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関西大学交響楽団 第57回定期演奏会

シェヘラザードのフィナーレに感動戻る


関西大学交響楽団 第57回定期演奏会
2005年12月14日(水) 19:00  吹田市文化会館メイシアター・大ホール

シベリウス: フィンランディア Op.26 -*
ブラームス: 悲劇的序曲 Op.81    -**
リムスキー=コルサコフ: 交響組曲「シェヘラザード」Op.35

指揮:竹本泰蔵(客演)、織田映子(学生)-*、大塚佑馬(学生)-**


「シェヘラザード」の演奏、いずれの場面も素晴らしかったのですが、特にフィナーレに感動しました。 コンミスの独奏(3回生宇田さん)も、ここが何より素晴らしかったですね。 伸びやかさが増し、魅惑的な響きにも磨きがかかって魅了されました。 そして、オケ全体の響きがしっとりとして独奏と絡んで全曲を締めたときには言葉を無くしました。 もう、素晴らしいの一言。 会場内も同様だったのでしょうね。 演奏終了後、ホール内にしばし沈黙が流れてから、しだいに盛大な拍手になる感動的なシーンでした。
指揮者の竹本さん、いつもながら大きな身振りでオケをドライブしましたが、耳当たりの良い柔らかな響きが常に曲を支配しています。 大音量になっても、まったく騒々しく感じませんし、しっとりとさせる演奏であっても華やぎを感じさせて、この曲の魅力を存分に伝えてくれたのではないでしょうか。 もちろんオケも竹本さんの指揮に見事に応えていたことを特筆大書しておきたいと思います。
またこれに先立って演奏された、学生指揮者の織田映子さんによる「フィンランディア」。 この演奏もまた響きがよくブレンドされ、自信に満ちた素晴らしい演奏でした。 織田さんの指揮、ゆったりとしたテンポ設定で、しっかりと拍子をとるオーソドックスな振り。 下手すると、単調に陥るところなんでしょうが、オケから自然と湧き上がるような響きを導き出し、それをコントロールしてブレンドさせる手腕は、本当に素晴らしいものがありますね。 フィナーレでも勢い込むことなく落ち着いて進め、最後は柔らかな響きで纏めたのを、すぱっと切り落とす潔さもまた気持ちの良いものでした。
大塚さんによるブラームスの悲劇的序曲。 タイトな響きで切れ味よく開始したのですが、このあと逆の意味で若さが邪魔をしたのかもしれませんね。 落ち着いて振って、曲を進めているものの、慎重になっていただろうし、堅くなっていたのかもしれません。 淡々と進めてゆき、オケのメンバーも変わらず懸命に演奏しているのですが、なんとなくバランスが悪い。 管と弦の間にも隙間を感じました。 大塚さんが指揮されると、少々事故が多いのも可哀相なんですけどね。 それでもフィナーレは響きに潤いが増し、リズム感も感じられ、充実させてタイトに締めました。 かえって若さの特権でガンガンやったほうが面白かったかもしれませんね。 無責任モードですけど。
とにかく、いつも色々な発見のある関大オケの演奏会、今回も大いに楽しませていただきました。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

ここ連日、演奏会が終わるくらいの時間(21時頃)に会社を退けるのが日課になっていますが、懸念していた資料もなんとか纏まりました。 17時に関係者に配布したあと、捕まらないようにし、定時になったのでとっとと退散。 阪急電車の駅に急ぎました。 
駅でも、運良く千里線の電車がやってきたので、18時15分にはホール到着。 ちょっと早かったけど、余裕が無いより絶対にいいですね。 いったん1階席に入ったものの、ホール内の階段を使って2階席に登って、最前列の席を確保しました(す-28)。

時間がたっぷりあるので、立派な紙を使ったパンフレットを読んで開演を待ちます。 実は今回、学生指揮者の織田さんより事前にメールを頂きました。 若い女性からメールを頂くことなどないので、鼻の下を伸ばしてホールにやってきたのですけど、パンフレットに鼻の下を伸ばした織田さんの写真があったのには、思わず吹き出しそうになってしまいました。 ウマや〜ん。

さて、場内が混んできて1階席はほぼ満席でしょうか。 2階席も7割位入っているのかな、よく入ってますね。 予告のアナウンスのあと、オケ・メンバーが整列入場し、ステージの後ろから着席してゆきます(14-13-9-10-9 の通常配置)。 しかし、場内は空いている席を探す人がウロウロしてて、まだちょっと騒々しい感じ。 ブザーが鳴って、暗転。 コンミスも登場して場内が落ち着きました。 チューニングして準備OK。 しずしずと指揮者の織田さんが登場して始まります。

シベリウスの「フィンランディア」。 響きがよくブレンドされ、自信に満ちた素晴らしい演奏でした。 織田さんの指揮、ゆったりとしたテンポ設定で、しっかりと拍子をとるオーソドックスな振り。 下手すると、単調に陥るところなんでしょうが、オケから自然と湧き上がるような響きを導き出し、それをコントロールしてブレンドさせる手腕は、本当に素晴らしいものがありますね。 フィナーレでも勢い込むことなく落ち着いて進め、最後は柔らかな響きで纏めたのを、すぱっと切り落とす潔さもまた気持ちの良いものでした。

足を肩幅よりやや広めとって立ちます。 気持ちを整える時間をちょっととってから、両手をすっと前に差し出し、その手をゆっくりと挙げて丸く振り下ろすと、充実した響きが湧き出てきました。 重厚というよりも、落ち着いた響きです。 これを繰り返し、低音金管楽器の艶のある響きを交えてゆったりと曲を進めます。 仄かな華やかさを感じました。

木管アンサンブル、冒頭でほんのちょっとビビった感じに聞こえたのは緊張していたせいでしょう。 でも弦楽アンサンブルが深い響きの綾を聞かせ、ゆったりと大きく曲を進めて微動だにしません。 このあとは木管楽器も深く厳かな響きで絡んで素晴らしい。 織田さんのしなやかな腕の動きには、いつもの強靭さを感じますし、今回は更に後ろ姿に自信のようなものが感じられたのは気のせいでしょうか。 ゆるぎのない音楽造りです。

ファンファーレが入ると、曲がぐっと引き締まります。 間合いを慎重にとり、振りをよりシャープにしてタイトな音楽として盛り上げます。 拍節感をしっかりととっているのですけど、単調に陥ることなどなく、オケから自然と湧き上がるように響きを導き出しています。 確かにオケが合わせやすい振りですけれど、でも出てくる音を無防備に鳴らせるのではなく、きちんとコントロールし、ブレンドさせる手腕は、本当に見事ですね。 単に纏まっているだけではなく、充足感の感じさせる音楽となっています(うまく表現できません)。

しっとりとした柔らかな音楽への移行も自然。 ここではゆったりと振り、柔らかな弦楽アンサンブルとします。 そっと低弦が絡むのも魅力的です。 さて、フィナーレに向けて、小さくタイトに振ってクライマックスを形成。 勢い込むことなどなく、落ち着いて曲を進めているのは、曲に対する自信以外何ものでもないでしょう。 最後はまた柔らかな響きとして纏めていったのを、すぱっと切り落とした終結。 響きがホールに残り、この潔さも気持ち良いものでした。 が、ちょっと拍手が早めに来たみたい。 もう一呼吸、拍手が遅かったなら、もっとじ〜んと来たのになぁ、なんてちょっと惜しい気がしました。

ステージは暗転、メンバーがいったん全員引き上げてから再登場。 今度は、14-13-10-10-9 の通常配置です。 コンマスが登場してチューニング。 準備万端整って、指揮者の大塚さんが登場して始まります。

ブラームスの悲劇的序曲。 タイトな響きで切れ味よく開始したのですが、このあと逆の意味で若さが邪魔をしたのかもしれませんね。 落ち着いて振って、曲を進めているものの、慎重になっていただろうし、堅くなっていたのかもしれません。 淡々と進めてゆき、オケのメンバーは変わらず懸命に演奏しているのですが、なんとなくバランスが悪い。 管と弦の間にも隙間を感じました。 大塚さんが指揮されると、少々事故が多いのも可哀相なんですけどね。 それでもフィナーレは響きに潤いが増し、リズム感も感じられ、充実させてタイトに締めました。 かえって若さの特権でガンガンやったほうが面白かったかもしれませんね。 無責任モードですけど。

ハナ息とともにタイトな和音。 切れ味よく始まりました。 気合入ってましたね。 このあと雄大さを感じさせるファンファーレ、勢いがあるのですけど、なんかオケ全体の響きを聴いているとギクシャクした感じがあります。 大塚さん、落ち着いて振っているように見えますが、少々気負っているのでしょうか、ちょっと力で押している感じもしました。

また大塚さんが振るときには、何故か管楽器が絶好調とは言い難くなるのが可哀相な感じ。 大塚さん、このためか、しだいにゆったりと振って合わせるような感じに見えました(実際そう思ってらしたかは不明)。 淡々とこなして進めてゆくような感じ。
でもオケの皆さんは、懸命に演奏されていて、各パート毎には重厚でタイトさも感じるのですけどね、ラッパが突き抜けるように吹いたり、弦楽器と管楽器の間にちょっと隙間を感じたりと、バランス的にちょっと余裕なく進んでいったようです。

でもフィナーレに近づくと、徐々にリズム感が出てきて、弦楽アンサンブルにも艶が感じられるようになりました。 流れにのって、しなやかです。 ファンファーレも華やいだ感じになりました。 大塚さん、ここでもゆったりと振ってエンディング向かって進めたのを、最後タイトに締め上げて終結させました。 
ブラームスだから慎重に演奏しようとしたのが裏目に出たのかな〜 無責任モードですけど、若いのだからもっとガンガンやっても許されるのではないかも・・・なんて思いました。 今後に期待ですね。

15分間の休憩。 お客さんがよく入ってます。 学生さんが多くいて、こんなに大勢の人に囲まれて卒団される皆さんは幸せでしょうね。 僕が通っていた田舎の大学なんて、全学年集めてもこんなに多くの学生はいなかったよなぁ〜 なんて思いを馳せたり、ちょっとだけ学生時代に戻った気分を味わっていたら定刻になりました。

メンバーが出てきて、今度は 13-13-10-10-8 の通常配置です。 独奏をするコンミスの宇田さん(3回生)が出てきてチューニングし準備完了。 にこやかな笑みをたたえた竹本さんが出てこられ、指揮台の手前でオケメンバーを立たせます。 一段と大きな拍手の洗礼をうけてから始まりました。

「シェヘラザード」。 いずれの場面も素晴らしかったのですが、特にフィナーレに感動しました。 コンミスの独奏も、ここが何より素晴らしかったですね。 伸びやかさが増し、魅惑的な響きにも磨きがかかって魅了されました。 そして、オケ全体の響きがしっとりとして独奏と絡んで全曲を締めたときには言葉を無くしました。 もう、素晴らしいの一言。 会場内も同様だったのでしょうね。 演奏終了後、ホール内にしばし沈黙が流れてから、しだいに盛大な拍手になる感動的なシーンでした。
指揮者の竹本さん、いつもながら大きな身振りでオケをドライブしましたが、耳当たりの良い柔らかな響きが常に曲を支配していました。 大音量になっても、まったく騒々しく感じませんし、しっとりとさせる演奏であっても華やぎを感じさせて、この曲の魅力を存分に伝えてくれたのではないでしょうか。 もちろんオケも竹本さんの指揮に見事に応えていたことを特筆大書しておきたいと思います。

「海とシンドバットの船」、トロンボーンとチューバが底鳴りのする響きを感じさせた開始、ややアクセントを付けて木管を綺麗に絡ませる竹本さん。 上々の滑り出しです。 シェヘラザードのテーマ、可憐さを感じさせる独奏は少々緊張気味でしたけど、オケ・メンバーが見守るなか見事にクリア。 いよいよオケが海原に出航です。 次第に大きな波に乗り、流麗に曲を進める竹本さん。 オケもそれによく応え、うねるように上下します。 そして、ティムパニが振りを小さくタイトにロール、金管が抑制かけて盛り上げますが、これらがオケ全体の響きから全く突出することなく見事に一体。 強靭な音楽としているのですけど、響きがとても柔らかくてまろやかで、とても素敵です。 チェロの独奏(3回生木全さん)も少々緊張しているからか控えめでしたけどこれも見事にクリア。 これらのソロ、客演でなく自前で演るのですから凄いものです。 オケの一体感もますます高まります。 そしてブラスが入って充実した響きに磨きがかかり、聴いているこちらもこれに乗せられ、あれよあれよという間にエンディング。 竹本さん、ふわっとした音楽として進めたあと、左手をぐっと握って締めました。 素晴らしい演奏に、若干拍手も起きましたが、これも理解できます。

「カランダール王子の物語」、艶やかな独奏による開始。 これに続くファゴットのソロがまろやかな響きで素晴らしい。 コントラバスが柔らかく絡んでますね。 オーボエのソロもエキゾティック。 赤い顔されて切々と吹きます。 中低弦の締まった響きで転換、トロンボーン、ミュート・トランペット、いずれも響きに艶があり素敵でした。 弦の分奏が綺麗に決まってぐいぐいと曲を進めます。 上から見ているのでよく揃っているのがとても分かります。 竹本さん、ノリノリってな感じでオケをドライブ。 オケもそれに乗りますが、打楽器が入った行進曲風のところはしっかりと抑制かかってます。 竹本さん、身体でリズムを取ってますけど、このあたりは手をだらんと下げてオケに任せてましたね。 このあと、音楽を大きくしならせながら進めてゆき、ハープやフルートなどのソロをうんと際立たせます。 メリハリをつけた音楽は聴かせどころ満載。 引き締まった響きでぐいぐいと進めて、ここでも左手を強く握って終わりました。

「若い王子と王女」、やわらかで、ゆったりとして、華やぎも感じさせる弦楽アンサンブル。 上滑りでは決してなく、コントラバスの響きがベースになっていて、響きの深さも充分に感じられます。 チェロもよく揃っていて、しっとりとしたアンサンブルが素晴らしかったし、ヴィオラや2ndヴァイオリンなども裏でそっと支えているのがよく分かりました。
やわらかくスネアが入り、クラリネットのソロもしっとりと吹きます。 弦楽器も甘さを加えて絡み、実にチャーミングな音楽。 竹本さん、指揮台の上で踊ってますね。 トランペットのソロも素敵でしたよ。 ゆったりとしたアンサンブル、鳥肌ものですね。 素晴らしい。
しみじみとさせるヴァイオリンの独奏がしだいに伸びやかに歌うようになり、それをオケが引き継いで大きな音楽として波に乗せます。 ホルンも柔らかくて遥かな響き。 竹本さん、また踊りながら曲を進めて、最後は柔らかなピチカートで締めました。

「バクダッドの祭り、海、青銅の騎士のある岩にての難破、終曲」、広げた両手を絞ってタイトに開始。 これまでと違って厳しい音楽です。 ヴァイオリン独奏も深い響きを次第に伸びやかにさせ、力の入ったオケが引継ぎますが、ともに気合入ってましたね。 リズム感よく曲を進める竹本さん、音の洪水のように、色彩豊かな音楽を繰り出してきます。 しかし、いずれもこれまでと同じく抑えもよく効かせ、オケの響きを無駄に発散させることのない充実した演奏に聞き惚れました。 金管の速いパッセージ、皆さん同じように動いて上を向きます。 よく揃った吹奏は見ても聴いても気持ちイイですね。 聴いているこちらも、自然と頭を上下動かし、リズムをとって聴いてました。 大きな波は雄大です。 大太鼓、シンバルも突出しない上品な響き。 音量は大きいのですけど、耳当たりの柔らかさが実に心地よいのです。 そんな響きに酔わせられていたら、ドラの一撃が効果的に割り込んできました。 素晴らしい。 そして場面をすっと転換、しとやかな音楽に変身します。 ここでのヴァイオリンの独奏、魅惑的な響きに艶が乗って素晴らしい響きでした。 オケも最後の最後までしっとりと歌い、独奏と絡み合いながら回想を重ね、そっと全曲を締めました。

あまりの感動に、しばし頭の中は空白。 聴いていた皆さんも同じだったのでしょうね、ホール内にしばし沈黙が流れました。 そしてしだいに盛大な拍手に。 これもまた実に感動的なシーンでした。

こんな素晴らしい演奏のあとには、かえってアンコールは不要。 感動をそのまま家まで持ち帰ることができました。
いつも色々な発見のある関大オケの演奏会。 今回も大いに楽しませていただきました。 皆さん本当にお疲れさまでした。