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吹田市交響楽団 サマー・コンサート2007

楽しくて面白い「小象ババールの物語」戻る


吹田市交響楽団 サマー・コンサート2007
2007年8月26日(日) 15:00  吹田市文化会館メイシアター大ホール

第1部
ラヴェル: 亡き王女のためのパヴァーヌ(+)
デュカス: 魔法使いの弟子(+)
ドビュッシー: 夜想曲 (*1)(+)

第2部:指揮者体験コーナー
グリーグ: 「ペール・ギュント」より「山の魔王の殿堂にて」

第3部
プーランク(フランセ編曲): 小象ババールの物語 (*2)

(アンコール)シャブリエ: 狂詩曲「スペイン」 (*1)

合唱: 千里山コール・ブリーズ (*1)
語り: 平松春生(*2)

指揮: 米山信、新谷武(+)


プーランクの「小象ババールの物語」の愛らしく素晴らしい演奏に、このところの疲れも見事に吹っ飛び、楽しませて頂きました。

ナレーションに平松春生さん(大阪音大声楽科卒)を迎えて進行、ナレーションの一部には指揮者の米山信さんの語りも挟み、すっきりと引き締まったオケの響きの中にウィット、ユーモアもちゃんと取り混ぜたエスプリ、とにかく聴いているだけで楽しくて、面白い、気持ちのいい演奏でした。 時間を忘れて楽しませてもらいました。

そして、アンコールのシャブリエの狂詩曲「スペイン」も、金管楽器の煌びやかさ、ダイナミクスも十分にありましたし、千里山コール・ブリーズの女声合唱も加わっての演奏は珍しいですね。 主題の呈示部をハミングしていました。 とにかく尻上がりに調子を乗せて、惹きつけられました。 そして開放的なフィニッシュ。 楽しいサマーコンサートでした。

でもじつは、前半プログラムは午前中のテスト疲れもあって集中力が途切れっぱなし。 あまり印象に残っていません(すみません)。

「亡き王女のためのパヴァーヌ」は、オケもちょっとまだエンジンがかかりきっていなかったのかな、キズはありましたけれど、前向きな気持ちのよく出た演奏でした。
「魔法使いの弟子」は、新谷さんの精力的な指揮によって息づいた演奏で、ファゴットがいい響きだったのが印象に残っています。 あとは音の洪水を楽しみました。
そしてドビュッシーの「夜想曲」は、16名の女声合唱を加えたシレーヌが素晴らしかったですね。 気負い込んだところはなく、響きが内包されたタメのある音楽でした。

とにかく休憩時間もぐったりとしていて、いつも楽しみにしている指揮者コーナーも惰性で聴いていた状態でしたが、草津からやってきたという最後のおじさんの熱演。 これで覚醒したかもしれません。

このあと尻上がりに調子に乗って聴かせてもらいました。 終演は時計を見ると5時30分を回っていたでしょうか。 用事があったので慌ててホールを飛び出しましたけれど、明るい気分で帰路につくことができました。 皆さんお疲れさまでした。 そして、ありがとうございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

朝9時過ぎ、すでに暑い日差しのなか、大阪国際陸上をやっている長居公園沿いの歩道を試験会場に向かって競歩のように(あせって)歩いてました。 10時集合なのですが、駅から20分かかるとのこと・・確かに20分かかりました。 ちなみに家を出たのが8時、たっぷり1時間半かかってましたね。
そして試験は10時半開始、2時間で90問の択一式です。 年齢とともに気力・体力が衰えていることもあり、粘りもありません。 すべて回答した(正解とは限らないけれど)1時間半後に会場を退散して演奏会場に急ぎました。

実はこのとき、演奏会が2時始まりだと勘違いしていて、梅田で昼食をかけこみ、焦ってホールに着いてみると・・ガラ〜ん?? 3時始まりだったのでした。 とにかく盆休み明けより23時前に帰宅したことはなく、しかも試験のあとなので疲れが一気に押し寄せたような感じ。 ロビーのソファに深々と沈み込むように座って休憩してました。 
すると、ちょうど練習を終えた顔見知りの団員の方が出てこられ、お話ができましたけれど、なんだかこちらは既に疲れきっていて、ちょっと失礼だったかもしれません(反省)。

さて開場の時間、入場を待つ列が目の前を過ぎたころ、ようやくソファーより這い出して列に並びました。 ホールは大きいですからね、焦らなくても大丈夫なのです。 そして入場したら、いつもどおり2階席へ。 足元の広い「そ-28」を確保しました。 ここでは靴を脱ぎ、やはり座席に深く沈み込むようにし、さっそく休憩。 寝てしまいそうな感じなのですが、いっそのこと開演まで眠れればそれでもいいや、と思ってましたけれど・・そうはうまく問屋が卸しませんね。 眠れそうでも眠れません。

定刻、客席の照明が落ちてステージが照らし出されて整列入場が始まりました。 オケの編成は 11-11-8-8-5 の編成での通常配置。 全員が揃うとコンマスが立ち上がってチューニングを実施します。 客席は6割程度の入りでしょうか。 さすが夏休みなので子供さんが多いですね。 準備が整うと、白いジャケットを着た新谷さんが登場。 さあ始まります。

ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、オケもちょっとまだエンジンがかかりきっていなかったのかな、キズが散見されましたけれど、それで音楽が滞るようなことはなく、常に前向きで、気持ちのよく出た演奏でした。

新谷さんがホルンの方を向いて振り始め、柔らかで甘い響きが流れます。 ちょっと不安定でしたが、これを暖かな響きの弦楽アンサンブルが包み込むように進めて、凜としたオーボエに繋ぎます。 新谷さんはいつもながら精力的な振りですが、きちっと纏めていますね。 演奏にキズが散見されるのですが、気持ちが前に出ているからでしょうね、あまり気になりません。 ただし当方の体力・精神力が途切れがちなこともあって、優雅な旋律にのせられてしまい少々意識が飛んでしまってました(すみません、でも気持ちの良い演奏だったということでご理解ください)。 そっと柔らかな着地で締めました。

米山さんが出てこられて解説。 暑い夏に涼しい音楽を、ということで 19〜20世紀のフランスの作曲家の特集だそうです。 そして続くデュカスは完全主義者なので、生涯たった13曲しか作品を残していないとのこと。

そしてその「魔法使いの弟子」、新谷さんの精力的な指揮もあって息づいた演奏でした。 ディズニー映画「ファンタジア」を彷彿とさせませすが、よく整った響きによる音の洪水。 落ち着いた演奏でのあったと思います。 中でもファゴットがいい響きだったのが印象に残りました。

軽やかなピチカート、凜とした木管楽器の響き、精度の高い演奏ですね。 新谷さんの軽いハナ息で息づいた音楽となり、ファゴットが水汲みの情景を活写。 新谷さんは精力的な動きなのですが、とても落ち着いて曲を運んでいます。 パーカッションが加わり、低弦が力強く演奏。 金管ファンファーレも落ち着いた音色で加わりますが、とてもしっかりとした音楽です。 そしてここでもファゴットがいい響きなのが印象に残りました。 またミュートトランペットなど金管ファンファーレによる音の洪水も、オケ全体の響きがきちんと整理されていて見事。 最後はゆっくりと歩みを進めるようにし、緻密に響き合わせた引き締まった音楽として終了。 残響がホールに残っていました。

米山さんのドビュッシは心象風景を描いた作曲家であるとのこと。 そのような解説の間に管楽器メンバーが少し入れ替わったようです。 今回の「夜想曲」演奏は、女声合唱を加えた全曲での演奏で、費用と集客の関係からでしょうね、プロでの演奏でも全曲での演奏は少ないようですが、アマオケらしい挑戦に期待が膨らみます。

そしてその「夜想曲」、16名の女声合唱を加えた「シレーヌ」がとても素晴らしかったですね。 合唱とオケの響きが溶け合って聞こえ、しかも気負い込んだところなどなく、響きが内包されているようなタメを感じる音楽。 うつろうように進んで静かなる高揚感もありましたものね。 いい経験になりました。

第1曲「雲」、木管楽器の響き、そして高音弦・中低弦の響きが漂うに流れ、コールアングレの響きも落ち着いた響きが特徴的ですね。 新谷さん、ここでも少々熱っぽい指揮で、はっきりとした音楽となっているようです。 コールアングレの響き、そしてティムパニのドロドロっていう感じの落ち着いたロール。 これを潔く止めた終結でした。

第2曲「祭り」、立ち上がりの良いヴァイオリンの響き、トランペットが畳み掛けるように賑やかな祭りの風景でしょうね。 キレの良いティムパニの打音、弦楽アンサンブルにも勢いがありました。 中間部は落ち着いた響きになって、低弦の響きを土台にした充実したサウンド。 また直線的に盛り上がったあと、すっと退くように終了。

第3曲「シレーヌ」、左右の舞台袖より白のパンツに各自がそれぞれカラフルな色のシャツを着た合唱団が登場してオケの後ろに整列して始まります。
中低弦の響きに、爽やかな合唱が乗った上々の滑り出し。 波打つような高音弦もとても素敵ですね。 コールアングレがここでも大活躍。 合唱とオケの響きがよく混ざり合っています。 しかも気負い込んだところなどなく、響きが内包されているようなタメを感じる音楽。 うつろうような音楽に身を任せ、ミュートトランペットの渋い響き、しっとりとしたハープの響きも気持ちよかったなぁ。 そして渾然一体となった音楽が消え入るように終わりました。
素敵な演奏に大きな拍手を贈りました。

15分間の休憩。 遅刻してやってきて「魔法使いの弟子」と「夜想曲」を聴いた奥さんも用事があったのでここで目的地に向かってゆきました。 そして「シレーヌ」の素晴らしい演奏で覚醒した我が身体も、落ち着くとまた沈み込んでゆくようですね。 じっとして体力温存モード。
そして定刻、オケのメンバーの方が出てこられて 11-11-8-8-5 とさっきと同じ編成ですね。 チューニングを終えると米山さんが出てこらました。

ここからは恒例の指揮者体験コーナー。 いつもは2〜3曲、テーマ曲を先に演奏するのですが、今年はいきなり参加者を募集してましたね。 子供たちと、成人男性が一人名乗り出ました。
今年のテーマ曲は、ペールギュントの「山の魔王の殿堂にて」。 後半の次第に早くなってゆき、エンディングを決めれるかが勝負って感じですね。

まず最初は小学校2年生のお嬢さん2人組。 二人で一緒に指揮って大丈夫かな、って思ってましたが、同じように振ってましたね。 ふ〜ん、あとで気づいたら、音楽の教科書に載っている4拍子の振りじゃなかったでしょうか。
続いてもお嬢さんですが、小学校3年生とか。 バレエシューズでしょうか、きれいなシューズでバレエ立ちもきっちりと披露してくれてました。 音楽はエンディングがやはり難しかったようですね。
続いて小学校2年生の男の子。 この子、しっかりと音楽の教科書に載っている4拍子の振りで振って見事でしたが、それだけではエンディングは決められませんよね。
そしてトリは草津からこのために来られたという大きな身体のオジさん。 両手を同じように振る力強い指揮でぐいぐいと進めてゆきます。 重戦車のように迫力ありましたね〜 ここまで惰性で聴いていた感がありましたけど、ここで目覚めました。 エンディングも少々のためらいはありましたが、これも力でネジ伏せるようにして終了。 大きな拍手を贈りました。 ご本人の弁「気持ち良かった」、確かにそうでしょうね。

次第に照明が落ち、第3部のプーランクの「小象ババールの物語」の準備となり、この間に米山さんが曲の成り立ちなどについてを解説。 荒唐無稽な絵本の物語なので、子供に戻って楽しんでくださいとのことでした。 オケの準備が整い、ナレーションの平松春生さんが登場。 この方、大阪音大の声楽家出身で司会やナレーションを中心に活動されているとのことでした。 さあ始まります。

プーランクの「小象ババールの物語」、この愛らしく素晴らしい演奏に疲れも見事に吹っ飛び、楽しませて頂きました。 ナレーションの平松春生さんの進行ですが、一部には指揮者の米山信さんの語りも挟み、すっきりと引き締まったオケの響きの中にウィット、ユーモアもちゃんと取り混ぜたエスプリもあり、とにかく聴いているだけで楽しくて、面白い。 気持ちのいい演奏でした。 時間を忘れて楽しませてもらいました。

まずナレーションでババールの誕生が告げられます。 漂うような音楽、木管アンサンブル、低弦の響きもどこかお洒落な感じですね。 そしてババールがお散歩に出ると、柔らかな弦のアンサンブルもまた心地よく響きます。 そして鉄砲の響きがカン! 甲高い打楽器の響きは何を打ったのかな(見落としました)。 ババールが逃げる重量感のあるオケの響きもまた素晴らしくて。 一気にババールの世界に入り込んでしまいました。

街に出るとチューバやトロンボーンも印象的に使われてエスプリを感じさせます。 そして大金持ちのおばあちゃんと知り合うと、ピッコロやオーボエ、ファゴットなど木管アンサンブルが愉快に響き、自動車を買ってもらったらクラクションはクラリネットが担当だったでしょうか。 すべてが明るく柔らかく響いてます。 いい雰囲気ですね。

だけどババールは幸せではなく、重量感のある音楽になりますが、でも軽やかでもあるんですね。 結局森に帰ることになりますが、ちょうどそのときに象の王様が亡くなって新しい王様を決めることに。 ミュートをつけた金管が心地よく響き、長老のコルネリウスの語りを米山さんが指揮台の上で行い、ババールが王様に決まると「バンザイ!」とオケのメンバーが祝福を告げる場面もありました。 退屈なんてさせませんね。

そして結婚式・戴冠式の音楽がまた雄大で楽しい音楽なんですね。 パーカッションの方は2人でアレコレ受け持っていて大変そうでしたけれど。 米山さんもここまで、いつもよりも大きな動作でオケをドライブ。 でも端正にまとめて、決してハメを外さないしっかりとした演奏を展開しています。

そして最後は照明が落ちて、夜の帳。 やわらかなトランペットのソロが素敵に響きます。 フルートもまた素敵。 あ〜楽しかった音楽の時間が終わってしまいますね。 ナレーションの最後もそっと語りかけるように「楽しく心に残ることでしょう。 おしまい。」 確かに心に残る演奏でした。 暖かい拍手が会場から沸き起こり、一緒になって拍手を贈りました。

拍手は鳴り止まず、アンコール。
シャブリエの狂詩曲「スペイン」に、前半最後に「シレーヌ」を歌った合唱団を加えての演奏で、金管楽器の煌びやかさ、ダイナミクスも十分にありました。 女声合唱は主題の呈示部、再現部などをハミングしていました。 この演奏もまた心地よく、惹きつけられました。 そして開放的なフィニッシュも見事。 楽しいサマーコンサートの散会にはうってつけだったと思います。

疲れていたのをきれいに忘れさせてくれました。 終演は時計を見ると5時30分を回っていたでしょうか。 用事があったので慌ててホールを飛び出しましたけれど、最後は明るい気分で帰路につくことができました。 皆さんお疲れさまでした。 そして、ありがとうございました。