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芦屋交響楽団 第64回定期演奏会

芦響らしい圧倒的な演奏戻る


芦屋交響楽団 第64回定期演奏会
2005年9月25日(日) 16:00 ザ・シンフォニーホール

サン=サーンス: 歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」
ヴェルディ: 歌劇「アイーダ」より「バレエ音楽」
ラヴェル: スペイン狂詩曲
リムスキー=コルサコフ: 交響組曲「シェヘラザード」作品35

(アンコール):ラヴェル: 古風なメヌエット

指揮: 松尾葉子


今回もまた芦響らしい圧倒的な演奏に酔いしれました。
松尾葉子さんの指揮のもと、凝縮した響きをしなるように、しかもダイナミックレンジを大きくとった演奏の数々。 オケの響きが一糸乱れず波打って押し寄せてきて、オーケストラ・サウンドの醍醐味を味わいました。
まずはエキゾチックなバッカナール。 締めて抑え気味な表現とし、清涼感を感じさせます。 すべての楽器の響きを綺麗に溶け合わせたサウンドですが、要所ではダイナミックレンジを大きくとった盛り上げ方も実に手馴れたもの。 余裕の演奏でした。
そしてアーイダのバレエ音楽。 軽やかな演奏、お顔は見えませんが、松尾さんが楽しそうに振っておられるような感じ(そんな背中)。 軽やかですけど、芯のしっかりしたサウンドをキレよく纏めて、こちらも余裕の演奏でした。
前半トドメのスペイン狂詩曲。 透明感、浮遊感、緻密な響きに加えてダイナミックかつ華やかな演奏と、色々と言葉を並べてみても表現できません。 素晴らしいラヴェルの演奏でした。 アンコールで演奏した古風なメヌエットもしなやかな演奏でしたし、例によってこれがアマオケの演奏かと。。。素晴らしいラヴェルに聞き惚れました。
休憩を挿んでメインのシェヘラザート。 オケの響きが一糸乱れない大波となって出航してゆきました。 可憐なシェヘラザートのソロを始め、各自のソロが実に素晴らしく、そのいずれもがオケの響きに綺麗に合っているのに耳を奪われます。 オーケストラ・サウンドとして実によく纏まっているのです。 松尾さん、この響きを更に引き締めながら、オケをダイナミックに動かしては盛り上げます。 会場内はアラビアン・ナイトの物語に酔いしれていましたね。 もうお腹いっぱい、とにかく堪能しました。
最後、松尾さんの指示(指揮?)に合わせ、会場内4方向にそれぞれ向いて、指揮者とオケ全員が深々と礼を繰り返し。 巧いだけじゃなく、暖かい空気を会場内に充満させてのお開きとなりました。
一緒に行った奥さんも大満足、圧倒的な巧さに驚いてました・・・いつもこんなに巧いの・・・いつもやね・・・(言葉なし)  今回もまた素晴らしい演奏会でした。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

演奏会前日、親切なオケ団員の方より、今回は満席が予想されているため、当日券での入場が制限される(整理券を配って、開演後の入場となる見込み)とのメールを頂き、恐縮しました。 感想文を読まれていて、当日券での入場のことを心配して下さったのですね。 有り難いことです。 しかし今回、もっと有り難いことに、別の親切な方より招待状を譲っていただいておりました。 とにかく感謝・感謝です。 まずはこの場を借りてお礼申し上げます。

今回、芦響のパフォーマンスの高さが発揮でき、しかも有名曲が配置されたプログラムですからね、入場制限も致し方ないところでしょう。 今回は珍しく奥さんと二人連れなので、ゆっくりと歩いて開演40分前にホールに到着。 さっそく招待状での座席引換えをし、2階席最前列を確保しました。 しかもAA-28,29とド真中。 どこまでもラッキーです(反動があったら怖いナ)。 家に残した子供達に電話などし、開演20分ほど前に入場。

久しぶりのシンフォニーホール、エスカレータと階段を使って最上階まで登ってから2階席最前列へと降りてゆきます。 足もと広いし、見晴らしよくっていいですねぇ。 隣のオバちゃんがお喋りなので落ち着きませんでしたけど(演奏中は大人しくて問題なし)・・・ 既にチェロパートの全員がステージで練習してました。 続々とお客さん入ってきて、2階席の両サイドも満員。 3階席は数名がパラパラといる程度でしたけど、クワイア席にもお客さんを入れて、最終的にはここも満員になっていました。 すごい集客力ですね。

オケのメンバーが各パート毎に自由入場してきて着席、通常配置で 14-13-11-11-10 でしょうか。 コントラバス10本が壮観です。 アナウンスがなく、時計を見たら定刻をちょっと過ぎていました。 約5分ほど遅れてコンミスが登場。 ステージ上の照明が強くなりました。 入念なチューニングを実施して準備完了。 蝶の羽根のような深い光沢のある濃いブルーの上着を着た松尾さんがにこやかに登場して始まります。

バッカナール。 エキゾティックなこの音楽、締めて抑え気味な表現とし、清涼感を感じさせます。 すべての楽器の響きを綺麗に溶け合わせたサウンドですが、要所ではダイナミックレンジを大きくとった盛り上げ方も実に手馴れたもの。 余裕の演奏でした。

弾ける響きのあと、エキゾティックなオーボエが綺麗に歌います。 響きを押さえたホルン、フルート、そして弦楽器といずれも端正に纏めています。 カスタネットが入っても全体の響きの中に綺麗に収まっていて、よく締まった控えめの盛り上がり。 総ての楽器の響きが、本当に綺麗に溶け合って、うねるような感じです。 ハープが入って、ゆったりと曲を流しますと、今度は柔らかな響き。 松尾さん、大きく丸く振ると、オケがしなるようですね。 今度は小刻みに振って、カスタネットも加わり徐々に盛り上げてゆきます。 柔らかなティムパニの打音、徐々に力が漲ってきて、ダイナミックレンジの高い頂点を形成しました。 ホルンもまろやかな響きの強奏、でもよく締まって、見事に全体を統制した音楽。 巧い。 最後は、タイトな響きがホールに残るキレの良いエンディングで締め上げました。 いきなり余裕の演奏といった感じ、舌を巻きました。

管楽器メンバーの多くが退席、一部入れ替えがあったでしょうか、とにかく準備完了。 なんとなく興奮が冷めませんが、松尾さんが登場して始まります。

アーイダのバレエ音楽。 軽やかな演奏でした。 松尾さんのお顔は見えませんが、楽しそうに振っておられるような感じ(そんな背中)。 軽やかですけど、芯のしっかりしたサウンドをキレよく纏めて、こちらも余裕の演奏でしたね。

弦の爽やかなトレモロがよく揃っていて気持ちいい開始。 パーカッションが軽やかに打ち、ピッコロ、フルート、オーボエも加わってきて凱旋行進曲でしょうね。 軽やかですが、ちゃんと芯のしっかりとしたオーケストラサウンドを楽しみます。 ファンファーレ、チン・バッソの響きでしょうか、バホバホと聞こえてきます。 華やかな音楽。 松尾さん、ノッているのでしょうか、背中が楽しそうな感じです。 しなやかでキレの良い腕の動きで曲を進め、オケもまた余裕でついてきます。 最後はぐっと握った左拳、肘を横に張って目の前でピタリと止めて締めました。 楽しくてあまり曲の内容を覚えていません。

管楽器メンバーがまた増強。 この間にヴィオラが慌ててシフト変更して着席しなおしました。 準備完了。

スペイン狂詩曲。 透明感、浮遊感、緻密な響きに加えてダイナミックかつ華やかな演奏と、色々と言葉を並べてみても表現できません。 素晴らしいラヴェルの演奏でした。 アンコールで演奏した古風なメヌエットもしなやかな演奏でしたし、例によってこれがアマオケの演奏かと。。。松尾さんもしなやかにオケをドライヴし、素晴らしいラヴェルに聞き惚れました。

1曲目「夜への前奏曲」、透明感の高いヴァイオリンとヴィオラ、おごそかな木管がからむ瞑想的な音楽。 ミステリアスで素晴らしいアンサンブルですね。 松尾さん、大きくゆるやかに振って、大きな流れを作って曲を進めます。 本名さんの指揮だとストイックに追い込むところかもしれませんけど、松尾さんの指揮だと実にしなやかな響きで伸び縮みするのに魅了されます。 ゆらめくようなリズム、深いクラリネットの響き、瞑想的なヴィオラのソロにチェレスタ・・・息をのみながら、ひたすら追いかけていたら終わってしまいました。

2曲目「マラゲーニャ」、コントラバスの軽やかなピチカートによる開始。 ミュート・トランペットが輝かしく吹いて、重みを感じる太鼓、急激に盛り上がりました。 機動力あります。 これをすっと退いて遅いテンポとし、懐かしさを感じさせるコールアングレが素適。 ゆらゆらとしたリズム、フルートも綺麗な響きを聴きかせてうっとり。 またもや聴くのみ・・・ふわっと終わりました。

3曲目「ハバネラ」、浮遊感漂うフルートと弦楽器の響きによって始まります。 オーボエとコールアングレの優しい響き、オケをやわらかくドライブして進める松尾さん。 ティムパニの響きも柔らかく、響きに統一感を失わず、軽やかなリズムで見事なアンサンブル。 落ち着いて曲を進め、最後はトランペットが柔らかく吹きつつ、そっとミュートを合わせて終えました。

4曲目「フェリア」、緻密な感じの出だしも徐々に曲を大きく膨らませます。 多彩な響きを紡ぎだす松尾さん、急激に盛り上ってゆきますけど、自然な感じです。 華やいだ雰囲気も落ち着きを忘れません。 よく締まったオケのサウンドが、伸び縮みしていて圧倒されます。
チェロの響きがネコが泣くような音色を出し、コールアングレがしっとりと吹いてオケ全体が濡れたみたい。 松尾さん、ゆるやかに振ってヴァイオリンの響きを伸ばし、続いて大きく振ってタイトな響き。 リズムカルに盛り上げてゆきます。 軽やかなカスタネットが入り、華やいだ音楽が繰り広げられますけど、芯のしっかりとしたよく締まった響き。 オケの機動力を発揮し、松尾さんがオケの響きを大きく動かすと、一糸乱れずついてきます。 そして圧倒的なエンディングを形成、その響きをスパっと切って落としました。 ふぅ〜・・と、溜息も出るような終結。 とにかく拍手・拍手・・・

20分間の休憩。 奥さんと一緒なので、ロビーに出てコーヒーなど頂く贅沢をしてリフレッシュ。 ロビーもなんか活気ありますね。 一息ついてから、また最上階に登って席に戻ります。 休憩後もオケのメンバーは自由入場、三々五々着席してゆきます。 今度は 16-14-10-12-10 でしょうか。 コンミスが出てきて、ステージ上の照明が強くなります。 先ほどよりもより入念なチューニングを実施したような気がします(気のせいかも)。 準備完了。 松尾さんが、いつもどおりにこやかな笑みをたたえて登場してきました。

シェヘラザート。 オケの響きが一糸乱れない大波となって出航してゆきました。 可憐なシェヘラザートのソロを始め、各自のソロが実に素晴らしく、そのいずれもがオケの響きに綺麗に合っているのに耳を奪われます。 オーケストラ・サウンドとして実によく纏まっているのです。 松尾さん、この響きを更に引き締めながら、オケをダイナミックに動かしては盛り上げます。 会場内はアラビアン・ナイトの物語に酔いしれていましたね。 もうお腹いっぱい、とにかく堪能しました。

第1楽章「海とシンドバットの船」、大きく振って雄大な音楽が流れ出しました。 力強く、しかもしなやかな響きに期待が膨らみます。 シェラザードのソロ・ヴァイオリン、可憐な響きが僅かに堅いかな。 ハープの音がちょっと大きめだったからかもしれませんね。 清楚なソロがゆっくりと進みます。 オケが大きくたっぷりとした感じで入ってきました。 ピチカートは控え目、まろやかな感じ。 中低弦がうねるようにつけて、ヴァイオリンがしなやかに響きます。 シェエラザードのソロも堅さが取れたみたい。 チェロのソロは雄弁な感じかな。 クラリネットを始め木管楽器の各ソロが実に巧いですね。 うっとりします。 ゆったりと大きく音楽を盛り上げ、爽やかにいったんまとめます。 伸びやかなヴァイオリン・ソロ、綺麗なファンファーレと続きます。 底力あるコントラバス、ホルン、トロンボーンが芯になってオケの響きが波のようにダイナミックにうねって盛り上がったあと、最後はふわっと着地。

第2楽章「カランダール王子の物語」、アタッカでヴァイオリン・ソロが奏でます。 可憐な響きに会場内は釘付けです。 ファゴットもまろやで伸びやかな響きが素晴らしい。 しかもその裏でコントラバスがそっと弾き、しっとりと曲を進めてゆきます。 単に揃っているだけじゃなく、オケとしての響きの一体感、本当に巧いですねぇ(感嘆)。 そして力を増し、弾力あるチェロとコントラバスのピチカート。 チェロのソロ、今度は憂色の音色で魅了します。 トロンボーンとトラペットが甘い響きを聞かせたあと、弦楽器の各パートがうねるようです。 松尾さんのオケ・ドライヴに、ただただ聞き惚れます。 音楽を追いかけるのみ。 小気味良くなっても、軽やかさの中に安定感を感じます。 そして、ぐいぐいとオケを引っ張って、すっと止める松尾さんのしなるような棒さばきに魅了されっぱなし。 もちろんオケの反応も素晴らしい。 そしてエンディング、徐々に緊張感を高めてゆき、力を漲ぎらせてから、左の手刀で切り落としました。

第3楽章「若い王子と若い王女」、ヴァイオリンの甘い響き、よく揃って深みも感じます。 それに中低弦がそっと絡む見事なアンサンブルでの開始。 ゆったりとしたリズム、木管が爽やかに響き、チェロのアンサンブルもまろやかな響きで魅了されます。 柔らかなフルート、それに絡む豊穣な響きの弦のアンサンブル、要所で弾力をつけ、しなるように伸ばします。 自由自在って感じですね。 スネアが入り、柔らかなクラリネットに心休まります。 でもやっぱりここも弦楽アンサンブルの巧さに魅了されます。 ゆったりと慈しむように進めてゆきます。 ヴァイオリンのソロ、懐かしさを感じさせ、オーボエやコールアングレもまた優しい響きで継ぎます。 このあとダイナミックに盛り上げ、大きく歌わせて、雄大なホルンの響き。 大きく波打つアンサンブルに柔らかな打音のティムパニ。 音楽を自然に行進曲調として、ふわっと着地しました。

第4楽章「バグダッドの祭り、海、船は青銅の騎士のある岩で難破、終曲」、アタッカでタイトに入ります。 凛として深い響きのヴァイオリンのソロ。 すぐさまタイトに盛り上げ、これを右手でスパっと切り、返す刀でコントラバスの響きを導き出して、ヴァイオリンのソロ。 今度は小刻みに振って、畳掛けるように進んでゆきます。 フルートが爽やかに吹いて一息つくと、また盛り上がり・・・ ただただ追いかけて聴いているのみですね。 松尾さん、両手を横に広げ、腰をすっとかがめてオケをピタっと抑えてから、またぐっと盛り上げます。 見事なオケ・コントール(もちろんそれを実現するオケが巧い)。 スネアやトランペットが入っても騒々しく感じませんしね。 これぞオーケストラ・サウンドと言わんばかりの演奏が続きます。 会場内はアラビアン・ナイトの物語に酔いしれてますね。 クライマックスでの大太鼓の連打、力まかせに叩くのではなく、きちっと抑えが効いています(上品ですね、飛ばしません)。 弦楽器が一丸となって迫力あります(あくまでも音楽の土台は弦楽器、さすがです)。 これをドラの一撃で止めました。 そして爽やかな弦のアンサンブルに変身、柔らかな木管が加わり、可憐なヴァイオリンのソロが細くしなやかに流れます。 名残を惜しむかのように夢見心地のゆったりとした音楽、やわらかな響き、そっと、そっと・・・壊れないように静かに進めたあと、左手をそっと握るようにして着地しました。

しばし静寂が流れたあと、拍手・拍手・拍手・・・この拍手もまた素晴らしかったですね。 さすがとも言える演奏の数々に大満足。 
カーテンコールでは、最初にホルンを指名、ちょっと手を横に振ってらっしゃいましたが(ちょっと音のかすれたような部分もあったようですが全体の素晴らしさに霞んでよく覚えていません)立ち上がると盛大な拍手。 これが繰り返されたあと、アンコールのラヴェルの古風なメヌエットもしなやかで素晴らしい演奏にまた大きな拍手の嵐が吹きました。

最後、松尾さんの指示(指揮?)に合わせ、指揮者とオケ全員が客席に向かって深々と礼。 それが終わると、右サイドの席に全員が90度回転してまた松尾さんの指示に合わせて礼、クワイア席、左サイド、そしてまた正面に向かって礼を繰り返してお開きとしました。 
これだけ礼を繰り返さないと落ち着かない、そんな雰囲気もありましたけど、ただ巧いだけじゃなく、このように礼を繰り返すことで暖かい空気を会場内に充満させ、満足感をもってお開きとする配慮にも感心しました。 芦響らしい圧倒的な演奏といい、良い雰囲気でのお開きといい、素晴らしい演奏会でした。