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大阪市立大学交響楽団 第52回定期演奏会

気合の入ったショスタ5に圧倒戻る


大阪市立大学交響楽団 第52回定期演奏会
2006年12月16日(土) 19:00  いずみホール

ウェーバー: 歌劇「魔弾の射手」序曲 (*)
ドビュッシー: 小組曲
シュスタコーヴィッチ: 交響曲第5番ニ短調「革命」op.47

(アンコール)R.アンダーソン: 舞踏会の美女

指揮:井村誠貴、粂 順悟(*:学生)


気合の入ったショスタコーヴィッチの交響曲第5番。 圧倒的な演奏でした。

特に、ぐいぐいとオケを引っ張ってゆく井村誠貴さんにオケもよく応えた終楽章が凄かった。 かなり速い速度で駆けだし、そして終結部での打楽器の迫力は凄まじかったですね。 全曲を通じても、常に暗い影が付きまとう曲なのですが、深刻ではあっても、絶望の淵から落とされるようなおどろおどろしさを感じないのは、若々しい情熱のある学生オケだからでしょうね。 井村さんはそんなオケに大きなドラマを与えていたように感じました。
キリリっと引き締まった素晴らしい演奏に会場内も沸きかえり、演奏会終了後、ホールを後にするときでも、あちらこちらより「凄かったなぁ」との声が聞こえてきた熱い演奏でした。

なおこれに先立って演奏されたドビュッシーの「小組曲」。 こちらは暖かな感じがし、とにかく気持ちが明るくなるような演奏を楽しみました。 特に「行進」や「バレエ」など、聴きやすく楽しい演奏だったと思います。 きちんとインパクトを持たせ、聴かせどころを巧く与えてくださるので楽しませてもらえるのでしょうね。 オケもまたとても巧かったのが印象的でした。

また冒頭の学生指揮者である粂順悟さんによるウェーバーの「魔弾の射手」序曲。 しっかりとした構成感をもった演奏を楽しみました。 覇気を感じさせるクライマックス、締まった響きが特徴的でした。 演奏後に袖に下がるとき、背筋をピンと伸ばした姿勢が演奏スタイルも表していたように感じました。

なおアンコールは、R.アンダーソンの「舞踏会の美女」。 井村さんらしい遊び心たっぷりの楽しい演奏で、最後はコントラバスとチェロが楽器を一回転させ、喝采を浴びていました。 厳しい曲のあとの口直しですね。

でもやはりこの演奏会、ショスタコーヴィッチの交響曲第5番にすべての印象を持っていかれたような感じでした。
またこの曲のコンマスの方、4回生なのですね。 何度もお辞儀をし感無量といった表情もまた印象的でした。 4回生の方にはとても素晴らしい思い出になったことでしょう。 見事な演奏に当方も日頃の疲れを忘れ、帰路の足取りが軽くなりました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

休日出勤、17時頃に会社を出ようと思っていたものの、メールを打っていたら17時半の定時じゃないですか、大慌てで会場に向いました。 前売り完売とのこと、混雑が予想されるために早めに着きたかったのですが・・・案の定ホールの前は長蛇の列。 その列に並ぶこと約20分、なんとか開演に間に合いました。

定刻、整列入場したオケは 12-10-8-8-6 の通常配置。 コンマスが拍手とともに出てきてチューニングを実施します。 席は LA-22、2階席左側ギャラリーの前列です。 打楽器はよく見えませんがオケメンバーの表情がよく見えます。 いつも最後列あたりで聴いているため、オケの練習音が間近で聞こえてきてなんだかいつもと違う感じ。 ちょっと戸惑いました。 さぁ、学生指揮者の粂順悟さんが出てこられて始まります。

ウェーバーの「魔弾の射手」序曲。 しっかりとした構成感をもった演奏を楽しみました。 覇気を感じさせるクライマックス、締まった響きが特徴的でした。 演奏後に袖に下がるとき、背筋をピンと伸ばした姿勢が演奏スタイルも表していたように感じました。

慎重に響きに注意を払ったゆったりとした開始。 ホルンが丁寧に吹きます。 粂さん、ちょっと言い方は悪いですが徒手体操のように正確に音楽をなぞってゆくような感じですね。 ティムパニもそっと打ち、落着いて曲を進め、クラリネットが入って活気づきます。 覇気を持った締まった音楽として、ホルンの斉奏もまたびしっとして力強い。 クラリネットの暖かな音色が素適ですね。 伸びやかな演奏になってきましたが、やはり構成感をしっかり持たせた緻密で正確な音楽造りといった印象ですね。 粂さん、力強い指揮です。 自信を持って振ってらっしゃいます。 弾けるような全奏、芯のある響きでオケを走らせて、しっかりとした力強いエンディングを形成して曲を閉じました。

ステージは暗転、全員がいったん退場したあと管楽器メンバーより整列入場でメンバーが揃います。 12-10-8-8-5 の編成。 コンミスによるチューニングのあと、譜面台が片付けられた指揮台にむかって井村さんが登場。 うわっ、でっかい。 失礼ですが、久しぶりに間近で見させていただきそんな印象を持ちました。

ドビュッシーの「小組曲」。 暖かな感じがし、とにかく気持ちが明るくなるような演奏を楽しみました。 特に「行進」や「バレエ」など、聴きやすく楽しい演奏だったと思います。 きちんとインパクトを持たせ、聴かせどころを巧く与えてくださるので楽しませてもらえるのでしょうね。 オケもまたとても巧かったのが印象的でした。

第1曲「小舟」、美しいフルートの響きに柔らかな弦楽器がすっ〜と入ってきた開始。 とても柔らかな響きですね。 しかも暖かさがあります。 ホルンが素適な響きで揃えて、ヴァイオリンの高音がとても綺麗。 ふわふわっとして暖かく漂うような音楽を楽しみました。

第2曲「行列」、軽く弾むような開始から艶やかさがありました。 トランペットが抑えを効かせてますが輝きを損なってませんね。 いい感じ。 力のこもった行列でインパクトを与えましたが、すっと退きます。 とにかく聞いていて気持ちが軽くなってくる、そんな楽しい演奏です。 張りのある響きのホルン、上品にホールに響いたあと、残響を残して終わりました。

第3曲「メヌエット」、木管のチャーミングな合奏のなんと瑞々しい響きなのでしょう。 心洗われるようです。 ヴィオラの深い響き、ファゴットののどかさも上品で、しっとりとしているんですが、やはり陽性な響き、楽しさを感じます。 軽く弾むようにした終結も素適でした。

第4曲「バレエ」、暖かな弦の響きが踊り出します。 トライアングルがまたしっとりとした上質な響きで彩りを添えます。 オケに力がこもっても弾力がありますね。 刺激的な響きは皆無。 井村さん、踊ってオケを揺らしながら曲を進めているような感じかな。 軽やかなメロディ、指揮台のうえで踊り、柔らかな響きながらリズミカルに曲を進め、最後は弾力をもって纏めました。
とにかく聴いていてとても楽しい気分にさせてくれる演奏でした。 よかったなぁ。

15分間の休憩。 席でパンフレットを読みながら開演を待ちます。 1階席は最後列まで人が入ったようで、ステージに近い前の第3列目にも人を入れてほぼ満員状態です。
定刻、やはり管楽器メンバーより整列入場し 12-10-8-9-7 の編成となりました。 コンマスが登場。 このコンマスの方、じつに落着いていて手馴れた雰囲気が漂っています。 チューニングを実施して井村さんが登場。 一礼をしてオケの方を向いたあと、暫し下を向いて精神集中でしょうか。 ようやくコントラバスの方を向いて始まりました。

気合の入ったショスタコーヴィッチの交響曲第5番。 圧倒的な演奏でした。
特に、ぐいぐいとオケを引っ張ってゆく井村誠貴さんにオケもよく応えた終楽章が凄かった。 かなり速い速度で駆けだし、そして終結部での打楽器の迫力は凄まじかったですね。 全曲を通じても、常に暗い影が付きまとう曲なのですが、深刻ではあっても、絶望の淵から落とされるようなおどろおどろしさを感じないのは、若々しい情熱のある学生オケだからでしょうね。 井村さんはそんなオケに大きなドラマを与えていたように感じました。

第1楽章、ハナ息とともに力を込めた開始。 タイトな響きが出てきました。 気合十分なのですが、少々オケは慎重に対応したみたい。 重厚な響きですが、冷たくも暗くもありませんね。 ホルンもタイトに吹きますが響きが柔らかく、全体的にも深刻な感じをさせずに曲が進みます。 ピアノが入ると今度は重厚なホルンとなり、鼓動のようなコントラバスのピチカート、しだいに熱くなって音楽が走り始めました。 井村さんが軽くジャンプして打楽器が入ります。 女性のティムパニ奏者、胸を張って堂々の演奏です。 スピードを上げ、喧騒の一歩手前まで盛り上げた音楽を、また大きく鷲掴みのようにして曲を進める井村さん。 銅鑼が入って熱くドラマティックな盛り上がりが感動的。 これをすっと引き、美しい木管アンサンブルのあと、密やかなヴァイオリンのソロ、落着いた音楽としてそっと止めました。

第2楽章、強靭な響きのコントラバスによる迫力ある開始です。 タイトなホルン、木管アンサンブルもきりっと引き締まってます。 覇気のあるリズムを持ち、力のこもったチューバの響きなど素晴らしい。 ヴァイオリンのソロ、粘りも感じさせてこれまた良かったですね。 何より息づいた音楽がこの楽章を支配していました。 オケもよく反応し、おどけたようなアイロニーも感じさせた楽章を力強く終えて、残響がホールに残りました。

第3楽章、ヴァイオリンの後ろプルトを見て振りはじめます。 静かさに美しさが織りなされた演奏。 低弦がしっとりと響きます。 弦楽器の数が増してゆき、最後に第1ヴァイオリンの前プルトが演奏に加わるとしなやかさが倍増。 ハープが雨だれのような響きでしみじみとさせます。 オケが一丸となって音楽を熟成させてゆくような感じかしら。 しだいに力が増し、ティムパニのロールが力強くクレッシェンドし、コントラバスが熱く響きます。 その響きが引き、また熱くしてぐっと大きく力を込める井村さん、低弦に力を求めましたが、このあたりもうちょっと力が欲しかった感じかな。 十分にドラマティックではあるのですが、チェロにもうちょっと力が欲しい感じがしました。 チェレスタが神秘的な響きでこの楽章を閉じました。

第4楽章にはアタッカで突入、凄まじい力強さで走りはじめました。 バーンスタインの演奏のような感じかな、ぐぃぐぃと進みます。 低弦がパワフルかつよく締まった響き、カッコ良いですね。 そしてホルンがベルアップ、気合入ってます。 トランペットもまた輝かしくて素適でしたよ。 この盛り上がりをすっと収めて、今度は穏やかなホルンの響き、これもまたよかった。 そして伸びやかなヴァイオリン、弦アンサンブルが綺麗に響いてゆきますが、スネアが入って不安が侵食。 このあたり井村さんの指揮もとまたドラマティックに曲が展開してゆきます。 力強いオケの響き、更に緊張感を高めて、井村さんが大きな身体を更に大きく伸び上げて力を込めた感動的な音楽。 弾力をもった熱く雄大な音楽として、最後は物凄い打音がホールにこだました終結、圧倒されました。
ドラマティックで引き締まった素晴らしい演奏に会場内も沸きかえりました。 凄い演奏でした。

こんな凄い演奏のあと、一転して洒脱なルロイ・アンダーソンのアンコール。
楽しく踊りながらの指揮でオケのメンバーもまた楽しそう。 最後はコントラバスとチェロをくるっと一回転させての終結。 そんなお遊びもサマになった楽しい演奏に会場内はまた沸き立ちました。
鳴り止まない拍手のなか、コンサートマスターが場内3方向に大きく丁寧な礼をしてお開きとなりましたが、その真っ直ぐ一直線に注がれたコンサートマスターの眼差しには感無量といった光が差していましたね。 とても素晴らしい演奏会でした。