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紫苑交響楽団 第9回定期演奏会

爽快さを感じさせる気持ちのいい演奏会戻る


紫苑交響楽団 第9回定期演奏会
2007年3月10日(土) 18:00  八幡市文化センター・大ホール

ニールセン: ヘリオス序曲
シベリウス: ヴァイオリン協奏曲op.47 (*)
 (アンコール)J.S.バッハ: 無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番よりラルゴ(*)

ドヴォルザーク: 交響曲第9番ホ短調「新世界より」
 (アンコール)ドヴォルザーク: スラヴ舞曲第8番

独奏: 尾崎 平(*)

指揮: 高谷光信


暖かな表情の中に熱い息吹を内包したシベリウスのヴァイオリン協奏曲、引き締まった表情でドライブされたドヴォルザークの新世界交響曲、尻上がりに調子に乗せた素晴らしい演奏。 爽快さを感じさせる気持ちのいい演奏会を楽しみました。

シベリウスのヴァイオリン協奏曲、このオケの弦セクショントレーナーで、大阪センチュリー交響楽団の次席である尾崎平さんによる独奏。 その尾崎さん、奥行きを感じさせる演奏でしたね。 シベリウスらしい透徹した冷たさよりも秘めた熱さを感じました。 オケも集中力の高い演奏でサポート。 高谷さんのタイトな指揮のもと、深い響きを基調にしながらも、ちょっと即物的な勢いをも感じさせた演奏を展開。 聴き応えありました。 この両者の集中力、なかなかのものでした。

ドヴォルザークの新世界交響曲。 耳に馴染んだ名曲ですが、新鮮な感覚を覚えました。 高谷さんの確信に満ちた指揮でリードされ、中低音弦や木管アンサンブルがくっきりと聴こえていました。 この見通しのよさ、各パートともに生気を感じさせた熱い演奏でした。 オケの熱い響き、爽快さを堪能しました。

冒頭のニールセンのヘリオス序曲こそ、ミスは無かった(と思う)ものの、ちょっと焦点の定まらなさを感じましたが、いつもながらの爽やかで熱い演奏を聴かせてくれた紫苑交響楽団。 次回は井村さんの指揮のもとブルックナーの交響曲第6番とベートーヴェンの運命となります。 解散の危機を越え、飛躍を期待したいと願っていますが、そんな予感をも感じさせた熱い演奏会でした。
皆さんお疲れさまでした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

高知より朝のバスで発って14時に自宅に帰着。 2時間後には京都の八幡市に出発しました。
我ながら、よくやるなぁ、と思いますが、紫苑交響楽団の演奏が聴きたくて1時間半かけて移動。 もっとも電車賃ケチって通勤定期の使える大阪経由で、しかも八幡市からバス代までケチって15分ほど歩きましたから余計に時間かかってます。 ま、歩くのは身体と懐には良いことです。

あいにくの小雨がパラパラと降ってきましたが、なんとか目的のホールに滑り込みセーフ。 この八幡市文化センター・大ホール、初めて来ましたが新しくて綺麗なホールですね。 でも・・・、ちょっと座席の間隔が狭い感じ。 足元が窮屈なんです。 中央付近に座ってみたものの、なんだかちょっと落ち着きません。 周りを見渡したら、ホール入口の階段上の席が楽そうです。 さっそく移動。 かなり右側の座席になりますが、確かにココは楽ちんです。 ココに落ち着くことにしました。 25-44番ですね。

予鈴のブザー、アナウンスの始まるちょっと前より自由入場でメンバーの方が三々五々集まってきました。 対抗配置ですね。 弦楽器は 11-10-9-6-5 の編成でしょうか。 メンバーの最後、拍手とともにコンミスの方が出てこられてチューニングを実施して準備完了です。 にこやかな笑顔の高谷さんが出てこられました。 会場内は7割近い入りでしょうか。 いよいよ始まります。

ニールセンのヘリオス序曲。 座った位置が悪かったからかな、音響バランスが良くなかったのかもしれません。 ミスは無かった(と思う)ものの、ちょっと焦点の定まらなさを感じました。 でも壮麗な響きに、意欲を感じた演奏でした。

高谷さんがコントラバスの方を向いてゆっくりと振り、低い響きを導き出します。 ホルンが暖かな響きで重なってきました。 壮麗な感じ。 ヴィオラ、第2ヴァイオリンそして第1ヴァイオリン、更に木管楽器も響きを重ね、ゆったりとした夜明け前の雰囲気を作りあげてゆきます。 そして音楽が次第に高まってきても、全体の音量があがった日の出のシーンは陽光が燦燦と降り注ぐようです。 高谷さん、颯爽と振って、いつもながら格好良い指揮ですね。 雄大なファンファーレなど、意欲を感じさせる演奏を展開しているのですが、なんとなく焦点が定まっていないみたい。 ちょっと騒々しい感じ、纏まりの無さを感じました。
徐々に音量を下げ、フルート、ホルンなども常に暖かな響きを基調にしていますが、だんだんと楽器の数が少なくなり、最後はコントラバスの響きのみとなって、静かな日没として全曲を終えました。
座っていた場所的な問題でしょうか、各パートともに意欲を感じさせる演奏を展開しているのは分かるのですが、全体としてちょっとバランスが悪いようにも感じた演奏でした。 うーむ、偉そうにすみません。

いったん全員が退場し、第1ヴァイオリン席を後ろにシフト。 指揮台も右側にちょっとズラしました。 整列入場を行って先と同じ 11-10-9-6-5 の編成でしょうか。 チューニング完了。 このオケの弦セクショントレーナーで、大阪センチュリー交響楽団の次席である尾崎平さんを先頭にし、高谷さんも出て来られました。 ともにコンミスと握手。 さあ始まります。

シベリウスのヴァイオリン協奏曲。 その尾崎さん、奥行きを感じさせる演奏でしたね。 シベリウスらしい透徹した冷たさよりも秘めた熱さを感じました。 オケも集中力の高い演奏でサポート。 高谷さんのタイトな指揮のもと、深い響きを基調にしながらも、ちょっと即物的な勢いをも感じさせた演奏を展開。 聴き応えありました。 この両者の集中力、なかなかのものでした。 素晴らしい演奏でした。

第1楽章、透明感の高い高音弦のトレモロの中から尾崎さんの艶のある独奏ヴァイオリン。 凛としてちょっと冷んやりとさせますが、呼吸の取り方に無理がなく、深い響きも醸し出し、とても落ち着いた表情ですね。 オケも先ほどとは全く違って集中力の高さを感じます。 またオケも深く引き締まった響きが魅力的。 カデンツァとなり、心に染みるヴァオリンの響きを味わいました。 オケが入って盛り上がりますけれど、引締まった響きがそのままぐっと伸びるようにも感じます。 高谷さん、急激にドライブしますが、オケは見事にそれに追従。 2度目のカデンツァはキレの良さと深いコクを感じさせ、会場内を惹きつけていました。 ファゴットが艶のある響きで入ってきて、オケの響きに琥珀のような深さを感じます。 力強く高らかな響きの中に爽やかな木管も垣間見せ、タイトにコントロールされたオケの響きが最後にズンと鳴り、潔くこの楽章を終えました。

第2楽章の前にチューニングを実施。 クラリネットそしてオーボエも加わって綺麗な響きで始まります。 そして息の長いヴァイオリンの独奏。 オケとともにゆったりと歌い込んでゆくのをじっくりと楽しみました。 美しい響きの中に、秘めた情熱のようなものを感じました。 次第にオケが力を増し、気持ちも高揚してきます。 このあたりからかな、ちょっと即物的な感じになったでしょうか。 オケ、独奏ともに熱い息吹のようなものが感じられました。 そしてスピードが落ちても、熱く燃える青春の曲といった感じかしら、高揚感は続いています。 そんな熱さを持ったままこの楽章に幕を引きました。

第3楽章、重厚な響きに力強いヴァイオリンの独奏、艶やかさを持って駆け出しました。 ティムパニの低い打音、弦楽器のキザミも心地良く響いています。 オケだけになると、更に重厚な響き。 この間、尾崎さん、汗を拭ってられましたね。 そして、独奏となってまた力を込めて歌ってゆきます。 このあたり体力勝負的な部分なんですが、決して力任せにせず、丁寧にかつ深さを持った表現が素適です。 金管も入った全奏でぐっと盛り上がったのを、高谷さんがスパっと切って、上品さ感じをさせる独奏がまた艶やかに歌います。 深い響きのオケと独奏の艶やかな響き、対比させているのかしら。 奥行きを感じさせる演奏ですね。 大きく歌わせ、力を込め、押して、退いて、尾崎さんと高谷さんがドラマティックにこの曲を演出したフィナーレ。 潔く全曲を閉じました。 とても格好良い幕切れ。 我に返って熱い演奏に大きな拍手を贈りました。

尾崎さんのアンコールは、バッハの無伴奏ソナタよりラルゴ。 柔らかな響きに甘さを漂わせた演奏でしたね。 尾崎さんのお人柄が滲み出ていたように思いました。

20分間の休憩。 どこにも行かず、座席でアンケートを書き、プログラムやチラシを見ていたら練習音が。 自由入場でメンバーの方が出てこられて練習開始ですね。 今度の編成は 11-11-9-6-5 でしょうか。 もちろん対抗配置です。 定刻となり照明が落ち、コンミスによるチューニングを終えたら準備完了。 高谷さん、今度はちょっと真剣な表情で出てこられました。 さあ始まります。

メインのドヴォルザークの新世界交響曲。 耳に馴染んだ名曲ですが、新鮮な感覚を覚えました。 高谷さんの確信に満ちた指揮でリードされ、中低音弦や木管アンサンブルがくっきりと聴こえていました。 この見通しのよさ、各パートともに生気を感じさせた熱い演奏でした。 オケの熱い響き、爽快さを堪能しました。

第1楽章、高谷さんが横に広げた腕をすっと身体の前にすぼめ、ゆったりと大きく上下に振って、豊かな響きを導き出しました。 木管アンサンブルが絡んで素適な響きを醸し出しています。 力を込め、今度はタイトで重厚な響き。 コントラバスがお腹に響きますね。 艶やかな木管、キレの良い弦。 低弦が芯になって安定した音楽には覇気もありますし、ゆったりと歌わせるところは歌わせたメリハリのある演奏。 高谷さんが要所に力を入れながら盛り上げてます。 聴き応え充分、気持ちいい演奏です。 金管の咆哮、ティムパニが要所で強打し、引締まった壮麗な演奏を繰返したあと、残響を残してタイトに締めました。

第2楽章、厳かな感じのする開始。 やや音量が大きいかしら。 コールアングレが艶やかな響きでの独奏、でもあまり色をつけず端正な感じですね。 裏で吹くクラリネットも深い響きで支えた生気ある音楽が流れます。 高谷さん、左手を上下に使ってぐっと盛り上げると、オケもすぐさま反応して集中力の高さが見事。 フルートの響きもしんみりとさせますが、熱い想いを秘めているかのようにも思えました。 全体的に音量が下がらないような感じもしましたが、雄大に盛りあげたのをすっと退き、またコールアングレ。 弦楽アンサンブルが前プルトのみで奏でていたのをはっきりと止め、ヴァイオリンとチェロの響きに豊穣さを感じました。 トロンボーンとチューバがテリののった響きで厳かに吹き、低弦が優しく止めました。

第3楽章、高谷さん、さっと構えてキレの良い開始ですが、このあとはじっくりと進めます。 タイトなティムパニ、低弦がよく締まってますね。 高谷さん、自信たっぷりで颯爽とした指揮で進めていて、オケがそれに見事に対応。 気持ちの良い演奏です。 高谷さん、左手をぐるっと回して力を込めて盛り上げたと思ったら、今度はゆったりと歩ませてメリハリつけます。 オケは低弦が常にくっきりと浮かびあがるように聴こえてくるのでオケ全体が安定しています。 そして木管と弦楽器の掛け合いもまた綺麗に決め、要所で力を込めたタイトな盛り上がり。 ここでも木管楽器が綺麗に絡んでいて気持ち良い演奏。 緩急・メリハリをつけ、活気のある演奏を展開したのを、高谷さんが指揮棒を刀のようにし、袈裟懸けのように切って落として終わりました。 キレに良い演奏でした。

第4楽章、アタッカで力強い弦楽アンサンブル、そして全奏。 オケ全体の響きに照りが乗っている落ち着いた演奏を展開。 弦楽器を中心に据え、しかも低弦がくっきりと浮かび上がった極上の音楽です。 徐々に速度を上げますが、高谷さん、左手で低弦に更なる力を要求しながらもスマートな演奏が進みます。 シンバルが静かに鳴り、ゆったりと歌うクラリネットのまた巧いこと。 惹きつけられました。 低弦が入ってまた盛り上がると、輝かしさを持ったトラペットを挟みこみ、全奏となりますがここもまた落ち着いた曲運び。 耳に馴染んだ曲ながらも、手垢にまみれない清新な感じを受けます。 活き活きとした演奏に惹かれます。 このあとは音楽の流れに乗り、身を任せるように聴きました。 フィナーレ、じわじわっと盛り上げたのを大きく歌わせます。 高谷さんが上下にしなやかに振り、締まった響きを繰返した最後、すっと挙げた左手で止めました。 が、ちょっと拍手が早かったようですね。 腕が下りないうちに拍手となってしまいました。 最後のトランペットのフレーズ、消え入る部分がかき消されたのはちょっと残念でしたね。 客席のせいですが、ちょっと可哀想でした。

冒頭のニールセンのヘリオス序曲こそ、ミスは無かった(と思う)ものの、ちょっと焦点の定まらなさを感じましたが、いつもながらの爽やかで熱い演奏を聴かせてくれた紫苑交響楽団。 次回は井村さんの指揮のもとブルックナーの交響曲第6番とベートーヴェンの運命となります。 解散の危機を越え、飛躍を期待したいと願っていますが、そんな予感をも感じさせた熱い演奏会でした。
正直ちょっと疲れが残っていましたけれど、活きの良い音楽を聴かせてもらって元気を頂きました。 ありがとうございました。 そして皆さんお疲れさまでした。