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関西大学交響楽団 第30回サマーコンサート

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関西大学交響楽団 第30回サマーコンサート
2007年6月27日(水) 19:00  吹田市文化会館メイシアター大ホール

モーツァルト: 歌劇「魔笛」序曲(*)
リスト: 交響詩「前奏曲」(**)
ブラームス: 交響曲第4番ホ短調op.98

(アンコール)ブラームス: ハンガリー舞曲第5番ト短調

指揮: 横山俊充、平尾真江(*,学生)、松本裕太(**,学生)


関西大学交響楽団の第30回サマーコンサート、いつもながら若々しさを感じさせる引き締まった演奏会でした。

冒頭のモーツァルトの「魔笛」序曲、今回初指揮となる副指揮者の平尾真江さん、きちっと振っているのに堅苦しさは感じさせず、しっかりとモーツァルトの音楽になっていたのが印象的でした。 小気味良い振りは縦振りが基本でキレの良いのが特徴。 特に下から上に振り上げる所作のキレが良く、音楽に張りがありますね。 演奏後、初々しくこぼれるような笑顔もとても素敵でした。

続いて、正指揮者の松本裕太さんの指揮によるリストの「前奏曲」。 学生らしい真っ直ぐなリストの音楽を楽しみました。 松本さんはちょっと半身に構え、斜めに構えた指揮棒を素早く振り下ろす力強い振りが特徴的。 テンポが遅くなる部分などけっこう難しいと思うのですが、これをしっかりと纏めた手腕は立派です。 そしてスピード上げた全奏でのキレ込みの良さなどは余裕。 手綱を締め抑えを効かせてきりっと引き締まった演奏としていました。

そして休憩を挟み、客演指揮者の横山俊充さんによるブラームスの交響曲第4番。 横山俊充さんって初めて聴かせてもらいましたが、かちっと引き締まった若々しいブラームスを作られていました。 個人的にはもうちょっと哀歓漂わせた演奏が好きなのですけれど、そこは横山さん、若者のオケを率いて安定した演奏を展開。 そしてオケもまたよく頑張っていました。 何より低弦がよく締まっていたのが見事でしたし、ホルンやトロンボーンもいい音色でした。 そしてフィナーレ、オケのメンバーが渾然一体なって響きを合わせて駆け抜け、爽快感ある演奏として纏めました。

とにかく関大オケ、いつも学生指揮を楽しみに伺っています。 今回もまた見事な演奏を楽しませてもらいました。 普通なら安全運転に徹して音楽に生気が失われる場面もあったりするのですけれど、これは大学の持つ気風なのでしょうか、いつも熱気を感じさせる学生指揮者の演奏が素晴らしいのです。 今回も熱気に満ちた会場で熱い演奏会を楽しませてもらいました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

18:00を過ぎ、打合せが終わってもまだ立ち話で仕事の進め方などの話を延々としていましたが、頃合を見計らって話しを打ち切って会社を飛び出しました。 夕方の休み時間を潰して話してましたしね、メールも適当に眺めただけでしたけど、あとは明日、そう割り切ってホールへと直行しました。 出張が1日延期されたのも幸いでした。

そうやって焦ってホールに駆けつけたものの、なんと開演30分ほど前に到着。 北千里行きの電車が丁度良いタイミングでやって来ましたしね。 日ごろの行い、ということにしておきましょう。 2階席のいつもの場所、通路後ろの足元の広い席(そ-29)を確保し、お行儀悪いけど靴を脱ぎ、扇子でパタパタやっておっさんモード全開でひとまず休憩です。 中年サラリーマンからそろそろ初老へと脱皮中・・

パンフレットの学生指揮者の紹介記事など読んでいると、開演5分前を告げるチャイムとアナウンス、1階席は8割位入っているでしょうか、2階席も4割近い入りで、いつもながらよく入っています。 またパンフレットに目を落していたのですが、ふっと目をステージに向けたら、なんとオケの皆さんが既に着席してらっしゃいました。 この間、僅か1〜2分でしょう。 ちょっと目を離しただけなのに、なんと早業。 慌ててプルト数の確認などこちらも準備をします。 ちなみに弦楽器が 12-11-8-6-4 の通常配置でしたね。

開演を告げるチャイムとともに客席の照明が落ち、ステージが照らし出されます。 コンミスが拍手とともに登場、チューニングを実施して準備完了です。 学生指揮者の平尾真江さん、黒のパンツ・スーツに身を包め、こぼれるような笑顔で登場しましたが、やはり初指揮で緊張しているのでしょうね。 オケを立たせずにいきなり指揮台の前に立ったので、コンミスが慌てて立ってオケの皆さんが起立している中、平尾さんが深々と礼。 ほんと初々しい感じ。 どんな音楽になるのか、期待とちょっとした不安も感じましたが、始まります。

モーツァルトの「魔笛」序曲、初指揮となる平尾真江さん、きちっと振っているのに堅苦しさは感じさせず、しっかりとモーツァルトの音楽になっていたのが印象的でした。 小気味良い振りは縦振りが基本でキレの良いのが特徴。 特に下から上に振り上げる所作のキレが良く、音楽に張りがありますね。 このキレの良い振り、今年卒業された織田さんの振りに似ているよな、なんて思っていたのですが、あとで気付いたら平尾さんも同じヴァイオリン奏者でもあってのですね。 なんとなく納得。 演奏後、初々しくこぼれるような笑顔もとても素敵でした。

平尾さん、両手を広げて和音を出し、左手をぐるりと大きく廻して音を切ります。 これを繰り返し、丁寧に曲を進めてゆきます。 ちょっとテンポは遅めでしょうね、慎重すぎるような気もしないではありませんが、丁寧に進めてゆき、オケも遅いテンポでしっかりと着いてきます。 平尾さんの指揮は小さな縦振りが基本。 これで小気味よく駆けだし、チャーミングな木管が絡みます。 でも抑えがよく効いていて崩れません。 やや強奏気味のタイトな弦の響きを、また左手をぐるりと廻して止めました。
ファンファーレ、ブレンドされたいい響きです。 ここも落ちついて乗り越え、また小気味よく音楽が駆けてゆきます。 特に下から上に振り上げる所作のキレが良くて、これが活気に結びついているようですね。 後ろから見ていると、機械仕掛けの人形のような動作にも見えるのですけどね、ぐいぐいと引っ張ってゆきます。 蛇足ですが、下から上に振り上げる時、首を右にかしげるのがビートたけしに似ているなぁ〜、なんて余計なこと書いてすみません・・・ とにかくこのまま堂々と全曲を締めて見事。 大きな拍手を贈りました。

暗転、全員がいったん退場したのち編成を変えて全員が座りなおします。 12-11-10-9-8 の編成。 ステージが明るくなり、コンミスが出てきてチューニングを実施して準備完了。 長身でスリムな正指揮者の松本裕太さん、余裕の足取りで登場します。 オケを立たせ、客席に向って一礼したあと、くるりとオケの方を向いてからしばし沈思黙考。 意を決したように指揮台に登って始まります。

リストの「前奏曲」。 学生らしい真っ直ぐなリストの音楽を楽しみました。 松本さんはちょっと半身に構え、斜めに構えた指揮棒を素早く振り下ろす力強い振りが特徴的。 テンポが遅くなる部分などけっこう難しいと思うのですが、これをしっかりと纏めた手腕は立派です。 そしてスピード上げた全奏でのキレ込みの良さなどは余裕。 手綱を締め抑えを効かせてきりっと引き締まった演奏としていました。

軽く振って深みのあるピチカートの響きを導く開始。 しかもオケから奥行きのある響きを導き出し、いきなり、おっ、と思わせます。 また軽く小さな振りから、重厚なファンファーレもまた見事。 音が前に出るのではなく、包み込むような感じです。 次第に力を増しタイトな響きとしますが、中低弦が豊かに響いているので落着きが感じられます。 独奏ホルンがしみじみと吹き、ゆるやかに起伏する旋律となりますが、このあたりから速度が遅くなって結構難しいと感じましたけど、しっかりと手綱を握り、抑揚をつけて乗り切りました。 速度を上げると、ちょっと半身に構え、斜めに構えた指揮棒を素早く振り下ろす力強い振りで盛り上げます。 そして軽やかな音楽としたあと、またぐいぐいと盛り上げてゆき、高揚させながらも常に冷静さを失わないきりっと引き締まった演奏。 エンディングもまたストレートに進めて、切り落とすように止めると、ホールに残響が残っていました。 見事、もうちょっと色気が欲しい気もしましたけど、これを学生に要求するのは酷というものでしょう。

15分間の休憩、席でじっとパンフレット読みながら開演を待ちます。 今度の指揮者、横山俊充さん、たぶん初めて聴く方ですが、一つ年上でしょうか。 オーケストラの指導では妥協を許さない厳しさに信頼が集まる、なんて書いてありますね。 さて予鈴のチャイム、1階席は9割ほど入っているでしょうか、2階席も5〜6割になっているようで、よく入っています。 オケのメンバーが登場、14-14-12-10-8 の編成となりました。 拍手とともにコンミスが登場してチューニングを実施。 詰め襟を着た横山さん、堂々と出てこられて、オケを立たせて一礼。 さあ始まります。

ブラームスの交響曲第4番。 かちっと引き締まった若々しいブラームスでした。 個人的にはもうちょっと哀歓漂わせた演奏が好きなのですけれど(なんたって年寄りですから)、そこは横山さん、若者のオケを率いて安定した演奏を展開。 そしてオケもまたよく頑張っていました。 何より低弦がよく締まっていたのが見事でしたし、ホルンやトロンボーンもいい音色でした。 そしてフィナーレ、オケのメンバーが渾然一体なって響きを合わせて駆け抜け、爽快感ある演奏として纏めました。

第1楽章、横山さん第1ヴァイオリンを見て落着いた響きを導き出しました。 でもちょっと淡々とした感じかな。 哀切の表情までいかないのは学生オケだからでしょうが、でも横山さん、同年代なのですけど精力的に振ってらっしゃいます。 ぐいぐいと盛り上げてゆきます。 オケはしっかりと付いてきて、若々しい響き。 ちょっと平面的に流れてゆくような気がするのは、こちらの思い入れとのギャップがあるからでしょう。 再現部、こちらの耳も馴染んできたせいか余裕も感じられるようになりました。 ティムパニが深い響きながら断固とした打音、いいですね、そして力の漲ったコーダとして重厚でタイトに締めて駆け込むようにこの楽章を終了。

第2楽章、ホルンの張りのある響き、インパクトありました。 よかったですね。 木管アンサンブルの落着いた響き、深く引き締まったピチカートも息づいています。 クラリネットやファゴットもよく聞こえていました。 ここもまた若々しい感じ。 高音弦の旋律がやや上ずったような感じもしましたけど、ゆっくりとなぞるように丁寧に進めます。 中低弦がよく締まっていているので安定しています。 あとホルンも健闘していましたね。 そしてクライマックス、中低弦の上に高音弦がしっかりと乗って落着いた熱い響き。 オケが波打つようにちょっとうねって静かに熱い響きで着地。

第3楽章、横山さんの軽いハナ息とともにストレートに盛りあがります。 機動力を感じさせるきちんと整理された落着いた響き。 しかも熱い。 トライアングがいい音色で絡み、ティムパニのロールもキレよく深い響きでした。 弦楽器や木管楽器のキレもよく、各パートがきちんと聞き分けられるような感じ。 ホルン、ここでも健闘していました。 そして再現部でまた熱い演奏。 ティムパニの打音がクレッシェンドし、トランペットも熱く吹きます。 キレ良く締め括ると、残業が少しホールに残りました。

第4楽章、トロンボーンが重厚かつ艶のある音色でファンファーレを彩る開始。 いい響きです。 そしてたっぷりとした弦楽アンサンブル、これもまた低弦がしっかりと絡んで熱い響き。 これをすっと引いて、しみじみとさせるフルート、柔らかな木管が引継ぎます。 トロンボーンが加わって急激な盛りあがり。 強靭さを感じます。 若さが眩しい。 横山さん、上下に精力的に振ってエネルギッシュに盛り上げてゆきます。 オケのメンバーが全員一丸、渾然一体となって響きを合わせたエンディングを形成し、駆け抜けました。 爽快感がありましたけど、個人的にはもうちょっと余韻が欲しかったなぁ・・なんていうのは欲張りかな。

今回は欲が多くてすみません。 でもオケの皆さんは本当によくやっていました。 色々と書きましたけれど、多分指揮者の方と当方の感覚のズレのようなものじゃないかと思います。 だから音楽は面白いのですけども、もし気分を害されたかたがいらしたらごめんなさい。

とにかく関大オケ、いつも学生指揮を楽しみに伺っています。 今回もまた見事な演奏を楽しませてもらいました。 普通なら安全運転に徹して音楽に生気が失われる場面もあったりするのですけど、これは大学の持つ気風なのでしょうか、いつも熱気を感じさせる学生指揮者の演奏が素晴らしいのです。 今回も熱気に満ちた会場で熱い演奏会を楽しませてもらいました。 皆さんお疲れさまでした。