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枚方フィルハーモニー管弦楽団 第65回定期演奏会

自然体の演奏が満載戻る


枚方フィルハーモニー管弦楽団 第65回定期演奏会
2007年5月27日(日) 14:00  枚方市民会館・大ホール

シベリウス: 交響詩「フィンランディア」op.26 (*)
ベートーヴェン: ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61 (*)
シベリウス: 交響曲第2番ニ長調op43

(アンコール)ラフマニノフ: ヴォカリーズ

独奏: 池川章子(vn)

指揮: 生島 靖(*)、寺坂隆夫


枚方フィルらしい、まろやかな自然体の演奏が満載、ゆったりした気持ちで演奏を楽しませていただきました。

冒頭のシベリウスの「フィンランディア」より自然な流れがとても魅力的でした。 変な力みや、見得を張って・・などとは一切無縁。 長身の生島さんの指揮は、いつもながらちょっと腰高かな、と思えるのですけれど、膝を折って表現する強弱アクセントをきちんと決めつつ進めると、オケも落着いて、堂々とした演奏で応えています。 オケ・メンバーの方と同じ波長で、恰幅の良い演奏を楽しみました。

中プロは、池川章子さんを迎えてのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。 尻上がりに調子に乗せた演奏でしたね。 第2楽章では静かな時間がホールに流れていましたし、終楽章では清々しさがありました。 個人的には第2楽章の軟らかさを特筆しておきたいところですけれど、オケがぴったりと寄り添って快活な終楽章もとても魅力的でした。

メインプロは、シベリウスの交響曲第2番。 寺坂さんの折り目正しい指揮に、各パート、そして全オーケストラが有機的に絡んだ演奏でした。 テンポはちょっと遅めだったでしょうか。 端正に進めながらも、各パートの想いがこもった演奏が、きちんきちんと繰り出されてきて、それが絡み合った演奏でした。 この曲、拍の取り方など難しいのだと聞いたことがあるのですが、なんとなく雰囲気で合わせて流すような感じでは全くなかったですね。 全員が同じ方向をきちんと向いた演奏に大きな拍手を贈りました。

このところ、団内指揮者によるアマケオ演奏に注目しているのですけれど、この枚方フィルこそ、この素晴らしさに気づかせてくれたオケ。 そして今回もまた、自分達の音楽、これをたっぷりと楽しませていただきました。

また今回も終演後には、ついさっきまで指揮されていた寺坂さん、そして前2曲を指揮しアンコールではファゴットのトップを吹いておられた生島さん、ともにロビーのアンケート箱前に立ち、「ありがとうございました」とお客さまのお見送り・・ こちらこそ頭が下がります。
いつもながら心温まるアットホームで素適な演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

なんとなく足が重くて、疲れがちょっと溜まっているみたい。 大阪に出る電車の中で仮眠をとって挽回しました。 淀屋橋から特急に乗り、開場時間に枚方市駅到着。 陸橋からも長蛇の列が見えます。 いつもながら多くのお客さんが集まってきていますね。 列に並んでゾロゾロと続いてホールに入ります。 今回も入場無料が嬉しいところです。

そしてホール・ロビーでは、今回も指揮者の生島さんが立っておられてお客さんのお出迎え。 これでてっきりメインプロの指揮だとと思ったのですが、なんと前2曲の指揮をされたのには、あとでちょっと驚きました。

まだ2階席への階段は会議机で閉じられているので、ひとまず1階席の右側壁際 よ-42 を確保。 パンフレットを読んで2階席の開放を待ちましたが・・・これがなかなか開放されない。 階段のところには、赤ちゃんを抱っこされたお母さんも立ってらして、2階の開放を待っておられる様子なのですが・・・

結局、開演5分前のブザーが鳴り、ベビーカーを持ったご夫婦も1階の階段を駆け下りてゆかれたので、1階席に落ち着くことにしました。 1階席は約8割くらいは入っているでしょうか。 定刻を告げるブザーとともに照明が落ち、オケの方が整列入場で席につきます。 弦楽器の編成は 10-9-8-8-6 でしょうか、通常配置です。 コンマスによるチューニングを終えて準備完了。 ステージが照明で照らされ、開演を告げるアナウンスのあと、生島さんの登場により始まります。

シベリウスの「フィンランディア」。 自然な流れが魅力的な演奏でした。 変な力みや、見得を張って・・などとは一切無縁。 長身の生島さんの指揮は、いつもながらちょっと腰高かな、と思えるのですけれど、膝を折って表現する強弱アクセントをきちんと決めつつ進めると、オケも落着いて、堂々とした演奏で応えています。 オケ・メンバーの方と同じ波長で、恰幅の良い演奏を楽しみました。

底力を感じさせるチューバとトロンボーン、そして張りのあるティムパニによる厳かな開始。 コントラバスが絡んでゆったりと進みます。 落着いた音色の木管といい、高音弦もゆったりとしていて、暖かな感じがしますね。 金管ファンファーレも締まった響きながら暖かさがあって、コントラバスの深い響きとともに堂々としています。 生島さん、いつもの膝を折って行う音量調整を決めながら曲を進めています。 淡々として抑揚をつけず、音量の強弱で表現している感じですね。 のほほんとした感じもして、この曲をゆったりと味わうのにはいい感じ。 フィナーレもまたごく自然な感じで突入。 ここでは大きくゆったりと歌い込むよう。 ここまた心地良い音楽です。 響きの多いティムパニを伴ったフィナーレ、これを生島さんが左手をぐるりと廻して纏めました。 自然な流れにそった演奏を楽しみました。

ステージが暗転、交代するティムパニ奏者の方を除いていったん全員が退場。 第1ヴァイオリン席を後ろにズラしてソリスト用のスペースを空けます。 席が整うと整列入場。 今度は 10-9-8-8-4 の編成でしょうか。 ソリストの池川さん、真っ赤なドレスに身を包んでの登場。 このドレスの赤色のなんと鮮やかなこと、目に痛いほどでした。 ヴァイオリンの調律を確かめ、準備が整うと指揮者の生島さんが指揮台に登ります。 さぁ始まります。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。 尻上がりに調子に乗せた演奏でした。 第2楽章では静かな時間がホールに流れていましたし、終楽章では清々しさがありました。 個人的には第2楽章の軟らかさを特筆しておきたいところですけれど、オケがぴったりと寄り添って快活な終楽章もとても魅力的でした。

第1楽章、軽く打つティムパニによる動機、木管アンサンブルによる牧歌的な主題の呈示、活き活きとした上々の滑りだしです。 生島さんの軽いハナ息も出て力を込めますが、音量は上がっても響きの柔らかさは一緒。 素敵です。 第2主題、木管奏者の皆さんが同じように揺れ、身体を使って表現する豊かな音楽、これもいいですねぇ。 そして呈示部を終え、池川さんのソロは、美音ながら力感も感じさせる響き。 ただし少々慎重な感じも受けました。 テンポはやや遅めでしょうか。 オケも柔らかで雄大な感じでサポートして進めます。 池川さん、徐々に興に乗ってきたようで、当初こそきゅうきゅうとした感じもしていましたけれど、しだいに伸びやかになってきました。 そして良い意味での女性的な繊細さ、しっとり感も出てきてカデンツァに突入。 ここでは艶のある落着いた響き、押しつけかましさを感じさせない演奏がよかったですね。 オケもふわっとした低弦ピチカートから徐々にスピードを上げ、まろやかな力を込めた終結としてこの楽章を終えました。

第2楽章、池川さんがヴァイオリンを調整してから始まります。 穏やかな弦楽アンサンブルによる開始。 池川さんのソロが濡れたような響きでそっと入ってきました。 クラリネットの柔らかな響きとヴァイオリンが絡み、ゆっくりと呼吸をしているようです。 ファゴットもまた素敵に絡んできました。 とにかくこの楽章、池川さんの心に染み入るようなヴァイオリンの響きがとても素敵。 そしてまたこれに絡むオケの響きと語り合っていて、うっとりとしました。 ホールに静かな時が流れていて、その流れにのってしばらく聞き惚れていました。 素適な時間を味わせてもらいました。 そして力強くも柔らかなオケの響き、短いカデンツァで気持ちがぐっと高揚し、終楽章に結びます。

第3楽章、もちろんアタッカで入りますが、生島さんの軽いハナ息とともに端正な盛り上がり。 そして柔らかなホルン、躍動的な木管楽器、これにチャーミングに歌うソロが絡み合いながら進みます。 池川さん、尻上がりに調子を乗せてきたようです。 ここでは軽やかでかつよく歌っていますね。 またオーケストラもこの楽章ではじつに快活。 全奏になると、とても楽しい音楽であり、清々しさも感じます。 そしてここのカデンツァは踏み込みのある聴き応えする響きが特徴的、もちろん艶やかでもありましたよ。 そしてコントラバスの柔らかな響き、ソロもまた軽やかに歌っている華々しいフィナーレを形成。 最後はまろやかな和音による着地で全曲を閉じました。
実はこの曲、あまり得意ではないのですが、最後までしっかりと楽しませていただきました。

15分間の休憩、2階席が開放されていたので荷物を持って移動します。 お子さん連れのお客さんとともに2階への階段を登ると、ここも結構人が入ってますね。 2割位の入りでしょうか。 やはり小さなお子さん連れが多いですね。 とにかく左側の最前列 A-17 を確保して一息つきました。 ここ足元が広くて楽チンなのです。 ひとまずアンケートを書き、開演を待ちます。
定刻となり、整列入場されて皆さんが席に着くと 10-9-8-8-6 の編成です。 後半よりコンミスに交代しました。 チューニングを実施して準備完了。 寺坂さんが登場されました。

シベリウスの交響曲第2番。 寺坂さんの折り目正しい指揮に、各パート、そして全オーケストラが有機的に絡んだ演奏でした。 テンポはちょっと遅めだったでしょうか。 端正に進めながらも、各パートの想いがこもった演奏が、きちんきちんと繰り出されてきて、それが絡み合った演奏でした。 この曲、拍の取り方など難しいのだと聞いたことがあるのですが、なんとなく雰囲気で合わせて流すような感じでは全くなかったですね。 全員が同じ方向をきちんと向いた演奏に大きな拍手を贈りました。

第1楽章、指揮台に乗った寺坂さん、オケに向かってまず一礼をしてからヴァイオリンの方を向いて構えました。 小さく振って脈動する豊かな和音を導き出します。 続く木管による主題呈示、ちょっとした事故はあったものの動じることなく遥かなホルンの遥かな響きへと繋ぎます。 しっとりとして豊かな弦楽アンサンブル、中低弦もきれいに絡んでいます。 ぐっと力を増す高揚感もきちんと出ていて、寺坂さんらしい折り目正しい指揮に各パートが有機的に絡んでいるようです。 弦楽パートの分奏もしっかりしていて、上から見ているのでヴィオラ・パートなどもよく動いていて、しっかりと曲を支えているのがよく見えます。 そして情熱的ながらも抑えて吹く金管楽器、弦楽器との受け渡しもきちんとしていて、全員で音楽を作っているのが判る演奏でした。 最後は静かに両手を小さく廻して止めました。

第2楽章、ティムパニの軽い打音に落着いた低弦のピチカートによる序奏、ファゴットがいい音色でした。 ホルンも遥かに響き、徐々にオケの音量が上がってゆきます。 ここもまたとても丁寧な音楽作り。 休止ではきちんきちんと間合いを取って進めてゆきます。 ちょっと間違うと硬直した音楽になり兼ねないと思うのですけれど、そんな感じが全くしないのは何故かな、なんて思いながら聴いていました。 結局、指揮者にやらされているのではなく、各パートが指揮者とともに全員で音楽を作っているからではないのかと・・・トランペットが柔らかな音色でしみじみと聴かせてくれたり、タイトなホルンが要所を締めていますけれど、個人ではなく全員の音楽として聴き応えのあるものになっていますね。 確かに、もう少々粘り気が欲しとか、巻き込むような感じになって欲しいような気もしましたけれど、清々しさを感じます。 最後のピチカートまで丁寧な音楽として締めくくりました。

第3楽章、左からヴァイオリン、続いて右から低弦、ステレオ効果を感じさせる力感のある開始。 ぐいぐいと力を乗せていったあと、オーボエがチャーミングですが端正な感じで歌います。 そしてまろやかに絡む木管。 この楽章の白眉ですね。 そして熱く想いのこもった弦楽アンサンブルに繋いでここも聞き惚れました。 そしてタイトな音楽となってまた盛り上がってゆきます。 これを繰り返し、力もまた増してゆきますが、ここもまた端正な感じ。 きちんきちんと進めているので端正に思えるのですけれど、機械的な感じがまったくしないのです。 それどころか暖かな音楽と感じます。 そして徐々に音量を上げて盛り上がってゆき、終楽章へと結びます。

第4楽章、パワフルなトロンボーンとティムパニでぐいぐいと力をため込んだ響き、トランペットが高らかに吹き、雄大なホルンが見事です。 そして豊かな弦楽アンサンブル、なのですが、このあたり高音弦の人数がもう少し欲しいと思ったのは欲張りでしょうか。 でも感動を持った盛り上がりには違いありません。 この後も柔らかなフルートを挟み込み、寺坂さん、決して煽らず、じっくりと進めてゆきます。 展開部でも丁寧に曲を進めてゆくのは同じ。 個人的にはこのあたり少々粘り気が欲しい感じもしましたけれど、底力のあるトロンボーンが戻ってきた終結部もまたパワフルです。 そしてゆっくりと踏みしめるようなコントラバスの響きを芯に、オケ全体が柔らかな響きを放って雄大に歌いあげてゆきます。 そして最後まで突出するパートなどなく、実によく纏った演奏とし、媚びることのない潔い響きを決めて全曲を閉じました。
確かに事故もありましたし、こうだったらななどと思った点もありましたけれど、なんとなく雰囲気で合わせて流すような感じでは全くなかったのが実に素晴らしいことだと思っています。 全員が同じ方向をきちんと向いた演奏に大きな拍手を贈りました。

アンコールはラフマニノフのヴォカリーズ、この曲ではしっとりとしたアンサンブルを楽しませてもらいました。 なお先のシベリウスの第2番ではファゴットの末席に座っておられた前半の指揮者生島さんがトップを吹いておられました。 そして終演後には、ここまで指揮をされていた寺坂さん、生島さんもともにロビーのアンケート箱前に立っておられ「ありがとうございました」とお客さまのお見送り・・ こちらこそ頭が下がります。
いつもながら心温まるアットホームで素適な演奏会でした。 素適な時間をありがとうございました。 皆さんお疲れさまでした。