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オーケストラ千里山 第12回演奏会

自然な音楽の流れが素晴らしい戻る


オーケストラ千里山 第12回演奏会
2007年5月6日(日) 14:00  吹田市文化会館メイシアター・大ホール

ボロディン: 歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」
ビゼー: 「カルメン」組曲より抜粋 (*)
     導入曲「運命の動機」
     第4幕間奏曲「アラゴネーズ」
     第3幕間奏曲
     第2幕間奏曲「アルカラの龍騎兵」
     第1幕間奏曲「闘牛士」
     「ハバネラ(恋は野の鳥)」
     ジプシーの踊り
チャイコフスキー: 交響曲第4番ヘ短調

(アンコール)エルガー: エニグマ変奏曲より第9曲アダージョ

指揮: 藻川繁彦(*)、河崎 聡


自然体で流れるチャイコフスキーの交響曲第4番に酔いました。

河崎聡さん、2003年から3年間ロシア留学されたそうですが、いわゆる力で押すのではなく、しなやかさがとても魅力的。 わざとらしい見栄を切ることは全くなく、基本はインテンポでしょうか。 しっかりとオーケストラをリードしつつ、自然と高みへと連れてゆきます。

音楽がとうとうと流れて味わいの深い第1楽章。 粘らずに爽やかさも感じた第2楽章。 軽やかな第3楽章に、終楽章は上記で書いたとおりのしなやかさが魅力的で酔いました。 素晴らしい演奏、上質な音楽を聴けて幸せでした。

河崎さんというと、いつも2002年5月の奈良女オケのスプリングコンサートでのシューベルトのグレート交響曲を思い出すのですが、この時も自然体。 オーケストラをどんどんとのせていって、アマオケによる音楽の醍醐味を味あわせて貰った、個人的に記念碑的な演奏となりました。
今回ちょっと違うとしたら、全体的にテンポが遅めだったことでしょうか。 でも噛んで含めるように感じることなどなく、音楽の流れがとても素晴らしい演奏に酔いました。

またテンポが遅いといえば、冒頭のだったん人の踊りも同じでしょう。 余計な力を抜いたしなやかな演奏で、たっぷりとした響きに心躍らされました。 音量も充分で、堂々とした演奏なのですが、急激な盛り上がりでもしなるように盛り上げていたのが印象的。 荒っぽい過激な盛り上げ方ではなく、常にまろやかで、しなやか。 それによってスカっとした爽快感も感じさせた演奏でした。 気持ちの良くなる演奏でした。

なお中プロは、団内指揮者の藻川さんによるカルメン組曲。 藻川さんは約3年ぶりの指揮となりますが、団内指揮者を盛りたてる一致団結したオーケストラによる演奏が印象的でした。 キリっと引き締まり、気持ちのよく伝わってきた演奏は、各ソロの響きもオケ全体の響きにとてもよくマッチしていて、僭越ですが、巧くなったなぁ、そんなことを感じながら聴いていました。

GW最終日。 生憎の雨模様でしたが、充実した演奏内容に気持ちは晴れ晴れとなって帰路につくことができました。 いい演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

GW最終日、しかも生憎の雨模様。 予定よりちょっと早目に家を出て、梅田経由で吹田に向いました。 淡路での接続があまりうまくいかなかったものの、開場5分後くらいに到着。 雨模様のなか、傘を差さずに小走りでホールに駆け込みました。

まだ入場する人の列が続いていて、そこに並ぶのも億劫だったので、まずはトイレ休憩。 気分をちょっと落ち着けてから入場し、いつもの2階席へと向います。 中央通路後ろの足元の広い席を愛用していて、今回もそ-30席を確保。 隣席に荷物を置き、靴も脱いでリラックスして開演を待ちますが、楽屋より練習音がよく響いてきます。 自由入場によりステージ上の練習も始まり、自然と気分は高まってゆきました。

5分前の予告アナウンスのあと、楽屋に残っていた弦楽器メンバーの方々も続々と集まってきて 12-13-10-10-8 の編成になったでしょうか。 そうそう今回は対向配置です。 金管楽器もまた舞台下手にホルン軍団、上手にトランペット・トロンボーン・チューバ軍団と振り分けられていました。
開演を告げるブザー。 コンマスによるチューニングが実施されて準備完了です。 お客さんは、2階席のここからだとよく見えませんが、6割程度の入りでしょうか。 河崎さんが穏やかな笑みを浮かべながら登場され、いよいよ始まります。

ボロディンの「だったん人の踊り」、ちょっと遅めのテンポ設定だったでしょうか、余計な力を抜いたしなやかな演奏で、たっぷりとした響きに心躍らされました。 音量も充分で、堂々とした演奏なのですが、急激な盛り上がりでもしなるように盛り上げていたのが印象的。 荒っぽい過激な盛り上げ方ではなく、常にまろやかで、しなやか。 それによってスカっとした爽快感も感じさせた演奏でした。 気持ちの良くなる演奏でした。

左右に広げた腕をしなるように振って始まります。 少々緊張気味な木管アンサンブルでしたが、オーボエのソロがやさしく語りかけて素敵。 コントラバスのピチカートが柔らかく響いてきたのもよかったですね。 ゆったりとしなやかな音楽が流れ、そして徐々に活気づいてきて、打楽器や金管も加わった厚みのある響きとなります。
これをスパっと止めて休止。 ハリのある太い響き、、大またで歩くように進みます。 これが実にしなやかですね。 音量はたっぷりとあるのに刺激的な響きはまるでなし。 河崎さんの動きを見ていると、肩の力が抜けていて実に自然体で進めています。 ヴィオラの響きもパワーを感じさせるのに円やかですね。 チェロの響きが芯になっているのかな、充実した響きの弦楽アンサンブルに、管楽器が軽やかに踊るように乗って吹きます。 河崎さん、右手をぐるりと廻して力を込めますが、それでも自然体の音楽のまま、大団円のフィナーレ。 気持ちがスカッとした演奏でした。

場内は暗転、管打楽器メンバーの入替えとシフトをします。 配置完了、コンマスによるチューニングを行うと準備完了です。 約3年ぶりの登場となる団内指揮者の藻川さん、気負いなくすたすたと登場され、にこやかな笑顔でコンマスと握手、一礼をして始まります。

カルメン組曲より7曲、いずれの曲も団内指揮者を盛りたてる一致団結したオーケストラによる演奏が印象的でした。 キリっと引き締まり、気持ちのよく伝わってきた演奏は、各ソロの響きもオケ全体の響きにとてもよくマッチしていて、僭越ですが、巧くなったなぁ、そんなことを感じながら聴いていました。

導入曲「運命の動機」、軽いハナ息と共に引き締まった弦のアンサンブル。 ゆっくりと更に集中力を高めて次ぎに繋ぎます。

第4幕間奏曲「アラゴネーズ」、軽やかなステップを踏むような開始、ピチカートの響きが熱いですね。 オーボエの可憐なソロ、そしてオケの皆さんが一致団結して緻密に曲を運んでいったのが印象的でした。

第3幕間奏曲、ハープとフルートの暖かな響き、クラリネットももっと暖かな響きでゆったりと歌いますが、集中力がまったく途切れませんね。 高音弦の響き、これもゆったりと歌いつつ自然と熱くなったのち、すっ〜と退いてゆくのもまたとても自然。 最後の柔らかなピチカートに結びつけました。

第2幕間奏曲「アルカラの龍騎兵」、ファゴットのまろやかな響き、弾力あるピチカート、軽妙に曲を進めていますが音量も十分。 聴き応えあります。 クラリネットのおどけたソロも素敵でした。

第1幕間奏曲「闘牛士」、ハナ息とともにお馴染みのメロディが飛び出します。 端正なファンファーレ、締まった響きですね。 弦楽器のメロディも柔らかな響きですが力もよく入ってます。 そしてまたファンファーレ、キレの良い力のある音楽としたのをスパっと切って落としました。

「ハバネラ(恋は野の鳥)」、深みのあるチェロの旋律で開始、ヴァイオリンもフルートも深みのある音色です。 ゆっくりとしなるように進みます。 力の入る伴奏部分も同じ音色。 クラリネットによる歌もまた暖かな響きが素敵でした。 ゆっくりと力を込めて止めます。

「ジプシーの踊り」、ハープとフルートによる慎重な滑りだし。 藻川さん、小さく振って集中力高めています。 ハナ息とともに力を込めたと思ったら、すっと纏めて、オケも見事に追随。 チェロのピチカートにまろやかなクラリネットが歌います。 トランペットのソロもオケの響きに溶ける素敵な音色。 テンポを上げても落着いた音楽はそのまま。 指揮者とともに一丸となったオケの響きをバシっと止めました。 巧い。

このところ団内指揮者による演奏に注目しているのですが、今回も団内指揮者を盛りたてるオケと一体となった気持ちの良い演奏。 これが団内指揮者の魅力でもあります。 楽しませてもらいました。

10分間の休憩。 ちょっと短い時間設定ですが、今回もまた席でアンケートを書きながら、じっと開演を待ちます。 休憩時間が短いこともあって、メンバーの方も早々にステージに出てこられて練習開始。 今度は 15-14-10-10-8 の編成でしょうか、対向配置で全員が揃い、チューニングを行って準備完了です。 河崎さんが出てこられ、まずオケを立たせてから中央に立って一礼。 いよいよメインの曲が始まります。

チャイコフスキーの交響曲第4番、自然体で流れる音楽に酔いました。
河崎聡さん、2003年から3年間ロシア留学されたそうですが、いわゆる力で押すのではなく、しなやかさがとても魅力的。 わざとらしい見栄を切ることは全くなく、基本はインテンポでしょうか。 全体的にテンポが遅めだったと思いますが、でも噛んで含めるように感じることなどなく、しっかりとオーケストラをリードしつつ、自然と高みへと連れていってくれました。 自然な音楽の流れがとても素晴らしい演奏でした。

第1楽章、ちょっとワイルドな感じのするホルンの斉奏、輝かしいトランペットの斉奏が続き、左右からのステレオ効果。 そして中央より深みのある弦楽アンサンブルの充実した響きに(申し訳ありませんが)少々驚きました。 いい演奏になるな、そんな予感を充分に抱かせる演奏が展開。 そしてそれは裏切られませんでした。
第2主題、深みもある潔いクラリネットの響き、そして弦楽アンサンブルもゆったりと味わい深く歌いながら引き継ぎます。 いいですねぇ。 そして急激な曲のに盛り上がりにも、中低弦の引き締まった響きが芯になっていて重量感も抜群。 金管ファンファーレもまた引き締まっていました。 よく纏った演奏、と書くと四角四面な感じがするのですが、基本はインテンポだと思うけれど、ゆったりしたテンポ設定で、味わいの深さが感じられる魅力的な演奏ですね。 これが繰り返されつつ進み、力をこめて切り落とした終結。 ここも気合入ってました。

第2楽章、オーボエのソロ、チェロのピチカートを伴ってしとやかに吹いた開始。 ここもゆったりと歌い進みます。 弦楽アンサンブル、懐かしさを秘めた柔らかな響きですね。 河崎さん、ヴァイオリンに力を要求し、大きく振って巻き込むようにしながら音楽を拡大してゆきます。 そうやって上げた音量もまた自然に減衰させて、奏者も聴き手も音楽の波にのせられているような感じ。 ゆったりと進めていますが、粘り気が少なくて、爽やかさを感じさせる心地良い音楽に仕上がっています。 ファゴットの柔らかな響きのあと、丁寧にアンサンブルの響きを絡めながらそっと置くようにしてこの楽章を終了。

第3楽章、ほとんど間髪を入れずに豊かなピチカートの響きがホールに響きます。 低弦のまろやかな響きが心地よいですね。 河崎さん、膝を使っての音量調整も見事に決まっています。 凛としたオーボエの響きがホールに流れて耳を惹くと、木管アンサンブルも素敵に絡み、金管がまたしっとり加減で端正に吹いて彩りを与え、いい感じ。 豊かな響きのピチカートが戻り、木管の舞曲風の旋律をチャーミングに吹いてふわっと着地。


第4楽章、アタッカで入るかなと思ったのですが、インターヴァルをとって集中力を付けて始まりました。 河崎さんがふわっと振ると、弾力のある響きが飛びだします。 ゆったりと力を溜め込むように進めて、また主題を繰り返し。 シンバル、大太鼓もまろやかな響きが魅力的です。 チューバ、トンロボーンも底力を感じさせますね。 そして何よりオケがこれをさっと翻し、また自然な流れで音楽を進めて盛り上げてゆくのが素晴らしいですね。 無理のない落着いた音楽(演奏者の方は必死かもしれませんが、聴いていると実に自然体に聞こえます)。
トランペットの高らかなファンファーレが引き締った強靭な響き、その後のまろやかなホルンのファンファーレからまたぐんぐんと登ってゆきます。 木管の軽やかな響きをともなった盛り上がりもまた自然な響き。 河崎さん、楽しそうに振ってらっしゃいますね。 そして全員一丸となったフィナーレは音量をぐんぐんと上げてゆきますが、見事に制御されて気持ちのよくこもった音楽として全曲を閉じました。

ブラボーも飛びだしましたが、確かにこれは掛け値なし。 全員一丸となった素晴らしい演奏でした。 アンコールのエニグマ変奏曲の曲もまた豊かな弦のアンサンブルの響きが自然体のしなかな演奏。 河崎さんらしさせしょうね、この自然体は。

河崎さんというと、いつも2002年5月の奈良女オケのスプリングコンサートでのシューベルトのグレート交響曲を思い出すのですが、この時も自然体でしたものね。 オーケストラをどんどんとのせていって、アマオケによる音楽の醍醐味を味あわせて貰った、個人的に記念碑的な演奏となりました。

今回ちょっと違うとしたら、全体的にテンポが遅めだったことでしょうか。 でも噛んで含めるように感じることなどなく、音楽の流れがとても素晴らしい演奏に酔いました。 充実した演奏内容に、雨はまだ降っていましたが、晴れ晴れとした気持ちで帰路につくことができました。 皆さんお疲れさまでした。 そしてありがとうございました。