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吹田市交響楽団 第61回定期演奏会

大人の雰囲気のする演奏会戻る


吹田市交響楽団 第61回定期演奏会
2006年6月17日(土) 18:00  吹田市文化会館メイシアター大ホール

ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」op.9 (*)
ミヨー: バレエ音楽「屋根の上の牛」op58-2 (*)
ベルリオーズ: 幻想交響曲 op.14

(アンコール)ベルリオーズ: ラコッツィ行進曲

指揮: 米山 信(*)、新谷 武


密度の濃い響き、響きの角が取れた大人の雰囲気のする演奏会でした。
今回の吹響定期は、苦手なフランス音楽プログラム。
それでも最初と最後のベルリオーズは耳馴染みがあるんですけど、ミヨーのバレエ音楽「屋根の上の牛」は、オケが纏まりなく緩いのか曲がそもそもそんなのか判別つかず・・・
でも後半、緩みが消えたような気もしましたけどね、とにかく明るいサンバのリズムの部分を中心に楽しみました。 ラッパ、軽快でとてもカッコ良かったですよ。
指揮の米山さんも、いつもより多く動いて大変そうでした。
最初の「ローマの謝肉祭」序曲、こちらも米山さんの指揮ですが、冒頭こそズバっと切り込むスピード感で惹き込みましたけど、響きの角を綺麗にとって纏まりのよい演奏はホント上質。
いつもどおり勢い込まず、安心して聴き進められる充足感のある演奏でした。
そしてメインの幻想交響曲。 こちらは新谷さんの指揮でいつもながら大きな振りでグィグィと引っ張ります。 第4楽章の断頭台への行進では、期待通り主題を繰り返して下さいました。 でも意欲的な動作ではあるものの、出てくる音楽は、響きに充足感があって集中力の高いもの。 ここでも勢い込んだところはなく、第4、5楽章などテンポをちょっと遅めにとった密度の濃い演奏でした。 学生オケやOBオケならば、突っ走って勢いで勝負、みたいな部分も、じっくりと構えて勝負しているような感じ。 いいですね、こんなの好きです。
惜しむらくは、第5楽章にはアタッカで入って欲しかったことと、第2楽章はもっとテンポを落として欲しかったことかな。 前者はオケの体力を考えてのことでしょうし、後者はバルビローリの演奏に感化されている戯言なんで無視してください。
とにかく、大人の演奏を楽しませていただきました。 皆さん、お疲れさまでした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

生憎の雨、しかも会社で一仕事してから、傘差して阪急電車の駅に大慌てて駆けつけました。 ちょうどホームに滑り込んできた電車に乗れ、淡路では北千里行きが待っていたので25分前にホール到着。 こんなことなら慌てないでよかったけどな・・・なんて思ってしまうのですけどね、せっかちなんです。 仕方ありません。

ホールに入って2階席へ。 開場間もないこともありますが、結構空いてます。 いつもどおり中央通路後ろの足元の広い席を3つ確保。 それでもずーと先まで席が空いてます。 雨だから、お客さんが少ないのでしょうね。 結局、1階席も5割くらいの入りだったでしょうか。

定刻、整列入場して照明がおちるとステージがやけに眩しく感じました。 久しぶりの演奏会だからかな。 明るいステージ・ライトに浮かぶオケの皆さんが輝いて見えますね。 編成はよく見えませんが、14-15-8-7-8 だったかな。 準備完了、米山さんが登場して始まります。

ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」序曲。 冒頭こそズバっと切り込むスピード感で惹き込みましたが、響きの角を綺麗にとった纏まりのよい演奏でした。 勢い込まず、安心して聴き進められる充足感のある演奏でした。

冒頭は艶の乗った締まった弦の響き、輝かしい金管でズバっと切り込んだ開始。 しかしこのあとオーボエの優しい音色が素適で、弦のピチカートも柔らかく弾いて、しっとりとした音楽にしばし聞き惚れました。 このあと勢い持って進める部分も響きの角が取れてます。 雨だから楽器の鳴りが悪いのか・・・いえいえ締まりは良いんです。 低く響くコントラバスやチューバにも力ありますし、全体が柔らかく纏まってて心地良いんです。 この曲でこんな心地よさは始めてかもしれません。 元気のいい演奏はよくあるんですけどね。 ただラッパがソリッドに響いてきたのが、全体の響きからちょっと突出していたようにも感じましたけれど、アクセントだったかしら。 とにかく最後まで勢い込まず、大人な音楽、そんな雰囲気を感じました。

管打楽器メンバーが大量に抜けました。 トランペット、ホルン、フルート、クラリネットが各2名、トロンボーン、オーボエ、ファゴット、それにティムパニとパーカッションが1名ずつで、弦楽器の編成はそのまま。 なんでも1974年にミヨー亡くなったとき、新聞に「ミホルド」なんて書かれていたそうですが、MILHAUD を聴いている人って多くないことは確かです。 自分も数枚CDを持ってますが、いずれも頂きもの。 現代音楽には抵抗感は少ないのですけれど、フランス音楽は近現代を問わず苦手なんです。 とにかくどんな演奏なのか、興味と不安が入り混じった気持でミヨーの「屋根の上の牛」の開始を待ちました。

結局のところ、オケが纏まりなく緩いのか、曲がそもそもそんなのか判別つかず・・・でも後半、緩みが消えたような気もしましたけどね。 とにかく小難しいこと考えず、明るいサンバのリズムの部分を中心に楽しませていただきました。 とにかくラッパ、軽快でとてもカッコ良かったですものね。 それと指揮の米山さん、いつもよりも多く動いて大変そうだったのが印象に残りました。

明るく響くサンバのリズムでしょうか、嬉しくなりました。 そしてオーボエのゆったりとした旋律から浮遊するような音楽。 どことなく焦点が定まっていないような感じなのは、原曲のとおりなのでしょうか、オケが緩いのかの判別がつきません。 そしてまた軽快なトランペットを伴った明るいリズム。 これらが繰り返されて進みますが、しだいに耳も慣れたのか、浮遊するような感じの部分にも纏まり感を感じるようになってきました。
とにかくバレエ音楽ですからね、パンフレットにも書いてあったように、ダンスをしている人々を想像しながら聴いていると、確かに面白いですね。 ということで軽快なラッパ(輝きや爽快感を感じさせるリズムがあって素適)を楽しみました。 内容なくってすみません。

15分間の休憩。 オケの方が数名出てきて練習されてましたが、次第に袖にひっこみ、最後はティムパニとハープの方が居残り練習。 そのティムパニの方も下がられて、いつハープの方が・・・と思っていたら、そのまま整列入場が始まりました。 今度はチェロが1名増員されたでしょうか、14-15-8-8-8 の編成になったようです。 新谷さんがにこやかに登場されて始まります。

ベルリオーズの幻想交響曲、新谷さんがいつもながらの大きな振りでグィグィと引っ張ります。 第4楽章の断頭台への行進では、期待通り主題を繰り返して下さいました。 でも意欲的な動作ではあるものの、出てくる音楽は、響きに充足感のあるとても集中力の高いもの。 ここでも勢い込んだところはなく、第4、5楽章などテンポをちょっと遅めにとった密度の濃い演奏でした。 学生オケやOBオケならば、突っ走って勢いで勝負、みたいな部分も、じっくりと構えて勝負しているような感じ。 いいですね、こんなの好きです。
惜しむらくは、第5楽章にはアタッカで入って欲しかったことと、第2楽章はもっとテンポを落として欲しかったことかな。 もっとも前者はオケの体力を考えてのことでしょうし、後者はバルビローリの演奏に感化されている戯言なんで無視してください。 とにかくここでも大人の演奏といった感じがしました。

第1楽章、やわらかく透き通るような管弦楽の響き、ゆっくりと進めます。 新谷さん、動きが大きいのはいつもどおりですね。 目をつぶって聴いている音楽と、目を開けて聴いている音楽では印象が違って聴こえるみたいです。 それはともかく、柔らかくまろやかな演奏が素適でした。 ホルンが長閑な響き、オケ全体的にそうなのですけど、キレのよさよりも纏まり感を重視しているような演奏ですね。 中低弦のよく締まった響きに支えられているからかもしれません。 響きに厚みというか底力を感じます。 落ち着きと密度で勝負、そんな感じでじっくりと進めてこの楽章を終わりました。 演奏後、ふぅ〜と息を吐く声があちこちから聞こえました。

第2楽章、ここでも中低弦の熱く締まった響き。 そこに綺麗な音色のハープが重なります。 ここはやや早めのテンポでしょうか。 オケの熱い響きが、ステージの左右、つまり高音弦と中低弦が分離良く響いてきます。 新谷さん、ここでも力入ってます。 個人的には、しなやかに踊って欲しいところなんですけどね。 要所をスパッと決め、即物的な感じでバシっバシっと進めていったといった感じだったでしょうか。

第3楽章、コールアングレとオーボエのかけあい、音色とも素適。 ヴィオラの響きが充実していて、しみじみとさせながらも生気を失わず落着いた音楽です。 新谷さん、ここでもケレン味なく曲を前に前にと進めてゆくのですが、暖かな木管の響き、チェロのアンサンブルなどで充足感があります。 また力を増し、音量が上がっても、やはり低弦がしっかりと支えているのがいいですね。 コールアングレが冒頭のフレーズを繰り返し、静かに気合を充実させながら集中力を高めてこの楽章を終えました。

第4楽章、ゆったりと始まります。 やや開放的な響きを集中させてゆきます。 中低弦がここでも充実した響きで芯になってますね。 ゆったりと大きくすすめて、そしてパワーを感じさせるトロンボーンなどブラスが炸裂。 しかし突っ走りません、ゆったりとした感じ。 主題を繰り返します。 新谷さん、ご自身がラッパ出身だからでしょうか、たっぷりと金管を吹かせているみたいです。 そして大きな音楽とし、力を込め、集中力を高めてゆきますが、勢いこまずに響きを合わせ、音の洪水のようになったところで終了。 ここにはアタッカで終楽章に入って欲しかったのですけどね、体力のためには休憩も必要でしょう。

第5楽章、緻密なヴァイオリンの響き、熱いブラス、クールな木管。 熱い音楽をゆったりと進めてゆきます。 ちょっと噛んで含める丁寧さも感じましたけれどね。 そして鐘。 最初の一撃がやや響きが少なかったようですが、あとは響き渡ります。 チューバの張りのある重い響き、底力のあるオケの響きがゆったりと。 でも締まった響きなんですね。 学生オケだと、要所を決めながらイケイケドンドンで進めるところも、大人の思慮で落ち着いた味わいでしっかりと纏めている感じがします。 そしてスピードを上げ、響きを十分に内包させた音楽として、迫力を持って全曲を閉じました。 じっくりと構えて勝負するような感じの演奏でした。 楽しませていただきました。

アンコールのラコッツィ行進曲は、これまでの抑えたものを一気に吐き出すかのような大きく熱い演奏として演奏会を締めました。 お客さんが少なくて残念でしたけど、皆さんお疲れさまでした。 次回のサマーコンサートはいい天気でありますように。