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甲南大学文化会交響楽団 第46回定期演奏会

緩急つけた巨人、オーケストラの力を存分に引き出し熱い戻る


甲南大学文化会交響楽団 第46回定期演奏会
2006年12月24日(日) 15:00  兵庫県立芸術文化センター・大ホール

スメタナ: 連作交響詩「我が祖国」より「高い城」(*)
マーラー: 交響曲第1番ニ長調「巨人」

指揮: 高谷光信、松寺 悠(*:学生)


緩急をつけたマーラーの巨人、オーケストラの力を存分に引き出して熱い演奏でした。
若手イケメン指揮者の高谷光信さん、醜男からするとちょっとカッコつけすぎじゃないかとも思えなくもありませんが、若者たちのオケを振って更にカッコ良い演奏としていました。

オケは変則対抗配置(第2ヴァイオリンとヴィオラが入れ替わってます)ですが、金管も左右に分けて配したもの。 終楽章ではこれが炸裂しました。 ステージ左に配したホルン軍団、右に配したトランペット・トロンボーン・チューバ軍団の応酬に、中央のティムパニほかパーカッション軍団も加わっての素晴らしい盛り上がり。 ホルンの起立に対抗し、トランペット・トロンボーン・チューバ軍団までも起立したのに驚きました。

しかし、しっかりとしたインパクトを与えてくれるティムパニを始めとするパーカッション軍団が中央で演奏の要となっていたのがとても好ましかったですね。 切れ味の良いティムパニ、輝かしいシンバル、力強い銅鑼、リズミカルな大太鼓にシンバルの打音などなど、いずれもスパっと切れ込んでくるのですけれども、抑制をうまく効かせて突出しません。

しかしそんな派手さだけではなく、あと第3楽章もそうでしたが、テンポを落とすところではしっかりと落とし、柔らかな響きで包み込むようなオーケストラ・サウンド。 高谷さんの指揮にしっかりと応えて見事な演奏でした。

なおこれに先立って演奏された、学生指揮者松寺悠さんによるスメタナの「高い城」。 こちらもエネルギッシュながらもタイトに纏めた演奏でした。 冒頭こそ慎重すぎたかもしれませんが、統率のよくとれた音楽。 松寺さん、時にはちょっとオーバーアクションかな、なんて思ったりもする盛り上げ方でしたけれど、タメをしっかりととり、常に節度をもった指揮が見事でした。

演奏終了後、涙ぐむ演奏者も多くいて、思いっきり頑張った演奏は一生の記念になったと思います。 とても熱い演奏会を楽しみ、1年を終えることができました。 ありがとうございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

クリスマス・イブというのに休日出勤してから演奏会に向いました。 会場の兵庫県立芸術文化センターに伺うのは初めてです。 駅から直結なんですね。 初めての場所ということもあり、早めに会社を出たので、列に並んで開場を待ちましたが、クリスマス・イブだからでしょうか、カップルが多いと思うのは気のせいかなぁ。

予定時間どおりの開場、初めてのホールであってもやはり2階席正面最前列を探し出して座りました。 2A-34ですが、この列には3台のテレビカメラがあってステージを狙ってます。 集音マイクも2本立てられ、音響的にも問題ない位置ではないかしら。 でもどの席も他のホールよりも足元が広いように思います。 最前列はそれよりもまだちょっと足元が広いみたい、これはいいことです。 ロビー・コンサートでしょうね、クリスマス・ソングがホール内にも聴こえてきますが、広い座席でゆっくりとパンフレットを読んで開演を待ちました。

定刻5分前の予鈴は鐘の音でしょうか、打楽器・管楽器奏者の方より整列入場。 弦楽器は 11-12-10-9-8 の編成の対抗配置で席につきますが、第2ヴァイオリンとヴィオラが入れ替わってますね。 このような配置は初めてです。 何か意図があるのかしら。 また金管楽器も向って左にホルン、右にトランペット、トンロボーン、チューバを分けた配置。 対抗配置をとっても管楽器は通常と同じことも多いのですが、これはいいですね。
さて、コンミスが拍手とともに登場してチューニング。 準備が完了すると長身でスリムな学生指揮者の松寺悠さんが登場して始まります。

スメタナの「高い城」。 エネルギッシュながらもタイトに纏めた演奏でした。 冒頭こそ慎重すぎたかもしれませんが、統率のよくとれた音楽。 松寺さん、時にはちょっとオーバーアクションかな、なんて思ったりもする盛り上げ方でしたけれど、タメをしっかりととり、常に節度をもった指揮が見事でした。

瑞々しいハープにまず惹きつけられました。 息づいた音楽の開始です。 松寺さん、慎重に振り始めて徐々に活気をつけてゆきます。 ちょっと慎重すぎるきらいはありましたが、透明感のあるヴァイオリンが出てきて素適になりました。 タメをきかせながら弦楽アンサンブルを引っ張ってゆきます。 落着いた全奏での盛り上がり、抑揚をうまくつけてますね。 そしてちょっとオーバーアクション気味でぐっと盛り上げ、これをすっと纏め、柔らかな木管に結び付けました。 なかなかいい感じです。
曲調が変わって、緻密な感じで盛り上げてゆきます。 軽くジャンプし、ここもまた統率のよくとれた音楽。 またちょっとオーバーアクション気味に盛り上げて、若々しくエネルギッシュな感じになりました。 でもね、ちゃんと節度を保ってますよ。 ぐいぐいと振って、さっと止めます。 しだいに雄大な感じとし、たっぷりと鳴る中低弦がいい感じ。 木管楽器が綺麗に響きます。 暖かな音色のクラリネットがよかったですね。 タメを効かせ、たっぷり鳴らした弦楽アンサンブルをゆったりと伸び縮みさせて、そっと着地。 うまく纏めました。 見事。

演奏終了後、松寺さんが貰った花束をオケの中を掻き分けてクラリネットの女性に渡すと涙ぐんでましたね。 いい演奏でした。

20分間の休憩。 席でじっとして再開を待ちます。 なんとなくこのホール、神戸国際会館のホールにも似てるようなギャラリーですね。 1階席はほぼ満員、2階のこのあたりも7割近く入っているかしら。 3階とか、4階もあるようですが、そんなところにいるカップル、よく目立ってますね(と何を見ていることやら)。

定刻になって整列入場。 順序よく並んで座ってゆきます。 今度の編成は 15-15-13-11-8 ですが、先ほどと同じく第2ヴァイオリンとヴィオラの位置が入れ替わった対抗配置。 今度はコンマスが登場し、チューニングして準備OK。 高谷さんが左手を挙げ、オケメンバーに立つようにと促しながら登場します。 コンマスと握手をし、笑みをうかべながらバルコニーを見上げて一礼。 自信たっぷり、そんな感じです。 さぁ始まります。

マーラーの交響曲第1番「巨人」、オーケストラの力を存分に引き出して熱い演奏でした。
高谷さん、ちょっとカッコつけすぎじゃないかとも思えなくもありませんが、若者たちのオケを振って更にカッコ良い演奏としていました。 ステージ左に配したホルン軍団、右に配したトランペット・トロンボーン・チューバ軍団の応酬に、中央のティムパニほかパーカッション軍団も加わっての素晴らしい盛り上がり。 ホルンの起立に対抗し、トランペット・トロンボーン・チューバ軍団までも起立して驚きました。 しかし派手さだけではなく、テンポを落とすところではしっかりと落とし、柔らかな響きで包み込むようなオーケストラ・サウンド。 高谷さんの指揮にしっかりと応えて見事な演奏でした。

第1楽章、高谷さんが左右に広げた手をいったん止め、呼吸をはかってからおもむろに振り始めました。 透明感の高い弦の音が流れ出てきます。 木管がく応えて好調な出だし。 バンダのトランペットも見事に決まりました。 ティムパニの静かなロールとともに低音弦のうねりと木管楽器のアンサンブル。 この木管が素晴らしかったですね。 第1主題が出てさらに活気ついてきます。 柔らかでかつ爽やかな音楽。 高谷さん、背筋をピンと伸ばしてカッコ良く振ってらっしゃいますね。 若々しくカッコ良い音楽が続きます。
大きなクライマックスに向けて徐々に登りつめてゆきますと、高谷さんが更に力を込めて振り下ろし、シンバルの一撃。 ホルンの斉奏もタイトで、輝かしい金管、弦楽器が力をこめていますが、ぐっと盛り上がっても節度をきちんと保って、リズム感よく盛りあげてゆきます。 最後はティムパニがタイトに打ち、左手を高々と挙げてスパっと止めました。 残響がホールに残り、高谷さんちょっとカッコつけつぎ、なんて思えたりもして・・

第2楽章、棒を持たずに勢いよく振って力強い低弦の響き導き出しました。 若いオケだからでしょうね、活力を感じて重すぎません。 フルートとクラリネットが同じように身体を揺らしながら吹いています。 美しい響きです。 高音弦、活き活きと曲を展開させます。 木管のベルアップも見事、よく揃ってました。 ティムパニがほんとカッコ良いですね。 タイトに盛り上げてゆきます。
一転、ゆったりとしたワルツとなります。 ちょっと止りそうな感じの遅いテンポですね。 高谷さん、身体を揺らしながら抑揚をつけていますが、オケもそれに見事についてきます。 綺麗なフルートが印象的でした。 そしてまたレントラーに戻って活気づくと、今度は踊るような高谷さん。 右手を廻して力を込めてシンバル、縦に振ってまた力を込めて賑やかにしたあと右手のパンチで曲を止めました。

第3楽章の始まる前にチューニングを実施。 この間に大太鼓にシンバルを取り付ける作業もしていましたが、これが終わる前に演奏が始まりました。
ティムパニが静かに刻む打音にのせ、コントラバスのソロがしみじみとした感じでホールに流れます。 ファゴットが巧いなぁ〜と思ったら年配の方、あ、トレーナーの宇治原さんじゃないですか、巧いのは当たり前ですね。 ゆったりと踊りながら進める高谷さん、かなりテンポを落としています。 ハープが入って明るくなり、柔らかなヴァオリンのアンサンブル。 ここでもファゴットが柔らかくて素適、この柔らかさがオケ全体にも言えて、とても気持ちのよい響きでしたね。 フルートなんて止りそうな感じの遅さで頑張ってますし、トランペットもしんみりとさせて見事です。 音楽をやや活気づかせますが、戸惑い感のようなものを巧く表現していたように思えました。 この楽章、最後までゆったりと進めて、そっと止めました。

第4楽章、アタッカで勢いの良いシンバルの一打よりぐいぐいと進めます。 先ほどまでの遅さとは一転、かなり速いのでは。 力がこもっても余裕を感じさせるのは、低音金管楽器と打楽器に余裕があるせいでしょうか。 トロンボーンなど覇気があってカッコよかったですね。
嵐が収まってヴァイオリンが入ってきます。 ちょっと前のめりかな。 これを高谷さんが押し止めてテンポをぐっと落とします。 止りそうな感じですね。 オケを静かにさせてから、徐々にまた波を大きくするような感じで漸進。 嵐の前触れもまだゆたったりと構えてから、ぐいっと腕を廻し、力のこもった銅鑼の一撃。 いい音でしたね、迫力満点。 音量をすっと下げ、ホルンが柔らかな斉奏でまたタイトに盛り上がってゆきます。 このあたりステレオ効果満点な盛り上がりです。 左からホルン、右からトランペット、トロンボーンそしてチューバ、中央の打楽器軍団がこれをきりっと引き締めてとても素晴らしいなぁ。 高谷さんが緩急をつけ、うねりを持たせての盛り上がり。 ヴァイオリンの音量も一段と上がったようです。 そしてホルンが起立して高らかに吹きます。 大きく振って雄大な感じとし、今度はトランペット、トロンボーン、チューバも起立して対抗したのには驚きました。 シンバルがまたまた素晴らしい響き、ティムパニも変わらず覇気ある打音でカッコよく盛り上げます。 ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバは最後まで立ったままでの斉奏。 高谷さんがぐいぐいと力を込めてゆき、エンディングは指揮棒を刀のようにして袈裟懸けで全曲を切り捨てるようにして閉じました。

オーケストラの力を存分に引き出したじつに熱い演奏。 高谷光信さん、醜男からするとちょっとカッコつけすぎじゃないかとも思えなくもありませんが、カッコ良い若者たちのオケを振って更にカッコ良い演奏としました。
打楽器の女性が涙ぐんでいます。 また管楽器や弦楽器奏者の女性で髪の毛に白い飾りをつけてらっしゃるのは4回生でしょうか。 一様に涙ぐんでおられるようです。 思いっきり頑張った演奏は一生の記念になったと思います。
とても熱い演奏会を楽しませていただき、そしてこのような熱い演奏で1年を終えることができて気持ちよかったです。 どうもありがとうございました。