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摩耶交響楽団 第3回定期演奏会

気迫のこもったマーラー戻る


摩耶交響楽団 第3回定期演奏会
2006年6月25日(日) 13:30  神戸文化ホール・大ホール

ワーグナー: ジークフリート牧歌
マーラー: 交響曲第5番嬰ハ短調

指揮: 佐々木 宏


管打楽器を中心に据え、気迫のこもったマーラーの交響曲第5番でした。
冒頭から熱い響きが迸り出てきたのに、子供が驚いて泣きだす一幕も。 慌ててお父さんが外に連れ出したほど気迫の溢れた演奏が展開されてゆきました。
オーケストラ創設3年目でマーラーの第5番の演奏に挑戦。 新聞にはそのように採り上げられていたそうです。 興味を持って伺いましたが、冒頭に書いたとおり、管打楽器に圧倒されました。 そのぶん高音弦が薄いのが少々気になりましたけど、全員で25人のヴァイオリン奏者のうち10人がエキストラだというのが辛いところですね。 しかも25人でも絶対的な人数は少ないのかもしれません。 でもそこはヴィオラが奮闘していたのが印象的でした。 トップの人など、腰を浮かさんばかりの大熱演。 パートを精力的に引っ張っていました。 中音弦が豊かに鳴るオケは聴いていても安心感を覚えます。 これは摩耶響の特筆すべき点だと思いました。 あと嬉しかったのが有名なアダージョのあとの第5楽章へのアタッカ。 ここが大好きなんですが、この演奏でもアダージョの弦楽器の響きが静かに消えたあと、ホルンがパァ〜ンと鳴り、まずこの一音の響きが決め手なんですけど、これが素晴らしかった。 そして更にそれに続く木管楽器、旋律を歌い廻してゆくあたりなど朴訥とした感じも出ていてよかったですね。 とにかくこの後も気迫溢れるマーラーの演奏に耳を離すことができませんでした。
なおこれに先立って演奏されたワーグナーの「ジークフリート牧歌」、端正で爽やかな演奏でした。 颯爽と纏めたような感じかな、個人的にはもうちょっとうねるような響きも欲しかったけれど、今日の主役はマーラーですものね。 マーラーの前の小手調べとしては集中力の高い演奏でした。
最後にこのオーケストラ、小さな子供がいてオケに入るのをためらっている人のために練習時に託児を行っているそうです。 だから演奏会も中学生以下は無料で、未就学児童もOKなんです(保護者同伴の上、周りの方への配慮をお願いしているのは当たり前のことですものね、子供を抱えて飛び出したお父さん大変でしたね)。
今回の挑戦、そんなオケの皆さんにとっても素晴らしい経験になったのではないでしょうか。 お疲れさまでした。 そして今後のご活躍も期待したいと思います。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

早朝より出勤です。 いつもと同じ頃に家を出て、8時前かな、通勤の御堂筋線の車内で黒のワンピース姿でヴァイオリンを背負った若い女性を発見しました。 どこに行くかな、と思っていたら、梅田で下車して阪神電車の乗り換えが出口に向かって行かれました。 たぶん関学オケの方でしょうね。 尼崎で演奏会ですものね。 今日は吹田でも演奏会があるし、京都でもあるので、それだったら阪急電車やね・・・なんてこと思いながら会社に到着して課題整理。 誰もいないオフィスで落ち着かないと纏まりませんもんね。

神戸までちょっと時間がかかるし、12時ちょっと前にオフィスを出たら雨が降リ出してました。 せっかくの演奏会集中日なのにね。 いったん梅田に出てからJRに乗り換えてJR神戸駅で下車。 まず、湊川神社お参りするために境内に入りましたが、結婚式でしょうか。 雨なのに黒の礼服来た男女が多数本殿にいらしたのでコース変更。 境内を出てそのままホールへの坂を登りました。 開場時間を5分ほど過ぎていたかしら。 ホール入り口の階段のところで「最後列」との看板を持った女性のところに並びましたけど、すぐにズルズルと歩いて中に入ることが出来ました。

2階席は残念ながら閉鎖。 このホールの1階席に座るの何年ぶりかしらね。 そんなこと考えながら10列18番に陣取りました。 左側ですが通路寄り。 ヴァイオリンの後ろのプルトが正面に見えるあたりかな。 パンフレットやチラシを読みながら開演を待ちますが、開演10分位前よりコントラバスやチェロの方が出てこられて準備開始。 自由入場なんですね。 続々とオケの方が出てこられました。 弦楽器の編成は 10-7-8-5-4 だったかしら。 通常配置です。

オケの方も全員出てこられて定刻となり、チューニングを終えましたが続々とお客さんが入ってきます。 ほぼ7割位の入りでしょうか。 今日は結構入ってるね、と後ろに座っておられた年配の女性の方が連れ合いの男性に言っておられました。 まだ会場内は少々ざわつき感が残ってますけど、指揮者の佐々木さんがにこやかに登場されて、いよいよ始まります。

ワーグナーの「ジークフリート牧歌」、端正で爽やかな演奏でした。 颯爽と纏めたような感じかな。 個人的にはもうちょっとうねるような響きも欲しかったけれど、今日の主役はマーラーですものね。 マーラーの前の小手調べとしては充分すぎる集中力の高い演奏でした。

冒頭より佐々木さん、しなやかに振って柔らかな弦の響きを出しました。 穏やかで繊細な感じがよく出ています。 フルートの響き、オーボエによる旋律、まさしく朝の風景。 凛とした感じです。 佐々木さん、余計な色をつけずに淡々と進めてゆくような感じかしら。 個人的にはもうちょっと弦が粘って欲しいなぁ、なんて思ってみたり、木管のアンサンブルも溶け合っているのに、もうちょっと余韻をつなぐように流して欲しいなぁ、なんて思いました。 が、このホールの久しぶりの1階席ということもあるせいでしょうか。 とにかくサラサラとした響きがホールに吸い込まれていくような感じがしました。 でもジークフリートの登場を告げるホルン、まろやかで素適な響きが素晴らしかったですね。 それにトランペットもよかったですよ。 爽やかな音楽を丁寧に端正に纏め、全曲を閉じました。

15分間の休憩。 しばらくするとコントラバスの後ろのプルトの人たちや、ホルン、打楽器の人たちも出てきて準備を始めます。 気合入ってますね。 今度の弦楽器の編成は、12-13-10-9-8 のようです。 定刻になってチューニング完了。 佐々木さんが出てこられました。 さぁ大曲が始まります。

気迫のこもったマーラーの交響曲第5番でした。
冒頭から熱い響きが迸り出てきたのに、子供が驚いて泣きだす一幕も。 慌ててお父さんが外に連れ出したほど気迫の溢れた演奏が展開されてゆきました。 管打楽器を中心に気迫溢れるマーラーの演奏に圧倒。 ただし高音弦が薄いのが少々気になりましたけど、全員で25人中10人がエキストラだというのが辛いところですね。 しかもこれでも絶対的な人数は少ないのでは。 でもそこはヴィオラが奮闘していたのが印象的。 トップの人など、腰を浮かさんばかりの大熱演でパートを精力的に引っ張っていました。 中音弦が豊かに鳴るオケは聴いていても安心感を覚えますね。 これは摩耶響の特筆すべき点だと思います。
そして嬉しかったのが有名なアダージョのあとの第5楽章へのアタッカ。 ここ好きなんですが、この演奏でもアダージョの弦楽器の響きが静かに消えたあと、ホルンがパァ〜ンと鳴る。 まずこの響きが決め手なんですけど、更にそれに続く木管楽器、旋律を歌い廻してゆくあたりなど朴訥とした感じも出ていてよかったですよ。 とにかくこの後も気迫溢れるマーラーの演奏に耳を離すことができませんでした。

第1楽章、目の前に立てた指揮棒で拍を刻むと、太い響きのラッパの音。 そしてオケ全体の迫力ある響きに気圧された素晴らしい開始でした。 この響きに子供が驚いて泣いたので、お父さんが慌てて外に連れ出す一幕もあったほどです。
高音弦が深い哀愁を秘めた主題も熱い響き、対になるチェロも絡んで素適。 そしてまた曲はクライマックスを迎え、ぐいぐいと進みます。 トロンボーンとチューバに迫力がありますね。 ぐわっと迫り来る感じが見事です。
テンポが上がると佐々木さんも嬉しそうに振っています。 トランペットのソロ、佐々木さんも Good! と笑顔で合図を贈っていました。 管打楽器に引っ張られて曲が進んでいるようなのですが、それに対抗するかのようにヴィオラのトップの方、凄いリキ入ってました。 もう腰を浮かさんばかりの大熱演。 パートを引っ張っている姿を見ているだけで惹きこまれました。 熱い渦がうずまいているような錯覚にも捕らわれたみたいに聴き進み、そして最後のピチカートも熱く迸るような響きが凄かったですね。

第2楽章、ほとんど休みなく中低弦から重厚な響きが出てきた開始。 気迫のこもったブラスはここでも圧倒的ですね。 あれよあれよといった感じで進んでゆきます。 チェロによる哀愁に満ちた旋律も佐々木さん、前に前にと進めていったみたい。 そしてまたブラスで盛り上がってずんずんと。
嵐が済むと、今度はかなり速度を落とし、しみじみとチェロに歌わせます。 ヴィオラがいい味出して絡みます。 高音弦がここでもうちょっと粘り欲しかったところかな。 佐々木さんも終始ヴァイオリンの方を向いて力を込めて振っていました。
そしてまたクライマックス。 潔いティムパニなど、打楽器をタイトに鳴らし、トロンボーンとチューバもバリバリと吹いて、騒々しさの一歩手前で踏みとどまったような感じの迫力満点。 これを終結させて主題を回想、そっと響きを止めて楽章を終えました。

第3楽章、ホルンのトップの人がプルトを離れて後ろの雛壇に立って準備完了。 よく締まっているけれど角の取れた柔らかなホルンの斉奏による開始。 いい感じです。 弦楽器のアンサンブル、ヴィオラがよく鳴っていて響きを支えていますね。 クラリネットのベルアップも決まっていました。 ここまで比較的速いテンポでしたが、佐々木さん、弦楽器のみになるとテンポをぐっと落として歌わせようとします。 ただ前にも書いてますがけっこういっぱいいっぱいという感じかしら。 少々まとまり感がなくなったように感じた面もありましたけれど、ぐっと建て直して盛り上がってゆきます。 タイトに響くホルンの斉奏、情感豊かなソロともにリキ入ってますね。 打楽器もタイトに打って更に盛り上げ、最高潮に達した終結部。 演奏を終えると、佐々木さんがホルンのソロ奏者に親指を立てて Good! と合図を送っていました。

第4楽章、ヴィオラの方を向いて振り始めた佐々木さん、すぐにハープに向き、ヴァイオリへと指示を出して、しっとりとして柔らかな響きを演出。 これまでによりも大きな振りで、しなやかに進めてゆきます。 更に振りを大きくして徐々に音量を上げてゆきますが、マーラー特有の病んだような感じはまるでありません。 健康的かというとそうでもなく、ひたすら綺麗に、といった感じかな。 コントラバスなどしっかり弾いていますけど、端正な響きでしたものね。 徐々に消え入るように響きで終息させました。

第5楽章、消えた響きのあと、ホルンが長く伸ばしてパァ〜ンと鳴り、いったん間を置いてから残りを吹きますが、この最初の響きが決め手ですね。 実に素晴らしい一吹きでしたし、更にそれに続く木管楽器が旋律を歌い廻してゆくあたりなども朴訥とした感も出ていて見事。
チェロによる主題、第2ヴァイオリンが受け、木管も加わって進みます。 ブラスがタイトに割り込んできて活気づきます。 低弦が的確に弾いて曲を支えて堂々としたもの。 やや高音弦が薄いのが気にもなりますけど、全体としても端正な感じの纏め方をしているようで暴走しません。 佐々木さん、左手をグルリと廻して力を込めると、低弦がそれに応えて響きを増します。弦楽器には力を込めて弾くように更なる要求を出す佐々木さんも管楽器には端正ないつもの振りで全体を整えている感じ。 大太鼓が入ってタイトな盛り上がりです。 これをすっと退いて落ち着かせてから、中低弦の厚みのある響きとブラスの輝かしいファンファーレによる終結部。 ここでも佐々木さんはゆっくりと大きく振って丁寧にオケ全体を纏め、広げた両手を目の前で拝むようにして止めた潔い終結で全曲を纏めました。

気迫の篭った演奏に会場から熱い拍手が贈られてのカーテンコール。 佐々木さんに贈られた花束はホルンのソロの方へプレゼント。 女性奏者へのプレゼントはよく見かけるのですが、指揮者から男性奏者へプレゼントというのは珍しいんじゃないかな。 気迫のこもった演奏に依存はありませんし、それだけ健闘していたことなのですけれどね。

最後にこのオーケストラ、ホームページによると、小さな子供がいてオケに入るのをためらっている人のために練習時に託児を行っているそうです。 だから演奏会も中学生以下は無料で、未就学児童もOKなんです(保護者同伴の上、周りの方への配慮をお願いしているのは当たり前のことですものね、子供を抱えて飛び出したお父さん大変でしたね)。
我が家も供働きで子供を保育園に預けていましたんで、働くお父さんお母さんのために練習時に託児を行っているこのオケにはこれからも頑張ってもらいたいと思っています。 今回の挑戦、そんなオケの皆さんにとっても素晴らしい経験になったのではないでしょうか。 お疲れさまでした。 そして今後のご活躍も期待したいと思います。