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天理シティーオーケストラ ファミリーコンサート

生気ある演奏を存分に戻る


天理シティーオーケストラ ファミリーコンサート
2005年11月13日(日) 13:45  天理市民会館やまのべホール

チャイコフスキー: バレエ「くるみ割り人形」より
         「花のワルツ」「チョコレート」「中国の踊り」「トレパーク」
ヴィヴァルディ: 「調和の幻想」より第3番第1楽章
ビゼー: 歌劇「カルメン」より「アルゴネーズ」「トレアドール」
ブラームス: 大学祝典序曲op.80

(アンコール)J.シュトラウス: ラデツキー行進曲

独奏: 栄嶋道広(vn)

指揮: 安野英之


奈良県歯科保険フェスティヴァルでの親子で楽しめるファミリーコンサート。 クラシック音楽になじみの薄い方にも楽しめるようなプログラム、とのことですが、しっかりとしてかつ生気ある演奏は日頃クラシック聴いている者にも楽しめるものでした。
個人的には冒頭の「花のワルツ」とヴィヴァルディの「調和の幻想」より第3番第1楽章が好きでしたね。 まろやかなホルンの響きが終始乱れず、丁寧で柔らかな演奏なんですけどね、めくるめくような感じがよく出ていて、生演奏の良さを存分に感じた「花のワルツ」。 「調和の幻想」では要所で背筋をピンと伸ばし、キリッとした表情を見せつつも楽しく美しい響きを聴かせた栄嶋さんのソロ、気持ちよかったですよ。 
栄嶋さん、コンマスでも大活躍。 丁寧で誠実な曲の輪郭を作っている指揮者の安野さんのもと、にこやかに笑いながらも、時には腰を浮かしての大熱演でオケを引っ張っていたのが印象的でした。 演奏後も終始笑顔、ファミリーコンサートってやはりこのような笑顔が必要ですね。
とにかく、誠実なんですけど生気ある演奏を存分に楽しませていただきました。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

このところ公私ともに慌しく、疲れ気味なんですが、演奏会にも久しく行っていないこともあり、「親子で楽しめるファミリーコンサート」を聴きに天理まで出かけることにしました。 演奏時間も40分ほどですから、気持ち的にもリラックスして楽しもう、ってな感じです。

ところで話は変わりますが、天理って、ご存知のとおり天理教の聖地ですよね。 教徒ではありませんけれど、以前からこの街がとても落ち着いているのが気になってます。 スピリチュアル・タウンのような感じもしてまして、やまのべホールに行くのがちょっと楽しみでした。 癒されるかな〜 なんていう期待もちょっと持ったりしてね、出かけました。

13時30分に到着。 受付で奈良県歯科保険フェスティヴァルに関するパンフレットなどを貰い、さっそくホールに入ろうとすると開会式が終わったところだったようです。 ゾロゾロと出る人に逆らって中に入りました。 中央列の Q-23 を陣取りましたけど、ほとんど人が出ていったので閑散としたなか大人しく開演を待っていると、開演5分前かな、緞帳(どんちょう)の向こうから荘厳な響きが・・・各自が思い思いに練習を始めたようです。 幕ひとつ隔てた響きって、とても重々しく感じるようです。

定刻、響きがチューニング音に変わりました。 ちょっと静寂があって司会者が登場。 開演です。 緞帳が上がると同時に第2ヴァイオリンのトップ・サイドの女性が慌てて指揮台を後ろに下げて準備完了・・・かと思ったら、指揮者の譜面台がガンっという音を発して下がったのでまた慌てて調整、今度こそ準備完了です。 にこやかに安野さんが出てこられて始まります。 オケの弦楽器は 5-5-4-5-3 の通常配置、2管編成。 2ヴァイオリンのトップには、大阪シンフォニカーの小畠さんがいらしていたようです。

まろやかなホルンの響きで魅力的に始まった「花のワルツ」、最後までホルンのまろやかさが萎えることなく素適でした。 演奏は、とても丁寧で柔らかな感じなのですけどね、覇気もあって、めくるめくような感じがよく出ていました。 オーケストラの生演奏の良さを存分に感じた演奏でした。

司会者の方が出てこられての説明のあと、3曲続けて「チョコレート」は、軽やかでかつ艶やかさもある演奏、柔らかな弦楽器とティムパニの軽やかな打音が魅力的。 「中国の踊り」は、活き活きとしたピチカートがよかったですね。 全体的に弦楽器が素晴らしかったみたいですけど、最後の「トレパーク」は、やや弾き飛ばし気味だったかな。 弦楽器メンバーが少ないので元気よく演った、そんな感じでした。

司会者の方が出てきてお話しの間にホルンがシフトしましたが、でも次の曲は弦楽曲。 ヴィヴァルディの「調和の幻想」より第3番第1楽章ですが、これがまた気持ちをスッキリとさせる素敵な演奏でした。 栄嶋さんのソロ、要所で背筋をピンと伸ばし、キリッとした表情を見せつつも、合奏部分ではにこやかで、楽しく美しい響きを存分に聴かせてくださいました。 そして最後、本当に嬉しそうに弾き終えてからの満面の笑み、気持ちよかったですね。 ヴァイオリンを習ったら、こんなに楽しいのかな〜って、この僕でも錯覚してしまうほどでした。

楽しい雰囲気のまま、続いてビゼーの歌劇「カルメン」から「アルゴネーズ」「トレアドール」を2曲続けて演奏。 「アルゴネーズ」は、よく締まって情熱的な開始に続いてエキゾティックなオーボエが魅惑的。 安野さんの丁寧で控えた指揮ぶりで曲を整え、柔らかなピチカートも素敵でした。 しかし「トレアドール」はシンバルの威勢のよい響きから走るように進みます。 安野さん、変わらず丁寧な指揮ぶりで刺激的な感じではないのですけど、やはり弦楽器メンバーが少ないせいでしょうね、栄嶋さんが腰を浮かして力強くオケを引っ張っていたのが目立っていました。 金管楽器はまろやかで抑え気味ながらも、オケ全体で圧倒的な雰囲気も漂わせた盛り上りのあと、軽やかに曲を纏めました。

そしてもう最後の曲、短くてもいかにもクラシックという選曲でブラームスの大学祝典序曲。 丁寧で誠実な演奏ながらも生気があって堂々としていました。 ただし編成が小さいために深みというのかな、粘り気のようなものが足りないのは仕方ないですね。 でもここでも栄嶋さんが腰を浮かすほどの熱演でした。 

やや速めのテンポ設定だったかしら、力の篭った開始。 やや緩急をつけながら曲を進めて、トランペットが控えめに吹いた「我らは立派な校舎を建てた」、このあとの低弦が荘重に弾いていたのが印象に残りました。 大きく力をつけての盛り上がると、小さな子供が「怖い〜、怖い〜」と泣きだしましたね、確かに気合入ってました。 「国の父」も気合が入っているぶんちょっと潤いに欠けた感じもしましたけど、木管がしとやかに奏でてカヴァー。 そしてファゴットの柔らかな響きによる「新入生の歌」。 ここからまたグイグイと曲を進めます。 少ないメンバーなのでよく整っていて、「ガウデアームス」を力をこめて演奏。 安野さん、終始余計な力を抜いたような指揮ぶりなんですけど、丁寧で誠実な曲の輪郭を作っています。 この範疇で栄嶋さんが腰を浮かしての大熱演でオケを引っ張っていったという感じでしょうか。 聴き応えのある演奏として全曲を閉じました。 

時間が少ないので1回のカーテンコールで即アンコール。 このオケおなじみのラデツキー行進曲で演奏会を締めました。 誠実なんですけど生気ある演奏を存分に楽しませていただきました。

開演早々はお客さんが少なくて、やっぱりクラシック音楽は人気がないのかな・・・、と思っていたら続々とお客さんが入ってきました。 最後は、この後に続く、腹話術(こにしあき)、シンセサイザー演奏(藤井哲子)、ジャズ(築山昌広SEXTET)とも遜色ない入りでした。
最後までステージを楽しませていただきましたけど、やっぱクラシックが一番落着きましたね。 PAを通した音楽って、どうも落着きません。
おまけですけど、最後の抽選会も楽しみにしてたのですけど、3等賞・・・、なんと1番違いでハズレました。 惜しかった。