BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
韶フィルハーモニーオーケストラ 創立記念演奏会

若者らしいストレート、爽やかな演奏会戻る


韶フィルハーモニーオーケストラ 創立記念演奏会
2005年10月9日(日) 14:00 池田市民文化会館アゼリアホール

ボロディン: イーゴリ公序曲 (*1)
マスネ: 絵のような風景 (*2)
ニールセン: 交響曲第4番「不滅」

(アンコール):ニールセン: 交響曲第4番「不滅」終結部

指揮:井村誠貴、大塚佑馬(*1:学生)、中山智左希(*2:学生)


若者らしいストレートな雰囲気の演奏会でした。
当日午前中に指揮者の井村さんより緊急動員。 だいたい3割程度の入りだったでしょうか。 少ないお客さんではありましたけど、熱い演奏会でした。
今回の演奏会の主目的は、井村さん指揮によるニールセンの「不滅」。 もとから大柄な指揮者の井村さんが、その大きな身体を反り返らせるほど力の入った演奏でした。 ダブル・ティムパニもタイトで強烈でしたね。 そして第2楽章、繊細な木管アンサンブルもまた実に素適でした。 惜しむらくは、弦楽器にもう少し粘りとうねりが欲しかったところでしょうか。 でも若者らしいストレートな演奏には好感が持てました。 このところ仕事などで疲れ気味ではありましたけど、元気をいただいて帰ることができました。 ありがとうございます。
なお、これに先立って演奏された、関大オケ副指揮者の大塚さんによるイーゴリ公序曲、今一歩押し強さが欲しい感じでしたけど、端正ながらもノリの良い演奏に仕上げました。
そして昨年度の関大オケ正指揮者だった中山さんによるマスネの組曲第4番「絵のような風景」、さすが先輩、しなやかかつメリハリをきちんとつけた演奏が見事でした。 いいものを聴かせてもらった、そんな感じ。 以前、聴かせてもらったときよりも格段に上達していますね。 ほんと聴かせ上手な指揮で、オケも奮闘して素適な響きを随所に聴かせてくださいました。
とにかく、それぞれによく頑張っているのを見て、聴いていると、気持ちがスッキリします。 とても爽やかな創立記念演奏会でした。 今後の活躍を期待します。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

週末は昼前から東京日帰り出張。 足、特に膝下が重くてね、全体的に疲れが溜まっている感じ。 前日は休養日としてゴロゴロしてましたけど、睡眠も深くなく(いつもですが)少々ぐったりしていたら、奥さんが携帯にメールが着たと持ってきてくれました。 指揮者の井村さんより緊急動員。 そっかぁ、新しいオケなので動員に苦労しているみたいですね。 ちょいと早めに、と思いましたけど、逆に少々トラブルあって少々遅く自宅を出発。

梅田で快速急行に乗れたので、開場10分後くらいにホールに到着。 ちょっと閑散としている感じが否めません。 恐る恐るホールに入ると、けっこう入ってますやん。 最終的には3割以上は入ったでしょうか。 もっと少ないお客さんの演奏会も知ってますしね(って、比べるのも変ですけど)。 後ろから6列目、中央左寄りの25列15,16番を確保しました。 周りはほとんど学生さんみたいです。

パンフレットはB4用紙2つ折り。 創立記念演奏なのにオケからの挨拶などなく、指揮者紹介と曲目紹介のみ。 演奏者名も書いていない簡素なものですが、少ない資源を全部演奏につぎ込んでいるのでしょうね。 小さく生んで、大きく育てる、これが基本ですから、今後の活躍に期待したいもんです・・・と、始まる前から何を思っていることやら。

定刻。 予鈴もなく薄暗いステージに奥の金管メンバーより整列入場。 薄暗いまま全員が揃ってチューニングを実施します。 ステージと客席に高低差が少ないので、よく確認できませんが、弦楽器は通常配置で 10-8?-7?-7?-6 でしょうか。 ようやくステージに照明がついて、緊張気味に関大オケでは副指揮者の大塚さんが登場して始まります。

ボロディンの「イゴーリ公」序曲、今一歩押し強さが欲しい感じでしたけど、端正ながらもノリの良い演奏に仕上げました。

ふわっと振って厳かに序奏の開始。 慎重にゆっくりと進めたあと、テンポを上げて華やかな金管ファンファーレ、これに続いて爽やかな弦楽器・・といいたいところでしたけど、悪く言うとザラついたような感じ、皆さん最初の曲なので緊張しているのでしょうね。 木管ソロもまた直截的な表現。 大塚さん、小さくリズミカルに振って曲を進めます。 低弦はゴリゴリと鳴っていい感じです。 ホルンのソロ、危なっかしい場面もありましたけど、懐かしさを込めて見事に吹き切りました。 ここでも低弦が柔らかなピチカートを聞かせ、このあとも低弦が下支えしながら息づいているなぁ・・と思ってよく見たら、井村さんが末席で楽しそうに弾いてらっしゃいました。 音楽はリズミカルになり、大塚さんもいいノリをするようになりました。 トロンボーンとチューバがいいコンビネーションで吹いて曲を彩ります。 華やかななんですけどね、けっこう端正に纏めて暴走なんてさせません。 丁寧に音楽を纏めている感じ。 この音楽を何度か繰り返したあと、ストレートに曲を締めました。 
全体的に思ったことなんですけど、もうちょっと粘りがあったらね、より聴き応えのある演奏になったように思いました。

ステージは暗転。 一度全員が退場したあとすぐ、左からパーカッションのメンバー出てきました。 これに続いて、左右より全員が揃います。 今度は 11-8?-8?-7-6 の編成でしょうか。 井村さんもコントラバス末席にいらっしゃいます。 チューニングを終え、今度は関大オケで昨年度の正指揮者だった中山さん、理知的な雰囲気を漂わせながら登場して始まります。

マスネの組曲第4番「絵のような風景」、さすが先輩、しなやかかつメリハリをきちんとつけた演奏が見事でした。 いいものを聴かせてもらった、そんな感じ。 以前、聴かせてもらったときよりも格段に上達していますね。 ほんと聴かせ上手な指揮で、オケも奮闘して素適な響きを随所に聴かせてくださいました。

第1曲「行進曲」、やわらかく振ると、爽やかで豊かな音楽が始まりました。 さっきとは音の精度が随分違いますね。 中山さん、メリハリをつけながら曲を進め、押し込むべきところは、ぐぃっと力を込めます。 しかもこれがまたしなやかで強靭で、いい感じ。 トランペットが艶やかで軽やかに吹いたのも見事でした。 最後は大きく纏めて着地。 中山さんのこの曲への自信を感じるようでした。

第2曲「舞踏曲」、しなやかな低弦ピチカート、チェロの優雅な旋律もしっとりしていて素適です。 高音弦も含めたピチカートが密やかで、木管のスタッカートがチャーミング、とにかくしなやかな音楽造りが素晴らしい。 リズミカルですしね、指揮棒を上げる動作に芯の強さを感じました。 やわらかなピチカートで終了。

第3曲「夕べの鐘」、深いヴィオラの響きに続き、タイトで甘い響きのホルンによる鐘が素晴らしい。 ゆっくりと落着いて、ドラマが始まるみたいです。 柔らかな木管アンサンブル、ふわったした感じとタイトさをうまくミックス。 ティムパニのロールが入って音楽を大きくしますけど、落着いて締まった音楽のままで、しやかさの中に弾力を感じます。 ほんと、いいものを聴かせてもらっている、そんな感じを持って聴いていました。

第4曲「ジプシーの踊り」、トランペットが輝きを放つファンファーレ、パーカッションが入ってスパっと止め、間髪を入れずに快活な音楽を開始。 スピード感のある曲の展開でした。 瑞々しい弦楽アンサンブル、木管も生き生きとしてて、リズミカルかつタイトな音楽に乗せて進めます。 盛り上げたあと、中音弦による旋律をゆったりと自信を持って進めてからフィナーレへの盛り上がりへ。 早いテンポですね。 華やかでしなやかに盛り上げて、最後、シンバルを大きく振り上げて華々しく全曲を閉じました。 しかし中山さんの小気味良い指揮はかえって小さく振り、集中力を高めた見事な着地でしたね。 輝くような音楽でしたけど、振り向いたときの笑顔もまた素適に輝いていました。

15分間の休憩のアナウンス。 アナウンスあるんや・・・と正直思いました。 いきなり始まったもので・・・つい。 しばらくすると今度は大きな音のブザー、ブザーもあるよって自己主張するみたいな響きでした。 この開演5分前のアナウンスのあと、定刻になって全員が揃うと、12-9?-8?-7-5 の編成だったでしょうか。 ティムパニは舞台奥の左右に座っています。 メインは向って右側のようです。 にこやかな表情の井村さんが登場。 学生さんに囲まれて、若々しい感じもしますね。 いよいよ始まります。

ニールセンの交響曲第4番「不滅」、もとから大柄な指揮者の井村さんが、その大きな身体を反り返らせるほど力の入った演奏でした。 ダブル・ティムパニもタイトで強烈でしたね。 そして第2楽章、繊細な木管アンサンブルもまた実に素適でした。 惜しむらくは、弦楽器にもう少し粘りとうねりが欲しかったところでしょうか。 でも若者らしいストレートな演奏には好感が持てました。 このところ仕事などで疲れ気味ではありましたけど、元気をいただいて帰ることができました。

第1楽章、ハナ息とともに大きく振りかぶって、勢いよく始まります。 よく纏まっているのですけど、やや抑え気味なのでしょうか、もうちょっと粘り気みたいなのが欲しい感じかな。 難しいのですけどね。 チェロのソロ、クラリネットのソロともにいい感じで絡みます。 そうそうファゴットもいい感でしたね。 じっくりと進め、ゆらめくようにしてから走りはじめます。 やはり高音弦が薄い感じもしますが、金管ファンファーレ大きくまとめて、チューバもよく聴こえます。 ゆっくりと大きく盛り上げました。 フルートとホルンがいい感じで曲を彩っています。 オケにも力が入ってきているというか、指揮者に引っ張られているような感じ。 各パートともよく纏まってこれについて走ります。 大きな井村さんがより大きくなって反り返るように盛り上げる熱い音楽。 それをぐっと静めますと、ティムパニがそっと打ち、ヴァイオリンに不安げな旋律を奏でます。 

第2楽章、暖かな響きの木管アンサンブルが素適でした。 クラリネット、ファゴットは柔らかく、フルートが爽やかに奏でます。 凛としたオーボエも加わって、実によく調和していること。 そして弦楽器のピチカートが瑞々しく響き、ここにまたフルートやクラリネットが柔らかく綺麗に絡むでしょう、そしてファゴットのなんともいえない長閑な感じも素適ですね。 とにかく、この楽章は木管アンサンブルに聞き惚れていました。 最初の部分が戻ってきて、ひとしきりまた聴かせたあとクラリネットの響きが断片的になって、止り、そして井村さんのハナ息。

第3楽章、もっと悲痛な感じかなと思ったけれど、少々抑え気味なヴァイオリンが入ってきます。 このあとへの布石でしょうか。 裏で弾くヴィオラでしょうかね、いい感じでした。 しっとりと纏まり、しみじみとさせて曲を進めてゆきます。 木管のユニゾン、温もりも感じさせる響きを吹きます。 ピチカートにも力が入り、徐々に不安気な様子を増しながらもしっとりとした感じを維持。 ティムパニが挑戦的に割って入って緊張感を高めます。 いい感じです。 ホルン(巧いですね)がタイトに吹き、喧騒の様相が濃くなってきました。 ここでもじっくりと曲を進めあと、ティムパニが響きの少ない乾いた打音で割って入り、タイトに盛り上げました。 厳しい表情。 これをすっと静めたあと、ヴァイオリンに力を入れ、ぐっとまた静めてトレモロから次第に音楽を走らせます。 低弦も呼応させて走ります。 徐々に盛り上げ、これを左側のティムパニがタイトに打って止めました。

第4楽章、弦楽器の悲痛な叫び、ティムパニの強打、全体をぎゅっとタイトに締めてゆっくりとした開始です。 ホルンが勇壮に吹いて、ティムパニの連打、じつに熱い音楽です。 そして弦楽器が熱く波打つようにうねって欲しいところですけど、やや数が少ないのかな。 金管ファンファーレはビタッと揃って吹奏、抑制をよく効かせている感じでした。 いったん静まり、オーボエの伸びやかな響きのあと、緻密にじっくりと曲を進めます。 左側からヴァイオリン、右側から低音弦、そして中央から木管楽器の響きが届いてきます。 金管が厳かに入り、ティムパニがまた左右でタイトに打つと迫力満点。 単純ですけど、打楽器ってカッコ良いですよね。 中央のオーケストラに対し、井村さんがまた大きく伸びがあるように振りかぶり、地の底から沸きあがるような大きな音楽として応えていました。 ようやくティムパニとのバトルにも終止符が打たれたようです。 伸びやかな旋律として、これで全曲を包み込むかのようにし、最後もまた井村さんが大きく伸び上がって全曲を幕としました。

熱い演奏でした。 もうちょっと弦楽器に粘り・うねり感が欲しい感じはしましたけど、各パートはよく纏まっていましたし、それぞれに若者らしいストレートな演奏には好感が持てました。 聴いていると元気をいただいたような気持ちになるような演奏でした。 ひたむきな若者のエネルギーっていうのでしょうか(年寄り臭いなぁ)、とにかくそれぞれによく頑張っているのを見て、聴いていると、気持ちがスッキリします。 とても爽やかな創立記念演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。 今後の活躍を期待します。