忙しなく響き、木管も絡んだ緻密な音楽が押し寄せてきました。 ここでも中低弦の豊かさがよかったですね。
第3変奏、ファゴットの愛らしい音色が豊かに響いて素適でした。 ティムパニも柔らかな打音で応えていました。
第4変奏、力の入った躍動的な音楽。 ティムパニの響きが強靭な響きで実にカッコ良く、素晴らしかったですね。 聴き応えありました。
第5変奏、まずコントラバスがよく響く息づいた弦楽器の深いアンサンブル、これに続き、木管アンサンブルも入って躍動的に。 よかったですね。 第6変奏も続いて演奏し、ヴィオラの豊かな響きが素適。 ゆったりとしてロマンティックでした。
第7変奏、ティムパニの連打で活発な音楽。 トロンボーンとチューバに艶がありました。 よく締まったブラスにパーカッション。 巧かった。
第8変奏、フルートが柔らかく響き、弦アンサンブルも豊かに応えます。 チャーミングな木管も素適ですけど、中弦を豊かに響かせて深くゆったりとした弦アンサンブルがよかったな。 第9変奏も続けて演奏し、ゆったりとした弦のアンサンブル。 柔らかで艶やかでたっぷりした音楽を楽しみました。 最後は左手で力を入れた守山さん、大きく歌わせました。
第10変奏、弦楽器と木管楽器の掛け合いがチャーミング。 コントラバスのピチカートが心地よく響き、ヴィオラやファゴットの面白い動きを楽しみました。
第11変奏、鼻息とともに勢いのある音楽が迸り出てきました。 ティムパニがタイトに決め、ブラスも迫力ありました。
第12変奏、チェロのソロが甘く響きました。 ヴィオラとコントラバスが深みのある響きで、落ち着いて、しっとり。 それにうっとりしながら、ヴィオラやチェロ、コントラバスばかり見ていました。 ウェットな感じがとてもよかった。 第13変奏も続いて演奏し、クラリネットの後ろでヴィオラの響きが重なって明るくなりますけど、ここでもしっとりとした音楽が素敵。 ブラスが加わって徐々に大きな音楽となり、でもそれはまたすっと退いて、やはり柔らかなクラリネットとヴィオラでしっとりと纏めました。
第14変奏、硬いティムパニの打音、透明感のあるヴァイオリンの響きで徐々にスピードをあげ、タイトで大きな響きとして堂々とした音楽とします。 そしてブラスも輝かしく、ティムパニがタイトで潔く決めてこれまたカッコイイ。 一段と大きくたっぷりとした音楽として、トロンボーン、チューバが迫力持ち、底から湧きあがってくるような感じでの堂々としたエンディングを形成し全曲を閉じました。 どの曲もとても充実した演奏でした。

20分間の休憩。 最初は10名ほどだった2階席も半分以上が埋まっていました。 席が居心地良いのでそのまま休憩時間が終わるのを待ちます。 

ウントダウン方式の電光板の表示が消えると客席が暗転し、ステージが明るくなってメンバーが整列入場。 今度は、9-8-7-8-6 の編成です。 コントラバスがまた1名増えました。
時々カメラのフラッシュがあちらこちらから光っていて、お子さん連れのお客さんも多いので、お父さん、お母さんの記念写真でしょうかね。 それはともかく、守山さんが登場され、いよいよ始まります。

ブラームスの交響曲第4番、一言で言うなら、大きく熱く歌った演奏でした。 枯れたブラームスの世界とは違います。 しかしこの演奏も、中低弦が充実して覇気に富んだ演奏ですが、要所がきちっと抑制されて、安定感をもって聴き応えある演奏にしていました。 特にフィナーレなど、力が入って大きく熱く歌いあげたので、最後はパァーンと開放的に終わるのかと思いきや、ふわっと収束するように纏めたあたり、気品の高さも感じました。 じつに精力的なブラームスではあったのですけど、押し付けがましさを感じない熱い演奏に感動しました。

第1楽章、守山さんがヴァイオリンのほうに伸ばした両手で、船の櫂をこぐようにして響きを引き出した開始。 各パートの分離がよく、豊かなアンサンブルとなります。 中低弦がリズミカルに音形を刻み、次第に熱を持ちます。 守山さん、ここではフレーズの切れ目で一瞬止めたり、強調したり、ほんの少し伸ばしてみたりしているようで、オケもそれによく応えています。 精力的なブラームスといった感じ。 全然枯れたような感じがしません。
再現部、またすっとヴァイオリンの旋律を引き出します。 弦のアンサンブルに中低弦の響きが常に絡んでいるのがいいなぁ。 最初はちょっと硬いかなと思っていたヴァイオリンの響きも潤いを感じるようになりました。 コーダの最後、タイトなティムパニ、オケに力が漲ってきてホルンも強奏しますけど、最後はすっと絞ってふわっと纏めました。

第2楽章、ホルンの響きに艶があって上々の滑り出し。 クラリネットとファゴットの温かみのある響き、弦のピチカートのほうがもっと熱いかもしれません。 管楽器もより熱く応え、ここでも精力的な音楽。 艶やかなヴァイオリンの旋律が流れても中低弦のピチカートが息づいるのは変わりません。
これがすっと退いてチェロの旋律、弦アンサンブルがとてもよくまとまっています。 ヴィオラも主張があって、音楽を豊かにしています。 静かで安定感のある音楽ですけど、熱い血が脈々と流れている感じ。 音楽が拡大してもまとまりの良さは変わらず、息づいた音楽をとうとうと流して見事。 守山さん、このような流れるような音楽が素晴らしいのはやはりバレエを指揮されることが多いからでしょうか。 クラリネットがまた温かみを感じさせる音色でうっとりさせたあと、自然に盛り上げたあと最後はここもふわっと着地。

第3楽章、鼻息とともに勢いよく熱い音楽が迸り出てきました。 タイトで重いティムパニと、硬い響きのトライアングルがぐっと音楽を引き立てます。 ちょっと早めのテンポだったでしょうか。 主題を強く再現し力を込めて駆けてゆきます。 ここでも中低弦が芯になっていますし、コントラバスがリズミカルなので重苦しくなく機動力を感じさせます。 そしてホルンも重く響かせていました。 熱い音楽がここでもとうとうと流れてゆきます。
ホルンがタイトに吹いて、ティムパニが張りのある重い響きで音楽を大きくし、トランペットの輝かしい響きも入りますけど、やはり弦楽器が主役でしょう。 重量感ある響きで押し付けるようにしてスパっと止めました。

第4楽章。ここも鼻息のあと、弾力ある響きで熱く始まりました。 木管アンサンブルも熱く吹き、ホルンもタイトに吹いて、熱いヴァイオリンの旋律が歌いはじめます。 たっぷりとした感じです。 これが落ち着いてくると、フルートがしっとりと憂いを含んだ響きで吹いて印象的。 クラリネット、オーボエもこれに続きます。 しかしこの後ろでヴィオラが熱く付けていたのもまた素晴らしかった。 厳かにホルンとトロンボーンが吹きますが、守山さんはここでも中低弦のほうを向いて音楽を流れさせているみたい。 巧い音楽つくりですね。
音楽が一回り大きく熱くなり、タイトなトロンボーンには艶があります。 重いティムパニが硬い音になって力が入ります。 守山さん、ここではオケのタテの線を揃え、しっかりしたアンサンブルで音楽を構築し、熱いフィナーレに向かって進めます。 熱く息づいた音楽なのですけど、きちんと計算された音楽、そんな感じをさせて大きく熱く歌いあげます。 そして最後はパァーンと開放的に終わるのかと思いきや、拡がった音の最後をふわっと収束するように纏めました。 勢いに任せない見事な終結でした。 気品の高さも感じました。

アンコールは、ハンガリー舞曲第1番。 こちらも基本的に同じように躍動的な音楽。 
この曲を聴きながら考えたのですけど、オケは小さな編成なのですけど、その編成で出せる音楽の大きさと、ホールの大きさも含め、すべてきちんと計算したうえで余裕を持った迫力のある音を引き出しているようです。 決して無理はさせないで、充分に聴き応えある響きを醸し出しています。 見事ですね。 そんな守山さんの手腕の確かさを改めて感じました。 

いずれも素晴らしい演奏の数々。 なんか聴いていると元気になってきました。 元気を頂いて帰ってきました。