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オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ 第11回定期演奏会

素晴らしい集中力戻る


オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ 第11回定期演奏会
2007年2月18日(日) 14:00  八尾プリズムホール

シューマン: 交響曲第4番(1841年初稿版)(*)
ショスタコーヴィッチ: 交響曲第12番「1917年」

(アンコール)マスカーニ: 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲

指揮: 松永健司郎(*、団内)、池田俊明(団内)


意欲的なプログラムを真摯に熱く集中力高く演奏した素晴らしい演奏会でした。

シューマンの交響曲第4番の1841年初稿版。 キリっとした表情の演奏を楽しみました。
第4楽章の冒頭、こんなにも違うのですね(CDを持ってますが予習してなかったので覚えてなく改めて驚きました)。 しかしそんな楽曲への興味よりも、プログラムにも書いてあるように、ロマン派というよりもベートーヴェンからの「過渡期」と書かれたのが分かるような真摯な演奏を楽しみました。 ちょっと噛んで含めるように感じた場面もありましたけれど、感情に流されず、構成感を大切にした演奏と理解しました。 大きな拍手を贈りました。

ショスタコーヴィッチの交響曲第12番「1917年」。 物凄い集中力を保ったまま最後まで駆け抜けた熱い演奏でした。 感動しました。
冒頭の低弦、艶と張りのある響きに気持ちが篭もっていて、耳を奪われたまま大音量による革命シーンに突入。 一糸乱れぬ見事な演奏に、否応なく巻き込まれてゆきました。 そして第3楽章もまた身を乗り出さざるを得ないような圧倒的な演奏が展開。 第2楽章や終楽章の前半の静かな場面でも全く集中力が途切れることのない入念な演奏です。 そして終楽章エンディングが更に圧倒的。 どこまで凄いんや、と唖然。 最後はシンバルが2組になるのですね。 満身の力をこめたフィナーレに会場から熱い拍手が沸き起こったとても熱い演奏会でした。

このオケを聴くのは1年ぶりでしょうか。 大学オケOBが立ち上げたオケの例に漏れず、平均年齢30歳を越えてからの団員減が悩みのようですが、踏ん張って継続して欲しいと願っています。
団内指揮者でこれほどの演奏が出来るオケなんてありませんもの。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

朝9時前より休日出勤。 平日ではなかなか出来ない報告書や納品物作成など、集中した作業を行い、慌てて昼メシ食ってオフィスを飛び出しました。 もうちょっと余裕が欲しいところですが仕方ありません。 でもなんとか榛原行きの準急を捕まえられたので15分前にホールに到着。 ようやく落ち着きました。

2階席は後で開放されたのかな、到着したときには階段にロープが張ってあったので1階のP-36に陣取りました。 中央よりやや後ろで右寄りですね。 ヴィオラの最後方のプルトが目の前正面になるあたり。 パンフを読みながら開演を待ちます。 シューマンの交響曲第4番もショスタコーヴィッチの「1917年」も分かりやすく書いてますね。 「1917年」は読みやすくて大いに参考になりました。

14時に開演5分前のブザー。 まだ4割程度の入りかしら、ちょっと寂しい感じですけど、ちょっと見(やはり)マニアックな人が多そうな感じかな。 確かに意欲的なプログラミングです。 5分後きっかり、左右より団員の方が整列入場。 通常配置で 16-13-9-10-7 の編成のようです(第2ヴァイオリンやチェロの後ろの方が見え難いですけど)。 コンマスが登場してチューニング、団内指揮者の松永健司郎さんが登場していよいよ始まります。

シューマンの交響曲第4番の1841年初稿版。 キリっとした表情の演奏を楽しみました。
第4楽章の冒頭、こんなにも違うのですね(CDを持ってますが予習してなかったので覚えてなく改めて驚きました)。 しかしそんな楽曲への興味よりも、プログラムにも書いてあるように、ロマン派というよりもベートーヴェンからの「過渡期」と書かれたのが分かるような真摯な演奏を楽しみました。 ちょっと噛んで含めるように感じた場面もありましたけれど、感情に流されず、構成感を大切にした演奏と理解しました。

第1楽章、指揮棒を持たず構えた腕を動かすと、ちょっと弾力を感じさせる和音、そして透き通った弦楽アンサンブルがゆっくりと流れました。 木管もゆっくりと寄り添いますが、ティムパニが硬い響きでタン!と締めてアクセント、またゆっくりと流れてゆきました。 どんな音楽になるのか興味深々でいたら主題に入る前に音型が変わって、そうそうこんな感じ、と思い出しました。 主題はタイトでかつ軽やかに流れますが、構成感を伴っているので爽やかな感じ。 小気味良くティムパニが打ちます。 トロンボーンが吹き、弦・管が旋律を回します。 ちょっと噛んで含めるような気もしないではありませんが、軽やかに曲を展開。 そして若々しい響きによるコーダをゆっくりと盛り上げるとホルンの音型もちょっと違ったかな。

第2楽章、オーボエそして木管が歌います。 ゆったりとした弦楽アンサンブルですが第1ヴァイオリンが5プルト目まで(10人)しか弾いてないのですね。 コンマスのソロは艶やかで、アンアンブルもそっと寄り添ってます。 ここでもトロンボーンが巧かったですねぇ。 柔らかく絡んで心地良いのです。 しみじみとした感じでもあるのですけど、暗さを感じさせないのはオケの若さからでしょうか。 そっと確かめるような感じで止めて・・・

第3楽章、力強い弦楽アンサンブル、低弦が心地よく響いています。 ホルンも高らかに吹きますが、きちっと弦楽器の響きの上にのっかって爽快。 ティムパニがタイトに打って曲想が変わります。
こんどはゆたっりとした弦楽アンサンブルとなりましたが、今度もっとよく見たら、第2ヴァイオリンの後ろやチェロ、コントラバスでも弾いていない人がいるのですね。 ざっと見て第2ヴァイオリン10名、チェロ6名、コントラバス4名ってところ(ヴィオラは数えてなかったけど9名のままだったかな)。 軽やかなのですけど、フレーズの最後に低弦をうまく響かせて気持ちよかったなぁ。
主題を戻し、休んでいた奏者も復帰して力強くなりますけど、またティムパニの響きを合図にゆったりとなり、ほんと緻密に曲を組み立てている感じ。 ヴァイオリンはノン・ヴィブラートかしら透明感の高い響きを出していましたね。 トロンボーンが厳かに吹き、徐々に高まってゆきますが、ちょっとゴチャマンとした響きで盛り上がってゆきます。

第4楽章、タンタンタンの後から旋律が随分と違いますねぇ。 なんだか嬉しくなってきましたよ、面白い。 クラリネットが入って耳慣れた感じ、と思ったけれど、微妙に違うのが混じっているみたい。 とにかく良い経験をさせてもらってますが、どこが違うか端的に言えないのが悔しいな。 トロンボーンが入ってぐっと盛り上がったのを止めて主題の繰り返しかしら。 2回目は少々耳に馴染んだせいか違和感は減ったみたい。
ホルンの斉奏、金管でぐっと盛り上がります。 ここも後ろで吹いている木管のフレーズも違うのかなぁ。 とにかくいつも聴く重厚な感じではなく、構成感を持った爽快感があります。 ティムパニが小気味良く打った最後の強打にハッとしました。 コーダの全奏、最後はコントラバスから始まった旋律を高音弦に回したフィナーレをすっきりと切り上げて全曲を閉じました。
演奏終了後、オケの中には笑顔がたくさんこぼれていました。 もちろん指揮者の松永さんも爽快な笑顔。 気持ちのよくなった演奏に大きな拍手を贈りました。

15分間の休憩だったかしら。 休憩の間に打楽器奏者の方が出てこられ、ティムパニを右側に寄せたりして配置を若干変更。 誰も居なくなったステージに予鈴のブザーが鳴ります。 5分後に団員の方が整列入場。 弦楽器の編成はさっきと同じだと思います。 16-13-9-10-7 。 同じくコンマスが登場してチューニングを実施。 今度は、やはり団内指揮者の池田俊明さんが指揮棒を持って出てこれました。 さあ始まります。

ショスタコーヴィッチの交響曲第12番「1917年」。 物凄い集中力を保ったまま最後まで駆け抜けた熱い演奏でした。 感動しました。
冒頭の低弦、艶と張りのある響きに気持ちが篭もっていて、耳を奪われたまま大音量による革命シーンに突入。 一糸乱れぬ見事な演奏に、否応なく巻き込まれてゆきました。 そして第3楽章もまた身を乗り出さざるを得ないような圧倒的な演奏が展開。 第2楽章や終楽章の前半の静かな場面でも全く集中力が途切れることのない入念な演奏です。 そして終楽章エンディングが更に圧倒的。 どこまで凄いんや、と唖然。 最後はシンバルが2組になるのですね。 満身の力をこめたフィナーレに会場から熱い拍手が沸き起こりました。

第1楽章、冒頭の低弦、艶と張りのある響きから魅力的でした。 高音弦、そして管楽器が入ってきますが、よく締まった響き。 ファゴットの薄暗い表情から徐々に走り始めてタイトなホルン、強烈な打楽器も加わると身を前に乗り出さざるを得ないですね。 凄い。 冒頭の低弦の響きがまた戻ってきて繰り返されます。 力のこもった演奏ですが、迫力のある低音金管や木管楽器のキレの良さも特筆しなければなりませんね。 そして何より打楽器。 ティムパニが響きを支え、スネアが演奏を引き締め、銅鑼が物凄い迫力で訴えかけます。 ほんとあれよあれよと言う間にこの楽章を終えた、そんな感じでした。

第2楽章、低弦の響きに中高音弦のピチカート、薄暗い感じで進み、ホルンもゆったりと歌います。 指揮者の池田さん、主に低弦の表情づけをして、うごめくような感じを演出。 高音弦がまた深い響きでその低弦に乗り、クラリネットとフルートもしっとりと絡みます。 神秘的な感じのする演奏で、ここでも真摯な集中力が見事。 しみじみとさせるファゴット、深い響きで歌うクラリネット、じっくりと腰の据わった演奏に厳かな銅鑼が響きました。 トロンボーンのソロもよかったなぁ。 徐々に緊張感を高める弦のトレモロ、やはりここでもコントラバスのピチカートやアルコによる深い響きが印象的でした。 ティムパニの響き、弦と呼応しながら徐々に音量が上がります。

第3楽章、銅鑼の響きを合図に木管が入って走ります。 ホルンの落着いた斉奏、低弦の唸り、更に緊張感が高まってバス・トロンボーンとチューバの覇気ある響きで更に音量アップ。 ついに、といった感じで打楽器が入って頂点に達して、そして銅鑼の強打。 大音量なのですが、落着いて、腰の据わった音楽が持つ迫力とでもいうのかな、騒々しく感じさせない魅力に感心しました。 よく締まった音圧のある演奏です。 そしてホルンが高らかに吹奏、カッコ良さがありました。

第4楽章、伸びやかな弦の響きに締まったブラス、フルートやクラリネットが明るさを音楽に持ち込みます。 弦楽アンサンブルがゆったりと歌い、軽やかな木管アンサンブル。 これまでのことを回想するように、ホルン、トランペット、そして弦楽アンサンブルにも力がこもってきました。 力が漲ってきて、全奏。 ここでの集中力も素晴らしい。 ずっと続くこの集中力、ここまで全く切れていないのに、更に指揮者の池田さんがオケを更に絞り込み、高めてゆきます。 もう演奏に釘付け状態。 伸びやかな弦楽器、締まったブラス、なかでも低音金管が腰の据わった響きが魅力的です。 シンバル、これまでも輝きを散りばめたような響きの多い演奏だったのですが、銅鑼の奏者もシンバルを持ち、2つのシンバルによって頂点。 更に力を込めた打楽器、オーケストラの力強い演奏で全曲を閉じました。

オーケストラの面々に爽快な笑顔が見えます。 熱い拍手が渦巻くなか、指揮者の池田さんが全力を出し切ったような感じで振り返って笑みをこぼしました。 更に拍手が大きくなりました。

何度も書きますがじつに素晴らしい集中力でした。 アタッカで続くこの難曲を、最初から最後まで全く集中力を切らさずに演奏し切ったなんて、ちょっとやそっとのことではないですね。
ただしここも大学オケOBが立ち上げたオケの例に漏れず、平均年齢30歳を越えてからの団員減が悩みのようです。 が、踏ん張って継続して欲しいと願っています。 団内指揮者でこれほどの演奏が出来るオケなんてありませんもの。
とにかく素晴らしい演奏ありがとうございました。 皆さんお疲れさまでした。