BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
宝塚市交響楽団 第40回定期演奏会

心に響く余韻戻る


宝塚市交響楽団 第40回定期演奏会
2006年6月18日(日) 14:00  尼崎市総合文化センター・アルカイックホール

ハチャトゥリアン: 組曲「仮面舞踏会」
マーラー: 交響曲第9番ニ長調

指揮: 田中一嘉


熱いマーラーの第九終楽章に惹き込まれました。
この大曲、聴くだけでもかなり疲れるのですけれど、演奏するオケはもっと疲れるはず。 でも指揮者の田中一嘉さんの的確なコントロールのもと、疲れなど微塵も見せず、終始高い集中力を感じさせた演奏で、第40回を記念するのにふさわしい充実した演奏内容だったと思います。
そんな田中さんのもとでの真摯なマーラーの第九でしたが、終楽章がことのほか熱い演奏で印象に残りました。 力をこめ、丸められた田中さんの背中が微妙に揺れるさまは一瞬コバケン(小林研一郎)さんの背中みたいだと錯覚したほど。 とても熱い想いをたっぷりと込められていました。
そして何より、この音楽の最後の響きが消えたあとの静寂・・・これがまた素晴らしかった。
田中さんの腕が止ったまま降りず、オケも構えたままで静止。 観客もまた田中さんの腕が降りるのをじっと待ちます。 楽器の音の響きは消えたけれど、心に響く余韻をたっぷりと味あわせていただきました。 とても素晴らしい時間でした。 大きな拍手を贈りました。
なおこれに先立って演奏されたハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」。
こちらも落着いた音色ながら、妖艶さに力強さと軽快さを併せ持った充実した演奏でした。 トランペットのソロが甘く素適だったのが強く印象に残りました。
惜しむらくは、もっとお客さんが入って欲しかったことですね。 1階席でも7割程度だったでしょうか。 ちょっと(かなり)残念でしたけれど、熱い演奏・素敵な時間をありがとうございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

今朝はいい天気なんですが、今日も会社で一仕事。 9時前には出勤して3時間、集中して進めたおかげでメド立ちました。 安心して演奏会に伺えます。 梅田で阪神電車に乗り換え、急行で尼崎駅には開場時間ちょっと前に到着。 長蛇の列かな・・・なんて心配しながらホールに到着すると、綺麗に列がありません。 当日券を買ってホールに入りました。

いつもどおり2階席に直行。 けっこう空いてますね。 いつもの中央通路後ろもガラっと空いてましたけど、中央の最前列にも空きがあったのでそこに陣取りました。 こっちの方が足元広いですものね。 ここから見ても1階席もけっこう空いてます。 以前、シンフォニーホールで聴いたときはほぼ満席だったのに・・・なんて思いつつパンフレットを読んで開演を待ちました。

定刻、整列入場で席につきます。 ざっと数えて 16-14-11-7-9 という編成かしら。 通常配置です。 チューニングを終えると、大きな音を鳴らして準備完了。 田中さんが出てこられていよいよ始まります。

ハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」、2管編成用のものとのことです。 落着いた音色ながら、妖艶さに力強さと軽快さを併せ持った充実した演奏でした。 木管楽器も巧かったのですけど、何よりロマンスでのトランペットのソロ、テリの乗った甘い響きが素適だったのが強く印象に残りました。

ワルツ、重厚だけど伸びやかな響きのワルツの開始。 妖艶な感じもさせるのは重い響きのタイコだからでしょうか。 艶のあるヴァイオリン、9本もあるコントラバスも一丸となってオケ全体がしなやかで流れるような演奏でした。

ノクターン、一転して落ち着いた音色で抒情的な演奏。 木管楽器、クラリネットとファゴットがいい味を出していましたね。 そしてソロ・ヴァイオリンもとてもしとやかな響きで魅了していました。

マズルカ、威勢よく始まりましたけど、落ち着いた響きで丁寧に曲を進めてゆきます。 田中さんらしいきちっとした音楽造り。 オケも忠実に従っていました。

ロマンス、しっとりとした弦のアンサンブルが魅力的。 そこにテリの乗った甘い音色のトランペット・ソロが素適でした。 伸びやかで柔らかな歌を堪能しました。

ギャロップ、打楽器の効果をフルに使って音圧を感じさせるオケの響き、軽快さも併せ持った機動力が素晴らしい演奏でしたね。 惹き込まれました。 そして最後は弾けるように響きを解放して終了。 ホールに残響が残りました。 とても充実した演奏でした。

20分間の休憩。 1階席は7割くらいの入りでしょうか。 マーラーの第九をナマで聴くのは今回で4回目なのですが(いずれもアマオケですが)、過去3回ともシンフォニーホールがほぼ満席だったという記憶しかありません。 またこのオケのシンフォニーホールでの演奏(同じ田中さんの指揮による幻想交響曲でした)のときもほぼ満席だったはず。 塚響で田中さんのマーラーの第九なんで、前売り券買っておいたほうがいいかな〜、なんて思っていたのですけど、何だか肩透かしみたいな感じですね。

さて定刻、オケの皆さんが出てこられて席につきます。 チェロが2本増強されたでしょうか、 16-14-11-9-9 という編成かな(最近老眼が進んでますので数え間違いがあるかもしれません)。 田中さんが出てこられました。 さぁ始まります。

マーラーの交響曲第9番、指揮者の田中さんの的確なコントロールのもと、疲れなど微塵も見せず、終始高い集中力を感じさせた演奏でした。 40回を記念するのにふさわしい充実した演奏内容だったと思います。 なかでも終楽章がことのほか熱い演奏で印象に残りました。 力をこめ、丸められた田中さんの背中が微妙に揺れるさまは一瞬コバケン(小林研一郎)さんの背中みたいだと錯覚したほど。 とても熱い想いをたっぷりと込められていました。
そして何より、この音楽の最後の響きが消えたあとの静寂・・・これがまた素晴らしかった。 田中さんの腕が止ったまま降りず、オケも構えたままで静止。 観客もまた田中さんの腕が降りるのをじっと待ちました。 楽器の音の響きは消えたけれど、心に響く余韻をたっぷりと味あわせていただきました。 とても素晴らしい時間でした。

第1楽章、集中力を高めるために田中さん、ちょっと長めのインターヴァルをとって構え、思い切ったように振りはじめますと、静寂と諦観を併せ持ったような響きが出てきました。 やや突き放したような感じに思えたのは緊張からでしょうか、徐々にマーラーの世界に浸っていったような感じがしました。 ホルンがいい響きで好演。 先の曲ではちょっとノリ切れていない感じもしましたけれどここでは見事な説得力でした。 反面ラッパは少々緊張気味だったのかもしれませんが、これはささいな事。 オケは一丸となって演奏が続きます。 クライマックスでのシンバル、ティムパニ、銅鑼いずれもバッチリと決めるダイナミズムも見事でした。 それにチューブラベルの響きがじ〜んと心に響きましたしね。 集中力の高い演奏で、弦楽器も弓をちょっと強く押しあてて粘りが出てきたみたいな熱演。 最後はこれをすっと退いて、ゆったりとした雰囲気を感じさせてこの楽章を終えました。

第2楽章、明るい音色の木管、活気ある第2ヴァイオリン、レントラーを奏でます。 低弦がよく締まっているので軽薄な感じはしません。 この低弦が芯になって響きを併せて曲を前に前にと推し進めてゆくような感じかな。 キレ味もよかったですよ。 ただし誠実に曲を進める田中さんとそれに応えるオケ、ちょっと一本調子にも感じなくもありませんけどね、これは好みの問題だと思います。
この楽章を終えるとチューニングを実施しました。 コンマスも立って全員の響きを確認します。

第3楽章、力強く弾むような開始。 ホルンやトロンボーン、チューバなど響きが締まってカッコ良い。 ここでもホルンのソロ、素晴らしかったですね。 弦楽器も負けじと力を増し、弦管一体となって邁進するような感じで進みます。 迫力のある音楽を、田中さんらしくきちっと纏めて盛り上げてゆきます。 後半もトロンボーンが迫力ありましたし、弦楽器もキリリと締まった響きでぐいぐい進めてこの楽章を閉じました。 きちんと纏まった音楽はとても素晴らしかったのですけれど、個人的にはここは喧騒の音楽、バカ騒ぎのような終わり方を期待してましたので、お行儀よく終わった、って感じがしました。

第4楽章、ちょっと長めのインターヴァルをとった田中さん、思い切ったように振ると熱い響き。 ヴァイオリンの響きに熱気が迸っているみたい。 そしてコントラバスの低い響きが絡む充実したアンサンブル。 第2ヴァイオリンの奮闘が目立っていました。 ここでもホルンが素敵でしたし、ハープや木管楽器も気持ちを込めた深い音楽。 田中さんの指揮もこれまでの楽章よりもかなり力を篭めていたようです。 持てる全精力を振り絞るかのように背中を丸め、それが微妙に震えて力を更に加えます。 オケもそれによく応えていました。 そしてクライマックスに向けての死に向う音楽、静寂へと向います。 しっとりした響き未練のようなものを引きずらないで自然と減衰。 そして響きが消えました。

このあとの静寂・・・これがまた素晴らしく、楽器の音の響きは消えたけれど、心に響く余韻をたっぷりと味あわせていただきました。 とても素晴らしい時間でした。
もっとお客さんが入って欲しかったところですが、第40回を記念するのにふさわしい充実した演奏内容だったと思います。 熱い演奏とこの素晴らしい時間を共有できたことに大きな拍手を贈らせていただきました。 ありがとうございました。