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衣笠交響楽団 第14回定期演奏会

すっきり引き締まったブルックナー戻る


衣笠交響楽団 第14回定期演奏会
2006年7月16日(日) 14:00  長岡京記念文化会館

ボロディン: 歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」(*)
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番(**)
ブルックナー: 交響曲第6番

(アンコール)ワーグナー: 「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

独奏: 内木優子(p)

指揮: 平松久司(*)、宮村 聡(**)、伊藤和夫


キレの良いすっきりと引き締まったブルックナーの交響曲第6番を楽しみました。
衣笠交響楽団、立命館大学交響楽団OB有志が年に1回集っての演奏会だそうです。 団員の方は北海道から九州にも至るとか。 年1回のツアーのため、数回の練習で本番に臨んでおられるそうです。
にしても、芸術監督で14年前から一貫して指揮されている伊藤和夫さんによるブルックナーの交響曲第6番は集中力がありました。 音圧も十分で、キレも良く、美しい響きでタイトに決めた見事な演奏でした。 冒頭の緻密な弦の響きから、それまでの演奏とは一線を画していました。 中低弦と低音金管楽器がしっかりと曲を支え、抑制をよくかけた演奏は数回の練習とは思えないほど見事なものでした。 終楽章のフィナーレなども、勢い込むことなく、よく練り込まれた響きで締め上げ、残響が消えるまで音楽を楽しみました。
これに先立って首席客演指揮者の平松久司さんによるボロディンの「だったん人の踊り」は、遅めのテンポによる着実な演奏。 どこかのほほんとした感じも受けました。
また特別客演指揮者の宮村聡さんと内木優子さんのピアノによるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番もまた着実な演奏だったと思います。 ボロディンの演奏よりもオケの響きに粘りがありましたし、ピアノも強めの打鍵で気迫を感じましたけど、全体的には端正に纏めた感じだったでしょうか。
この2曲はいずれも今一歩で、もうちょっと踏み込みがあったら・・・と思ったのですけれど、これだけのプログラムを少ない練習でこなすのは、ちょっと大変すぎではないでしょうか。 そんなことも感じた演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

このところ会社で仕事してから演奏会に行くパターンが定着してしまったようです。 昼すぎに会社を飛び出て梅田に移動、13:00発の特急で長岡天神に移動しました。 少々疲れ気味で眠いのですが、ブルックナーの交響曲第6番が聴けるとあってはね。 しかも無料演奏会です。

衣笠交響楽団、立命館大学交響楽団OB有志が14年前に結成し、年に1回集っての演奏会ツアーだそうです。 団員の方は北海道から九州にも至るとか。 年1回のツアーのため、数回の練習で本番に臨んでおられるそうです。 芸術監督の伊藤和夫さんが14年前から一貫して指揮されていて、現役の立命館大学交響楽団員の方も参加されるようになったとパンフレットには書いてありました。

さてホールではいつもどおり後ろから4列目の25列23番に着席。 外は暑いのですが、ホール内はクーラーがよく効いてます。 疲れているせいもあって、寒さが身体にこたえるので上着をはおりました。 会場には小さなお子さん連れが多くおられますね。 いかにもOBオケといった感じじゃなでしょうか。 だいたい6〜7割の入りでしょうか。

定刻、アナウンスのあと整列入場。 なぜかティムパニ奏者の方だけ暗い舞台の上にずっとおられましたけど、そのためか定刻を5分ほど遅れての入場となりました。 弦楽器は通常配置で、よく見えませんが、10-12-10-10-8 の編成だったでしょうか。 チューニングを終え、首席客演指揮者の平松さんが登場されて始まります。
この平松さん、京響の首席トランペット奏者より京都橘女子高に転進されて、京都府吹奏楽連盟理事長やマーチングバンド指導者協会理事として活躍されているそうです。

ボロディンの「だったん人の踊り」、遅めのテンポによる着実な演奏でした。 どこかのほほんとした感じも受けました。 クライマックスでも勢い込まず、ゆったりと構えて曲を進めていった感じ。 なだらかに盛り上げ、ゆったりと踏みしめるような感じもした演奏でしたね。 冒頭などちょっと間延びした感じもしたのは練習不足なのでしょうか。 全曲を通して聴いてみて、弾けてない、吹けてない、ってことないのですけど・・・、いまいちピリッとしない感じ。 聴いたあと少々不完全燃焼な感じを覚えました。

管楽器奏者の方が引っ込んで、ヴァイオリン奏者の方々が席を後方に動かし、ピアノを前に持ってきます。 この間に管楽器奏者の方が入れ替わったようです。 手際良く並べて準備完了。 綺麗な赤のドレスで内木さん(若くて美しい方ですね)と指揮者の宮村さんが登場しました。 指揮者の宮村さんは現役の京響の首席トランペット奏者ですね。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。 全体的な印象では、こちらもまた着実な演奏だったと思います。 ボロディンの演奏よりもオケの響きに粘りが感じられましたし、ピアノも強めの打鍵で気迫も感じましたけれど、端正に纏めた感じに思えました。 少々子供が泣いて、聞き手として集中しにくかったこともありますけど、やはり聴いたあとイマイチ踏み込みが足りないように感じた演奏でした。

第1楽章、おごそかなピアノ響きがぐわっと大きくなった迫力ある開始。 オケも粘り強い響きでロシアの大地のような印象を持ちました。 重厚な音楽で、ピアノもしっかりとした打鍵です。 カデンツァも力が篭ってました。 ただ全体的にテンポを遅めにとっていた感じでしょうか。 クライマックスでも、ゆっくりと歩くように進みます。 バリバリ弾いて、ぐぃぐぃ進むって感じではありませんね。 着実に演奏しているような感じでした。

第2楽章、ほの暗い端正なピアノの響きで始まりました。 これに続くフルート、クラリネットもあまり抑揚をつけずハッキリと旋律を吹いたみたい。 そして響きが少なくなってくると、いまいち弦楽器がバラけてしまったようにも聞こえたんですが、子供が始終泣いていて、このあたりあまり集中できていません。 ピアノのソロもまた色をつけずに淡々と弾いているような感じかな。 さて指揮者が大きく振ってオケが音量を上げます。 情熱的な響きですが、ソロのピアノともにキレが足りないのかな、イマイチのめり込めませんでした。 しっとりとしたピアノ響きでこの楽章を終了。

第3楽章、弦楽器が力を持ってタイトに盛り上げた開始。 ピアノも端正に割って入ります。 弦楽器の響きが熱いですね。 弓を強く押し当てて粘っている感じ。 対照的にピアノは抑揚つけずに淡々と弾いている感じがしました。 しかもテンポをやや落とし気味じゃないかな。 だからオケの中低弦の響きの厚さが印象に残ります。 金管入ってきますが、こちらも少々型どおりな感じ。 いずれもきちんと演奏しよう、そんな感じなのかなぁ。 フィナーレも大きく振って要所を決め、ホルンも力を込めて、力に満ちた演奏として全曲をまとめました。

15分間の休憩。 なんかぐったりしてきました。 全然元気沸きませんね。 正直まったく弾けてないオケの演奏会にも出くわすのですけど、精一杯頑張っているのを耳にしたら、頑張ってるな、また聴いてみようか、と思えるのですけどね・・・弾ける人たちですものね・・・なんかこれまでの演奏、しっくりきませんでした。
そうこうするうちに定刻。 今度は 11-14-12-15-8 の編成でしょうか(よく見えていないので数え間違いがあると思います)。 さぁ気持ちを切り替えてメインのブルックナーに期待しましょう。

そのブルックナーの交響曲第6番、キレの良いすっきりと引き締まった演奏を楽しみました。 期待してよかった。
指揮者の伊藤さん、立命館大学交響楽団時代は打楽器奏者で学生指揮をされていたそうです。 卒業された14年前から一貫して指揮されているそうです。 その伊藤さんのもと、集中力があり、音圧も十分、キレも良く、美しい響きでタイトに決めた演奏は見事でした。 やはり練習量の違いではないでしょうか。 冒頭の緻密な弦の響きから、それまでの演奏とは一線を画していました。 中低弦と低音金管楽器がしっかりと曲を支え、抑制をよくかけた演奏を展開。 終楽章のフィナーレなども、勢い込むことなく、よく練り込まれた響きで締め上げ、残響が消えるまで音楽を楽しみました。

第1楽章、冒頭の緻密なヴァイオリンの響きに集中力を感じました。 ホルンもタイトに吹き、よく締まった中低弦がリズムを刻んで進みます。 これまでの演奏とは一線を画してますね。 集中力の高い演奏が、続々と繰り出されてくる感じ。 軽量級の演奏でサクサクっと前に前にと進みます。 クライマックスもまたよく締まっていて、ティムパニの連打もキレが良く、金管の音圧も上がりますけど、余力を感じさせるところが見事です。 後半やはり響きが薄くなると少々ぎこちなく感じた面もありましたけど、最後もタイトに決めて響きをスパっと切り落とし、残響がホールにこだましました。

第2楽章、伊藤さん、棒を持たずに振り始めます。 ゆったりとうねるような弦の響きが流れ出てきました。 木管のアンサンブルが緻密に響かせ合い、金管が加わって厳かで荘重な音楽になりました。 爽やかな高音弦、落ち着いた中低弦による音楽。 やはり響きが少なくなると茫洋としてきたみたいで、棒を持っての指揮になりました。 中低弦のピチカートが落ち着いてていいですね。 木管もチャーミングで、美しい音楽を堪能。 しなやかな演奏をそっと止めてこの楽章を終えました。

第3楽章、コントラバスの響き、フルートが緊張感を高め、金管楽器がタイトに吹きます。 足取りこそ軽いながらも集中力の高い開始でした。 次第に力を込め、更に集中力高くして音楽を休止。 また冒頭に戻ります。 カッコ良い休止でした。 音楽ももちろん息づいていますしね、ここからあとの休止もホント見事。 ブルックナーの醍醐味の一つですものね、見事に決めていました。 そして休止で緊張感を高めつつ緻密に響き組合せ、最後も力を込め、響きを巻き込むように盛り上げて切り落としました。 残響が残りました。 前後しますが、ホルンの斉奏も艶があって素晴らしかったことを追記しておきます。

第4楽章、厳かな開始からタイトな金管を割って入れます。 統率の取れた立派な音楽でゆっくりと盛り上げてゆきます。 第2主題を美しく演奏します。 少々流れがぎこちなく感じた面もありましたが、真摯な音楽には違いありません。 じっくりと盛り上げて金管が入って波に乗ります。 フルートが健闘してますね。 緊張感を更に高めます。 トロンボーンとホルンが締まった響き、これに低弦がしっかりと絡んで見事。 スパッと止め、ここからコーダでしょうか。 タイトな音楽になりました。 でも響きを拡散させるのではなく、内包させてじっくりと響かせた音楽を届けてくれて見事。 最後の最後まで勢い込むようなところなどなく、よく練り込まれた演奏として全曲を纏め上げました。
響きがホール内から消え、しばし無音の時を経てから拍手が次第に大きくなったのもまた良かったですね(でももう少しだけ余韻楽しみたかったけれど)。 熱い拍手に包まれました。

アンコールは恒例となっているとのワーグナーのマイスタージンガー、覇気ある演奏で2時間半を超える長丁場を締めくくりました。 前半2曲はもうちょっと軽めの序曲1曲にしておいたほうが良かったのでは・・・などと余計なことを考えながらホールを後にしました。 皆さんおつかれさまでした。