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六甲フィルハーモニー管弦楽団 第22回定期演奏会

自分達の音楽をまい進して気持ちのいい演奏会戻る


六甲フィルハーモニー管弦楽団 第22回定期演奏会
2006年9月3日(日) 14:00  神戸文化ホール・大ホール

ウェーバー: 歌劇「オベロン」序曲
R.シュトラウス: 交響詩「死と変容」(*)
ベートーヴェン: 交響曲第5番ハ短調「運命」

(アンコール)モーツァルト: 歌劇「フィガロの結婚」序曲

指揮: 松井真之介、森 康一(*)


集中力が高く引き締まった演奏の数々、自分達の音楽をまい進して気持ちのいい演奏会でした。
2〜3分遅刻したでしょうか。 2階席への階段を登るとき、「オベロン」序曲のホルンとトランペットによるカール大帝の登場の場面。 タイトに引き締まった響きがロビーにも朗々と聴こえてきて、その覇気のある音楽にワクワクながら、そっと扉を開けてホールに入りました。
通路脇の席に座り、最後まで身を乗り出すようにして聴かせてもらいました。 松井さんの指揮はとにかく元気いっぱい。 オーケストラの弦楽器の分奏がとてもしっかりしてたのが印象的。 ただし聴いていたのがホール隅だったからでしょうか、金管楽器がややダンゴ状態になって届いてきた感じもしましたけれど。 しかし覇気があり推進力のある演奏を堪能しました。
座席を中央付近に移動し、今度はR.シュトラウスの「死と変容」。 こちらは森さんによる指揮ですが、森さんは動き廻りはしないけれど、しなやかで大きな動き。 集中力を高めたオケから美しい音楽を導き出して見事でした。 素晴らしい演奏に感動しました。 この演奏、オケの機動力は勿論のこと、爽やかな色香を漂わせた美しさがとても魅力的でした。 堂々としたオーケストラ・サウンドはオルガントーンか、と思える場面もありましたものね。 大きな拍手を贈らせてもらいました。
そして15分間の休憩時間、これまで対抗配置だったコントラバス8本をステージ正面奥に一列に配置。 ムジークフェライン流ですね。 さすが松井さん、名曲中の名曲「運命」をこんな趣向で聴かせてくださるとは、期待が膨らみます。 そしてその期待を上回る迫力・気力の充実した演奏。 すべての繰り返しを行い、これでもか、これでもか、とタイトかつ豊穣な音楽の嵐。 ここでも松井さんの指揮は踊っていて、時に片足でケンケンをするような仕草でオケを乗せ、ぐいっと引き締めてからすっと開放してと、指揮台上狭しと動きまわってました。 自分のやりたいのはコレ、主張のはっきりした音楽。 とにかく音楽が好き、そんなオーラの感じる演奏に惹き込まれました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

前回は都合があって伺えず残念でしたが、今回は大阪の病院にお見舞いに行ってから神戸に移動。 時間的に厳しく、頑張って湊川神社の横の坂道をせっせと登りましたけど、2〜3分遅刻したでしょうか。 ごめんなさい。

2階席への階段を登るとき、オベロン序曲のホルンとトランペットによるカール大帝の登場の場面で、タイトに引き締まった響きがロビーにも朗々と聴こえてきてました。 その覇気のある音楽にワクワクながら、そっと扉を開けてホール内に(受付のお姉さんには、演奏終了後に入ってください、と言われましたけど、ごめんなさい)。

通路脇の席に落ちつき、さっそくの鑑賞ですが、少々息切れし流れるを汗を拭いながらもぐぃぐぃと身を乗り出してました。 弦楽器の分奏がとてもしっかりしていて、覇気のある音楽ですけれど安定感も抜群ですね。 ただ隅の席のためか、金管楽器がやダンゴになって届いてきましたけど、迫力満点。 指揮者の松井さん、指揮台の上を所狭しと動き廻ってるのも見逃せません。 時には左足でケンケンをするような仕草でオケを乗せ、キレの良い動きで引き締めたと思ったら、すっと開放して伸びやかになります。 あれよあれよという間に華やかなフィナーレ。 とにかく、推進力ある演奏を堪能しました。

ステージで席替えをやっている間に、こちらも座席を中央付近の通路後ろの足元の広い席に移動しました。 オケの編成は対抗配置で、12-11-9-9-7 かしら(数え間違いがあると思いますが一応)。 準備が整い、今度の指揮者の森さんが出てこられて始まります。

R.シュトラウスの「死と変容」。集中力を高めたオケから美しい音楽を導き出して見事でした。 素晴らしい演奏に感動しました。 この演奏、オケの機動力は勿論のこと、爽やかな色香を漂わせた美しさがとても魅力的。 堂々としたオーケストラ・サウンドはオルガントーンか、と思える場面もありました。 そして厳かな銅鑼の響き、ハープによる天上の光、雄大で柔らかな響きでもって余韻を残したフィナーレ。 大きな拍手を贈らせてもらいました。

第2ヴァイオリンを見て、ゆるやかな腕の動きから厳粛な響きを導き出しました。 ティムパニが不規則な鼓動のようなリズムを刻み、オーケストラ全体が吐息のような感じで呼吸しています。 ふわっと浮き上がるような響きはオルガンの響きにも似ていると感じました。 オーボエが凛とした響きで歌い、ソロ・ヴァイオリンが透明感のある美しい響きで回想。 ゆっくりと紡いでゆきます。
弾力あるティムパニ、重いコントラバスの響き、金管が引き締まっていて、堂々とした音楽を決然と進めて見事。 じつに集中力の高い演奏です。 森さんは、煽ることなく落ち着いたしなやか動きでオケをリード。 それでも左手を突き上げて金管を咆哮させたりもしますが、たっぷりとして余裕のある音楽ですね。
テンポが遅くなりますが、集中力は途切れず、大きくゆったりと今度は波打つよう。 綺麗に揃って響く第1ヴァイオリンに、フルートによる柔らかな主題、木管とハープも優雅に美しく絡み、透明感のあるソロ・ヴァイオリンと爽やかな色香を感じさせる音楽にうっとりと。 ほんと美しい音楽でした。
力のこもった音楽へとなってゆきます。 森さん、とてもしなやかで大きな動きですね。 トロンボーンがタイトに吹き、オケも更に大きな響きで歌いあげます。 それが繰返されながら次第に減衰して厳かさを備えた響きとなり銅鑼が低く静かに打ち鳴らされました。 金管が荘厳に響いたあと、ハープによる天上の光、雄大で柔らかなオケの響きでもって余韻を充分に残したフィナーレもまた見事でした。
正直、ここまで素晴らしい「死と変容」を堪能できるとは思っていませんでした。 しばしの静寂のあと大きな拍手を贈らせてもらいました。

15分間の休憩。 この間にステージ最後方にコントラバスを一直線に並べ始めました。 おおっ、ムジークフェライン流ですね。 この配置、ずいぶん前、フェスティヴァルホールにおいて本名徹次指揮大阪シンフォニカーでブルックナーのロマンティックを聴いたことがあります。 この時はコントラバスと前に並んだ金管楽器の響きがシンクロしてたのに驚きました。 今回、金管はティムパニの前(ステージに向かって右側)に集団で配置されていて、コントラバスの前には木管楽器が並んでいました。 とにかく松井さん、名曲中の名曲「運命」をこんな趣向で聴かせてくださるとはね、期待が膨らみます。 なお弦楽器はこれ以外は対抗配置で、12-11-12-9-8 の編成だったかな。 中低弦に厚みのある編成になっていました。

「運命」交響曲。 シャープで気迫のこもった充実した演奏でした。 すべての繰り返しを行い、これでもか、これでもか、とタイトかつ豊穣な音楽の嵐がやってきました。 ここでも松井さんの指揮は踊っていて、ぐいっと引き締めてからすっと開放したりと、指揮台上狭しと動きまわってましたね。 とにかく、自分のやりたいのはコレ、といった感じの主張のはっきりとした音楽は聴いると清々しさを感じました。 とにかくこの音楽が好き、そんなオーラの感じる演奏に惹き込まれてしました。

第1楽章、素早い振りで快速な音楽が飛び出しました。 フェルマータは長めにとっていますが、全体の速度が速いのであっという間に通りすぎた、そんな印象。 ホルンが引き締まった響きで切り込みます。 タイトに引き締まった音楽なのですけど、コントラバスがはっきり聴こえているからでしょうね、音楽にビシッと芯が通っているし豊穣さも感じます。 金管、とくにトランペットが(全曲を通じてでしたけど)突き抜けるように吹いていたのも印象的でしたね。 快速でキレの良い演奏ながら、ちょっと弦のフレーズを伸ばしてみたり、リズムに抑揚つけたりしていたようです。 最後は叩きつけるような感じで締め上げていました。

第2楽章、ヴィオラのチェロの深くコクのある響きによる開始。 よかったですね。 木管が明るく響きます。 コントラバスのピチカートも明るく弾むような感じ。 それを収めてまたヴィオラとチェロの深くコクのある響き。 対比がよかったな。 ここからちょっとテンポは速めになってきたかしら。 タイトな音楽だからでしょうか、ちょっと性急な感じもしますけどね。 でも中低弦の響きは充実していますし、クラリネットやファゴットの響きも深く凛とした感じで Good! 。 ただもうちょっと歌わせて欲しい感じもしましたけどね。 ここの終わりはフレーズを区切ってオーソドックスな感じで終了。

第3楽章の前、松井さん汗を拭いて眼鏡を直し少々インターヴァルをとってから開始。 これまでの楽章いずれも気合入ってまたものね、そしてここらはもっと気合入りました。
重心の低い弦の響きにタイトに吹くホルン、集中力の高い開始でした。 そして低弦から旋律を廻す分奏もバッチリ決まって見事。 ここでも性急さを感じさせる演奏ではあったのですけど、実にしかっりとした合奏です。 それを少々ブツ切れにしたり、丁寧に旋律を廻したりして、なんだか斬新な感じのする音楽に感じました。

第4楽章にはもちろんアタッカで突入。 トランペットが突き抜ける響きでここでも目立ってましたね。 前に前にと音楽を進めてゆきます。 合奏の精度が実に高いのが印象的。 緻密に組み立てられた演奏なんですね。 そして、これでもかこれでもかと旋律を繰返します。 松井さん、ノリノリな感じで指揮台の上でおっとっとっと・・てな感じで片足でケンケンをここでもやってましたね。 最初ちょっと控えめな感じだったホルンも終盤にきて咆哮してタイトでシャープな音楽。 大きく歌わせながら、スパっと切り落として締め、また力を集めて堂々としたエンディグを形成して全曲を綴じました。

個人的にはもうちょっと巻き込むような感じのドロ臭さも欲しい気はしたんですけどね、これはこれで、自分のやりたいのはコレ、自分の好きな音楽はコレ、と自信をもって演奏されていて納得させられた感じ。 とにかく主張のハッキリした音楽は聴いてきて気持ちいいものです。

アンコールの「フィガロの結婚」序曲も快速ながらも重量感のある響き。 ここでも時々叩きつけるようにしたり、小刻みに乗せていったり、さっとすくうようにして止めるなど、じつに楽しそうな松井さんが印象的。 好きな音楽をやっている、そんなオーラの溢れた演奏でしたね。
とにかく、技術的に優れていて、しかもとても熱い演奏の数々。 いつもそんな演奏を無料で届けてくださる六甲フィル。 ありがとうございます。
一緒に行った家内も驚いていたことを付け加えておきます。 おつかれさまでした。