BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
橿原交響楽団 第13回定期演奏会

素晴らしいハイドン・サウンド戻る


橿原交響楽団 第13回定期演奏会
2005年11月20日(日) 13:30  奈良県橿原文化会館・大ホール

ヴェルディ: 歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
ハイドン: トランペット協奏曲変ホ長調Hob.VIIe:1
ドヴォルザーク: 交響曲第8番ト長調op.88

(アンコール)ドヴォルザーク: スラブ舞曲第8番

独奏: 秋月孝之(tp)

指揮: 朝倉 洋


大阪フィルの首席トランペット奏者である秋月さんを迎えたハイドンのトランペット協奏曲が素晴らしかったですね。
秋月さんの艶やかで張りのある響きと演奏に魅了されました。 オケマンらしく終始落ち着いた演奏なのですけどね、ソリストとしての華やかさも充分に感じられました。 またそんなソロに対抗するオケも見事。 軽やかさや躍動感がよく出ていて素晴らしいハイドン・サウンドを聴かせてくれました。 最初から最後まで、演奏を満喫させていただきました。 今回の演奏会、この曲がお目当てで出かけてきたのですけれど、予想を遥かに上回る演奏に大満足しました。
なおこれに先立って演奏された、ヴェルディの「シチリア島の夕べの祈り」序曲、朝倉さんの指揮のもと丁寧に纏められた演奏でした。 弦楽器にやや纏まり感が乏しくなる部分もあるのですけど、それすらも味わいに変えてしまうような感じでしたね。 そして、コーダでは気迫も感じさせ大きく力強く纏めて残響がホールにこだましました。
ただしメインのドヴォルザークの交響曲第8番、さすがに大曲でした。 朝倉さんの手腕を持ってして、端正で誠実に纏めたといった感じだったでしょうか(なんか偉そうだなぁ〜 すみません)。 とにかくこの曲は耳に馴染みが深いうえに、先日の井村さん指揮による京都三大学交響楽団によるドラマティックな演奏が耳に残ってますので、今回の演奏とは対称的ともいえるアプローチ。 すみません、聴きながら頭の中でちょっと比較してしまってました。
でも、曲に奉仕するような誠実な朝倉さんのアプローチ、このオケにはとてもよく合っているように思います。 そして次回もまた朝倉さんとのコンビが続くようですね。 今回のハイドンのトランペット協奏曲、本当に素晴らしい演奏でしたしね、次回更なる成長を期待したいと思いつつ、帰路につきました。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

慌てて自宅を出て、走って最寄駅まで。 1分前到着でギリギリ・セーフ、なんとか間に合いました。 これで開演10分前にホールに到着なんですが、余裕を持って出ないとダメですね。

当日券(500円)を買ってホールに入ります。 すでに6割くらい入っていたでしょうか。 最終的には7割くらいの入りになったと思いますけど、まだ後方の席には余裕があって、中央列の2/3位後ろにある と-16 を確保。 すぐにトイレに行き、準備完了、と思ったらアナウンスがあってオケメンバーが整列入場しました。 通常配置で、弦楽器が 8-7-6-8-5 の編成だったようです。 入念なチューニングのあと、にこやかに朝倉さんが出てこられて始まります。

「シチリア島の夕べの祈り」序曲、朝倉さんの指揮のもと丁寧に纏められた演奏でした。 弦楽器にやや纏まり感が乏しくなる部分もあるのですけど、それすらも味わいに変えてしまうような感じでしたね。 そして、コーダでは気迫も感じさせ大きく力強く纏めて残響がホールにこだましました。

柔らかな響きによる開始、丁寧に序奏を進めてゆきます。 木管楽器が穏やかな響きを聞かせます。 音楽に明るさが射しても、柔らかさを持続。 丁寧に進めます。
全休止、スネアが入ってテンポが速まりますが締まった響きです。 打楽器は若い女性4名で担当、音楽の芯となって支えていました。 その上に金管楽器が抑制された響きで吹奏し、気迫を感じさせて見事でした。 叙情的な旋律がチェロより流れます。 ちょっとバラけて聞こえるのですけどね、それさえも味わいに変えてしまうような暖かさを感じました。 
軽快なリズムに乗せて曲を進めます。 朝倉さんもニコニコされて楽しそう。 流れるような感じで振ってらっしゃいますけど、気概を秘めているようで、丁寧でも勢いを感じます。 オケもそれに乗せられたのでしょうね、やる気を感じさせる演奏として力強くコーダに入り、最後は大きく纏めました。 残響がホールに残って見事でした。

ステージは暗転、メンバーが抜けて 8-6-4-4-2 の編成になったようです。 ソリストの秋月さん用の譜面台も出されて準備完了。

ハイドンのトランペット協奏曲、秋月さんの艶やかで張りのある響きと演奏に魅了されました。 オケマンらしく終始落ち着いた演奏なのですけどね、ソリストとしての華やかさも充分に感じられました。 またそんなソロに対抗するオケも見事。 軽やかさや躍動感がよく出ていて素晴らしいハイドン・サウンドを聴かせてくれました。 最初から最後まで、演奏を満喫。 今回の演奏会、この曲がお目当てで出かけてきたのですけれど、予想を遥かに上回る演奏に大満足でした。

第1楽章、始まる前に秋月さんがオケ・メンバーに向かって「宜しくお願いします」の礼をしてから始まります。 オケの軽快な響きで開始、柔らかくて優しい響き、そして何より伸びやかですね。 これはハイドン・サウンドですね、期待が膨らみます。 そして、トランペットのソロが登場、艶やかで張りのある響き、いい感じです。 オケがそれを受け、力を増して掛け合い、これがまた楽しい。 秋月さん、軽やかに柔らかく吹いていますけど、輝きもしっかりと感じられて、しばし聴き惚れてしまいました。 主題が戻って楽しさも増加。 ティムパニが赤い先の細いマレットで軽快に打ってます。 カデンツァ、技巧的なパッセージも華やかで艶やかに吹いて、ここも魅了。 気持ち良いまま、優しいオケの響きでこの楽章を纏めました。

第2楽章、柔らかで優しい響きによる開始。 ややヴァイオリンがパッセージを弾き飛ばしている感じですけど、明るさを感じさせます。 トランペットが、伸びやかなソロで歌い出します。 美しい響き。 これに聴き入っていると、カメラマンが後ろでシャッターを切る音が何度も聞こえてきて少々興醒めしますが(圧布を被せてよね、プロなら)、ここは集中して音楽を楽しみます(しばらくするとカメラマンは反対側に行きましたしね)。 朝倉さんもオケをゆったりと丁寧に進め、時間がゆっくりと流れてゆくようでした。 それにしてもトランペットの美しい響きですねぇ。 この楽章もそっと終わりました。

第3楽章、軽やかにオケが開始。 ティムパニが力を込めて打つ響き、これもハイドンって感じです。 トランペット・ソロがここでも小気味よく流れ出し、幸福感が溢れます。 伸びやかで潤いのある響きが素敵ですし、オケもまたチャーミングな響きで絡んできますと、小難しいことなど考えずに音楽を楽しみましょうよ、ってな感じですね。 秋月さん、オケマンらしく終始落ち着いた演奏なのですけど、華を感じます。 朝倉さんも楽しそうに振っていらっしゃいます。 ほんと楽しい演奏です。 そしてフィナーレ、弾むようにながらも丁寧に全曲を締めました。
期待してこの演奏会に臨みましたが、失礼ながら予想を遥かに超えた素晴らしいハイドンの演奏を堪能。 大満足でした。

楽しい気分のまま15間の休憩。
パンフレットやそこに挟み込まれた「Crecendo」を読みながら開演を待ちます。 秋月さんとの対談、朝倉さんのエッセイ、勉強になるというと堅いイメージですけど「なるほど」といえる内容に時間を忘れました。
オケ・メンバーが出てきて、今度は 9-7-6-8-6 の編成でしょうか。 入念なチューニングをして準備完了。 朝倉さんが楽しそうに出てこられて始まります。

ドヴォルザークの交響曲第8番、さすがに大曲でした。 朝倉さんの手腕を持ってして、端正で誠実に纏めたといった感じだったでしょうか(なんか偉そうだなぁ〜 すみません)。 とにかくこの曲は耳に馴染みが深いうえに、先日の井村さん指揮による京都三大学交響楽団によるドラマティックな演奏が耳に残ってます。 おまけに今回の演奏は、曲に奉仕するような誠実な朝倉さんの正反対ともいえるアプローチ、色々と比較して聴いてしまって(本来ならリセットしないといけないのですけど)すみません、聴きながら頭の中でちょっと比較してしまってました。 でも、朝倉さんのアプローチが悪いわけではありませんし、このオケにはとてもよく合っているように思います。 じわじわっと心に迫るドヴォルザーク、そんな感じでした。

第1楽章、朝倉さんが低弦の方を向いてゆったりと振り始めます。 やや緊張していたのでしょうか、ちょっと気負った感じのする開始。 フルートが綺麗に響いてカヴァー。 ぐっと盛り上がって潔いティムパニ、でも続く弦楽器がやや不安定。 これを朝倉さんが巧く纏めながら曲を進めてゆきます。 各パートはそれぞれ一所懸命でストレートに響いてくるんですけど、なんとなく全体として響きが溶け合ってない感じもしますね、でも素朴な人間味ある演奏って感じもします。 木管楽器がチャーミングに響いてきて、コールアングレだったかな、味わいがありました。 フィナーレ、ストレートで畳み掛けるような感じ、ティムパニの重い響きで力のこもった終了でした。

第2楽章、大きくゆったりと始まります。 先の楽章とは違って、たっぷりとした開始がよかったですね。 木管楽器も変わらず柔らかな響きでしみじみと味あわせてくれます。 ティムパニが力は入ってますけど抑制かけて上品な感じがしたのもよかったですね。 ほのぼのしみじみといった展開。 ちょっと出だしズレた感じもしていた低弦とホルンの響きも揃って、オーボエの旋律も素敵でした。 清潔感あるヴァイオリンのソロのあと、徐々にオケに力が漲ってきてストレートな盛り上がり。 じっくりと音楽を進めて、力がこもっても音楽が肥大しない誠実で丁寧な演奏としたあと、すっと収めました。 よかったですね。

第3楽章、哀切に満ちたワルツ、しっとりと旋律を紡ぎ出します。 ややヴァイオリンが不揃いなんですけどね、誠実に進めてトランペットが輝かしく吹き、しっとりと付けます。 弦楽器が多少モタモタした感じですけどね、木管楽器がチャーミングで、各楽器が響きを合わせて素敵です。 朝倉さん、ヴァイオリンに向かって楽しそうな表情で振り、歌を導き出そうしてらっしゃいます。 しかし、なかなか乗ってくるところまでいかず、ちょっと歯がゆいのは先日の井村さんの指揮による演奏が頭に残っているからでしょうね、きっと。 朝倉さん、ニコニコしながらオケを纏め、軽いハナ息で舞曲を始めて実に楽しそうに振ってらっしゃいます。 木管の響きを残して曲を終えます。

第4楽章、アタッカで艶やかなトランペットのファンファーレ、決まりました。 朝倉さん、大きく縦に振ってチェロから旋律を導き出します。 でもごく自然に曲自らが語りかけるように響かせてゆきます。 決して煽ることなく、流れに乗せて最初のクライマックスへ。 ここも輝かしいトランペット、そして柔らかなフルート、瑞々しいチェロのピチカート、力をこめて走りますが、自然な流れが変わりません。 牧歌的な雰囲気の中、ティムパニが淡々と打って曲を進めてゆきますと、艶やかなトロンボーン、タイトなホルンで盛り上がります。 開放感が出そうなところもグッと引き締めていますね。 丁寧でゆったりとしたチェロの旋律、余計な感情移入なく弾いたあと、力の漲ったエンディングです。 ここも引き締めながらぐぃぐぃ走って駆け抜け、全曲を締めました。

先日聞いた井村さんの指揮では、最後のホルンにベルアップをさせるなど、起伏を大きくとったドラマティックな演奏だっただけに、今回の朝倉さんの曲に奉仕するような誠実なアプローチは対象的でした。 決して朝倉さんのアプローチが悪いわけではなく、逆にこのオケにはとてもよく合っているように思いますし、じわじわっと心に迫るドヴォルザーク、それをうまく味わうことが出来なかったとしたら、先日の演奏の印象が残っている自分のせいでしょう。
それにしても朝倉さんの指揮、曲にとっても、オケにとっても奉仕するような感じがして、いつも好感が持てます。 今回はハイドンのトランペット協奏曲が本当に素晴らしい演奏でしたしね、更なる成長を期待したいと思いつつ、帰路につきました。 次回がまた楽しみです。