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ハーモニック・ソアラ 第1回定期演奏会

しっかりとした造形観を持って落ちついた運命戻る


ハーモニック・ソアラ 第1回定期演奏会
2006年5月14日(日) 14:00  やまと郡山城ホール

ベートーヴェン: 交響曲第5番ハ短調op.67「運命」
ベートーヴェン: 交響曲第7番イ長調op.92

指揮: 関谷弘志


第1回目の定期演奏会、いきなりベートーヴェンの交響曲第5番「運命」に挑みましたが、しっかりとした造形観を持ち、落ちついた音楽に聞き惚れました。
指揮者の関谷弘志さんが振られた「運命」を聴くのはこれが2回目。
前回と同じく、解釈としてはとりたてて変わったことはしていないようなのですが、推進力があって聴き手をぐいぐいと音楽の中に惹き込んでゆく演奏もそのままでした(ちなみに前回はプロオケで聞きました)。
弦楽器は通常配置ながら、左右に振り分けられたホルン(左)とトランペットとトロンボーン(右)との対比、またアグレッシヴに弾くコントラバス(右)と常に冷静で的確なティムパニ(左)の対照も印象に残りました。 またどの楽器も同じ音色に統一されていたことも特筆しておきたいところです。 落ち着いて、しっかりとした「運命」、気持ちもよくのった素晴らしい演奏で、演奏終了後のブラボーも掛け値なし。 魅了されました。
続く交響曲第7番、こちらの演奏もまた同傾向だったのですが、さすがに交響曲が2曲続いて僕にも疲れも出てきたのかもしれません。 また響きに耳が馴染んでしまったのかもしれませんが、何故かいまいちのめり込むほどには至らず(ごめんなさい)。 もちろん演奏者の方にも疲れがあるのでしょうね、第4楽章にはアタッカで入って欲しかったのですけどインターヴァルがありました。 それならばとフィナーレでのアマオケ特有の我を忘れるほどの燃え上がりを期待したのですが、端正というか関谷さんについてゆくのがやっとといった感じも受けました。 でもオケのポテンシャルが高いからこそ、このようなことも言いたくなる、そんなしっかりとした演奏でした(生意気ですみません)。
なおアンコールはなく、この2曲に賭けた演奏会。 この潔さもまたいいもんですね。 ということで早くも次回を期待したいと思っています。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

ちょっと遅れるかなぁ、余裕を持って家を出なあかんなぁ、なんて思いつつ電車に乗りましたが、なんと西大寺での乗り継ぎがバッチリで15分前にホールに到着。 運に救われました。

ホールに入ると、2階席への階段にテープが引いてあって立ち入り禁止みたい。 テープを避けて2階に上がる人もいましたが、たまには1階でもいいかぁ、と思って1階で座席を探しました。 後ろから6列目、中央より右寄りのR-22に決め、パンフレットを読みながら開演をじっと待ちました。

定刻を少しすぎた頃、左右の扉より整列入場。 拍手が起きましたので、一緒になって拍手をします。 第1回の演奏会ですものね。 メンバー全員が揃うと弦楽器は 10-8-5-5-3 の通常配置。 やや小ぶりな感じですけど、このホールにはぴったりのサイズかもしれません。 あとで気づいたのですが、ホルンは正面に向かって左、トランペットとトロンボーンが右に振り分けられた配置になっていました。

チューニングを終えて準備完了、といいたいところですが、ホルン第2奏者の方の譜面が置いてなかったのでしょうか。 ちょっと出入りがあって奏者の方が席につくや指揮者の関谷さんがさっそうと登場。 いよいよ始まります。

ベートーヴェンの「運命」、しっかりとした造形観を持ち、落ちついた音楽に聞き惚れました。 名曲中の名曲であるジャジャジャジャーンをオケの最初の定期演奏会の冒頭にぶつけてくるなんて挑戦的、な感じですけれど、推進力があって聴き手をぐいぐいと音楽の中に惹き込んでゆく演奏。 弦楽器は通常配置ながら、左右に振り分けられたホルン(左)とトランペットとトロンボーン(右)との対比、またアグレッシヴに弾くコントラバス(右)と常に冷静で的確なティムパニ(左)の対照も印象に残りました。 またどの楽器も同じ音色に統一されていたことも特筆しておきたいところです。 落ち着いて、しっかりとした「運命」。 気持ちもよくのった素晴らしい演奏で、演奏終了後のブラボーも掛け値なし。 魅了されました。

第1楽章、関谷さんが指揮棒を目の前で立て、そこでしばらく止めて集中力を高めて、(ん)ジャジャジャジャーン。 張りと深みを持った響きで開始から惹き込まれました。 
コントラバスは3本ですが、常によく響いて芯になっています。 それに野太い響きのホルンも魅力的。 主題を繰り返し、ここではもうちょっと冷静になって聴けたからか弦楽器でほんの少しついてゆけない感じもしましたけど、音楽全体に推進力があります。 前に前にと進めてゆく感じ。 でも冷静なティムパニが先の細いマレットを使い、常に正確にリズムを刻んで押しとどめているようにも感じました。 響きを内包させた音楽は、厳かで落ち着いいて、オケは少人数ですが重厚さもあり、しばし聞き惚れていました。

第2楽章、ヴィオラとチェロの深い響きによる主題もまた見事でした。 木管が入り、響きに膨らみを感じさせますが、粘りも増えました。 金管ファンファーレが入っても、ティムパニが今度は先の太いマレットを使って重厚な響きを演出。 じっくりと曲を進めて素晴らしいですね。 クラリネットがまた太い響きですし、ズンと響くコントラバス、どの楽器も落着いた音色で統一されているのも特筆しておきたいところです。 そして各パートがよく纏まっていて、オケの左右からの響きの対比が味わえ、とても聴き応えがありました。

第3楽章、コントラバスの響きを芯に、ホルンのタイトな響き、そして徐々に力を増してゆきました。 気合の入ったヴァイオリン、コントラバスは3本ですが気持ちを乗せてぐいぐいと曲を引っ張ってゆくような感じ。 やはりここでも常に冷静なティムパニが押しとどめているみたいです。 中間部はじっくりと曲を進め、ヴァイオリンのピチカートが密やかでした。
そしてティムパニがリズムを静かに刻んでゆき、弦楽器が集中力高く入ってきてアタッカで続きます。

第4楽章、よくブレンドされた響きによる移行。 関谷さん、きちっとオケを纏め、落着いて曲を進めてゆきます。 チャーミングな木管アンサンブルも交えながら、落着いていながらもじつに熱い音楽。 トロンボーンの響きにも張りがありますが、これとてオケ全体の響きに綺麗に収まっていて見事。 ピッコロが入ると音楽が一段と熱くなりました。 関谷さん、手をぐるっと回し、熱気をすっと退かせます。 そしてまた徐々に熱くしてゆく。 オーソドックスなんですけれど、聴き応えのある演奏です。 聴いているこちら側もどんどんと熱くなってきました。 そして輝かしい響きのなか、しっかりとした歩みを持続させたフィナーレで全曲を閉じました。

指揮者の関谷弘志さんが振られた「運命」を聴くのはこれが2回目。 解釈としては今回もとりたてて変わったことはしていないようなのですが、造形感をしっかりと持たせ、推進力を与えて聴き手をぐいぐいと音楽の中に惹き込んでゆく演奏もそのままでした。 ちなみに前回はプロオケの奈良フィル。 どちらが巧い、良い、なんていう気持ちを持たせないほど、今回も聴き応えのある素晴らしい演奏に満足しました。 オケも本当に期待によく応えて素晴らしい演奏でした。

15分間の休憩。 席でじっとアンケートを書きながら演奏を振り返っていました。
さて定刻、整列入場で全員が揃い、チューニングを終えて準備完了。 やはりさっそうと関谷さんが登場して始まります。

ベートーヴェンの交響曲第7番、こちらの演奏もまた「運命」と同傾向だったのですが、さすがに交響曲が2曲続いて僕にも疲れも出てきたのかもしれません。 また響きに耳が馴染んでしまったのかもしれませんが、何故かいまいちのめり込むほどには至らず(ごめんなさい)。 もちろん演奏者の方にも疲れがあるのでしょうね、第4楽章にはアタッカで入って欲しかったのですけどインターヴァルがありました。 それならばとフィナーレでのアマオケ特有の我を忘れるほどの燃え上がりを期待したのですが、端正というか関谷さんについてゆくのがやっとといった感じも受けました。 でもオケのポテンシャルが高いからこそ、このようなことも言いたくなる、そんなしっかりとした演奏でした(生意気ですみません)。

第1楽章、潔い和音による開始。 まろやかなホルン、チャーミングな木管楽器に続いて弦楽器が威勢良く旋律を受け渡してゆく上々の滑り出しでした。 穏やかさを取り戻し、フルートとオーボエが特色あるリズムを刻んでヴィヴァーチェ。 弦の熱いリズム、木管の綺麗な響きが魅力的で、これらの掛け合いもまた巧く決めて進めました。 ただ、ちょっとしゃくりあげるような感じで盛り上げてゆくような感じがしたのですけれど、運命と同じくきちっとした造形感のある音楽ですね。 最後はすぱっと決めて、残響がホールに残ってました。

第2楽章、木管の和音に続いて低弦の充実した響き。 よくコントロールされて引き締まり、しかも深い響きでじっくりと歌います。 ヴィオラとチェロの美しい対旋律、とてもよかったですねぇ。 これが高音弦に引き継がれると透明感が出ますけど、熱気も加わってきました。 管楽器そして打楽器も入って熱い音楽。 ホルンがちょっと野太い響きでここでも素適でした。 旋律が戻り、幻想的なフーガをじっくりと展開。 コーダでは、ばしっと決め、よく揃ってゆっくりとした足取りで進めたあと、ふわっとした着地をしました。

第3楽章、関谷さんの軽いハナ息で開始。 小さく振って畳み掛けるような旋律を繰り返します。 弾力を感じさせるオケの響き。 クラリネット、ホルンそしてファゴット、いずれも朴訥とした響きが心地よいですね。 もちろんオーボエやフルートもいいですよ、これらが加わってゆったりと進めてから徐々に集中力を高めての盛り上がり。 ちょいとラッパが惜しい場面もあったようですけど全体にはまったく影響なし。 またじっくりと曲を進行させてから、弾力をもった盛り上がりへと回帰するのですけど、なんとなく型どおりのような感じで纏めているような感じがしました。 先の楽章よりきちんと鳴っているけど、推進力が落ちているような気がするのは、疲れているからかな。 

第4楽章、通常ならアタッカで突入してほしいところですが、インターヴァルをとって仕切りなおし。 その効果あってか、冒頭はキリッと引き締まった響きで幕が開きました。 いきなりノリノリって感じかな、と思ったのですけど、ホルンなどかなり力が入っているようでしたが、暴走などせず堂々として、きちっとした音楽で纏めた盛り上がりでした。 暴走してほしくないのですけど、もうちょっと劇的な感じが欲しい、そんな風に感じたのは欲張りでしょうね(すみません)。 その後もまた端正な感じで曲が進んでゆきましたが、関谷さんは音楽をリズムに乗せて奔流のように流したかったのかもしれません。 でもアインザッツが揃わないように思えた面もあったし、きちんと揃えるのに力を裂いたのかもしれません(想像ですけど)。 そしてコーダもまた端正に纏めてから音量を上げて全曲を締めました。

確かにベートーヴェンの交響曲を2曲続けるのは体力と精神力がいるよな〜なんて思って聴いてしまいました。 もちろん聴き手の僕の体力もなくなってて申し訳なかったんですけど、「運命」ほどの感動を得るにまでは至りませんでした。 でもしっかりとした演奏だったと思います。

なおアンコールはなく、お客さんの中には、もう終わり、って思った人も多かったと想像しますが、この潔さがまたいいのですね。 とにかくポテンシャルの高いオケであることは間違いないところ。 今回ちょっと注文をつけたような聴き方になってしまいましたけれど、早くも次回を期待したいと思っています。 皆さんお疲れさまでした。