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紫苑交響楽団 第10回記念定期演奏会

力強くも美しい音楽戻る


紫苑交響楽団 第10回記念定期演奏会
2007年9月9日(日) 14:00  長岡京記念文化会館

ベートーヴェン: 交響曲第5番ハ短調op.67「運命」
ブルックナー: 交響曲第6番イ長調(ノヴァーク版)

(アンコール)J.S.バッハ: 目覚めよと呼ぶ声が聞こえ

指揮: 井村誠貴


ベートーヴェンの運命とブルックナーの交響曲第6番という重厚なプログラム。
井村誠貴さん指揮による第10回記念定期演奏会は、いつもにも増して熱い演奏会でした。

オーケストラの配置は対抗配置、しかもコントラバス6本はステージ後方に一列に並ぶムジークフェライン流。 低弦の響きがダイレクトに伝わってきました。 金管楽器も左右に振り分けていて、ステレオ効果も満点。 こだわりを感じます。

それはともかく、まず「運命」。 古典派の音楽というよりもロマン派的というか、ヴェルディのような劇的な感じのした演奏でした。
張りのあるオケの響き、引き締まった音楽なのですが、キレやスピードに頼るのではなく、ドラマティックな起伏を感じました。 一列に並んだ低弦の響きが核になり、コンパクトに打つティムパニが小気味良い演奏ですが、何より木管楽器が美しく彩っていたのが印象に残りました。

そしてブルックナーの第6番もまた引き締まった演奏でした。 大柄な井村さんが更に大きく振りかぶってオケを鳴らす豪快さ。 かなり盛り上がってました。
ただ第1楽章の前半など、ミスをしたとかではなく、どことなく掴みどころのない感じがし、唐突に盛り上がるのが繰り返されているような感じも受けました。 きちんと演奏しようという感じがあったのかもしれませんね。 でも次第に良くなり、そして終楽章に入ると完全に吹っ切れたみたい。 とても伸びやかになっていました。 オケもこれが最後の楽章だと思ったからでしょうか。 躍動感にも磨きがかかって、力強くも美しい音楽がとめどなく流れて出てきて、感動的なフィナーレ。 熱い大きな拍手がホールに渦巻いていました。

アンコールはバッハのカンタータ「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」、この重厚さ、粘り気、これらは前時代的な感じもちょっとして面白かったなぁ。
記念すべき第10回の定期演奏会。 客席はほぼ満員、大盛会でした。 これでオケの危機は乗り越えられたように感じましたが、どうでしょうか。 次回は来年3月、更なる発展を願ってやみません。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

気が付いたら出発の時間、バタバタっと家を飛び出しました。 久しぶりの井村さんが指揮される演奏会、しかも前回お世話になった紫苑交響楽団との定期演奏会なのに困ったものです。 それでもなんとか梅田発13時10分の特急に乗れ、開演10分前にホールに到着。 滑り込みセーフに近いですね。

受付でパンフレットを受け取るとすぐに階段を登り、ホール後方より入りましたが、すでに多くの人が入ってますね。 うろうろするのは止め、中央右ブロックの最後列 28列27番にもぐり込みました。 席に落ち着き、ふっと見た中央ブロックの後ろあたりで席を探しておられるのは・・井村さんの奥さんみたいですね。 中央部分で出にくかったので、もし近くに来られたらご挨拶でもと思いましたが、ちょっと目を離したときに見失ってしまいました。 とにかく大勢のお客さんでほぼ満杯です。

ステージでは自由入場、メンバーの方が三々五々集まってこられました。 よくステージ見ると、対抗配置なのですが、コントラバスを舞台後方に一列に並べたムジークフェライン流。 金管楽器も左右に振り分けていますね。 こだわりを感じます。
でも個人的にはブルックナーでは金管を通常通り後列に一列に並べ、その後ろにコントラバスを並べるのが面白いのではないか・・・なんて思ってみたりもしています。 低弦と金管の響き、呼応して面白かった経験があったりするのですが、どうでしょうか。

定刻、コンマスが出てきてチューニングを実施。 弦楽器の編成は、12-12-11-7-6 でしょうか。 チューニングを終えてコンマスが席に着きます。 しばし沈黙が流れ、どうしたかな、と思い始めた頃、足音高く井村さんが登場。 さあ始まります。

ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」、古典派の音楽というよりもロマン派的というか、ヴェルディのような劇的な感じのした演奏でした。 張りのあるオケの響き、引き締まった音楽なのですが、キレやスピードに頼るのではなく、ドラマティックな起伏を感じました。 一列に並んだ低弦の響きが核になり、コンパクトに打つティムパニが小気味良い演奏ですが、何より木管楽器が美しく彩っていたのが印象に残りました。 そして、時に弦の響きに暖かさを感じたのは、井村さんの人柄なのかもしれませんね。

いきなり蛇足ですが、第1楽章の冒頭の有名な運命のテーマ、さぁ始まろうという瞬間、お隣の席に中年夫婦のおっさんが割り込んできました。 おまけに、連れ合いに1列前の空席に座れと指示しているのに気をとられました。 世界一の交響曲の、世界一有名なこの場面、これを聞かずに席を陣取ることに注力する無神経さ、しかも周りの人間の迷惑も感じない鈍感さに腹立たしい思いをしました。 しかし大人ですから必死で無視して聴き進めていました。

第1楽章、重厚な響きのよるテーマ、堂々とした開始。 フライングで1名飛び出してしまったようですが、ちょっとしたキズで大勢に影響なし。 ホルンの響きが引き締まった響き、艶もあって見事でした。 そして弦楽器は何よりコントラバスの響き、ダイレクトに届く感じですね。 低弦がブレンドされた弦の響きには層の厚さを感じます。 そしてそこに割って入るオーボエ、この潔い響きもまた効果ありました。 勢いのある演奏で進みますが、楽器の数が少なくなると少々曖昧さを感じる部分もあったのですが、全体的に皆さん巧いですねぇ。 中でも特筆したいのは木管楽器。 いずれの響きもとても美しくて魅力的ですが、アンサンブルになっても調和した響きが素晴らしいですね。 さて、ティムパニが細く短いマレットで、しかも小さなストロークで小気味良く打ち、層の厚さを感じさせる弦の響きによってこの楽章を締めました。 やや残響がホールに残っていたようです。

第2楽章、中音弦のふくよかな響きが素敵な開始。 ここでは中音弦の響きが素敵で、コントラバスも柔らかなピチカートを添えていました。 そしてやっぱり美しい木管に魅了されますね。 そして深みのある弦楽器の響きがそれをそっと包み込むよう。 トランペットが輝きのある響きで入ってくると躍動感を持った盛り上がり。 井村さんらしい感じかな。 でも繰り返しになりますが、この楽章は中音弦と、木管楽器の美しさ。 これが素晴らしかったなぁ。 たっぷりとした音楽を丁寧にまとめ、この楽章を終えました。

第3楽章、間合いを計って集中力を高めてから入ります。 柔らかな響きによる導入のあと、ハナ息でホルンの強奏がカッコ良く入ってきて圧倒。 ゾクゾクっときました。 重厚な響きなのですが、どこか暖かさも感じます。 低弦の迫力が素晴らしくて、これまたカッコ良いですね。 そして井村さん、けっして豪腕でぐいぐいと進めているだけじゃなく、オケの中で旋律を緻密に歌いまわしているようです。 ピチカートもまた暖かな響きがしますしね。 いい気持ちでした。

ティムパニがタンタカ・・と軽く打ってアタッカで第4楽章に入り、大きく鷲つかみにするような感じでクライマックスを構築。 激しい盛り上がりなのですが、安定感があります。 ホルンが勇壮、コントラバスの響きもくっきりと常に聞こえてます。 ノリノリな感じがするのですが、暴走などせず、しっかりとした足取りですね。 クライバーだとスポーツカーに乗っている感じなのですが、そんなイケイケの感じではなはく基本的に雄大な感じです。 エンディングもまた勇壮、しかしここでも綺麗な響きの木管楽器が彩っていて、美しく強靭な音楽とし、全曲を力強く締めました。

ドラマティックな感じのした運命、ベートーヴェンというよりもヴェルディ的なのかなぁ〜なんて漠然と思いながら、大きな拍手を贈りました。

15分の休憩、いつもは席でじっとしていますが、ロビーに出てちょっと気分転換。 小さなお子さん連れの方が何組か帰っていかれるような感じです。 小さなお子さんにはブルックナーの交響曲など退屈なだけかもしれませんものね。

演奏開始を予告するアナウンスのあとオケのメンバーがステージに集まってきます。 今度は、12-12-11-9-6 の編成でしょうか。 チェロの数はもう1本多かったかもしれません。 コンマスが揃ったことを見てから立ち上がってチューニング。 同時に客席の照明が落ちます。 チューニングが完了すると井村さんがにこやかに登場。 いよいよ始まります。

ブルックナーの交響曲第6番、こちらもまた引き締まった演奏でした。 大柄な井村さんが更に大きく振りかぶってオケを鳴らす豪快さ。 かなり盛り上がってました。
ただ第1楽章の前半など、ミスをしたとかではなく、どことなく掴みどころのない感じがし、唐突に盛り上がるのが繰り返されているような感じも受けました。 きちんと演奏しようという感じがあったのかもしれませんね。 でも次第に良くなり、そして終楽章に入ると完全に吹っ切れたみたい。 とても伸びやかになっていました。 オケもこれが最後の楽章だと思ったからでしょうか。 躍動感にも磨きがかかって、力強くも美しい音楽がとめどなく流れて出てきて、感動的なフィナーレ。 熱い大きな拍手がホールに渦巻いていました。

第1楽章、ヴァイオリンが緻密な響きでリズムを刻み、ホルンの朴訥な響きが抑制をかけて吹き、コントラバスが力強い張りのある響きを奏でます。 休止のあと井村さんのハナ息とともに、キレのよいファンファーレで急速に盛り上がりました。 気合入ってますね。 それが納まると何事も無かったかのようなゆったりとした流れ。 変わらず挟み込まれる木管楽器の美しい響きが魅力的ですが、全体的に手探りとは違うのかもしれませんが、なんとなく纏まり感なく進むような感じがしました。 全奏になると躍動的で元気が急に出るので、その落差を感じるのかなぁ。 もっとも曲をよく知っている訳ではないので間違っていたらごめんなさい。 中盤を超えたあたりから伸びやかになってきたみたいです。 井村さん、大きく伸び上がって勇壮に進め、太いティムパニの打音とともに盛り上がります。 コントラバスの響きが直接的に伝わってくるのもいい感じですね。 コーダでもスケール感のあるファンファーレ。 右手を高々と上げて止めました。

第2楽章、深い響きの弦楽アンサンブル、落ち着いた音色を醸し出していました。 ここでは特に中音弦の響きが豊かなのがとても素敵でしたね。 高音弦の爽やかさを引き立てています。 オーボエのエレジーも素敵、金管が抑制かけて寄り添って、ゆったりとした美しい弦のアンサンブルを存分に楽しみました。 しだいに熱くなってくる自然な盛り上がり。 トランペットが輝くような響きでしたが、それもまたすっと退いてまた美しい弦の調べ。 そこに木管がまたもや美しい響きで絡みます。 抑制かけた金管が加わってスケール感を増すけれど、それを保ったまま退いて捲りめくような感じですね。 いいですね。 自然な音楽の流れにのって、静かにこの楽章を終えました。 聴いていたこちらも、ふぅ〜と大きく息を吐きました。

第3楽章に入る前にチューニングを実施。 コントラバスが刻むリズム、心臓の鼓動にも似て覇気を感じる開始でした。 急速に盛り上げ、更に井村さんが大きく振りかぶって引き締まった音楽とします。 金管は少々甲高い響きだったかも。 休止、木管の響きが凜としたアンサンブルです。 引き継ぐホルンが落ち着いた響き、これをキレよく進めて、休止。 ホルンの斉奏、大らかな感じでいい響きがホールに満ちて素敵でした。 これを受ける木管の響き、またまた柔らかな色彩が感じられて素敵。 すると主部が躍動感に力強さを併せ持って戻ってきました。 ぐっと盛り上げたのを大きく振りかぶって止めました。

第4楽章、ヴィオラのほうを向いた井村さんが振り始め、このトレモロにのって低弦ピチカート、そしてヴァイオリンが歌い出します。 落ち着いた音楽の開始でした。 コントラバスの音量が上がり、ホルンがタイトに吹いて躍動感が満ちます。 そしてトランペット、トロンボーンの勇壮な吹奏には輝きがあり、しかも全体によく溶けているのが素晴らしいですね。 これをさっと止め、力のこもったファンファーレ。 これまでにも増して伸びやかな輝きのある響き、これはもう感動的。 しかも弦楽器のアンサンブルもやわらかな美しさを湛えて歌っていて、これまでとは雰囲気が変わったというか、一皮向けたような感じがしました。 井村さんの足取りも軽やかになって見えたのは錯覚でしょうか。 そして緻密な構成ながらも美しく勇壮な音楽、明るい響きでの盛り上がり、弦の響きにも暖かみがあって素晴らしいなぁ。 ホルンのソロは女性奏者、響きの張りもちろんのこと伸びやかな美しい歌がありました。 そして全奏、こちらも全員一丸ですね。 湧き起こる力を感じ、その強い響きの中に華を感じます。 井村さんの軽いハナ息から圧倒的なコーダ、抑揚つけて歌わせますが、芯には硬いティムパニの打音。 オケを勇壮に鳴らしたのを更に大きく振りかぶって力を蓄え、最後は右手で大きくすくい上げるようにして閉じました。
感動的な幕切れでした。 素晴らしかったなぁ。 熱い拍手もまたホール内に渦巻いていました。

アンコールはバッハの「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」、まるでオルガン風な重厚さ、粘り気など、ちょっと前時代的な感じもさせて面白かったですね。

記念すべき第10回の定期演奏会。 客席はほぼ満員、大盛会でした。 これでオケの危機は乗り越えられたように感じましたが、どうでしょうか。 次回は来年3月、更なる発展を願ってやみません。 とにかく皆さんお疲れさまでした。