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吹田市交響楽団 第62回定期演奏会

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吹田市交響楽団 第62回定期演奏会
2007年1月28日(日) 14:00  吹田市文化会館メイシアター・大ホール

シューベルト: 「ロザムンデ」序曲 op.26 (*)
シューマン: ピアノ協奏曲イ短調 op.54 (*)
ブラームス: 交響曲第1番ハ短調 op.68(ヘンレ版)

(アンコール)ブラームス: ハンガリアン舞曲第1番

独奏: 丸山耕路(*)

指揮: 米山 信(*)、新谷 武


丸山耕路さんのリリックなピアノ、見事なピアノ・コントールによるシューマンのピアノ協奏曲に感動しました。

1983年生まれのまだ若いピアニスト。 大阪音楽大学では最優秀賞を得て首席卒業した実力の持ち主なのですが、パンフレットに書かれた経歴には、電子オルガン、エレクトーンという文字が。 高校2年生の時にピアノに転向されたそうです。 偏見で申し訳なかったのですが、どうかな、なんて正直思っていたのですけれど、感情を巧く乗せたとても綺麗な響きが特徴的。

第1楽章の終わり、シューマンらしいくぐもった感じも見事に活写されて、素晴らしい演奏に感激しました。 あと、個人的には終楽章。 この楽章をバリバリと弾くのが多いようなのですが、しなやかでリッリクさをもった演奏とするのが好きなのですね。 まさしくそのような演奏が終始展開されて、この曲のこともっと好きになりました。
伴奏もまた、常任指揮者米山さん(大阪音楽大学ピアノ科教授)による指揮のもと、しなやかな表現で見事にサポート。 素晴らしい才能・演奏に大きな拍手を贈りました。

冒頭のシューベルト「ロザムンデ」序曲、こちらも米山さんの指揮でしたけれど、ん?、いつもと違って精力的な演奏でしたね。 大きな音量で畳みかけるような表現に驚きました。 いつもの省エネ運転ならぬ省エネ指揮法、淡々とした味わい深い演奏が好きだったのですけれど。 指揮法そのものは変わっていないようなのに、今回はオケが少々無防備に鳴っていたのでは。 ちょっと戸惑いました。

そしてもっと戸惑ったのがメイン、新谷さんの指揮によるブラームスの交響曲第1番。 マニアックな新谷さんの拘りでしょうね、この曲のみオーケストラを対抗配置に変更。 しかも、コントラバス8本をステージ後方に一直線に並べたムジークフェライン流。 このオケをこの配置で聴くのは初めてです。

冒頭のテンポの物凄い速さ、とにかく吃驚しました。 そして終楽章では、左右に振り分けられた金管、中央に配された低弦、そして両翼のヴァイオリンとが絡み合うとても精力的な演奏。 重厚で張りのある響きでホールが満たされました。

あとで教えてもらったのですが、このブラームスは指揮者の意向による版の指定、そして楽譜に忠実にテンポやダイナミクスを守った演奏を目指したとのこと。 
個人的には、ちょっとやりすぎかなぁ、なんて正直思ったりもしましたけれど、このような意欲的な取り組みは大いに評価したいと思っています。 アマオケなんだから、どんどんチャレンジして欲しいですものね。 皆さんお疲れさまでした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

ちょっと慌てて家を出ましたが、開演15分前にはメイシアターに到着。 いつものように2階席、通路後ろの足元の広い席 そ-31 を確保しました。 2階席は3割程度の入りになったでしょうか、1階席は7割位入っているように見えます。 このオケにしてはよく入っている感じ、というと失礼なのですがいつも、勿体無いなぁ、なんて思っているので、お客さんがちょっと多いと嬉しくなるのですね。

定刻になり、ホール内の照明が落ち、ステージが明るくなります。 オケの方が左右より整列入場。 通常配置で 12-11-8-6-7 の編成ですね。 コンマスによるチューニングの直前、ガタガタっと何か落ちたのかな、そんな音がしましたけれど、何事もなかったようにチューニングを実施。 チューニングの音が大きくなって雰囲気高まります。 いい感じですね。 米山さんがゆっくりと歩いて登場。 指揮台の上にあがってから客席に一礼。 さぁ、始まります。

シューベルトのロザムンデ序曲。 いつもの米山さんによる演奏と違ってとても精力的な演奏、大きな音量で畳みかけるような表現に驚きました。 いつもの省エネ運転ならぬ省エネ指揮法から繰り出してくる淡々とした味わい深い演奏、これが好きだったのですけれど、ん? 指揮法そのものは変わっていないようなのに、今回はオケが少々無防備に鳴っていたようにも思えました。 想定外の演奏についてゆけなかったこともありますが、このあたりは好みかもしれません。

冒頭より、ちょっと音量が大きい、そんな風に感じた開始でした。 オーボエ、そして木管による旋律がゆったりと歌い弦楽器も旋律を進めますが、纏まり感に欠けているような、ちょっと散漫な印象。 この曲、序曲なんですけど、エンジンのかかりの遅いアマオケが最初に演奏するのはとても難しい感じがしますね。

ゆっくりと進めたあと、急激な盛り上がり。 あ、いつもよりも音量が大きい! なんか唐突に盛り上がった感じです。 弦楽器による主題、低弦のピチカートが心地よく駆けてゆきます。 覇気ありますね。 活力にも驚きました。 米山さんの指揮なので、いつもの省エネ演奏かな〜 なんて思っていたので尚更です。 味わい深い省エネ演奏、好きだったんですけどね、今回は印象が随分と違います。 そしてオケ響きがまた重厚な感じ。 ティムパニの響きが大きいからかもしれません。 がんがんと進んでゆきます。

主題もどって、また駆けます。 米山さんの振りを見ていると、いつもと同じようなのですけどね、オケが少々無防備に鳴っているような感じ。 その印象をもったまま終了。
想定外の演奏にちょっと戸惑いました。 勢いのある演奏が好きな人にはよかったかな、と思いましたけど、いつもの米山さんによる演奏を期待していただけに、好みが分かれてしまった感じですね。 すみません。

暗転、ピアノを前に出して準備を整えます。 オケのメンバーも席について準備完了。
丸山さんがオケの前方を通ってステージ中央へ。 米山さんは、ちょっと遅れてオケの中を縫うようにして登場します。 丸山さん、1983年生まれだそうです。 ホール最後方からなのでよく見えませんが、まだ幼さの残る青年、そんな雰囲気が漂っています。 パンフレットには幼少より電子オルガンを始め、と書いているのが頭をよぎります。 どんな演奏を聴かせてくれるのか興味深々。 大好きな曲だけに、期待値も高くなりがちで、不安も入り混じりますが・・・

杞憂でした。 感情を巧く乗せたとても綺麗な響きが特徴的。 第1楽章の終わり、シューマンらしいくぐもった感じも見事に活写されて、素晴らしい演奏に感激しました。
あと、個人的には終楽章。 この楽章をバリバリと弾くのが多いようなのですが、しなやかでリッリクさをもった演奏とするのが好きなのですね。 まさしくそのような演奏が終始展開されて、この曲のこともっと好きになりました。
伴奏もまた、常任指揮者米山さん(大阪音楽大学ピアノ科教授)による指揮のもと、しなやかな表現で見事にサポート。 素晴らしい才能・演奏に大きな拍手を贈りました。

第1楽章、キレの良いオケと凛としたピアノによる充実した開始。 オーボエも素適な響きで寄り添います。 透明感の高いピアノが歌います。 細かな表情を織り込んだ素晴らしい演奏に惹きこまれました。 軽やかに弾いていても、芯があり、ピアノをよく鳴らしています。 電子ピアノ、エレクトーンが・・・なんて吹き飛びましたね。
オケも柔らかで繊細なサポート、さっきまでの大造りな音楽とは大違い。 いい感じです。 丸山さんのピアノ、強音になっても音は濁りませんし、弱音もしっかりと感情のせて、抜群のコントロールで聴かせます。 カデンツァもまた想いがよく乗っていて、会場内を惹きつけていました。 オケがすっと入ってくるとゆっくりと終結に向かって進みます。 力の入ったピアノも重くならず、くぐもったシューマンらしいくぐもったような暗さも感じさせてじつに素晴らしい。 オケとともに制御され、弾力のある響きで力強い終結。 ホール内から盛大な拍手が沸いたのも頷けます。

第2楽章、深めの響きながらも潔く、想いをよく乗せたピアノ演奏で始まります。 オケもうまくピアノに併せ、呼応し、深い呼吸をもって曲を進めてゆきます。 オケの木管、弦楽アンサンブルも奮闘して見事。 素晴らしい音楽にうっとりして、シューマンの音楽っていいなぁ、と聴き惚れました。 ゆっくりと充分な間合いをとって、木管が力を込めつつ、歌いあげるようにして力が漲ぎらせます。

第3楽章、アタッカで突入しますが、力強くあっても響きのあたりの柔らかさを失わないピアノ。 上品な響きによる開始ですね。 テンポはちょっと遅めか普通かも。 余裕を持っています。 オケの響きもまた柔らかくて、なかでもしなやかな弦楽器が魅力的です。 ピアノがしなやかで強靭な感じで盛り上げ、キラキラと輝くように流してゆきます。 綺麗。
ホルンもしとやかに吹き、昇ってゆきます。 オケも好演ですね、ポリフォニックな感じがよく出して軽やかに寄り添います。 ピアノは最後まで落着いていて力任せにならず、リズムにのった演奏を展開しています。 バリバリと弾く演奏が多いようなのですが、しなやかでリッリクさをもった演奏とするのが好きなのですね。 まさしくそのような演奏が終始展開。 嬉しいなぁ。
シューマンのこの曲のこと、ますます好きになりました。 ちょっと聴き手として気持ちが上ずってしまいよく覚えていないまま終結。
とにかく、素晴らしい才能ですね。 ちょっと興奮気味に大きな拍手を贈りました。

15分間の休憩。 暗転となったステージ上ではピアノを片付けたあとも、人が大勢出てゴソゴソやってます。 コントラバスを運ぶ人もいて・・・よく見ていると、ステージ後方に並べはじめました。 ウィーンフィルの本拠地、ムジークフェラインで彼らが演奏するときのコントラバスの配置ですね。 こんなことも演るんや、と思い、もしやともっとよくステージを見ると、ヴィオラのいた席が伸びて第2ヴァイオリンが並ぶようですね。 両翼配置とか対抗配置というブラームスの時代には主流だった並びです。 このオケでは初めての経験じゃないでしょうか。 少なくともここ7〜8年聴かせてもらってますが、このオケがこの並びになるのを初めて見ます。

13-12-8-8-8 の編成となりました。 チェロは従来の位置だったので、第2ヴァイオリンとヴィオラが入れ替わった感じですね。 金管楽器も、向かって左にホルン、右側にトランペットとトロンボーンを振り分けています。 ティムパニはコントラバスの並んだ最上段の向かって右隅。 予鈴の直前、準備完了となりました。 改めてメンバーの方が整列入場してチューニングを実施。 そして指揮者の新谷さんが登場し、指揮台の前に立って一礼してから登壇します。 いよいよ始まります。

ブラームスの交響曲第1番。 冒頭のテンポの物凄い速さ、とにかく吃驚しました。 そして終楽章では、左右に振り分けられた金管、中央に配された低弦、そして両翼のヴァイオリンとが絡み合うとても精力的な演奏。 重厚で張りのある響きでホールが満たされました。
あとで教えてもらったのですが、このブラームスは指揮者の意向による版の指定、そして楽譜に忠実にテンポやダイナミクスを守った演奏を目指したとのこと。 
個人的には、ちょっとやりすぎかなぁ、なんて正直思ったりもしましたけれど、このような意欲的な取り組みは大いに評価したいと思っています。 アマオケなんだから、どんどんチャレンジして欲しいですものね。

第1楽章、勢い良く振り始めた新谷さん、物凄いスピードで駆け出して目を丸くしました。 ティムパニの深い響き、一直線に並んだ低弦から重厚な響きでの精力的な演奏。 ただし、高音弦がついてゆくのがやっと・・といった感じも無きにしもあらず。 主題を繰り返したあたりより、中高音弦も追いついたようです(こっちの耳が慣れたのかな?)。 低弦の響きがよく通るぶん、全体的に中高音弦の響きが薄く感じることもあって、重厚だけれども粘りがない感じもしますね。 タイトに吹くホルン、トランペットを左右に振り分けた効果もあって、演奏はリズムにのってずんずんと進んでゆきます。 ちょっと息咳きって走っている感じかな。 しかし新谷さん、最後まで手綱を緩めることなく、最後は大きくゆったりとしたフィナーレとしてそっと着地。

第2楽章、この楽章はゆったりとしたオーソドックスな開始。 きちんと間をとって進めてゆきます。 時にフレーズの終わりに力を入れるような感じもしたかな。 凛としたオーボエ、弦のアンサンブルに低弦が加わると、やっぱり重厚になりますね。 木管が艶やかに吹いて曲を彩ります。 新谷さん、ここでも精力的に振っておられますが、出てくる音楽はオーソドックスな感じ。 さっきの(第1楽章)はナニだったのかな、なんて思ってみたり。 ヴァイオリンのソロが艶やかな響きで会場内を魅了します。 ホルンの演奏にも艶があって、活力のある若々しいブラームス、そんな印象をもった楽章を熱くそっと止めました。

第3楽章、まろやかなクラリネット、ホルンの響きによる暖かい開始です。 爽やかなヴァイオリンのアンサンブル。 ホルンもまた巧く絡んでいます。 音楽が活気づいてくると、新谷さん指揮棒を左手に持ち、棒を持たない右手を差し上げてコントラバスに指示。 オケを巧く纏めて力づかせます。 ここでも左右に振り分けられた金管が効果的に響きますが、全体としてはとてもオーソドックスな感じ。 そして最後、新谷さんが左手を挙げて止めました。

第4楽章、集中力を高めて重厚でハリのある演奏による開始。 ゆっくりと、じっくりと進めてゆき、じわじわっと盛り上がってゆくみたい。 ちょっと遅めのテンポではなかったかしら。 でもオケの響き自体はキレが良いですね。 ホルンが雄大に吹いて力が篭ります。 フルートも綺麗な響きで牧歌的な旋律を歌います。 そしてトロンボーンによるコラール、素晴らしい響きでしたね。 自信を持って堂々とした感じ。 次第に盛り上がってゆき、そして炸裂しました。 タイトな盛り上がり、重量感のある低弦とティムパニ。 これにソリッドに響くトランペット、力のこもったホルンが呼応。 中央奥のコントラバスとステレオ効果満点。 精力的な音楽となりました。 ティムパニが轟音といっても良い感じですね。 オケの機動力をフルに発揮し、意欲的な音楽として熱いクライマックスを形成して全曲を纏めました。

熱く燃えた演奏に場内よりブラボーがかかっていました。 両端楽章が精力的だっただけに、中間の2つの楽章はやや型どおりといった印象を持ちましたけれど、とても意欲的な演奏に大きな拍手を贈りました。
そしてアンコール、ハンガリアン舞曲第1番はもっと濃厚な演奏。 カラフルで、言葉を悪くすれば、チンドン屋の音楽のようにも思えましたが、アンコールですものね。 これはこれで楽しめました。

それぞれの曲・演奏とも、とても意欲的な演奏会でした。 とにかく皆さんお疲れさまでした。