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奈良交響楽団 第49回定期演奏会

重厚ながら活気ある演奏戻る


奈良交響楽団 第49回定期演奏会
2007年6月17日(日) 13:30  奈良県文化会館国際ホール

メンデルスゾーン: 序曲「ルイ・ブラス」op.95
ビゼー: カルメン組曲より抜粋
     闘牛士
     間奏曲
     アラゴネーズ
     間奏曲
     アルカラの龍騎兵
     闘牛士の歌
     ジプシーの踊り
シューベルト: 交響曲第8番ハ長調 D.944「グレート」(ベーレンライター版)

(アンコール)ビゼー: 「美しきバースの娘」より「セレナード」

指揮: 高谷光信


重厚ながら活気ある演奏の数々、高谷さんの指揮のもと、引き締まった演奏会を楽しみました。

特にメインのグレート交響曲、常に低弦の響きがする安定した演奏。 高谷さん、基本はインテンポで端正に進めていたようですが、要所をバシっと決め、きりりっと引き締めた演奏が素晴らしかった。 とにかく高谷さんに反応するオケが見事で、聴き応えのある演奏を展開。 この曲はその名のとおり長丁場でグレートなのですが、各パートがしっかりと持ち場を守り、響かせあってフィナーレまで崩れません。 そして終演、指揮者の高谷さん、オケの皆さんもまた笑みがこぼれていたのがじつに爽やかでした。 熱い拍手を贈りました。

そしてこれに先だって演奏されたメンデルスゾーンの序曲「ルイ・ブラス」、この演奏もまた荘厳な響きを垣間見せ、しかも活気ある演奏でした。 この演奏もまた低弦の響きがよくブレンドされていて、勇壮な響きを導き出し、しかもすべてに渡ってきちんと整理された演奏で、これは古典派の流れをしっかりと汲んでいるからでしょう。 聴き応えありました。

そして名曲カルメン組曲、落着いた曲の運びで、逆に少し遊びがあってもいいかなぁ、などと思えるほどのしっかりとした構成感を感じさせる演奏でした。 ここでも高谷さん、要所をバシっと良く決めて迫力あるいつものカッコ良い指揮姿。 聴いて、見て、お客さんは大満足でしたね。

アンコール、数度のカーテンコールのあと、コンサート・ミストレスの方がこれが最後だと客席に向って一礼すると、会場からまた一段と大きな拍手が沸き起こりました。 この拍手こそ掛け値なし、ホールにいた皆の意思でしょう。 皆さんお疲れさまでした。 次回演奏会がまた楽しみです。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

このところ仕事が急速に立ちあがっていて疲れ気味、気力の漲り方もちょっとよくなくって、どうかなぁ〜 演奏会行けるかな〜 な〜んて思っていたのですが、よし、と踏ん切りをつけて家を出ました。

ホールには開場して5分ほど過ぎた頃に到着。 ロビーコンサートが始まったばかり、混み合う人ごみを掻き分けるようにして2階席への階段を登りました。 2階席、中央最前列には人が入っていたので、左側ブロックの中ほど AA-6 を確保。 最前列は足元が広くて楽チンです。 お行儀悪いけど、靴を脱いでリラックスして開演を待ちます。 1階席は隅を除いてほぼ満員ですね。 2階席も3割以上入っていたように思います。 よく入っていましたねぇ。 アマオケ・フェスの影響でしょうか。 先日の橿原交響楽団の演奏会、行けなかったけれど、なんと立ち見も出たほどの満員御礼だったと聞きました。 行きつけの演奏会が活性化するのは、単なるリスナーですけれど、嬉しい限りです。

定刻、客席からの拍手とともにオケの皆さんが登場。 10-10-8-8-6 の通常配置で着席します。 コンミスによるチューニングを終えて準備完了。 指揮者の高谷さんが悠然と歩いて登場しました。 全員を立たせ、指揮台の前に立ち、にこやかな笑みをたたえながら客席をゆっくりと見て、余裕の一礼。 さあ始まります。

メンデルスゾーンの序曲「ルイ・ブラス」、荘厳な響きを垣間見せつつ進めた活気ある演奏でした。 低弦の響き、オケの響きによくブレンドされていて、勇壮な響きを導き出していましたね。 しかもすべてに渡ってきちんと整理された演奏だったのは、古典派の流れをしっかりと汲んでいるでしょうね。 聴き応えのある演奏でした。

ブラスの響き見事にブレンドされた上々の開始。 弦もまたよく揃っていました。 高谷さんの動き、まるで器械体操のようですね。 オケもこれにビタっと合わせていました。 丁寧に進めてゆきます。 ぐっと力がこもってきても引き締まった響きで反応。 低弦がしっかり鳴っているからでしょうか、余裕の響きといった感じ。 勇ましい音楽となっても、きりりっと引き締まった演奏で応えます。 チェロと木管、クラリネットとファゴットかな、いい響きでした。 トランペットが明るく、トンロンボーンは深く、ティムパニは重たい打音、活気のある勇壮な演奏として幕。 高谷さん、勇ましい騎士のようにも見えてカッコ良くもありました。

暗転、管楽器のメンバーが入れ替わったり、追加で入ってきたりします。 パーカッションのメンバーも増えましたね。 チューニングを実施して準備完了。 高谷さんが出てこられて始まります。

カルメン組曲、落着いた曲の運びでした。 逆に少し遊びがあってもいいかなぁ、などと思えるほどのしっかりとした構成感を感じさせる演奏でした。 ここでも高谷さん、要所をバシっと良く決めて迫力あるいつものカッコ良い指揮姿。 聴いて、見て、お客さんは大満足でした。

闘牛士、勢いのある音楽が飛び出しました。 シンバル、少々音量が大きめだったでしょうか、客席をぐっと引きつけましたが、2回目以降はちゃんとセーブして落着いた演奏。 カラフルな金管の響き、落ちついた音色の弦楽器。 丁寧に曲を進めていましたね。 ぐっと力を込めた終結です。

間奏曲、力のこもった開始、バストロンボーンかしら、深みのある響きが魅力的です。 ティムパニもまた重い響き、弦楽器にも粘りがあって、ここもぐっと力を入れて終わりました。

アラゴネーズ、エキゾティックに響くタンバリン、息づいているピチカートに続いてオーボエの旋律に心踊ります。 柔らかなピッコロの響きもまた素適でしたよ。 透明感の高い弦楽器が響いてきますが、高谷さん大きく抑揚をつけて盛り上げると底力を感じさせるブラス。 お馴染みの音楽を最後はしっとりと纏めました。

間奏曲、棒を置いた高谷さんが手のひらで指揮、ハープの響きにフルートが歌う美しい音楽をゆったりと。 クラリネットもまた柔らかでしたね。 少々生真面目な感じもしましたけれど、そこは誠実さなのですね。 また柔らかなピチカートで幕。

アルカラの龍騎兵、ファゴットの豊かな響きで歌います。 丁寧に曲を進め、爽やかな弦楽器の響きと明るい木管。 ここも丁寧に絡んでいました。 端正ですね。

闘牛士の歌、艶の乗った弦楽アンサンブル、ソロ・トランペットも独特な抑揚をつけて歌い、カラフルな音楽。 しかも勇壮でもあり、ぐいぐいと力が篭もってゆきます。 味わいのある演奏ですね。 力が漲ったまま駆け抜けました。

ジプシーの踊り、ハープとフルートが軽やかに歌い、弦と管の掛け合いも見事でした。 躍動感のあるピチカートに軽やかな木管の響きでしたが、最初は落着いた曲の運び。 そして要所をぐっと締めあげつつ進め、次第にスピードアップしました。 高谷さん、カッコ良く振ってぐいぐいとオケを乗せて頂点に。 指揮棒でもって袈裟懸けをするように切って落したエンディングでした。
よく纏った演奏でしたね。 もう少し遊びがあってもいいも・・なんて思るようなしっかりとした感じでした。

10分間の休憩。 10分?、えっ聴き間違いかな、なんて思えたのですけど、しっかりと5分経ったら予告のアナウンスがありました。 休憩時間が短いと、女性の方のトイレの列が気になるところですけれど、自分はといえば、もとより席より離れる気などなく深々とシートに埋もれるように座って開演を待ってました。
定刻、オケの方が入場されます。 今度は 10-10-8-8-6 の編成ですね。 コンミスによるチューニングを終えて準備完了。 高谷さんが登場してメインのグレート交響曲が始まります。

グレート交響曲、常に低弦の響きがする安定した演奏でした。 高谷さん、基本はインテンポで端正に進めていたようですが、要所をバシっと決め、きりりっと引き締めた演奏がじつに素晴らしかった。 とにかく高谷さんに反応するオケが見事で、聴き応えのある演奏を展開。 この曲はその名のとおり長丁場でグレートなのですが、各パートがしっかりと持ち場を守り、響かせあってフィナーレまで崩れません。 そして終演、指揮者の高谷さん、オケの皆さんもまた笑みがこぼれていたのがじつに爽やかでした。 熱い拍手を贈りました。

第1楽章、冒頭の柔らかなホルンの響きから惹き込まれました。 木管、弦楽器へと爽やかなアンサンブルで引き継がれてゆく見事な滑りだし。 そしてパワフルなブラスが落着いた響き、しゅっとした良い感じです。 ティムパニもちょっと深めの響きがよく合ってて素晴らしい。 ということで導入部からもうワクワクしながら聴き進めていました。 そして高谷さんの左手が素早く動いてアレグロの主部に突入。 堂々とした演奏です。 トロンボーンの響きが落ち付いててテリを感じますし、弦楽器の分奏がまた見事。 低弦が常に絡んでますし、ヴィオラなど中音弦もよく聞こえてきて安定しています。 基本はインテンポでしょうか、端正な感じで進めてゆきますが、ここ一番では抑揚つけて盛り上げてゆきますね。 しばし音楽に身を任せてました。 そして終結部、弓を大きくつかったヴィオラが印象的。 堂々とした演奏として着地。 素晴らしい。

第2楽章、引き締まった静寂な弦楽アンサンブルによる導入。 オーボエが想いを乗せた旋律を吹き、クラリネットもまた同じですね。 さっと切り返すように力強い響き。 キレの良さもありますがここまた堂々としていますね。 金管の強奏がちょっと気になりましたが、これは若さの現れでしょう。 この楽章もまた弦楽アンサンブルが良かったですね。 上から見ているので各パートがよく揃って動いているのを見ているからそう思うのかもしれませんが、第2ヴァイオリンなども落ち着いた響きがよく聞こえます。 流麗な主題をゆっくりと歌い込み、繰り返し、そしてこの楽章を静かに締めくくりました。

第3楽章の前、チューニングを行ってオケが準備を整えていると、客席からは咳払いがあちこちから聞こえて準備完了ですね。 勢いよく振る高谷さんに合わせて、力強い弦楽アンサンブルの響きが届きます。 木管が活き活きと奏でて応答し、更にまた力強い弦楽器が絡んで歌って、とても若々しいシューベルトですね。 ここもインテンポでしょうが、要所をタイトに決めつつ、ぐいぐいと進めてゆきます。 そして中間部のホルンが入って恰幅のよい演奏になりました。 落着いてゆっくりと進みますが、少々機械的な感じもする端正さが気になりますが、力強いアンサンブルが戻ってきて、丁寧に進めて潔く止めました。

第4楽章、活気あるブラス、機動力をもった開始に弦楽器も力を入れて応酬。 木管が流麗な主題を吹いてすっと落着かせます。 ホルンが入り、息づいた低弦ピチカート。 高谷さん、ここもまた落ちついて曲を進めていて、テンポを動かさず、音量の強弱による効果をつけているようです。 きちんと整理された音楽にパワーを内包させているって感じかな。 低弦のうえに音楽が乗っているのでしっかりとしています。 トロンボーンとコントラバスが力強く響き、ヴァイオリンも絡んできて熱い響きになりました。 ここでもテンポを揺らして抑揚をつけるのではなく、音量の強弱として表現し、端正にまとめたフィナーレとします。 底力のある弦の響きを荘厳に響かせ、これを指揮棒を素早く振り上げて解放させて締めくくりました。

自在に歌わせるよりもきちっとした演奏を心がけたようなグレートでしたが、充分に気持ちも乗った演奏でしたね。
話は変わりますが、ずいぶん前に聴いた奈良女オケのグレートは河崎さんの指揮でよく歌わせていたように記憶しています。 橿原交響楽団では次回演奏会で同じグレートが取り上げられるようですね。 各オケのカラーが楽しめるのでこちらもまた期待したいと思っています。

奈良響に話しを戻し、アンコール、そして数度のカーテンコールが続き、コンサート・ミストレスの方がこれが最後だと客席に向って一礼して散会するとき、会場からまた一段と大きな拍手が沸き起こりました。 この拍手こそ掛け値なし、ホールにいた皆の意思でしょう。 大勢のお客さんとともに演奏を聴いたことで元気を頂いたようです。
次回演奏会は、なんとハン・カヤさんを迎えてのシューマンのピアノ協奏曲、大いに楽しみです。 皆さんお疲れさまでした。